少なくても僕はそう考えているよ。
―――過去編 第五問
時系列:前回と同じく中学一年生、初期頃
「で? 何か言い訳はあるかしら?」
現在絶賛説教中。今回は正座ではなくてテーブルを挟んで説教されているんだけど、きついです。
不良を全滅させた僕らは後日事情説明をおこなうってことで別れた。そして家に帰ってみればいい笑顔をしたギャリーが後ろに真っ黒なオーラを立ち上らせながら立っていた。直後に説教開始。かれこれ一時間、ギャリーさん、もう疲れました。
「とりあえず、無事に帰ってきてくれてよかったわ」
「色々とごめんなさい」
メアリーが謝る。そういえば始まりはただの喧嘩だったなぁ。
「無事ならそれでいいわよ。明久もあんまり無茶しないでね」
「うん。もうそろそろメアリーはお風呂に入った方がいいよ」
「明久が先に入ったら? 結構暴れてたじゃない」
「だから後なの。お風呂汚れるから」
「そっか、じゃあ先に入るわね」
「いってらっしゃい」
メアリーは服を取りに出て行った。
さて、もう眠いんだよね。
「くぁぁー」
「あら、眠いの?」
「うん」
「ソファーで寝ておいたら? メアリーが出たら起こすわよ」
「ありがと」
ソファーに横になった僕の意識はすぐになくなっていった。
☆
「ねぇ、ねぇってば」
「ん?」
誰かの声に目を開ければそこにはメアリーがいた。何この
「明久、こんなところで寝てたんだね」
「今何時?」
「もう朝だよ。シャワー浴びる?」
「ギャリーは?」
「寝てるよ。昨日は徹夜してたみたい」
徹夜してて僕を起こせなかったのかな。
「そうするよ。お湯出るかな?」
「大丈夫だよ。さっきつけてきたから」
「ありがと」
僕はシャワーを浴びた。すると全身にあった埃っぽさが無くなった。つまりさ、どれだけ汚れてたかって話だよね。とりあえず服は下着を適当に「上書き」してみる。これ、便利だ。
「ふぃー、さっぱりした」
「明久、着替え……ってあれ?」
「あ、メアリーありがと」
「何で服着てるの?」
「あ、えっと……」
まさか言えるわけないよねぇ。半分絵になってましたとか。一番言いたくない相手だよね。
「うーん、明久 昨日から思ってたんだけどね。明久って絵としての力がない?」
「!」
真っ先にばれた。
「最初は気のせいかなって思ったんだけど、あのナイフをハンマーにしたりとかハンマーをナイフに戻したりするときにね片目が蒼に変わっていたの。おかしいよね明久の眼は綺麗な白のはずなのに」
「え? 白?」
「うん、魂の色だよ。イヴは赤、ギャリーは青、あたしは黄色、普段見えている目の色とは違うけど」
「……メアリーの力、僕がちょっと貰っていたんだ」
「そっか、いつ気がついたの?」
「……昨日」
「……………」
嫌われたかな。そうだよね、自分の能力勝手に取られたんだし。
「ちょっと嬉しいな」
「何で?!」
「だって、やっぱり人と違うって怖いんだよね。明久には悪いけどちょっとほっとした」
「そうなんだ」
「さて、これから蒼たちに会わないとね」
「あ、忘れてた。それに朝ごはん食べてない」
「いいからいいから、行くよ」
そのままメアリーに引きずられる僕だった。
☆
「お待たせ」
「お腹すいた……」
「あれ、アッキー何も食べてないの?」
「なんか頼むか?」
「……(うつらうつら」
お腹がすいてだるーんとしている僕だけど坂本君を見てびっくりした。完璧に寝てるよ。
「ああ、ゆーじ? 超低血圧なんだよ」
「さっきからこの状態だぜ」
なるほど、とりあえずお腹減ったよ……。
「明久、大丈夫?」
「もう、だめかも」
「お待たせしました。モーニングセットですよ。吉井」
「……あれ? 桐無?」
顔を上げれば同級生の桐無伊織がそこに居た。本人たっての希望で呼び捨てにしている。
「はい。ウチの喫茶店に来るなんてびっくりですね」
