英雄伝説 雪月の軌跡   作:モリーもふもふ

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ご拝読ありがとうございます。
絶賛スランプです。

※感想より「アンケートの『リィンたちには原かせますが』の部分はなんて書こうとしたんですか?」と質問いただきました。

「リィンたちには原作通りにユミルに行かせますが」と書こうとしました。
ご指摘ありがとうございます。


86.休息する暇は無く

 

 

受けた依頼を一通り終えたB班はヴェスタ通りの宿泊先である元・遊撃士協会に戻って来ていた。

 

「だぁぁ・・・疲れた・・・」

「ふふふ、色々とな・・・」

雪崩るように椅子に座り込んだミナズキのボヤキにガイウスは笑って返した。

 

「しかし流石に疲れたねぇ・・・屋台のご飯以外は何も食べてなかったから流石にお腹が空いたよ」

「そうね、じゃあ今からヴァンクール大通りにでも行かない?確か百貨店の《プラザ・ビフロスト》に喫茶コーナーがあるらしいわよ」

「良いですね、忙しかった分一息入れたいです」

そうしてレナ、アリサ、エマの3人は少し遅めのランチの話に盛り上がる。その様子をミナズキが首を傾げながら見ていた。

「なんで女子は昼飯1つであそこまで盛り上がれるんだ?」

「ふむ、確かに何故だろうな?」

「別にどうでもいい気がするが・・・」

ミナズキの何気ない疑問にガイウスが割と真面目に考え出しユーシスは呆れたように笑いながら肩をすくませる。

 

そうやって談笑をしているとミナズキのARCUSに通信が入った。

「はい、こちらミナズキ・・・」

『やぁミナズキ、僕だよ。愛に生きる漂泊の詩人オリビエ・レンハイムさ!』

「切っていいか?」

『ちょっ!?待ちたまえ!・・・・楽しく特別実習しているところ悪いが明日以降の事を打ち合わせしておきたいんだ。時間は大丈夫かい?』

オリビエの言葉を聞きミナズキは周囲を見渡す。みんな会話を止めミナズキに視線を集めていた。

 

「・・・あぁ、大丈夫だ。何時行けばいい?」

『すまない・・・出来ればなるべく早めにお願いしたい、君が手紙で書いていた得体の知れない集団関連で君と連携を取っておきたい事があるんだ』

「分かった、すぐ行こう・・・バルフレイム宮に行けば良いのか?」

『あぁ、迎えの人間を行かせるよ』

 

そうして通信が切れ、ミナズキは目を閉じため息をつく。そして目を開けるとクラスメイトの心配するような視線に気付いた。

「なんだ?そんな顔をして」

「いやなに、君の顔が一気に険しくなったからね。みんな心配なんだよ」

不思議そうな顔をしたミナズキにレナが答える、他の面々も同じ気持ちなようで静かに頷く。

そんな彼らを見てミナズキは困ったように笑って切り出す。

 

「あくまでも色んな事態を警戒しているだけだ。別に何か起きることが確定しているわけじゃないぞ?」

「それでもだ、そういう話があるという事は可能性は出ているんだろう?」

「・・・・あぁ、だろうな」

心配してくるユーシスにミナズキは短く返しそのまま席から立った。

 

「悪いけどもう行く、要請には応えなきゃだからな」「お、おい!」

そのままミナズキは扉へ向かう、ユーシスの静止も聞かずそのまま扉のレバーに手を掛けた。

「ニャー」

「む、待ちたまえ」

そんなミナズキに猫がトコトコと着いていく、それをレナがヒョイっと捕まえ部屋の隅に持っていくと猫と顔を向き合わせた。

 

「ニャー?(なにー?)」

「良いかね?ミナズキが無茶をしないように君がしっかり見ているんだよ?」

「ニャー!(おっけー!)」

「な、なんだか緊張感が無いな・・・むむむ」

「レナ?猫と見つめあってどうかしたのか?」

ジーッと見つめ合う1人と1匹、それを不思議に思ったガイウスが声をかけるとレナはサッと猫を下ろし誤魔化すように笑った。

 

「ニャー!」

「・・・・・離れるなよ」

元気よく鳴きながらミナズキの足に寄ってくる猫、ミナズキは特に嫌がることも無く扉を開ける。

「ミナズキ、気を付けるんだよ」

「風と女神の加護を」

「ふん、せいぜい無茶をしないことだ」

「こっちは私たちに任せなさい!」

「荒事には気を付けてください」

背後から聞こえてくる声援を受け、ミナズキは軽く振り向き笑う。

「あぁ、行ってくる」

 

