メスガキやめれないんだが   作:かみゃきち

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 すいません……。忙しかったのと体調崩してて感想あんまり見れてないです。
 いっぱい感想来ててびっくりしちゃいました。色んな感想ありがとうございます。

 落ち着いたらちゃんと見ますので、よろしくお願いします……。


 あと、誤字脱字報告も大変助かってます。執筆速度は遅いですが、今後ともよろしくお願いします。


メスガキと魔術実技と嫌な予感

 

 

 

 

 俺は今、学園の敷地内にある魔術実践場に移動していた。道中に事情を教えてもらったところ、こうだ。

 

 

 なんでも講義の中に実技が含まれており、4人で組んで実技講義を受けるらしい。

 

 そして、この実技の成績が悪ければ単位を取得できない可能性もあるとのことだ。そして4人組を組むのにあぶれたのが俺たちだと。

 

 

 なるほど。自分は思ったよりも、朝の会長との話で動揺してたらしいな。完全に周囲の音をシャットアウトして思索にふけるとか、冷静さを失いすぎだ。かなり恥ずかしいかも。

 

 

 しかしまぁ落第とは大げさな。たしかにこの学園は、不適格者は容赦なく留年させてくるような学園だが、それでもテストでもない一度の講義の実技で落とされるなんて大げさだろう。

 

 

 って、思ってた時期もありました(1分くらい)。今、聞いてなかった人のために講師がもう一度行ってくれた説明を聞いていたのだが、これ一回組んだグループでメンバーが固定+協力型の実技らしい。

 

 

 あ〜、たしかにそれは不安かもしれん。説明が終わってもピクリともしないやつとずっと組まされると怖いわなそりゃ。もう一人の男子生徒もすごい端っこの方の席で動いてなかったし。逆に言うと、そんなやつらと同じレベルにまであぶれてたこの2人の女子はなんなんだろ?

 

 

 改めて組むことになったメンバーを見る。まずは声をかけてきた女子2人組。初めはびっくりしてそれどころじゃなかったが、よく見るとめちゃくちゃ見てくれがそっくりだ。姉妹なのかな?一人が勝ち気そうで、もう一人が臆病そうな印象を受ける。

 

 もう一人は端っこの方の席に残っていた男子生徒だ。

 うぉデッカ!ガタイ良ッ。特に俺は身長が小さいから、近づくと見上げる形になりそうだ。しかし前髪が目が隠れるほど長い。目に髪が入って痛くなったりしないのだろうか。

 

 

 そんなこんなしてたら、講師が実技の具体的な説明を始めていた。今度こそ集中して聞こう。

 

 

 

「今回皆さんには、ある程度離れた距離の的を魔術で狙ってもらいます。的に魔術的な影響を与えられさえすれば良いです」

 

「使用する魔術はなんでも構いませんが、的以外を破壊してはいけません。おそらく学園に入って初めての魔術の実技だと思います。みなさん、お互いの安全を第一に、実践的な魔術の扱いを学んでいきましょう」

 

「ヒントです。これまでの講義で習った魔術理論をよく思い出してください。同じ組の仲間と話し合って、コツを教え合いながら頑張りましょう!」

 

 

 

 ワイワイガヤガヤと他の組の学生たちが色々相談している。俺の組は無言です。空気が重いよ。

 

 

 しかし初めてなだけあって、すごくチュートリアルっぽい講義内容だ。たぶん講義の形式に慣れてもらうためのお試しみたいな感覚なんだろうな。組で助け合ってほしいって感じか。

 

 だがさっそくちょっとまずいかもしれない。見た感じ、魔術の発動地点から的まで15mほどは離れている。今まで受けてきた講義の内容からして、この実技で使用してほしい魔術は【礫弾】や【力場矢】などの、遠くの対象に物理的な影響を与えられる魔術だろう。

 

 

 もう魔術を試している生徒たちもちらほらいる。

 

 

 

