僕と絵画と美術館。   作:亜莉守

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先に警告します。
・フラグ色々とへし折ってます。
・本家からはだんだん遠ざかる予定です。
・火気厳禁


迷い込んだのは不思議な美術館

さて、僕は一体どうすればいいのやら。いや、普通に出る努力をすればよかったんだけどね。

とりあえず眠くなってしまいソファーで眠り込んだ。

 

「ねぇ、ねぇってば!」

「?」

 

誰かの声で目が覚めた。

金髪の髪に青い目の女の子、あの時美術館で見ていた絵そっくりだ。まあ、そりゃ本人だったんだし。

 

「? 君は?」

「あんたこそこんなところで何で寝てるのよ」

「? 寝てちゃダメ?」

「もう、しょうがないわね。寝てていいわよ」

 

悲鳴とかいろいろ聞こえた後に扉の鍵を開ける音がした。

 

「あ、まずい」

「?」

 

女の子……メアリーは背後の絵に飛び込んで消えた。

再度眠くなって気絶した直前に見たのはワカメだった。

 

                   ☆

 

いや、ギャリーには悪いとは思ってるよ。でもさ、正直印象的すぎるんだもんあの髪の毛。で、何を言いたかったかというと……。

 

「明久、あんた何であんなところでのんきに寝てるのよ!!」

 

目が覚めたらギャリーが居ました。しかも周りを見れば知らない部屋、何処ここ? で、目が覚めたとわかると説教開始。うん、辛かった。正座ってあたりが特に、足しびれたなぁ

 

「ギャリーこそどこに行ってたの? なんか吊るされた男の絵? だっけ。その辺でずっと僕の話も聞かないで立ってたじゃん」

「気が付いたら周りの人間全部いなくなるし、あんたまでいなくなって心配したのよ」

「きゃああああああ」

 

悲鳴?! びっくりしたよ。あれ、かなり声大きかったし。あんな悲鳴はその後聞いたことがなかったよ。

 

「ちょ、大丈夫? イヴ。怖い夢でも見た?」

「う、ううん」

「見たのね。大丈夫よアタシが居るから」

 

ぎゅっとイヴを抱きしめるギャリー。思えばあの頃から「お母さん」って感じがすごくしてたんだよなぁ。八年経つけど相変わらずって感じがするし。

 

「ギャリー、その子は?」

「この子はイヴ、あたしたちとおんなじ感じみたいよ」

「そっか、よろしくね。イヴ」

「………うん」

 

その後、お互いの自己紹介をした。なんかそういうのやっていないとやってらんなかったんだよね。暗いしきついし、特に超ビビりのギャリーは凄かった。思い返せば心壊起こしてたんじゃないかっていうくらいぐちぐちと不満を言い出したし。まあ、こっちとしてはそのおかげで冷静になれたってもんだけど。

 

「明久は怖くない?」

「大丈夫だよ………姉さんの方がよっぽど怖い」

「お姉さん居るの?」

 

うん、居るよ。世間的には理想的で弟的には絶望的な姉さんが、言いたくなったけど言わなかった。言ったら辛くなるのはこっちだから。そう思い込んでいたなぁ

 

「いいなぁ。わたしひとりっ子だから」

「そっか、ひとりっ子がよかったなぁ。家に居ても自由な時間少ないし」

「そうかな? 兄妹がいるって楽しそう」

「そう? それはそれとして。もうそろそろさー、ギャリーもどってー」        

「いけないのよ……はっ」

 

とりあえずギャリーを元に戻すことにした。

元に戻ったギャリーも加えてさらに話すことにした。

 

「ここってさ、やっぱりあの美術館が関係してるのよね」

「そうじゃないかな。見覚えのある作品もいっぱいあるし」

「うん」

「アタシたち以外の人は何処に行ったのかしら」

「ギャリー、逆じゃない? 僕らが引きずり込まれたって考えた方がいいよ。こんなとこ美術館になかったよ?」

「あ、なるほどね」

「他に迷っている人いるかな……」

「居ると思うよ。僕もいたことだし」

 

あの子……メアリーもだけど。あの時は絵に魂がこもって人間に近い姿で動いているなんて知らなかったから、普通にメアリーも人間だと思ってたよ。

 

「もうちょっと休んだら行こっか」

「そうね。そういえばイヴっていいとこのお嬢さんなのね………」

 

その後、三十分にもわたり他愛もない会話を楽しんだ。うん、楽しかったんだよ。限界状態で味方がいるって結構な救いなんだよ。本気でそう思う。

 

「もうそろそろ行こう」

「ええ。明久、あんた大丈夫?」

「うーん、ねぇギャリー。アレ読んでおいた方がいいんじゃない?」

 

僕の指が注意書きを指示した。あの今のうちに断わっておくけど、これ僕の意思じゃないから。誰の意思かはあとからわかるよ。

 

                     ☆

 

「さて、先に進みましょう」

「……うん」

 

そんなわけで先へ進むことになった僕らは木製の柵で出来た迷路に着いた。なんか頭のない人形があるよ? 作品名は『無個性』だったかな。

 

