かなりお待たせしましたが、シンプルに体調不良です。
7/21(水)グラウンド───
「じゃあ何時もの楽しい実技テストを始めるわ、今回は2対2のタッグ戦形式でクラフト、アーツの使用は自由よ。そんな訳でまずは・・・ミナズキから行ってもらおうかしら」
何時もの実技テストの時間腕を組んでいるサラに指名され、ミナズキは前に出る。
「さて、ミナズキ。タッグを1人選んで、と言いたいところだけど今回は私から指名させてもらうわ。エリオット、前に出なさい」
「え、僕?」
サラに指名されたエリオットは驚きはしたがそのままおずおずとミナズキの隣に立った、その光景にリィンがある事に気が付いた。
「あれ?この2人が一緒に戦うところ見たこと無いような・・・」
「言われてみれば・・・特別実習でも別の班だったし」
「マキアスやユーシスはなんやかんや一緒の班の時もあったねぇ」
リィンの言葉にアリサやレナも頷く、そんな中フィーが口を開く。
「・・・ラウラもじゃない?」
その言葉に皆でラウラの方を向く、ラウラも不満そうな顔をしていたが皆の視線に気付くと顔を背け少し居心地の悪そうな顔をした。
そんなラウラを見てリィンとアリサはコソコソと話をしだす。
「フィーとの事は兎も角、ラウラの場合はミナズキに避けられてるような・・・」
「言われてみればラウラからミナズキに話しかけることはあっても逆は見たこと無いわね・・・」
実際2人の話は的を得ており、ミナズキはラウラを避けている。理由は単純、鬱陶しいのだ。
ラウラは典型的な武人気質であり、強い者と出会えば自ら手合わせや鍛錬を申し込んでいくし、それ自体が彼女にとっての楽しみでもあり幼い頃から剣の道を進んで来た彼女らしい生き方と言える。
一方でミナズキは同じ武人気質ではあるものの別に強い者が出てもほぼスルー、むしろ戦わずに済むならそれで良い。当然鍛錬なんて申し込まないし手合わせなんてもってのほか、今まで本気で殺し合いをしていた分、剣術はどこまで行っても殺人術でありそれ自体に楽しみは見出さない。
同じ剣士でもこれだけ見解や考え方に違いがあればどうやっても噛み合わないのだ。オマケにラウラはミナズキにも某フリーデル部長よろしく鍛錬を申し込んでいたがミナズキとしては完全に迷惑な行為なので2人の溝はより一層深まるばかりだ。
余談だがかつてミナズキを辟易させたフリーデル部長はミナズキに手酷くやられた結果以前よりも鍛錬にストイックになったものの、他の部員に1本取られると何故か顔を紅潮させ身悶えした後に顔を紅く染めながら嵐のような激しい刺突攻撃を仕掛けてくるようになったのだとか、頑張れフェンシング部。
そうしているとサラは相手となるペアを呼ぶのだが───
「じゃあ相手として、ラウラとフィー、出て来なさい」
「ふむ?」
「・・・・」
サラの呼び出しにラウラもフィーも少し驚くがすぐに前に出てくる、周囲はもっと気まずい雰囲気になっていた。
「な、なんというか」
「あぁ、かなりあからさまな人選だな」
レナとガイウスが苦笑を浮かべながら指名された2人を見る、2人揃って気まずそうにしているが1番の被害者はこの2人ではない。
「エリオットがどう見ても不憫なんだが・・・」
「なんというか筆舌に尽くし難い表情をしているな」
ユーシスの言葉に珍しくマキアスが乗る、現状エリオットは気まずく居心地の悪い3人に挟まれる形だ、本人の表情も明らかに暗く、目も泳いでいた。
しかしそんなことはお構い無しに更にサラは一言加える。
「それとミナズキは基本的にエリオットを主軸として戦うこと、何時も君ばかりが主軸だといざという時連携が乱れかねないもの」
サラの言葉に見学しているメンバーは更になんとも言えない空気に変わる。
言っている事は解る、だが今じゃなきゃダメなんだろうか。
エリオットの顔をよく見てくれ教官、どう見ても死にそうな顔になっているぞ。と口にはしないが顔色が青色に変わっているエリオットを同情の眼差しで見る。
「(そんな目するなら誰か代わってよー!?)」
そんな風に見られているエリオットも内心思い切り叫んでいた。
「わかった・・・エリオット、よろしく頼む・・・顔色悪くないか?風邪か?」
「う、ううん大丈夫だよ・・・」
ペアとなったミナズキに体調を気にされるがエリオットは真っ青のまま否定し導力杖を構え直す、対してラウラとフィーは目も合わせないまま構え始めた。