 

ドライケルス広場───

 

「さて、さっさと行くか」

「まっかせて!あたしもサポートするからね!」

バルフレイム宮へと向かう為にドライケルス広場に着いたミナズキといつの間にか人間の姿に戻ったアイネが宮殿に続く道を歩こうとすると2人いる兵士のうちの1人に止められた。

「止まれ、ここから先は許可のある者以外通すことは出来ない」

「ん?」

「あれ?OK出てなかったっけ?」

 

兵士に止められた2人は首を傾げる、するともう1人いた兵士がミナズキたちを止めた兵士に声をかけた。

「おい、待て・・・ミナズキ殿と・・・その方はお連れの方ですか?」

「あ、はい・・・ほら、会釈しろ」

「あ、うん!・・・こんにちは?」

「え?・・・あ、こんにちは」

 

たどたどしく挨拶をするアイネに兵士もぎこちなく頭を下げる。一方でもう1人のミナズキのことを聞いていた兵士が改めてしっかりと敬礼をすると手で宮殿に進むように促していた。

「すみません、連絡不足だったようです。どうぞ中へ、皆様がお待ちです。」

「ありがとうございます・・・・皆様?」

礼を言ってミナズキとアイネは宮殿に進んで行ったが兵士の言葉にミナズキはさらに首を傾げる結果となった。

 

 

バルフレイム宮、離宮───

 

皇族が暮らしている離宮、その談話室で3人の男女が和やかに話をしていた。

「良いですか陛下、御身が多忙な事は存じていますが食事と睡眠だけはしっかりとってください」

「あぁ、努力はしよう「とってください?」う、うむ。分かったぞラポールよ」

「ふふ、陛下もラポールさんにはタジタジですね」

 

1人はミナズキたちにも会っていたラポール。そして彼に押され気味な男こそ、このエレボニア帝国における皇帝であるユーゲント3世であり、彼の隣で微笑む女性は彼の妻であるプリシラ皇妃である。

 

「それはそうだ、この男は余がまだ殿下と呼ばれていた頃、先代の皇帝の時代からこの宮殿を侍医として支えてきたのだから。恐らく我々のことは手のかかる小僧と小娘くらいと思っているだろう」

「そんなことは思っていませんとも。まぁ陛下が子供の頃、私に剣を教えて欲しいと言ってきた時は『侍医に何言ってんだこのガキは』くらいは思いましたがね」

「結構思っているではないか・・・」

ユーゲントはラポールの強すぎる切り返しに苦笑いを漏らす、一見すると不敬なのだがラポールはこれを本人たちから許されていた。

何故なら彼はユーゲントがまだ子供だった頃から見守ってきた男であり、実際に剣を教えていた時期もあるのだ。

 

「あの時は参りましたよ、先代がいきなり『我が息子の御目付け役を頼みたい』なんて言うんですから。何度も言ったんですよ?俺は侍医だって」

「だが幾つもの戦場を生き抜いたそなたの実力はそなたを良く思わない者たちも肯定せざるを得ないほどに確かなものだった。剣術も長けていて、何より先見の明が恐ろしく鋭かった」

思い出話に花を咲かせるラポール、しかしユーゲントの言葉に少しだけ顔を曇らせた。

 

「・・・でも、だからこそ私を良く思わない者たち、貴族派の者たちからのやっかみは酷く、『軍』という集団の世界でも私は生きられなかった。まぁ私はそもそも帝国人でなかったことも理由にあるでしょうがね」

「何を言う、そんな評価を跳ね除けたのもまた、そなた自身ではないか。出身など関係ない、何より軍にいた頃にそなたが育てた後輩たちは今も活躍している。十分すぎるほどにこの国を支えているではないか」

「勿体ない言葉だ」

自分を評価してくれるユーゲントにラポールは柔らかく笑って返す、そうして談笑していると1人の兵士が部屋に入ってきた。

 

「失礼いたします!ミナズキ殿ともう1人そのお連れの方です!」

「良い、通せ」

「はっ!」

ユーゲントが許可を出すと兵士はすぐに2人の男女を通した。

 

