僕と絵画と美術館。   作:亜莉守

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いや、別にね。そこまでの重大なことじゃないんだけどさー。

「ギャリーの分からず屋!」
「分からず屋はどっちよ! メアリーのバカっ!!」

どうしろと?


―――中学編 第二話。
   時間軸:中学一年生の頃。割と初期




一大事。

 

拝啓、イヴさん。ギャリーとメアリーが喧嘩をしました。

 

いきなりモノローグからこんな状況どうしよう。幸い物とか飛んでないけど、それでも絶賛喧嘩中なんですけど?! もう、どうしたらいいのさ。

 

                   ☆

 

「で、私の家に来たんだ」

「はい。どうしろっていうの? 僕この手のことに関しては無力だよ?」

「うん、状況はよくわかったよ。今日は泊まってくれていいから」

 

で、イヴの家に逃げ込んだ。イヴの家はそこそこ遠いけれども行けない距離じゃない。割と近くに住んでいたなんて驚きだよ。

 

「ごめんね。ギャリーもメアリーも何で喧嘩したんだろ」

「どんな理由だったの?」

「えっと……今晩のチャンネル主導権」

「えっと、そんなことで?」

「うん。メアリー的には美術館の紹介番組が見たくて、ギャリーは連続ドラマが見たかったんだよ」

 

二人とも結構頑固だからなぁ。しかもギャリーが見てた連続ドラマは今日で最終回のはず。

 

「テレビって基本一家に二台あるものじゃないのかな。私の分はないけど家族共有のとお父さんのとあるよ?」

「ごめんね。僕ら基本的にお金ないから」

 

それはちょっと贅沢じゃないかな?

それからテレビを置くスペースがないのも一因かな。母屋(ギャリーの家)は二階建てだし広いけど僕の部屋やメアリーの部屋は1DKってところだし。メアリーの部屋は知らないけど僕の部屋は私物で大体スペースないし。

 

「そっか……(テレビ買ったらギャリー喜ぶかな(ぼそっ」

「? イヴ、何か言った?」

「何も言ってないよ!」

 

? 何か言った気がしたんだけど……まあ、いいや。

そんなわけでイヴの家に泊まることになった僕でした。

 

                   ★

 

その頃、路上。

 

「でね。ギャリーったら酷いのよ」

「そうなんだ。それでメアちゃんはこんな遅くにこんなところに居たんだねー」

 

金色の髪に青い目の少女と水色の髪に水色の目の少女が並んで歩く。

喧嘩が最高潮に達した後、メアリーが家を飛び出したのだ。

そこで偶然出会ったのが水色の髪の少女、紅凪蒼だった。特に理由もなく散歩をしていたらしい。

 

「でもさー。メアちゃんも少しは譲ったらいいのに、今日最終回なんでしょ?」

「う、でもなんて言ったらいいのかしらギャリーの言うことを聞きたくなかったというべきかな」

「あー、反抗期ってやつだねー。アレだよ。『洗濯物、パパの下着と一緒に洗わないで!』的な」

「よくわからないよ」

 

そんな二人を背後から誰かが襲った。

 

「「?!」」

 

                   ★

 

「蒼の奴どこに行ったんだ?」

 

少々長めの赤毛の髪をそのままにした赤目の少年がマンションの出口から出てきて呟いだ。

彼は坂本雄二、このマンションに住んでいる紅凪蒼の(蒼が言うには)彼氏だ。本人は保護者を自称しているが。

今日は約束をしていたので彼女の家に来たのだが彼女が居なかったのだ。

 

「まさかとは思うが散歩じゃないだろうな」

 

蒼には若干困った癖がある。放浪癖とでもいうべきかもしれない、ある日思い立つといきなり出かけるのだ。

 

「いつものルートならあの辺か」

 

雄二は歩き出した。

 

                   ☆

 

む、なんか嫌な予感。

 

「どうしたの? 明久」

「イヴ、ごめん。ギャリーに電話していい?」

「いいよ。はい」

 

イヴの携帯でギャリーの家に電話をかける。携帯、家においてきてたんだよね。うっかり何やってんだか。数回のコールの後、ギャリーが出た。

 

『もしもし、イヴ?』

「あ。ギャリー?」

『明久?! 何で? イヴの携帯よね』

「ちょっと借りてるの。メアリー何処?」

『あー、家を飛び出しちゃって』

「そっか。じゃあね」

『ちょ、あきひ―――』

 

ブツリ 携帯を切ってイヴに返す。

 

「ありがと。ちょっと出かけてくる」

「うん、ギャリーには私から言っておくね」

 

嫌な予感しかしなくなってきた。無事で居てよ、メアリーっ!

 

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