茅森月歌の幼馴染になったけど、未来が絶望すぎる 作:トロカツオ
6月24日
それは幼馴染の茅森月歌の誕生日だ。
アイツの誕生日だからと言ってなんて事はない……とはいかない。
毎回俺はその日が近づくと憂鬱になる。
月歌の誕生日プレゼントを何にしようか迷ってしまう。
アイツが喜びそうな物は何となく分かるのだけど……少し理由がある。
去年は何となくギターのピックとハンドクリームを渡した。喜んでくれて、ハンドクリームをベタベタに塗って毎回俺の手に擦りつけてくる。ピックも俺がプレゼントしたのを毎回使ってくれる。それだけ喜んでくれるから安直な物を適当に選んですごく喜んで貰うと心が痛むんだよな。だから今回のも悩んでいる、その月歌の誕生日が来週に迫って来ているんだ。
「どうしたものか」
俺は1人で森の中の公園のベンチで黄昏ながら呟いた。
俺の部屋にいるとほぼ100%で月歌が来るからな。だから、わざわざこんなトラウマのある森の中の公園に来ている。……まぁ、あの時のクマはもう居ないけど。
アイツの喜びそうな物………肉。いやいやいや、花の女子中学生にそんな物を渡して良いのだろうか?……月歌なら喜びそうだけどダメだ。俺の予算的にもだ。
肉がダメなら刀削麺。……一から作る刀削麺か、どうやって作るのか分からねぇよ。何かを作るのは良い考えだな、刀削麺は無理だから違う物を作ろう……ケーキで良いかな。母さんに頼んで手伝ってもらおう。さてと、誕生日プレゼントも決まったから家に帰ろうかな………
「…………やっぱ何か物を贈った方がいいよな」
そう呟きながら頭を掻きながらベンチから立ち上がった。
たぶんケーキだけ渡して終わりになったら月歌は絶対にがっかりするだろうな。月歌は何かしらプレゼントを貰えるのだろうと期待してるだろうな絶対。
「はぁ〜取り敢えず商店街に行くか」
俺は公園の外へと歩み出した。
森を抜けてから俺の家の前を通って商店街に着いた。
ここら辺に住んでいる人の殆どがここの商店街で買い物をしているだろう。大型ショッピングセンターはここら辺にはない。電車に乗って行くか、車で30分以上かければあるんだけど。この間1人で行ったら月歌が『私も誘えよ〜』て駄々をこねられた。お前はお菓子を買ってくれなかった時の子供かってツッコミを入れたっけな。……取り敢えず良さげな商品が無ければ電車に乗って大型ショッピングセンターに行こう。勿論月歌には黙ってだけど。
商店街にある女の子が喜びそうな雑貨がおいてあるお店に入った。
こういう店は入るのに勇気がいるよな。前世ではこんな経験は無かったな、それに女の子にプレゼントなんてもっての他だなははっ。……なんか悲しくなってきたな。
「あれ、海斗じゃん」
「あっ、チャラじゅん」
すると店の中でクラスメイトの男子と出会った……女の子が喜びそうな雑貨屋さんでだ。まぁ、こいつなら仕方ないか。
こいつの名前は橋田潤、あだ名はチャラじゅんだ。見た目がチャラいのと、沢山の女子に告白しては玉砕している。勿論、月歌に告白している。
「こんな所に海斗が居るなんて珍しいな〜」
「まーな。月歌の誕生日が近いからプレゼントを買いにな」
「おぉ〜月歌ちゃんもう少しで誕生日なんだ。彼氏も大変だね〜爆発しろよ」
「急にマジな顔になるなよ。それと俺と月歌は付き合ってねーよ」
「またまた、あんなに月歌ちゃんにベッタリされてるのに付き合ってない訳ねーじゃんかよ」
「いやいやいや、マジで付き合ってないから」
俺はそう言うとチャラじゅんは大きなため息を吐いてから、呆れた顔をして俺の方を見てきた。
「お前なー、もう少し月歌ちゃんの事を考えてやれよ」
「考えてるよ。今だって月歌の喜びそうな誕生日プレゼント考えてこの店に来たんだよ」
「そう言う訳じゃねーんだよ。……はぁ〜いつか月歌ちゃんが離れて行って後悔するぞ」
そう言ってチャラじゅんは離れて行った。
後悔はしねーよ。いつかはこの日常は終わり、そして崩壊するんだから。それに月歌にはユッキーが居るんだから俺が入る余地なんてねーよ。
そんな事より誕生日プレゼントだ!