「うわ、またあいつらね」

「また? あれ動くの?」

「動くのもあれば動かないのもあるって感じかしら動かないの動かすのも重労働なのよね」

「ごめんね、ギャリー」

 

イヴが申し訳なさそうに謝った。後日聞いたところ、自分が動かせるんだったら自力で動かしていたとのこと。そうなったらギャリースルーされていたと思うからある意味良かった気がする。

 

「あ、本棚があるよ。何か書いてあるんじゃないかな」

「あら、そうね。行ってみる?」

「そうしよう」

 

この辺から僕案内担当キャラ的な感じになってるんだよね。しょうがないと言えばしょうがないけど。

柵の中に入ると独りでに入口が閉まった。

 

「嘘でしょ?!」

「ギャリー、黄色いの動き出したよ」

「うわっ」

「おわっ」

 

ギャリーに抱きかかえられた僕とイヴ、子どもとは言え人間二人抱えて走れるってすごいよね。

 

「! ギャリー、あそこの青いボタン」

「え?」

「わたしが押すよ」

 

抱えられたままイヴがボタンに手を伸ばして、押した。すると出口が出来上がる。

 

「でかしたわ。明久」

「ギャリー、この本」

 

本棚に手を伸ばして、本棚に入っていた本を取り出した。よくできたよね。今はあの芸当は無理だ。

 

「えっと『人の思いがこもったモノには魂が宿ると言われている。それならば作品でも同じことができるのではないか と私は常に考えている。そして今日も私は自分の魂を分けるつもりで作品作りに没頭している』……うそ、これだけ。出口の場所くらい書いときなさいよね。行きましょう」

 

凄い理念だよね。おかげで酷い目に遭ったりいろいろしているけど。

出口を出れば柵が閉まる。

 

「動物園みたい」

「だね。入っているのはライオン以上に怖いものだけど」

「もう行きましょう」

 

歩いている途中、ミルクパズルなるものを発見してギャリーがその話をしてくれた。面白そうだなぁ。ちなみに、後日やってみたところかなり難しかった。完成したのはいいもののやることがなくなってその上に絵を描いたのはいい思い出だね。絵を描いた後はあっさりと完成するようになって白いからこその価値があるんだなぁと実感したよ。

 

「あれ、鏡?」

「鏡と言えばさっきのはびっくりしたわ」

「うん、わたしも」

 

鏡を見ていたら背後にマネキンの首があったそう、怖いだろうなぁ。驚いたギャリーが蹴り飛ばそうとしたのをイヴが止めたらしい。

 

「どっちに行く?」

「とりあえず左手側に行きましょう」

 

部屋に入れば無個性が一体いる。動かないよね。

 

「ちょっと二人とも下がってて」

 

ギャリーが無個性を押して退けた。

 

「よし。これでオッケーね」

 

僕はギャリーがのけている間に天井から下がったひもを引っ張った。イヴにちょっと止めらたけど。

 

「どうする? 戻る?」

「何処に続くのか見てからにしましょう」

 

ドアを開ければ壁になんか書いてあった。

 

『ゲルテナ展にある床に描かれた大きな絵のタイトルは?』

 

しまった、覚えてない。何でど忘れしたんだろうね?

 

「げ……もしかして暗号? あの大きな魚が描いてあった絵よね? イヴ見た?」

「うん。でも名前……なんだっけ」

「何だったかしら、確か…深海の…」

「あ、『深海の世』だよ」

 

あっさりと思いだした自分が恨めしい。ちゃんと覚えておこうよ。そんなこんなでなるべく作品名を覚える癖がついた僕でした。

 

「それよ。それ、あんた絵好きなだけあるわね」

「でも、何で『しんかいのよ』が要るのかな?」

「いったんさっきの通路に戻ろうよ。何かあるかも」

 

うん、まさかパネル方式で入力する羽目になるとは思わなかったけど。

こんなさ、アナログばっかの美術館でパネルって……。今更ツッコミいれても遅いよね。

中に入ればなんかよくわかんない赤い絵があった。『決別』今でも鮮明に覚えているあたり印象強かったんだろうなぁ。

 

「これはあんたには早いわ。大人になってから読みなさい」

 

部屋の隅でなんかやってたけど何やってたんだか。二人がこっちに気が付いて三人で見る。

 

「わっ、なに、停電?! ちょっと、何も見えないじゃない。イヴ、明久、ちゃんといる?」

「居るよー」

「うん、居るよ。大丈夫だよ」

「しかし困ったわね。あ、そうだ」

「ギャリー、火気厳禁だよ」

「う、どうしろっていうのよ」

「火じゃなくても光は出るよ」

 

携帯(親が共働きだし、事情が事情だから持たせてもらってた)を起動させた。母さん、この時は本当に助かったよ。

 

「ね?」

「携帯もってたの?」

「うん。母さんが持たせてくれてた」

「外、出よう」

「そうね。こうも暗くちゃ大変だしね」

 

外に出れば、赤い足跡が点々と続いていた。

 

「……ついて行ってみる?」

「そうするしかなさそうね」

「うん」

 

足跡が消えた扉を開ければ……。

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