そんな2人をミナズキは一瞥すると左腕に付けた暗器を仕込んだ内籠手と左肩側に納めている片手剣、そして左腰側に帯刀している太刀を確認してそのまま右足を少し前に出して構えた。
「両者準備はいいわね?では・・・はじめ!」
サラの声と共にフィーがエリオット目掛けて突っ込み、そのまま一撃与えようとした時、視界の隅に一瞬何かが光った。
慌ててフィーが後ろに飛び退くと左腕を上げたミナズキがいた。
「今の・・・暗器?」
「まぁこの程度は避けるよな」
フィーが目を凝らすとミナズキの左腕の内篭手に小さな刃物が納まっていった。
「エリオット、時間は稼ぐから強力なアーツの準備を頼む」
「あ、うん!・・・ARCUS駆動」
ミナズキが呼びかけるとエリオットはアーツの準備を始める、フィーが警戒しつつミナズキを睨みつけているとその横をラウラが走り抜ける。
「鉄砕刃!」
そのままミナズキに飛び掛ったラウラがクラフトを発動させ斬り掛かる、それに対してミナズキは太刀は抜かず横に避けて対処する。
「それをバカ正直に正面から受ける気は無いな」
「ならば・・・これならどうだ!」
そう言ってラウラは更にクラフトを発動する、するとミナズキはラウラを中心に引っ張られるように吸い寄せられた。
「喰らうがいい!洸円牙!」
「重要塞・・・!」
そうしてラウラは勢いよく横薙ぎに剣を振るい砂煙が上がる、瞬間ガキン!という音と共にラウラの剣が止まった。
「止めた!?」
「でもあんな技を太刀で受けたら!」
見学しているマキアスとリィンが声を上げる、リィンの言う通りラウラの扱う大剣をミナズキの扱う繊細な太刀で受け止めるのは最悪太刀を折られかねない。
しかしリィンの懸念は砂煙が収まった際に解消された。
「・・・今のは少し予想外だった・・・そんな技を使えるようになっていたとは・・・」
「ミナズキ、そなたこそその剣は一体何なのだ・・・私の剣を受け止めるとは・・・!」
ミナズキは片手剣を抜いてラウラの大剣を止めていた、ラウラの大剣による攻撃を正面から防御したにも関わらず刃こぼれの1つも無く、ラウラの攻撃に押された様子も無かった。
「ふん!」
そうしてミナズキはラウラの攻撃を弾くとそのまま左手に持った片手剣を振りかざした。
「喰らえ・・・獣爪!」
「ぐぅ!?」
ミナズキの剣を受け止めたラウラ、しかし1度の攻撃のはずなのにまるで三本の爪に攻撃されたかのような3連撃に後ろに吹っ飛ばされる。
「エリオット、もう少しか!?」
「うん!あとちょっと!」
距離を取りつつエリオットと声を掛け合うミナズキ、その様子にフィーもラウラも焦りを感じたのか攻撃は激しくなる。しかし、ミナズキもそれは分かっているため太刀も抜いて全武装を使って2人を抑えていく。
どちらかだけを対処すれば良いように動き、同時に攻められないようにどちらかが攻撃する時はもう片方の直線上に入り邪魔をさせ、距離のある間は暗器を使い牽制、近付かれたら防御を片手剣で行い、太刀で攻撃を仕掛けていく。
「このままでは・・・」
「流石にまずい・・・!」
ミナズキを切り崩すのは難しい、そう判断した2人はミナズキを無視しエリオットに標的を絞り突っ込む。
「・・・まぁ、そう来るよな。剛撃!」
しかし、ミナズキはその間に割って入り片手剣を地面に叩き付けた。
途端に砂煙が辺りを覆う、ラウラとフィーも1度止まりミナズキの出方を窺うが特に何かされるわけでもない。
しばらくしても何も来ないのでそのままエリオットに突っ込もうとした時、2人は足をもつれさせ一緒に転んでしまった。
「な、何故?」
「足に何か巻き付いて・・・鎖?」
ラウラの右足とフィーの左足を纏めるように巻きついていたのはミナズキの暗器に付いていた鎖だった。
「急いで解かなければ!」
「でもエリオットのアーツが!」
上手く動くことが出来ず、ラウラは巻き付いた鎖を解こうとするがフィーは回避優先で動こうとする為上手く解くことが出来ない、フィーも回避の為動こうとするがラウラが解こうとして動かない為動けない状態にあった。
「クリスタルフラッド!」
「あ・・・」
「しまった!」
いがみ合っていた2人をエリオットが発動した水属性アーツ、クリスタルフラッドが襲う。
地面を這う冷気が2人に直撃しそのまま2人は戦闘不能になった。
