英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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67.謎の傀儡

 

「あった・・・」

「まさか本当に当てるとは・・・」

「言ったじゃないか、目星は付けてたって」

レナが印をつけた場所、そこにたどり着いたⅦ組が発見したのはある高台とそこに設置されたワイヤー梯子だった。

レナがあの短時間でなおかつ1発で砲撃場所を当てた事にアリサとユーシスが静かに声を上げ、レナが笑いながら腕を組んだ。

「しかしあの高台に登りたくてもワイヤー梯子が降りてないな」

「ジャンプで届くような位置でもないしな」

しかし高台に設置されたワイヤー梯子は畳まれており、どうやっても手が届かない位置にあった。ガイウスとリィンは困った顔で高台を見上げるとレナがミナズキに声をかける。

「ミナズキ、君の武装で何とかできるかね?見たところワイヤー梯子を纏めているのは端にあるロープ1本のようだ」

「まぁ、やってはみるか・・・」

レナに言われたミナズキは高台に近づき左手を開いたり閉じたりを繰り返しながら狙いを定める。

 

「・・・このくらい、だな・・・シャッ!」

短い掛け声と共にミナズキは左腕を素早く上げる、するとチンッと言う小さい金属音を上げてワイヤー梯子がガラガラと降りてきた。

 

「お見事」

「え、今何したの?」

「何かを投げた、のか?」

「・・・・」

賛辞を送るレナ、何が起きたのか分からなかったアリサとユーシスは困惑し、何をしたか気付いたリィンはミナズキを黙って見つめている。そしてしっかりと見えていたのかガイウスがミナズキに近づいて言う。

「ミナズキ、それは暗器の類か?」

「見えたのか?」

「あぁ、はっきりとは見えなかったが・・・」

少し言い淀むガイウスにミナズキは頷くと左腕の袖に手を突っ込み暗器を取り出す、答えが気になっていたアリサが近寄りそれを凝視した。

「小さい、黒い剣?」

「いや、剣と言うには小さすぎるぞ」

アリサとユーシスが首を傾げる、ミナズキが取りだした暗器の大きさはどう見ても小さすぎる。手のひらサイズという言葉がピッタリと合うほどの大きさで僅か7リジュ(7cm)程度の物だった。

「これをあのロープに当てたのか」

「あぁ、斬れ味は良いし上手く扱えば色々役に立つ。ただ練習量がものを言う代物でな・・・ってこんな話をしてる場合じゃないな、登ろうか」

ガイウスに返答しそのまま喋りそうになるもののミナズキは降りてきたワイヤー梯子に手をかけて言った。

 

 

 

「予想はしていたが、ワイヤー梯子は少し登りにくいねぇ」

「ロープ梯子よりは良いんだろうが揺れるからな・・・おいあれじゃないか?」

高台に登り慣れない運動だったからか愚痴るレナにミナズキが返す、そんなやり取りをしながら辺りを見ると砲台があった。その砲台にアリサが近づき色んな角度から見たり少し触れたあとに確信したように頷いた。

「やっぱりね、これはウチの会社の旧式の商品よ、生産はかなり前に終わったはずだけど色んなルートで流れているみたいね」

少し悲しそうな顔をしながらアリサは言う、自分の実家で作っている物の1部は確かに兵器の類だ。しかしそれをこんな長閑な場所で使われたこと、そして死傷者も出ている事実にやるせなさを感じていた。

 

「しかしこれで謎は1つ解けた、あとはこの行いの犯人を見つけるだけだねぇ」

「だがこれを見つけたところで戦争を止められるかは分からない、もう少し情報を探したいところだけど」

レナの言葉にリィンが悩ましそうに答える、事実砲撃に使われた兵器と場所は分かったが肝心の犯人が見つかっていない。これだけではとても戦争を止めるには不十分だった。

「・・・ん?あれはなんだ?」

そんな中会話から少し離れ周囲を見回していたミナズキは遠くから何かが飛んで来ている気付いた。白い色で形はサラが実技テストで使う謎の傀儡にそっくりだった。

「なぁ、あんなのが飛ぶのか?ノルド高原は」

「あんなの?・・・あれは!」

ミナズキの問いにリィンが彼の視線を追いそれを見ると目を見開いた、それは前回のバリアハートでの実習でオーロックス砦に現れた正体不明の浮遊物体だったからだ。

 

