茅森月歌の幼馴染になったけど、未来が絶望すぎる   作:トロカツオ

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評価が赤くなりました。


えっ、バンド組むの!?

 

 俺と茅森月歌との日常は淡々と進んでいた。

 いつか来る筈だろう最悪な終わりがまるで起きないような……そんな残酷な未来なんか起こり得ないかのように平和が進んでいる。

 

 その平和を満喫して呆けていた俺はキャンサーの事は夢か幻か悪夢かのように思ってしまったのだ。だが、コイツが……ナービィがここに居るって事はそんな平和な未来が続かないと気付かされてしまう。

 

 

 近い未来にキャンサーが地球にやって来て人類はピンチに陥る。

 そして俺と月歌のあり得ない日常は終わりを告げるだろう。

 

 

 

 俺はボーッと教室の窓の外を眺めながら感傷的に浸っていると、茅森月歌が俺の所にやって来た。目はキラキラと光っていて何か良い事を思いついたって顔に書いてある。

 

 あぁ、これはなにか嫌な予感がする。さっきまでの俺のシリアスパートはバイバイして突然ギャグパートが始まりそうだ。ギャグ漫画でももう少しシリアスパートは引っ張りそうだぞ。

 

 

「なぁカイト、ライブやろうぜ!」

「はぁ!?」

 

 シリアスパートは終わりました〜。

 いや、待って。コイツ今なんて言った?ライブって……ライブって言ったよな。えっなんのライブをするのだろう、漫才でもするのかな?相方はユッキーが良いな、夫婦漫才って事で。俺は客席で見てたいずっと。

 

 俺は現実逃避しているのも知らず、月歌は畳み掛けるように話し続けた。

 

「だからライブだよライブ。あたしとカイトでバンドを組んで音楽ライブを学芸会でするんだよ!」

「はぁ、なんでライブ?バンドを組むの俺たちで?ってかなんで学芸会でライブするんだよ!」

 

 頭がまだ追いついてない俺は月歌にどうして質問を続けた。

 月歌の突拍子の思いつきはゲームの時からそうだったし、この世界に来てからもその突拍子な思いつきに俺は毎回振り回されている。

 だが、今回のこれに関しては予想の斜め上を行きすぎていて頭が追いつかなかった。

 

「あたし達って結構ギター弾けるようになったじゃん、なら次は何をしようかと考えたらバンドを組んでライブをしようって思いついたの」

「なるほど、それで学芸会で俺と月歌でバンドを組んでライブをすると?」

「そう言う事。さっき先生の所に行って次の学芸会でライブやりたいってお願いしたらOKもらった」

「いやいや、俺は今この話を聞かされたのに何故かやる事になってんだ?俺はまだやるともやらないとも言ってないと思うんだが?拒否権はないのか拒否権は」

「どうせカイトならなんだかんだ言ってやってくれると思ったから先に話を進めておいた」

「………はぁ〜。このくるくるぱーーかーーー!!」

 

 俺の叫び声が教室に響いた。

 俺はたぶん死ぬまで茅森月歌に振り回されるのだろう。

 キャンサー?何それ蟹?美味しそうだね〜

 

 

****

 

 学校が終わって俺と月歌は学芸会でのライブの作戦会議の為、月歌の家にやって来ていた。

 

「あらいいじゃない、次の学芸会は絶対に私も見に行くわ」

 

 月歌の母親にさっきまでの流れを一通り話をすると、月歌の母親はノリ気になって何処からかビデオカメラを取り出して学芸会に行く気満々だった。ポムポムは何処か頭にハチマキを着けていて、ハチマキには月歌推しって書いてある。オマエもノリノリだよな。

 

「それじゃあライブのセットリストを決めようか」

「あーそうだな。もういいよ。それで学芸会でのライブは何分間なんだ?」

「10分くらいかな?」

「曖昧だな、明日に先生に詳しく聞くとして取り敢えず10分くらいと仮定してだいたい三曲くらいか。何か弾きたい曲とか歌いたい曲とかあるか?」

「うーん、これとか……これとか」

 

 そう言って月歌はサラサラっと曲名とかをノートに書き出した。

 月歌の書き出した曲は俺達が何度も引いた事のある曲だし歌った事もあるから大丈夫そうだな。

 

「カイトは何かないの?」

「俺は別に良いよ。いつもどおりにお前に付き合うから」

「そう……ならあたしが最高のセトリ作ってやるぜ!」

 

 そう言って月歌はノリノリでまた書き出した。

 いや、流石に10分でそれは多すぎるって……えっ、多少の延長は許されるって、知らねーよそんなの。おばさんも何か言ってくださいよ。

 

「そう言えばバンド名は決めたの?」

「「あっ!?」」

 

 そう言えばバンド名決めてなかった!!