「失礼します、オリビエ・・・いや、オリヴァルト殿下の召集を受け参上しました。ミナズキ・バンシアといいます・・・こっちは自分の協力者のアイネ・アルコバーノです」

「よ、よろしくお願いします!」

3人の前まで歩くとミナズキは軽く自己紹介をし頭を下げる、アイネもそれに倣うように頭を下げた。

 

「なるほど、お前がオリヴァルト殿下の言っていた協力者だったのか。偶然っていうのはあるもんだな」

「・・・よく見なくてもあんたラポールさんじゃないか」

「ミナズキこの人と知り合いなの?」

相手が知り合い、というより今日の午前にあった人物なことにミナズキもラポールも驚く。唯一そんなことはよく知らないアイネだけは首を傾げた。

 

「ふむ、ラポールよ。そなたの知り合いでもあったのか」

「えぇ、と言っても今日の午前に会ったばかりですがね」

そう言ってラポールはミナズキたちに手招きをしそのままソファーに座るように促す、2人もそれに応じてゆっくりと座った。

 

「まぁ殿下もお忙しいみたいだからな、それまでここに居てもらおうか」

「そうなのか、連絡が来たからてっきり手が空いたものだと思っていたが・・・」

「恐らく急用でもできたんだろうな。西ゼムリア通商会議のこともある、あれが終わるまでは一息つくのも大変だろう」

そう言ってラポールはテーブルに置かれた紅茶をぐいっと飲む。ミナズキはその言葉に少し残念そうに背もたれに寄りかかった。

 

一方アイネはというと───

 

「ふふ、可愛らしい協力者様ですね」

「えへ、えへへ・・・」

近くにいたプリシラ皇妃に頭を撫でられて嬉しそうに笑う、そんな笑顔を零すアイネにプリシラ皇妃も釣られて微笑んでいた。

「・・・こほん、アイネ?」

「・・・はっ!?ご、ごめんなさい!」

「いえいえ、わたくしこそ貴女の頭を撫ですぎましたわ」

 

ミナズキにジトっとした目で呼ばれて我に返ったアイネはプリシラ皇妃に謝るが彼女はそんなアイネに笑って返す。

「最近はセドリックもアルフィンもあまり撫でさせてくれませんでしたから新鮮でした」

「え、えへへ・・・あたしも皇族の人に頭撫でられたの生まれて初めて!」

 

そして2人でまた笑い合う、そうしているとまた1人談話室に入ってきた。

「遅れて申し訳ない、通商会議の件で1つ話が来てしまってね。おや、父上も母上もいらっしゃったのですか」

「あぁ、ラポールの健診でな」

「なるほど、お久しぶりですラポールさん」

「殿下、私にさん付けは結構ですよ」

「いえいえ、貴方ほどの人になら付けますよ」

部屋に入ってきたオリヴァルトはユーゲントの言葉によってラポールの存在に気付くと軽く挨拶をしラポールも同じく挨拶を返す。

そして、目の前の自分が呼んだミナズキに向き合った。

 

「さて、ミナズキ。今回呼んだのは他でもない、今回の夏至祭についてさ」

「あぁ、わかっている・・・いや、承知しました殿下」

「・・・君が敬語を話すと何故かゾワッとするね」

 

そしてオリヴァルトもミナズキも向かい合うように座る。アイネもミナズキの隣に座り、逆にユーゲントとプリシラ皇妃、そしてラポールは席から立ち上がった。

 

「我々は失礼しようか」

「えぇ、そういたしましょう」

「んじゃあ私もだな、じゃあなミナズキ」

そのままラポールが部屋の扉を開け3人で外に出ていく。それを見送るとオリヴァルトは話を切り出した。

 

「気を使わせてしまったようだ、ではミナズキ、それにアイネ君、今回はよろしく頼むよ」

「あぁ、任せて欲しい」

「あたしも頑張るね!」

オリヴァルトの言葉にミナズキもアイネも強く頷く、こうして今回の夏至祭にまつわる打ち合わせが始まったのだ。

 




ご拝読ありがとうございました。
何とか書き上げていますが、モチベも上がらず筆もなかなか進みません。
ゆっくりお待ちください。
あとアンケートも出来れば協力よろしくお願いします。
次話もよろしくお願いいたします。

エピソードの中で書くつもりなので明かしたりはしませんが皆さんがより気になるのはどれですか?

  • ミナズキの本名
  • レナの正体
  • オリビエがミナズキに優しい理由
  • ギリアスが呟いた「ルーグ」という言葉
  • アル・カフラにあるトビラの中身
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