「はぁ、あのバカ息子無茶をする。アマテラスさっきの話は本当か?」
「わん(うん)」
吉井家の一室、そこで明久の母親がパソコンの画面に向かいながら足元に寝そべっている白い毛並みに赤い隈取を付けた狼に声をかけた。口調が人前とはずいぶんと違う。
「いくらなんでも他人に魂を分けるって………精神や魂を深く考えていたゲルテナが作った空間だからこそできたようなもんだなぁ」
「わん(でも悪いことはしてないよ)」
「わぁーってるよ。でも、馬鹿は馬鹿だ」
「わんわん!(ばかばかいっちゃだめ!)」
アマテラスが明久の母親に猛抗議した。その反応に彼女は笑う。
「悪かったって。それにしてもアマテラスごめんな。あの子のお守なんか頼んで」
「わーぅ、わん!(そんなことないよ。明久のこと大好きだもん)」
「愛されてんなぁ。さて、手続きも済んだことだしギャリーに頼んで終わりか」
「わう(そうだね)」
彼女の手元のパソコンには手続き完了の文字が書かれていた。
「アマテラス、あたしとあの子。どっちを選ぶ?」
「わん!(明久!)」
「フラれたねぇ。あの子のこと頼んだよ」
「わんっ!(わかってるよ!)」
電話を手に取り何処かへと連絡を入れだした。
「あ、ギャリー? ちょっと用事があるんだけどいいかしら」
「わぅ?(口調変える必要があるのかな?)」
どうやら猫を被っているらしい。
☆
近所のカフェ、電話をした後にギャリーに呼び出されたのだ。
「で、息子を預かれとはどういう了見かしら?」
「いや、悪いとは思っているのよ」
「そこじゃないわよ。あんたが人を頼るなんてよっぽどなのは、わかっているわ。でもね、自分の子どもでしょう?」
「家庭の恥をさらすようで申し訳ないんだけどね」
明久の母親が説明しだす。ギャリーは納得したように頷いた。
「なるほどね。あの子の薔薇が何枚も取れた理由がわかったわ。元からって発言も気になっていたのよね」
「はぁ、あたしが親としてしっかりしていれば」
明久の母親がいきなり凹みだした。
「悔やんだってしょうがないでしょう? あんたは仕事が忙しくてほとんど相手してなかったみたいじゃない」
「でも、自分の時間を優先したばっかりに」
「あんたらしくない。とりあえず預かるのは構わないわ。ただし、生活費くらいは出してよ?」
「それは当然よ………あの子のことよろしくね」
「いいわよ。美術館の一件でなんか保護者って感じがしてたし」
こうして明久はギャリーが持っている(実は経営は明久の母親がやっている)アパートへと移り住むことになった。
美術館編はこれにて終幕。
中学編、どうしましょうかね。需要がないことは完璧見越し済みです。
この小説は若干のアンチ玲さんを含んでいました。今更ながらすみません。
というか玲さんのあれってしつけというより家庭内暴力に近いのかなぁって思うのですが、その辺ってどうなのでしょうか? バカテスはギャグですし許容範囲なのだろうけれども大真面目に考えた結果がこれでした。本編では人格改造後の玲さんが出る予定っていうか、玲さんのキャラ把握間違ってますかね?
明久の母親は完全創作です。「男前」「豪傑」「家庭内最高権力者」のイメージがありました。そこから出来上がったのが彼女です。本編にも登場予定。父は出ない。