 ……いや、バンド名って必要か?小学生の学芸会でバンド名とか必要じゃないだろう。

 

「うん、バンド名は必要だね。カイトどんなのがいい?」

「本当にバンド名必要か?」

「うん、必要。学芸会が終わって以降にもまたカイトとバンドを組む時に必要になる」

「いや必要にならないよ。それにオマエなら俺以外の奴とバンド組めるよ」

「えっ〜カイト以外ありえない」

「ありえるよ。ハッカーとかサイキッカーとか」

「ロッカーじゃないじゃん!」

「諜報員とか艦長とか二重人格者の殺戮者とか」

「どんな方向性を目指してるの、最後がめっちゃ怖い!!」

 

 いや、普通のロックバンドだよ。未来にオマエが組むだろうセラフ部隊31AのShe is Legendだよ。良いメンバーで良いバンドだよ。

 

「それでバンド名はどうしよう?」

「ならバンド名はリトルバスターズだ」

「リトルバスターズか……なんだかあたし達らしくないな」

「なら違うのにするか」

 

 それから俺と月歌とでバンド名を考えたが良い案が中々浮かばなくて苦戦していた。まさかこんな所で苦戦するとはな、She is Legendは駄目だな、俺女じゃないし。オマエが未来で組まないとならないし。

 

「うーん、カイトの海と月歌の月で海と月でなんて読むの?」

「海と月でクラゲだな」

「クラゲ、クラゲか……なんかシンガーソングライターに居そうだ。でももっとロックじゃないと!」

「英語だと……jelly fish、ゼリーフィッシュだな」

「へー、カイト詳しいね。流石学校1の秀才」

 

 そりゃ、人生2度目だからな。死ぬ前までは進学校でバイトをしながら学年の上位10位くらいをキープしてたからな。そうしないと俺の部屋の物(グッズ)やギターを母親が処分されるからな。たかが順位が20位になっただけで鬼のような形相になって怒鳴りつけてきて俺の部屋の物の大半を壊したり捨てたりするヒステリックな母親だったな。父親はまだマシだったな、俺に無関心で何もして来なかったから。……今思えば転生してまともな家族の所に来れたな。

 

「月歌はもっと勉強しろ〜、今のままだと中学の勉強について行けなくなるぞ〜」

「大丈夫、カイトが優しく教えてくれるから」

「俺任せかよ。それでバンド名はどうするんだ?」

「ならpulmoはどうかしら?」

 

 話を脱線してた俺たちの間に月歌の母親が話に割って入って来てくれた。

 月歌に話を脱線させられるとなんの話をしてたか分からなくなるから助かる。

 

「プルモー?どう言う意味?」

「フランス語でクラゲって意味だよ」

「pulmo……いいね、あたし達のバンド名はPULMOだ!!」

 

 俺達のバンド名は決まった。クラゲだけど……まぁいいけど。

 俺達は学芸会までいつも通りの練習を続けた……時々凧上げしたりパンケーキを食べたりしたけど。

 

 

 

 そして学芸会当日。

 学芸会に出ると知った俺と月歌の父親もノリノリになって学校に自前のスピーカーとかの機材を持って来てくれた。序でに俺と月歌のギターも。

 

「ついに本番だな」

「そうだな」

 

 俺と月歌は幕の降りている舞台の上で二人で幕を上るのを待っていた。

 月歌は緊張しているのか顔が固まっている。あの茅森月歌でも最初のライブは緊張するんだな。俺は前世の文化祭ライブで他のメンバー達が大失敗して黒歴史があるのであんな空気に比べたらなんのその、それに今回のメインは茅森月歌だから俺はオマケだと思っているから緊張はしてない。

