英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
1日遅れましたが、更新します。


70.発見、そして・・・

 

「さて、取り敢えず遺跡に入れたは良いが・・・」

「まずはあれをなんとかしなきゃならないか・・・」

遺跡の中に辿り着いたⅦ組、しかし表情は少し呆れと困惑があった。

リィンとミナズキの視線の先にはガーちゃんを体のいい運搬係にされ不機嫌になってしまったミリアムの姿があり、彼女はずっと膨れっ面のままだった。

「おい、いい加減機嫌を直すがいい」

「つーん!」

「ダメそうね・・・」

ユーシスの言葉にいかにも不機嫌という態度を示すミリアムにアリサがため息をついた。

 

「レナ、何とか出来そうにないか?」

「いやはや、私に子供をあやすのは無理だよ・・・」

どうしたもんかねぇ、と苦笑いするレナにミナズキは出来る限り思考を巡らせる。

そもそもミナズキは子供と関わることが極端に少ない、トリスタでもロジーヌの手伝いで子供の相手をしたことはあったがそれもほんの数回程度、その子供たちもまたミリアムとは離れた年齢、さてどうしたものかと考えたミナズキは1つの結果に辿り着いた。

 

「おい、ミリアム・・・後で何かお菓子をあげるぞ」

「ほんと!?」

早い、あまりにも身の変わりが早かった。なんならガイウスの妹のリリよりも単純かもしれない。

ミリアムのあまりにも早すぎる切り替えに驚きつつも約束を取り付けたミナズキは取り敢えず自分の手持ちの材料の残りを思い出すのだった。

 

 

 

同日14:00、石切場最奥───

 

「あれか」

「いたいた」

最奥に続く道の入口で奥を皆でそっと覗くそこには複数人の武装した集団、そしてその集団に指示をしている男がいた。

 

「おい、これだけやれば十分だろ!早く残りの分の契約金を渡してくれよ!」

「いいや、まだ渡す訳にはいかないな。契約内容は帝国軍と共和国軍が戦闘を開始するまでだった筈だ。もし膠着状態が続くならもう一押ししてもらう必要がある」

猟兵崩れの男の言葉に指示をしていた男が返す、他の猟兵崩れが露骨に面倒くさがった様子で言う。

「チッ、面倒だな・・・だがもう少し我慢すれば莫大なミラが」

「しかし《G》といったか、何故そんなに羽振りが良いんだ?前金だけでも500万ミラ・・・どんな大金持ちのスポンサーを味方につけやがったんだ?」

「詮索をしないことも契約内容に入れたはずだが?もしそれを続けるなら契約を打ち切っても構わないが?」

Gと呼ばれた男は猟兵崩れの言葉に冷ややかに返す、途端に猟兵崩れたちは慌てだした。

「ま、待ってくれ!こっちはミラさえくれれば大人しく働くからよ!」

「それにあんたらのアシ無しでどう帰りゃ良いんだよ!?」

「ふん、分かればいい。だがその我慢もじきに終わる・・・戦端が開かれればこの地の平穏も破られるだろう。そこまで行けば・・・」

「させるか!」

Gの言葉を遮る形でガイウスが飛び出した、それに続くように他のⅦ組も飛び出す。

 

「だ、誰だお前たちは!?」

「トールズ士官学院特科クラスⅦ組だ!帝国軍監視塔と共和国軍基地への攻撃の容疑で拘束する!」

狼狽える猟兵崩れにリィンが拘束の旨を伝えるとGが前に出てきた。

 

「トールズ・・・なるほど、お前たちか。ケルディックでの仕込みを邪魔してくれたのは」

「ケルディック?レナ、こいつは何を言ってるんだ?」

Gの言葉にミナズキが首を傾げレナに説明を求めるとレナは話し始める。

「そういえば言わなかったかね?1度目の実習で私たちはケルディックに向かったが色々問題が起きてねぇ。盗っ人たちを追い詰めたまでは良かったがその後自然公園の主に襲われたのさ・・・今の奴の話し方からして恐らく元凶は奴自身かな?というかミナズキはケルディックに行ったことがあるのかね?」

「昔1度だけだ。だが、そうか・・・」

レナの説明を聞いたミナズキは1度頷くとそのまま1歩だけ前に出る、そしてGに太刀を向けて口を開いた。

 

「まだまだ余罪が多そうだ、だから間違っても殺しはしない。だが最低腕の1本は落とさせて貰おうか、そこの考える力の無い間抜けどもも含めてな・・・口を聞くのも時間の無駄だし何より不快だ、さっさとやらせてもらう!」

「な!?誰が間抜けだクソガキ!俺たち「やかましい!」ぎゃっ!?」

ミナズキの言葉に反論しようとした猟兵崩れが一瞬で間を詰められ斬られる、急所こそ外れてはいるが確実に戦闘不能となった。

「我々も続くとしよう!」

「あぁ、ここで全員拘束する!」

ミナズキに続くようにレナも飛び出し更にリィンたちも一気に突っ込んでいく、ミナズキに気を取られていた猟兵崩れたちも突っ込んで来るリィンたちに対応しようとするもすぐ真後ろから斬りつけられ、そこにリィンたちも来るものだからパニックに陥っていきそのまま1人残らず戦闘不能となった。

