ストライク・ザ・ブラッド──巫者と負者──   作:白夜夕夜

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手探り感が半端ない。頑張って書いて行きますんでどうか温かい目で……(ドゲザァ


序章 Intro

 東京の南方海上330キロメートル付近に浮かぶ人工島(ギガフロート)絃神島(いとがみじま)

 吸血鬼や獣人族などが多く住み着き、魔族特区(まぞくとっく)とも呼ばれ、比較的夜が長い島だが、流石に朝四時に差し掛かってしまえば普通の街とは変わらない風景が広がっている。

 店は全て閉まり、住宅からもれる光もなく、道路には街灯の淡い光が差し込んでいた。

 その道路に、男が一人。男の右腕には、金属製の腕輪がはめられている。生体センサや魔力感知装置(まりょくかんちそうち)、発信機などを内蔵した魔族登録証。これを持っている彼は、普通の人間ではない。

 男の足取りは重く、目も何処か虚ろで、時々肩を店のシャッターにぶつけながら、夜の街を歩いて行く。

 耳障りなシャッターの音と静かな波の音に、不快な音が混ざり始めた。何かを引きずるような、鈍い音。その音を聞いて、魔族の男は目を覚ます。

「……ッ?!」

 そして男は、息を飲んだ。

 何かを引きずるような、鈍い音。目を覚ました音の正体が、自分にあったからだ。

 左手が黒い、液体状の何か(、、)に飲み込まれ、それがどんどん身体に向かって侵食して行く。

 湧き上がる感情は、恐怖。恐怖が増して行くごとに、侵食は早まって行く。

 男の悲鳴が、ひとけのない道路に響いた────

 

 ■ ■ ■

 

 けたたましい目覚ましの音で、暁 古城(あかつき こじょう)は目を覚ました。

 まだはっきりしない意識をフル動員し、枕に顔を埋めながら手だけで目覚まし時計の位置を探る。

 やっとの事で目覚ましを止めると、押し寄せてくる睡魔。それに身を任せ、二度寝を貪ろうとした瞬間──

「先輩?」

 至近距離から聞こえてきた聞き慣れた声に、肩を跳ねさせる。

 枕から顔を上げ、声のした方向にゆるゆると視線を向ける。

 ベッドの横で、姫柊 雪菜(ひめらぎ ゆきな)がむー、と唇を引き結びながら見下ろしていた。

「………何してるんですか、姫柊さん?」

「朝から遅刻覚悟で(、、、、、)二度寝をしようとしていた先輩を、起こしただけですが?」

 当然の事だ、と言わんばかりに、ため息交じりに、姫柊が言った。

 それに、と前置きをして

「私は先輩の監視役ですから」

 と、また当然だ、と言わんばかりに。

 一般男子高校生から見ればこのシチュエーションは願っても無いことなのだが、古城にとっては悩み事の一つである。

 世界最強の吸血鬼、“第四真祖”なんて大層な異名がついていても、朝は弱いのだ。監視役である姫柊が来る前はあと三十分近く寝れたのにも関わらず、姫柊は決まった時間に起こしに来る。加えて、二度寝は許さない。授業中に寝たとわかれば説教──

「……勘弁してくれよ、本当に」

 心の底から呟いて、布団から這い出た。

 

 ■ ■ ■

 

「ねえねえ、古城君。今日の目玉焼きは古城君のリクエスト通りに半熟にして見たんだけどどうだった? もうちょっとかための方が良かったかな?」

 朝食を平らげ、学校の準備を終えて玄関で靴を履く古城に、背後から凪沙(なぎさ)が矢継ぎ早に質問を投げかける。

 よくできた妹なのだが、慣れない人は口を挟む暇のない、おしゃべりな性格がたまにキズ。

「あー……目玉焼きはいい感じだったよ。明日も、あの感じで頼む」

 靴を履き終えてから気だるげに立ち上がり、肩越しに凪沙に視線をやりながら古城が苦笑する。十数年と凪沙とは兄妹をしているが、寝起きにこの早口の対応をするのは、なかなかキツイ。

「先輩、ほら、遅れてしまいますよ? 今日は朝から補習があるんでしたよね……?」

「っと、そうだった。悪ィ凪沙、先行くからな! 鍵よろしく頼むわ!」

 焦った様子でフードをかぶると、玄関を飛び出して行く古城。それを追う形で姫柊も玄関を飛び出し、凪沙だけが取り残された。

「……相変わらず、仲がいいなあ……二人とも」

 誰に言うわけでもなく、小声でつぶやく凪沙。

 姫柊が転校して来てから、古城の生活は確かに改善された──だが、凪沙は何処か孤独感を感じていた。

 つい最近まで自分が居たところには姫柊が居て、自分の入る余地がない。

 そう思うと、胸の奥に音を立てて、黒いものが溜まって行く。

「あはは………何考えてるんだろう。らしくないなー」

 苦笑しつつ踵を返し、台所に向かう。笑ってはいるが心の中には、黒い感情が渦巻いていた。

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