「そこまで!勝者ミナズキ、エリオットチーム!」
サラの言葉に両者手を止め、武器を納める。
エリオットは安心したかのように息を吐くとミナズキに向き合った。
「ありがとうミナズキ、おかげで助かったよ」
「気にするな」
エリオットに軽く返答したミナズキはラウラとフィーがサラと話していることを他所に1つ考えを浮かべていた。
「(導力杖を持った人間との連携・・・アイネと帝都で行動する時に必要と考えていたけど、まさかすぐにこんな機会が来るとは・・・良いタイミングだった)」
今回の実習でアイネが出張るかもしれないミナズキにとって今回の実技試験は格好のタイミングだった。
「ミナズキ?早く戻らないと」
「・・・ん?あぁ、今戻る」
そのまま動かなかったミナズキにエリオットが声をかけ2人は揃って他のメンバーの所に戻る、その後もテストの最中ミナズキはアイネとの連携のことばかり考えるのだった。
「よし、今回の試験はここまで!全員今回の反省点を活かして特別実習に励むように!・・・・で、皆お待ちかね、これが今回の実習先よ。1部ずつ取りなさい」
全員の試験を終え、いつものようにサラはプリントを取り出し、リィンにその束を渡す。リィンも手馴れたように他のメンバーに1部ずつ渡した。
「ふむ・・・おや?」
「プリントの誤植か?」
「いいえ、それで間違ってないわよ」
サラからプリントを渡され実習先を確認する一同、それを見たレナとミナズキが首を傾げるがサラはなんて事ないように返した。
A班:リィン、ラウラ、フィー、マキアス、エリオット
(実習先:帝都ヘイムダル)
B班:アリサ、エマ、ユーシス、ガイウス、ミナズキ、レナ
(実習先:帝都ヘイムダル)
実習先はまさかのどちらの班も同じ帝都だった、確かに帝都は広いので有りうる話だったが意外なものは意外なのだ。
「帝都・・・僕とマキアスのホームグラウンドだね」
「あぁ、まさか夏至祭の時に行けるとは」
エリオットとマキアスが少し嬉しそうに話す中、リィンだけが不満そうにサラへと切り出す。
「サラ教官、前々から思ってたんですが・・・俺なんかダシにされてません?」
「・・・・・ピューピュー」
「・・・下手な口笛で誤魔化さないでください!」
質問に対して口笛で誤魔化すサラにリィンが声を上げる、確かに前々から生徒同士のわだかまりがあると基本的にその人物+リィンになることが多い、それは構わないのだがシレッと入れられることがリィンにとっては不満だった。
そんな風にリィンに問い質されるサラだったが思い出したことがあったためいきなり真剣な顔でミナズキに向き合った。
「そうだ、ミナズキ。今回の実習あんたは途中で抜けてもらうわ」
「は?」
いきなりのサラの発言にミナズキだけでなく他のメンバーも驚きつつ首を傾げる。
「あんた、この前の自由行動日でとある人と話したでしょ?学院の方にも正式にお願いが来たのよ」
「あぁ、なるほど」
サラの言葉にミナズキは納得した、差し金はオリビエだ。クリスタルガーデンでの警護任務、こうしていきなり言ってくるということは事件が起きる可能性が高まったという事だろう。
「あと伝言で『特別実習を潰す形になったことを謝りたい』って言ってたわよ。あんたから何か伝えて欲しいことはある?」
「『気にするな、恩は返すし義理も果たす。それはそれとして今度ご飯を奢ってくれ』でお願いします」
「あんたとあの人の関係フリーダムね・・・」
ミナズキの言い分にサラはジト目をしながらも伝言を受け入れた、他のメンバーはミナズキに好奇の視線を浴びせているがミナズキは首を横に振り話すことを拒否している。
「まぁまぁ、良いじゃないか!何かあったのだろう?プライベートな事なら我々が聞く必要は無いんじゃないかな?」
ここで何となく事を察したレナが助け舟を出す、レナとしても話の内容は気になるが無理に聞くことは流石に気が引けた。
レナの言葉に皆も納得してはいたがエマだけは考え込むようにミナズキを見ていた。
「とにかく、今回の実技試験はここまで。皆今回の反省点を活かして特別実習に臨みなさい、以上!」
サラの締めくくりでその日の実技試験はお開きとなった。
その日の夜───
「やっぱり刻印石でやり取りするのは慣れないな・・・少し難しい・・・『つぎはていとにいく』っと」