 

「珍しく緊張してるな月歌」

「そりゃするよ、初めてのライブなんだからさ」

「らしくないな、月歌がどれだけポカしても俺がサポートしてやるから」

「……へへっ、頼りにしてるよ相棒」

「頼りにされてるよ。さてと、お前の伝説はこれからはじまるんだ。こんな最初の一歩目なんかいつも通りに踏み込んで駆け抜けろよ」

「そうだね、いつも通りにいくよ。………“あたし達の伝説はこれからはじまる!!”」

 

 そう言って俺と月歌は拳を合わせた。

 すると放送部の人の声がスピーカーから聞こえて俺と月歌のライブが始まりますと知らせた。俺たちの前の弾幕が上に上がっていき全校生徒と先生方と保護者(俺達の親達)の顔が見えた。

 さてと、茅森月歌の伝説を隣で体感するんだ。半端な演奏をやるつもりはねぇ……やるからには最初から本気でやらないとな!!

 隣で茅森月歌と隣でライブを演奏するのひよってるやついる………いないよなぁ!!

 

 茅森月歌と佐久間海斗のバンド“PULMO”の最初で最後のライブが始まった。

 

 

********

 

 

「ふぅ〜」

 

 幕が降りてから俺は集中を切って息を吐いた。

 ライブは無事に終わった。結果は大成功で、全校生徒と先生方と保護者は大盛り上がりだった。

 

「はぁ〜………さいこ〜」

 

 月歌はライブの余韻に浸りながら良い笑顔で呟いた。

 流石は茅森月歌だな。月歌のカリスマ性は恐れ入るよ。

 最初のライブでこんなにも大盛り上がりするなんて、前世の黒歴史が塗り物されて良い思い出になったきがする。最高のライブだったよ。

 

 俺はステージ脇に置いておいた水を取りに行った。

 それにしてもライブが終わったのにステージの外がうるさいな。正直、もう全力でやりきった感があるからもうやりたくないんだけど……

 

「お疲れさん月歌」

「おっ、ありがとう」

 

 俺は月歌に水を渡すと、余韻に浸っていた月歌は俺の方を向いてから水を受け取って水を一気に飲み干した。流石に3曲歌い切ったから喉はカラカラだったのだろう。

 

「ありがとうカイト、カイトが居たおかげで最高のライブだったよ」

「俺は自分が出来る事を全力でやっただけだよ」

「それでもだよ。ありがとう」

 

 お互いに全力でやり切った。本当に最高のライブだった。だからこれでこのライブはもう終わってもいい。そう思っていた、だけど……

 

「やり切った感を出すのはいいんだけど、周りの奴等はまだ足りないみたいだぞ」

 

 幕の外から『アンコール、アンコール!!』と声がずっと聞こえて来ている。茅森月歌のカリスマ性に魅入られてまだ月歌の歌を聴きたい、まだこのライブを終わらせたくないようだ。俺も客としての立場なら同じ事をしてたな、茅森月歌ファンとして。

 

 月歌は少し戸惑った顔をしているな、初ライブでアンコールを受けるなんて思いもしなかったのだろうな。

 

「どうした月歌、お前の歌を聞きたいファンが居るのにもう終わりにするのか?」

「だよな、みんながあたしを……いや、あたし達を待ってるんだよな。ならまだライブを続けないとな!」

 

 そう言って月歌はいつも通りの表情に戻り、またギターを持った。俺もそれに続いてギターを持ち、ステージ横で先生の方を見た。先生は嬉しそうに首を縦に振り放送室の方に走って行った。先生もまだライブを続けて欲しかったようだな……それかこの状態の生徒達をどう収拾つけようか困ってたのかも知れないな、今はそんな事どうでもいい。

 

「最高のライブを続けよう!」

「了解!」

 

 そしてまた幕が上がった。

 さてと、最高のフィナーレを飾ろうか!!

 

 

 




前回シリアス風に終わったから今回は最終回だと思ったか。
残念、もうちょっとだけ続きます。

次回は少しだけ時が時が進みます。
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