焦点乃土(焦点は土)変性礫(すみやかに礫となり)飛翔(飛翔せよ)

 

 男子生徒の足元の土がひとりでに浮き上がり、圧縮されて野球ボールくらいの大きさに成形される。固められた土は人がぶん投げたくらいの速度で的に向かって飛んでいった。その軌道は少しフラフラとしており、物理的でない干渉が働いていることがわかる。

 

 

 ただ的に当てるだけとはいえ、15mは皆が思ってるよりも遠いらしく、外してしまっている生徒も多い。もちろん何回でもやり直していいため、何度もやってコツをつかめている子も多い。

 また、詠唱をしている子もいる。ただのカッコつけではなく、まだ魔術のイメージをつかみにくい初心者にとってはけっこう真面目に有用な技術だ。

 

 

 

 

 そんなこんなを見ながら、俺は実技をどう突破するかを考えていた。

 普通にやれば15mは自分の()()()()だ。ぶっちゃけさっき例にあげたような魔術を俺が使っても……、いや、できないこともないが難しい。どうにか普通じゃない方法で誤魔化すしかない。

 

 

 誰も動こうとしない組の仲間を省みず、自信満々な感じで発動地点に設定されている場所まで歩いて移動する。ちょっと遠巻きにみんな付いてきた。なんだか雛みたいだな。

 

 

 姉妹の姉か妹がわからんが、勝ち気な姉っぽいイメージの方がめっちゃガン見してくる。ちょっと怖いんだけど。穴が空きそうなくらいじっっと見てる。

 

 ……、なんか俺、今うっすら魔術的な干渉を受けてる?戦場で魔術の使用を探知されたときと同じような感覚を感じる。もしかして俺が教えてくれなさそうだから、自信満々そうに見える俺からちょっとでもヒントを得ようとしてるのかもしれない。とすると、彼女は魔術があまり得意でないのかもしれないな。

 

 

 

 だとしたらかなり申し訳ない。きっと、あまり参考にはならないだろうから。

 

 

 

 魔術を発動する。一陣の風が吹き抜け、遠くの的が縦に裂けた。一瞬遅れて的が小さく爆発し、裂けた傷が開かれるように真っ二つにわかれた。

 

 ……、ふぅ。あとはこれを普通の【風刃】とかの似たような魔術だ〜、と言って誤魔化せばいいだけだ。俺のキャラ的に、イキって講義ではまだ教えられてない魔術を使っていたとしても違和感はそうそう持たれないだろう。

 

 

 あとこれやってる間もずっとガン見されてた。

 

 

「次は誰がやるの?さっさと全員合格しようよ〜。ワタシを待ちくたびれさせないでよね〜」

 

 

 姉妹(?)はなにやら顔を見合わせた後、おどおどしてる妹っぽい方が前に出てきた。どうやらガン見してた暫定姉ではなく、暫定妹のほうが先にするらしい。

 

 

 発動地点に立ち、見るからに緊張した様子で深呼吸をしてから、なんらかの魔術を発動させようとして——、

 

 

 突然、頭を抱えて地面に倒れ込んだ。

 

 

「う゛ぐっっ、ぁっ、頭がっ。あっ」

 

「どうしたの!?しっかりして!」

 

 

 

 生徒が突然苦しみだしたことに周囲は困惑している。先ほどの説明をしていた講師が騒ぎを聞きつけてやってきた。

 

 

 そんなただならぬ彼女の様子を確認しようと歩き出した俺の鋭敏な魔術感知に、自分にとって慣れ親しんだ何かがひっかかった。

 

 倒れ込んだ彼女の前方には見えない薄い刃が、砕けたガラスのように散らばっている。破片はゆっくりと空気に溶け、ほどけるように消えた。

 

 

 

 

 ———馬鹿な。()()()()()()()()()()()()()()()。これは()()()()だぞ。この世界の普通の人間が運用できるわけがない。

 

 

 

 

「どうしたの!?なんとかいってよ!!ねぇ!?」

 