 

「ぐぅ、ガキの癖に・・・」

「こ、こんな奴らなんかに・・・」

「猟兵団《バグベアー》色んな猟兵団からドロップアウトした奴らの集団って聞いてたけどやっぱり大したことないね、今回の事件をきっかけに旗揚げしようとしてたらしいけどこれでその野望も潰えたかな?」

その場に倒れ伏しながらもこちらを忌々しげに睨みつける猟兵崩れたちにミリアムが淡々と告げる、Ⅶ組の面々も次はGに武器を向け睨みつけた。

 

「ふん、所詮はドロップアウトしたチンピラよ寄せ集めか・・・大して期待はしてなかったがまさか学生相手に負けるとは期待外れもいい所だ」

「な、なんだと!?」

Gの言い様に猟兵崩れが反論しようとするがGは全く相手にせず懐から笛を取り出し、それを吹き始めた。その笛から奏でられる音は綺麗ではあった、しかし何かを呼ぶ様な、呼んだそれの神経を逆撫でるかのような音にも聴こえた。

「さて、これだけでも効果はあるだろうが更にもう1つ使わせてもらおうか」

笛を吹き終えたG、しかしそれだけでは終わらずにその笛に1つの謎の部品を取り付けた。その部品にミナズキとレナは見覚えがあり6から9の掠れた数字、断面には機械のような物が入ったそれは、レナとミナズキが協力して探している懐中時計の欠片だった。

「おいレナ・・・」

「・・・偶に思うんだが何故私の探している懐中時計は何時も悪い事に利用されているんだろうねぇ」

ミナズキの言葉にレナがどんよりとした表情で言う、確かに1つ目のレナが初めから持っていた欠片以外は今のところパルムで見つけたものはアメリエラが悪事を働く際に使っていたし今回はテロリストじみた男が使う怪しげな笛の付属品扱いだ。そのことを思い出しミナズキも流石に苦笑した。

 

「では、この使えないゴミ共々消えてもらおうか」

2人が話しているうちにGは懐中時計の欠片を付けた笛を更に吹き出した。

 

すると───

 

「な、なんだこの音」

「身体中に妙に響く、というより・・・!?」

「あ、頭が痛い・・・!」

1人を除いたⅦ組、ミリアム、そして猟兵崩れたちが苦しみ出すそれでもGは演奏を止めない。

「ぐ・・・グボァ・・・!?」

「お、おいしっかり・・・しろ・・・おごぉ!?」

この世のものとは思えない、まるで地獄や魔界から死神が迎えに来たかのような人間が聞いてはいけないような音色、満身創痍だった故に耳をまともに塞ぐことが出来なかった猟兵崩れたちが1人、また1人と口や耳から血を噴き出し倒れる、そして倒れた者たちからは黒い瘴気のような煙が出始めた。

「このままじゃ俺たちまで・・・!」

「でもこれじゃまともに攻撃も動くことすら出来ないわ!」

「う、ぐぅ・・・」

リィンがなんとかしようと口を開くもアリサがそれに反論する、ガイウスもその音にただ耐える事しか出来ない。

 

そんな中だった───

 

「な、何故皆そこまで苦しんでいるんだい?確かに酷い音ではあるが・・・」

「レナ!動けるのか!?もしそうならあの笛の音を止めてくれ!」

「あ、あぁ!」

何故か動けた、というよりなんの変化も無かったレナがミナズキに言われて動き始める。

「よく分からないが皆が苦しんでいるのでね、取り敢えず止めさせてもらう!」

「・・・・!」

走り出し突っ込んでいくレナにGが目線だけを向ける、更に音色が大きくなったもののレナは一切構わずにレイピアにスパークを纏いGに向かって突き出した。

「スピアスパーク!」

「クソっ!」

すんでのところでレイピアを躱すG、だがレナの、攻撃のおかげで演奏が止まった。

 

「まぁ、私がいる限りその笛の音もすぐに中断せざるを得ないね。というかそれは私の探し物なんだ、さっさと寄越して貰おうか!」

レイピアと本をを構えながらレナは言う、Gは少し苛立ちの表情をするがすぐに薄ら笑いを浮かべて言った。

「チッ・・・まぁ良い、ここでの仕込みは終わった。私はそろそろ帰らせて貰うよ」

「逃がすか!」

踵を返したGにレナが攻撃を仕掛けるがGはそのまま後方の崖から飛び降りる、追って下を見たレナが見たのはワイヤーロープを使って逃げるGの姿だった。

 