自身の部屋でミナズキはアイネに貰った刻印石でメッセージを飛ばしていた、まだ慣れていないため妙に文面が簡単な物になっているがそれはご愛嬌と言える。
しばらくするとミナズキの刻印石が光り石の中に文字が浮かび上がった。
「『楽しみ、一緒に頑張るよ!』か・・・まぁ、頼りにさせてもらおうかな・・・」
そうしてやり取りに笑っていると部屋のドアが3回ノックされた。
「ミナズキさん、エマです。」
「エマ?・・・どうぞ?」
エマの声に急いで刻印石を仕舞い込み、ミナズキはドアを開ける。目の前には真剣な面持ちのエマがいた。
「すみません、こんな夜分に・・・」
「いや、まだ寝る前だったから良い。それより何かあったのか?」
「いえ、えっと・・・その・・・」
エマを部屋に入れたミナズキは用件を聞こうとするがエマは何故か言葉を渋り、やがて決心したようにミナズキに切り出した。
「その、自由行動日の時に何かあったんですか?」
「・・・何故そんなことを聞くんだ?」
エマの質問にミナズキは目を細めた、そんなミナズキにエマは続ける。
「あの日、エリゼさんが行方不明になって皆で旧校舎に向かった時、貴方は巨人が出てきたあのトビラを他でも見たような事を言っていました、帝都で何かあったんですよね?」
「・・・・・」
聞こえていたのか、とミナズキは内心自身の軽率な言葉に舌打ちをした。しかし、帝都で、というよりアル・カフラで何があったかは話すわけにもいかない、突拍子も無さすぎるしいきなりこんな事を聞かれても警戒するしか無い。
「教えてください、あの日一体何があったのか」
「・・・・悪いが教えられる事は何も無いな、俺は普通にご飯を食べて帝都をぶらついていただけだ」
エマにお願いされるもミナズキは首を横に振る、そんなミナズキにエマは少し残念そうな顔をした。
「そう、ですか・・・残念です。ミナズキさん『私の目を見てください』」
「は?」
次の瞬間、エマの目は黄色く変色して光る。本能的にまずいと感じたミナズキは目を閉じ、顔を逸らした。
『エマの目を見なさい!』
しかし聞き慣れない声によって強制的にエマと目を合わさせられた。
「あ・・・ぐっ・・・あぁ・・・」
やがて抵抗すら出来なくなったミナズキはそのまま力なく項垂れてしまった。
「ごめんなさい、ミナズキさん・・・でもこれしか無くて・・・」
「エマ!そんなこと言ってる場合じゃないわよ、早くこいつから情報を吐かせなきゃ!」
「セリーヌ・・・えぇ・・・」
意識を混濁されたミナズキに弁明するように呟くエマだったがいつの間にか部屋の中にいた黒猫、セリーヌに叱咤されてミナズキと向き合う。
「・・・ミナズキさん、貴方は先日の自由行動日に何をしていましたか?」
「・・・なんとなく、帝都に師匠が来る気がして、おせちを用意して会いに行った・・・」
「この情報じゃないわね・・・もっと先のことを聞いて!」
問い掛けるエマ、しかしミナズキから返ってきた回答は望んだものでは無かった為セリーヌはエマを急かす。
「その後何をしましたか?」
「・・・・喫茶に行って寛いでいたら今度はオリビエに会った、帝都で何が起きるからその事で話を・・・」
「これでも無いわね、他は!?」
更に聞くエマだがこれも望んだ回答ではなく、セリーヌは苛立ちを覚え始める。
「で、ではその後は?」
「オリビエと話していた、ら不思議な女の子と会って、そいつの故郷へ・・・行っ、て・・・」
「ちょっと術が解けてきてるわ!こいつどんな精神力してるのよ!?エマ、もう1回術をこいつにかけるわよ!回りくどい事はやめてさっさと騎神に関することを聞いちゃいなさい!」
「えぇ」
エマの質問に答えるもどんどん術が解けてきているのかミナズキの返答はぎこちなくなっていく、遂に痺れを切らしたのかセリーヌは術の準備に入り、エマももう一度ミナズキに向き合いもう一度術をかける。
しかし、次の瞬間エマとセリーヌは部屋の壁に叩き付けられた。
「うぐぅ!?」
「にゃ!?一体何なのよ!?」
痛みに呻くエマといきなりの事に困惑するセリーヌ、そんな1人と1匹に1つ声がかかる。
『やっぱりね、ミナズキから感じる波長が可笑しいと思った』
「あ、貴女は!?」
「フシャー!」
エマとセリーヌの前に現れたのは少し透けた状態のアイネだった、しかしエマたちは彼女のことを知らないため警戒心を剥き出しにする。