 

 ワタシは足を止め、少女たちを見つめる。倒れた片割れに不安そうに声をかけ続ける姉(?)は、どう見ても必死だ。

 

 

 急激に高まっていく嫌な予感をよそに、医務室に運ばれていく少女にワタシたちはついていった。

 

 

〜〜〜

 

 

「……うん、だいじょうぶ……。だいぶ落ち着いてきましたぁ」

 

 

 医務室に運ばれた少女は意外にもすぐに回復した。学園に常駐している専属の医師曰く、「負荷の大きい魔術を無理して使用したときの症状に似ている」とのことだ。

 

 

 医者が「安静にしておいてください」と退出したあと、誰も何も話さない時間が発生した。

 これはまずい、なんでもいいから喋らないと。とか考えていたら、先に話されてしまった。コミュ障めぇ。

 

 

 

「まずは、ごめんなさい。あんたたちには迷惑かけたわ……。こっちから誘っといて面倒ごとにまきこんでしまった」

 

「ご、ごめんなさいぃ」

 

 

 めっちゃ申し訳なさそうにさせてしまった。まぁたしかに何事かと思ったけど、そっちもしんどそうだったしそこまで深刻に考えないでも……。

 

 

「ふん、そんな生産性(せーさんせー)のないことよりも先に考えることあるでしょ。原因、ってか、心当たりはないわけ?」

 

「……」

「……」

 

 

 また黙っちゃった。絶対心当たりあるだろ。

 

 

「ワタシの番にめちゃくちゃコッチ見てたけど、あれなんだったの?初めは自信がなくて、この大天才のワタシを参考にしようとしてる健気なザコかと思ってたんだけどぉ、やっぱりなんかあるよね?」

 

 

「ぅっ……」

 

 

 妹(?)が焦りから声にならない言葉をぶつぶつと呟いている。ついに何かを口走りそうになったところを姉(?)が手を口にやって止め、代わりに話し始めた。

 

 

「お、お姉ちゃ」

 

「あんたは一旦黙って休んでなさい。私が話すわ。」

 

 

 あ、やっぱり姉妹だったのか。じゃあ姉(真)と妹(真)だな。

 

 

「私たち姉妹は、擬魔(ミミック)の【先祖返り】よ……、って言って、伝わるかしら?」

 

 

 

 

「ほぅ……、なるほどな」

 

 

 

 

 

 …………。……?

 

 ………!?

 

 ッッうわびっくりした!!

 お前か!急に喋るなよ!

 完全にノーマークだったからびっくりしたわ。

 

 

 俺達の組のもう一人、背の高い男がはじめて口を開いた。

 ……、のだが、遠い。俺たち3人から5mくらい離れた距離から会話に参加してきたぞこいつ。あと声が震えてるし。

 

 

 

 

「ただの女性恐怖症だ。気にしないでくれ」

 

 

 

 あ、そっすか……。じゃあ俺あんまりこいつに話しかけないほうがいいかもな。絶対メスガキをあてがっちゃいけないタイプのキャラだろ。本気で致命傷になりかねんぞ。

 

 いやでも面白そうだから後でさりげなく近づいてみよう。

 

 

「な、なんだか調子狂わされたけど、説明に戻るわね。私たちは【先祖返り】で普通の魔術が上手く扱えなくて……。だから擬魔(ミミック)としての能力を使ってズルしようとしてたの」

 

 

「【先祖返り】は固有の特化した魔術を扱える代わりに、その魔術のための機能が、魂魄の領域を大きく占有してしまうと聞いたことがある。なるほどな」

 

 

 たしかに、擬魔(ミミック)についてはよく知らないが、【先祖返り】についてはある程度知っている。軍で仕事をしていると、そういう存在はときおり目にするものだ。敵か味方かはさておき。

 

 

 

擬魔(ミミック)は、他人の魔術を再現することができるの。もちろん、事前に観察とか、色々準備が必要になるし、そんなに万能じゃないんだけどね」

 