「そういえば喫茶店やってるんだっけ」
「ええ、『ハンプティ・ダンプティ』自慢のモーニングセットです」
「頂きます」
☆
桐無も同席して事情説明会が持たれた。不良の人たちはくなちゃんちの黒服さんたちがどうにかしてくれたらしい。もうちょっかい出さないでしょ。
「とりあえず、蒼を助けるのを手伝ってくれたことに感謝するぜ」
「こっちもこっちだったからね。でもくなちゃんに彼氏がいたとは」
「彼氏じゃねえよ」
「えー、ボクはすっかりそのつもりだったよ? ボクの心をもてあそんだんだねひっどーい」
くなちゃん、完全に冗談のつもりだね。
「全然そう思ってねえよな」
「アハハ、ばれた?」
「まあ、夫婦漫才は放っておいて。こっちも感謝するよ。君が居なかったらメアリー助けられたかよくわかんないし」
「俺からも礼を言うよ」
「ところでだがお前ら何なんだ?」
「「「「「友達」」」」」
それ以上に何があるの? 困っている友達は助ける。それは鉄則でしょ? メアリーに関しては友達以上に大切な気がするけど。
「仲がいいことで」
「とーぜんじゃん。アッキーに惚れ込んで集まった集団なんだから」
「だな。俺もこいつには世話になった。だからこそだな」
「僕そんなにすごくないよ? バカだし」
そんな人間が凄いわけないじゃないか。
「バカはバカでも人の役に立てるバカよね。あたしは明久と一緒に居れて幸せだよ」
「そうですよ。人のために一生懸命になれるのってすごい才能だと思います」
「………」
坂本君がこちらを睨んでくる。どうしたんだろう?
「でもさ、それって当たり前のことじゃないかな? 皆、自分のために一生懸命だから忘れているけど昔は普通にやっていたことでしょ? 凄いことじゃないよ」
「それをさらりと言った上に実行しちゃうアッキーはやっぱり凄いよ」
「それに皆、気が付かなかったとしてもやってるでしょ? 坂本君がくなちゃんのために走ったりしたように」
「あ」
坂本君がまるで目から鱗が落ちたかのような表情をした。
「そんなことでいいんだよ。誰かのために一生懸命になるのって」
少なくとも僕はそう思う。理由なんてあってないようなものだ、僕が一生懸命になる意味なんて。
「そう思えてくるあたりがお前らしいな」
「明久は何事にも一生懸命だもの」
「そうですよね」
「とりあえずさ、何か食べよう。喋ってたらまたお腹すいたよ」
モーニングセットだけじゃ足りなかったよ。結局夕飯も食べてないもんなぁ。
「じゃあ、俺も食うか。そうだ、俺のことは雄二で構わないぜ」
「? そう? じゃあ、よろしく。雄二 あ、メールアドレス交換しておこう。また変なのに絡まれたら嫌だし」
「じゃあ、ボクのも交換しておこうよ! メアちゃんもいおりんもすがっちも頂戴」
「いいわよ」
「構いませんよ」
「おう、坂本もいるか?」
「お、くれるのか」
その後、僕と雄二は親友になった。しばらく後に出会った友人のことを考えれば悪友でないことは確実だって胸を張って証言できるね。
それから我が家にテレビが一台増えた。これで番組争いはなくなるんだけど、何でだろう買ってきてくれたイヴの目が「計画通り」って感じだったのは。
―――二年後、それが間違いでなかったと知るんだけどまあ、それは別の話。
そんなわけで雄二と明久の出会い編完結です。この後も色々な騒動に巻き込まれていきます。
吉井明久という人間は凄いと言ってみる。基本的には打算もなく他人の力になろうとする。そこがある意味魅力なのかなと考える。
そこに惚れ込んでいるのがオリキャラや須川君といった明久の『友人』のみんなです。明久は顔が広い、そんなイメージがある。本人は覚えていなくても人を助けているように思えます。
それから短編はじめようと思います。活動報告に短編のネタを乗せました。一応アンケートのようなものにしようかなと考えております。