超常社会の傀儡人形師 作:Dの行方
世界の八割が"個性"といった超能力を持つ社会では、"ヒーロー"という職業が盛んとなっていた。ヒーローは活躍すると持て囃され、失敗などをするとネットで叩かれる存在である。人間誰でも失敗をしたくない生き物であるため、悪知恵が働くヒーローはこのようなことを考える。『そうだ、ヴィランに金を渡してわざと捕まえさせてもらおう』と。そして、そんな悪知恵を働いたヒーローがある路地裏で
「はぁはぁはぁ…ここまでくれば…」
「"ジェニーの
突然、ヒーローの前に女の子の人形が現れた
『ネ、ネェ…ワタ…シトアソ…バナ…イ…?』
「ヒ、ヒィ!!」
ヒーローは後ろを向き、また走り出した
「な、何なんだよ!!俺が何をしたっていうんだよ!!」
すると頭の後ろから声が聞こえた
「覚えてないのか?」
「ギャアアアーーー!!お、俺は何もしてない!!俺の個性は火だ!!喰らえ!!…………あれ?個性の出し方ってどうだったっけ?」
ヒーローは個性の出し方を忘れていた。否、
「"ジェニーの
「ヒィ!!またかよ!!消えろ!!しゃべる人形!!」
ヒーローが女の子の人形に拳を振るうがすり抜けてしまう
「な、なんでだよ!!そういえばさっきの男は!?」
ヒーローの後ろから呟いていた男は姿を消していた。するとまた後ろから
「お前の個性は何だ?」
「ッ!!」
ヒーローが振り向くが後ろには何もいない
「俺の個性だと!?俺の個性は…………………?俺の個性は何だ?俺が忘れた?自分の個性を?そんなことは!!なんで!!なんで出てこない!!おい!!お前!!俺に何をした!!」
ヒーローは虚空に向かって叫ぶが、返事は返ってこない
「"特攻人形ジェニー"」
返事のかわりに現れたのは大きいカッターを持った女の子のであった。するとヒーローは態度をコロッと変え
「やぁ、なんでこんなところにいるんだい?俺がお家まで送ってあげよう」
ヒーローが触れると女の子はパッと姿を消した
「どこ行った?」
ヒーローが見渡すがどこにもいない。するとまたまた頭の後ろから
「お前の名前はなんだ?お前の職業はなんだ?お前は何のために生まれてきた?」
「ッ!!」
ヒーローが振り向くがまたしても何もいない。それどころかどんどん視界が狭まってきている。
「俺の名前だと!?俺の名前は!!……………なんだ?俺は誰だ?俺は今何をしている?俺は何のために生まれてきたんだ?俺は…俺は……なんなんだ?」
「お前は何者でもない。よって、私があなたをいかせてあげましょう。」
「いく?いくってどこに?」
「それはもちろん
何もかもを忘れた
「なんで、そんなところに行かないといけないんだよ!!」
そう言って男は逃げた。
「何もかもを忘れたあなたはこの路地裏からは逃げられない。逃げることができない。我が愛する"龍后人形メアリー・ジェニー"よ。捕まえてきなさい。」
『Yes, my boss』
大きな金のカッターを持った少女が現れ、
「俺は、俺は逃げるんだ!!そしてこのことを路地裏の外の奴らに知らせるんだ!!」
「なんだ!!お前!!…メイド?」
立ちふさがったのは眼鏡をかけたメイドだった。
『ワタシトイッショニキテ、ホラワタシノテヲトッテ』
手を差し出したメイドの手を掴もうとしたその瞬間、そのメイドと
「があッ!?俺の腕がああぁぁーー!!」
『よくやってくれました。"冥土人形アカイブ・ヤップップ"』
金のカッターを持った少女と男が立っていた
「い、嫌だ!!嫌だ!!死にたくない!!」
「お前は死ぬべき人間だ。メアリー、やりなさい」
『はい、喜んで』
メアリーと呼ばれた少女は
『my boss、終わりました』
「ありがとう。メアリー、じゃあ戻っていいよ」
『はい』
そう言うとメアリーと呼ばれた少女は男が持つカードに吸い込まれていった。
「さて、じゃあいつも通りにさっき作った人形とこのメモを置いて、退散するか。じゃあね『名を忘れ去られし者』よ」
そう言うと男は去っていった
数時間後、死体は発見された。人形とメモがあることにより今までに起こった殺人事件と犯人が同一人物であることが判明した。殺人が起こり、人形が置かれていることから、警察とヒーロー公安委員会はこの事件の犯人をこう呼ぶことにした。
"傀儡人形師"
そしてメモにはこう書かれている
『誰か…教えてくれ…俺は一体何者なんだ…?』