 

 なるほど、色々とわかってきた。自分で上手く普通の魔術を使えないから、ごまかすために、原理はわからないが俺の魔術をパクろうとして失敗したと。

 でも、腑に落ちないところもいくつかある。

 

 

「なんとなく事情は把握した。しかし、ズルをしようとする前に、学園にでも相談すべきではないのか?本当に【先祖返り】だというのなら、学園も無下には扱わないはずだろう。なぜ今回の講義の前に言わなかった?」

 

 

「それは……」

 

 

 黙り込んでしまった。う〜んやっぱり厄ネタ、いや、事情があるっぽいな。個人的にも、少し引っかかる点はあるが、それよりも。

 

 

「そもそも、【先祖返り】といえど、通常の魔術が全く使えないものは少ないはずだ。ましてや、お前たちには【先祖返り】らしい特徴が見当たらない」

 

 

「つまり、そこまで深い【先祖返り】ではないとみた。きちんと研鑽していれば、今回の実技をこなせるくらいの魔術は使用できてもおかしくないはずだが?」

 

 

 そう、そうなんだよな〜。俺のイメージだと【先祖返り】ってわりとわかりやすいというか、見た目にけっこう人外の部分が出てる感じなんだよな。

 

 ちなみに、俺はさっきからそ〜っと、震え声身長デカ男にちょっとずつ近づいています。

 

 

「うぅーー。わ、わかったわよ。認める!私たちは普通に魔術があんまり使えないのよ!仕方ないでしょ!?平民だったんだから!!今まで魔術なんてちゃんと学んだことなんてないのよ!!」

「ごめんなさいぃぃ〜」

 

 

 レスバ負けてて草、じゃないわ。平民だったのか。

 つまり、この学園に入るまで専門的な魔術の教育を受けていない可能性は高い。

 それに加えて【先祖返り】によって魔術への適性が低ければ、余計まともに魔術を使えないだろう。

 

 つまり、なんらかの要因で学園に事情が話せない、もしくは平民という出自ゆえに相談を躊躇してしまった上で、出自的に魔術が使えないから持ち前の特殊能力で誤魔化そうとしてたってことか。

 

 

「な、なによ。無言でこっちみて……、無理やり学園に突き出そうってわけ!?あんたたちも迷惑だろうけど、こ、こっちにも言えない事情ってもんがあるのよ!最後まで抵抗するわよ!!」

「!!」

 

 

 2人して涙目でファイティングポーズとってる。ちょっとかわいいかも。

 いや、まずは落ち着かせないと。

 

 

「凡人ってすぐ早とちりするよねぇ。まだ何も言ってないでしょ〜?あなたたち雑魚2人が消えたら、組がどうなるかもわかんないし。こっから変なことになってもめんどくさい」

 

「だから、特別に助けてあげる。感謝するんだよ〜?ワタシの時間を取るなんて贅沢、普通許されないんだから♡」

 

 

 

 よしよし、なんとか適当なこと言えたぞ。ちなみに男までの距離は現在3mくらい。2mは近づいたかな。

 

 

「こっちの男も協力してくれるでしょ。わざわざこんな長いこと事情聞いたげたんだし……、ねぇ〜??」

 

 

「まぁ、しかたないだろう。魔術のことはある程度詳しいと自負している。他者に教えることでより深まる理解もあるしな。それに、貴族は平民を導くものだ」

 

 

 

 あ〜こいつけっこう格の高い門閥貴族だったりするんだろうか。

 ……。それにしても声の震え酷くなってない??もしかして俺が近づいてるから??

 ふざけ過ぎたかな……。

 

 

 

 

 

 

「さぁ、魔術講義の時間だ」

 

 

 

 

 

 

 なんかマジでごめん……。

 





 主人公は男相手のほうがふざけてることが多いです。
 前世男だったし、そもそもメスガキって男に対してのほうがおちょくりやすいからですね。
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