「・・・・クソっ」

レイピアを握りしめ小さく悪態をつくレナ、そんなレナの元にⅦ組が駆け寄ってきた。

「レナ、ありがとう助かった」

「あぁ、おかげであの音をまともに聞かずに済んだ」

「・・・・・あぁ、僥倖だね」

ミナズキとガイウスにお礼を言われてたレナは納得こそいかなかったがとりあえず返事を返す、そして皆で倒れている猟兵崩れたちを見る。

「ひ、ひぃ・・・!?」

「・・・お・・・ごが・・・」

「ゲホッ・・・ゲホッ・・・」

それなりの数がいたはずの猟兵崩れは何人かが完全に息を引き取っていた。

残りの意識のある者も身体に異常をきたしており、とても動ける状態じゃなかった。

 

「取り敢えずこの下郎共を引き渡すとしようか」

「そうね、これで戦争だってきっと回避出来るわ」

ユーシスとアリサが少し安堵したように言ってくる、しかしガイウスは何かが腑に落ちなかったようでその場で首を傾げた。

「ガイウス?何かあったか?」

「いや、すまない。何故だが腑に落ちなくてな・・・あの笛の音色にはどんな意味があったのかと、そう思ったんだ」

ミナズキの問いにガイウスが返す、傍にいたレナはその言葉の意味を考える。そして幾つか可能性を頭の中で提示するうちに1つの答えに辿り着き顔を引き攣らせた。

「不味い!急いでここから離れるんだ!」

「急にどうした?」

「主犯には逃げられたけどもうさっきの笛の音みたいな物もないし」

「そこじゃない!確かに2つ目の音色はただこちらを苦しめた!だがだとしたら1つ目の音色はなんだ!?絶対にロクなものではない!」

少し緊張を解いたユーシスとアリサにレナは叫び、そして逃げようと走り出そうとした時だった。

 

カサカサカサカサ・・・

 

何かが遺跡の壁を這う音が聞こえた。

その音に全員構える。

「なんだ!?」

「今度は何!?」

「手遅れだったか・・・」

ガイウスとミリアムが構えながら周りを見渡すが何もいない、レナは少し諦めた表情をしたがそれでも武器を構え直す。

 

一方リィンとミナズキはなんとか何処から殺気が来ているか目を閉じて探していた。

「いる・・・意外と近くだ、ミナズキはどうだ?」

「数は・・・2つか・・・1つは分かるが2つ目はあまりにも大雑把にしか分からないな・・・だが1つ目は分かるな」

「あぁ・・・1つ目は・・・」

「「あそこだ!」」

そう言ってリィンとミナズキは1つの壁を指さすそこには巨大な蜘蛛型の魔獣がこちらを赤い目で見つめていた。

 

「うわっ蜘蛛だ、私蜘蛛は苦手なんだがねぇ」

「言ってる場合か!取り敢えず応戦するぞ!」

文句を垂れたレナにユーシスが一喝し他の皆も構える、蜘蛛型の魔獣はその様子を見た後壁から飛び降りるようにこちらへ跳んだ。

全員が武器を握りしめた、その時だった。

 

「は・・・・?」

「え、いや・・・え?」

思わずミナズキ、そしてその近くにいたアリサの声が遺跡内で木霊する。

魔獣は空中で止まった、いや止められたのだ。

崖の方から伸びてきた巨大な手によってキャッチされ動けないまま藻掻く、そして───

 

グチャッ・・・メキャッ・・・ペキペキ・・・

 

嫌な音を上げながらそのまま巨大な手に握り潰された蜘蛛型魔獣は体液を崖に落としながら絶命した。

そして巨大な手は1度暗闇に戻ったかと思うとゆっくりとその姿を現した。

 

妙に不均等に巨大な土色の右腕、それとは対称的に少し小さめな左腕、顔らしい顔は無く本来人間の顔に当たる部分には赤く光る岩のような物が埋め込まれている。

人型ではあるが上半身のみで下半身は無い、それでも大きさは10アージュ(10m)は下らない。

どうやって動いているのか、そもそも生きているのかすら分からない、だがⅦ組を認識し向かってくる歪な巨人が目の前にはいる。

 

「おい、ガイウス・・・もしかしてこいつが?」

「確信は無いがこいつが恐らく《悪しき精霊》だろう」

確認するミナズキにガイウスも頷く、その言葉に他のⅦ組も体をこわばらせて構え直す。

 

「Ⅶ組、そしてミリアム。全員でこの最悪な状況を切り抜ける!全力でいくぞ!」

「おう!」

「guoooooooooo!!!!!!」

 




ご拝読ありがとうございました。
取り敢えず次回でノルド編を完了出来たらな、と思っています。
次話もよろしくお願いいたします。

まだ直接的な関係は無いんですけど逆質問です。ミナズキは士官学院を卒業したらその後はどうなると思いますか?

  • 遊撃士になって仕事をする
  • 帝国の各地を放浪する
  • なんやかんや身を固めて何処かに定住する
  • 行方不明になる
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