『あたし?あたしはこの人の、ミナズキのただの友だちだよ?』
「嘘をつくんじゃないわよ!ただの人間がこんなこと出来るわけ無いじゃない!」
『えー、でもあたしただの友だちとは言ったけどただの人間とは言ってないよー?』
「こいつっ!」
激昴するように声を荒らげるセリーヌに対して揚げ足をとって笑うアイネ、そんな態度にセリーヌは更に怒りをあらわにするがエマは比較的落ち着いて話しかける。
「あ、貴方は一体何者なんですか?一体どこでこんな術を?」
「簡単だよー、あたしはミナズキに変な奴が付かないようにしてるってだけ。現に貴女はミナズキに洗脳紛いな事をしてまで無理やり情報を得ようとしたじゃん?あたしはミナズキが心配になったから彼と別れる直前にプロテクトを掛けた、内容はミナズキの意識が不自然な消え方をしたら近くにいる生物を吹き飛ばすって感じのやつね、発動条件はミナズキにあたしやあたしに関わる情報を聞こうとすること、わかった?」
エマに対してアイネは少し煽り気味に、そして確りとした敵意を向けて話す。その様子に今度はセリーヌが声を上げる。
「あんたわかってんの!?あんたとこいつが持っている情報は最悪帝国の未来すら変えかねないのよ!?」
「そうかもね?でもあたしにとってはこんなやり方で聞くような人は信用出来ないよ。ミナズキが何かの情報を持ってるって分かったから今日近付いたんでしょ?だったら自分たちの事を多少脚色入れて話すなりして信用して貰うくらいすればよかったじゃん?」
「・・・(ギリッ」
「とにかく、もう自分の部屋に帰りなよ。ミナズキはあたしが起こしておくから・・・それと無理にプロテクトを外そうとしたらもっと酷い目にあわせるからね、例えば貴女たちのことをミナズキにも他の人にも全部バラしちゃう、とかね?」
「そ、それは・・・」
「嫌なら帰って、そしてこれ以上ミナズキに変な術をかけようとしないで。ほら、あっち行って!」
そう言ってアイネはエマとセリーヌを追い出す、そしてドアが閉まりエマたちが離れたことを確認するとミナズキを起こすために彼の状態を確認する。
「・・・よかった、特に怪我とかも無い・・・って当たり前か、ただの洗脳に近いもんね」
ミナズキに異常が無いことを確認したアイネは安堵した後にミナズキを見つめて呟く。
「大丈夫、何があってもあたしはキミの味方だから。絶対に貴方の隣で戦い抜いて、あの英雄と導き手のような悲しい結末になんてさせないから、ね?」
そう言ってアイネはミナズキの顔に息を吹きかけそのまま静かに消えていく。
「・・・ん?あれ?もしかして座ったまま寝てた?・・・委員長が来てた気がするんだが・・・まぁ良いか・・・」
目覚めたミナズキは何故か少し荒れた部屋を元に戻すとそのまま眠りに着く、仕舞っていた刻印石にはたった一言『気をつけてね』の文字があった。
ご拝読ありがとうございました。
一応ミナズキが使った剣を紹介します。
次話もよろしくお願いいたします。
・銀の牙
現在はミナズキが預かっている銀色の片刃の片手剣、並外れた頑丈さとそれに準じた重量が特徴。実は魔法武器で剣自体に魔力がある。
兄弟剣が存在しそちらは金の牙と呼ばれている。
武器専用クラフト
・獣爪
CP35、単体、威力S
1振りで3回分の斬撃を与える技、しかし他の武器だとその負荷に耐えきれずに壊れてしまう。
・獣牙
CP45、範囲円M、威力S
剣を地面に突き立て周辺に強力な衝撃波を発生させる、他の武器だと負荷に耐えきれずに壊れてしまう。
・剛撃
CP20、範囲円S、威力C
剣を思い切り地面に振り切る一撃、場所によっては目くらましとして砂煙や土煙も巻き上げられる。
・重要塞
CP40、自己補助技
剣の魔力を使用者に流し一時的に魔力の障壁を身体に張り巡らせる。
1度だけ攻撃を無効化する。
本編とは直接関係は無いかもですが質問です。ミナズキにはユン以外にも色んな意味での師匠枠がいます、現在判明しているのは2人ですがどちらが気になりますか?
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料理を教えた暗器、拳使い
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片手剣である銀の牙を託した人物