「あれは・・・オーロックス砦に不法侵入したっていう謎の傀儡だね、なんであれがここに・・・」

「とにかく無関係とは思えない、あれを追うぞ!」

考え始めるレナの言葉を遮りながらリィンは謎の傀儡を追うために梯子を降り始める、しかしミナズキは梯子を使わずに高台から飛び降りた。

「おい、そこそこ高いだろう!」

「この程度問題無い、とにかくあれを追えば良いんだな!?」

止めようとしたユーシスが声を上げながら安否を確認するがミナズキは特に痛がる様子もなくそのまま走り出した、するとそれを待っていたかのようにブレイザーがミナズキの横に付いて走りミナズキは流れるようにブレイザーに乗り傀儡を追いかけだした。

「なんというか、振り回されすぎてすぐ上達したねぇ」

「あぁ、完全に息が合っているな」

「感心してる場合じゃないわよ!?」

ミナズキがブレイザーに何度も振り回される様を見ていたレナとガイウスが感慨深そうにしているとアリサがツッコミを入れて皆でミナズキを追う、ミナズキが強いことは知っているが相手が未知数すぎる。ミナズキに対処不可能な相手でもしミナズキが負けるようなことがあればその時はなんとかミナズキを連れて逃げるしかないのだ。

不安は残ったもののミナズキを信じて皆は馬を走らせたのだった。

 

「おい、ブレイザー!お前人間の言葉が分かるんだろう!?あれが何者かは知らないけどこのタイミングで来ているのはどう考えても無関係なわけが無い!あれを追ってくれ!」

ミナズキの言葉が通じたのかブレイザーは空飛ぶ傀儡を見つめると更に加速、前方に現れた魔獣がミナズキを補足して近付いてくるがそれもお構い無しにヒョイっと躱しながら傀儡を追う。

 

そして傀儡は石柱群の方へと飛んで行きミナズキもそれを追うように石柱群に辿り着いた。

勢いは一切落ちずにそのまま1人と1頭は傀儡とそれに乗っていた少女への突進していく。

 

「あれ?シカンガクインの人だ・・・ってなんか完全に怒った顔してる!?ガーちゃん!」

少女はミナズキの顔を見て驚くと自身が乗っていた傀儡に命令を出した、すると傀儡はミナズキたちに向かってパンチを放とうと勢いよく右腕を突き出してくる。

「ブレイザー避けろ!」

当たったらマズいと感じたミナズキが指示を出すがブレイザーは止まらない、そして目の前に傀儡の腕が迫るとそのまま体を反転させて傀儡の突き出してきた腕を後ろ脚で蹴り飛ばした。

「えぇ!?ガーちゃんと互角の力!?君なんなの!?」

「こちらのセリフだ、今起きてる事件とオーロックス砦に侵入していたっていう話を聞いてお前が事件と無関係とは思えるわけないだろ」

驚いている少女にミナズキは答えるとブレイザーから降りてそのまま構える。

「悪いがここで何をしていたか話してもらうぞ」

「本当になんなのさー!」

 

完全に敵意むき出しなミナズキに少女が慌てて構える。

恐らくは全くといっていいほど必要の無い戦いが始まろうとしていた。




ご拝読ありがとうございました。
ミナズキ完全に早とちりしてます。
次話もよろしくお願いいたします。

まだ直接的な関係は無いんですけど逆質問です。ミナズキは士官学院を卒業したらその後はどうなると思いますか?

  • 遊撃士になって仕事をする
  • 帝国の各地を放浪する
  • なんやかんや身を固めて何処かに定住する
  • 行方不明になる
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