「あれ、これは」
俺はある品に目が止まった。それを手に取り少し考えてから月歌の誕生日プレゼントに決めた。値段的にも安かったのが後押しになった。
「なるほど、確かにこれは月歌ちゃん喜びそうだな」
「いつの間に背後に居たんだよ」
背後に何故かチャラじゅんが居てサムズアップしていた。
こうして無事に誕生日プレゼントを買えた。
月歌の誕生日
俺は朝から月歌の誕生日ケーキを作った。
母さんに頼んだのだが、当日に何故か月歌の母親が来てくれて手伝ってくれた。俺がケーキを作っている間は微笑ましく見てきていた。
そしてショートケーキは無事に完成した。……とあるゲームみたいに水だけでケーキは作ってはない。作ったケーキを月歌の家まで運んで行った。
そして月歌の誕生日パーティーは始まった。
『ハッピー バースデー トゥー ユー、ハッピー バースデー トゥー ユーらハッピー バースデー ディア 月歌。ハッピー バースデー トゥー ユー』
「ふーーーー!」
月歌は大きく息を吹きかけてロウソクを火を消した。
そしてケーキをカットして分けた。月歌はケーキを美味しい美味しいっとパクパクと食べ出した。そして俺が作ったと言うと月歌は物凄く驚いていた。
「凄いじゃんカイト、こんな美味しいケーキを作れるなんて」
「お前のお母さんに手伝って貰ったから美味しく作れたんだよ」
「流石母さんだね」
「それとこれ誕プレ」
俺は月歌に小さな紙袋を渡した。
月歌は紙袋を開けて中身を確認した。
「これはト音記号のヘアピンじゃん!」
俺が買ったのはト音記号の赤いヘアピンだ。
月歌はよくヘアピンを付けていた。だけどこんなト音記号のヘアピンは持ってなかった。だから丁度いいっと思って買った。
「せっかくだから付けて付けて!」
「自分で付けろよ」
「いいじゃんか。今日のあたしの誕生日なんだからいいだろ」
「………分かったよ。ほら、貸して」
俺は月歌からヘアピンを受け取った。月歌は目を閉じた。俺は月歌の顔に少し近づいて前髪を少し束ねてから持ち上げてからヘアピンを付けた。そして月歌から少し離れた。
「どうどうどう、似合ってる?」
「似合ってる似合ってる」
「反応が雑!!」
その後も月歌にだる絡みされた。まぁ、いつもの事なんだけど。
いつかはこの関係が終わるんだろう。
今日の日の思い出も死ぬまでは大切に覚えておこう。
いつか死ぬ日まで……
********
「おーい海斗起きろ」
「っん、あぁ。ここは?」
「車の中よ。もう少しで引越し先の神奈川に着くんだから起きなさい」
「そうか、引っ越ししてたんだよな」
「寝ぼけすぎよ。いい夢でも見てたの?」
「そうかもな、懐かしい夢を見てた」
「そうか。それでも神奈川県か……なんか懐かしい感じがするな」
「そうね、一度も行った事ないのにね」
「母さんもそう思うか。海斗はどう?」
「どうかな」
車に揺られながら俺は窓の外を眺めた。
さてと、あいつは見つけないとな。
約束したんだから………
これでビフォー編は終わりです!
ビフォー編はほぼノリと勢いで書きました。
書いた理由もビフォー編1話で書いた通りに蒼井の物語が書けなくて書いた感じですので。まぁ、いつも通りにイチャイチャさせた感じに書きました。
仕事で忙しくて書く暇もヘブバンをする暇もなくてつい最近になって五章後編と30Aのお話を終わりました。づかっちゃんとななみんを登場させたい!!ってなりました。まぁ、この物語では無理そうだけど。
次回…… future nova
お楽しみに