僕と絵画と美術館。   作:亜莉守

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「当美術館における
 
 注意書き
 
 ・グロ注意
 ・展開が若干カオス。

           以上」


怖いのは誰だって一緒、ただし怖い内容が同じとは限らないけど

「わっ」

「?!」

 

金髪の子…ことメアリーがいた。ちなみにドアを開けたのは僕。

 

「ちょっと、大丈夫……って、あんた美術館に居た子じゃない」

「あ」

 

居たには居たけど絵の中を自在に移動できる時点でおかしいからね。まあ、僕のツッコミはなかったけど。

 

「アタシはギャリー、この子はイヴっていうの。そっちの子は明久ね」

「……」

「ねぇねぇ、さっきさ『指定席』の部屋に居たよね」

「!」

「絵の中飛び込んだりしてたけど………」

「………」

「あそこに隠し通路かなんかあったの?」

 

当時のメアリーの頭の中はあからさまにホッとしていたと推測する。あとになって聞いたらホッとしたって言ってたし。

 

「う、うん。そうなのよ」

「もしかしてこの美術館詳しい?」

「え、えっと。あの……その……」

「こら、明久。続けて喋らないの、彼女困ってるじゃない」

「ごめん。でさ、出口……知らない?」

「ごめんね。わからない」

「じゃあさ、みんなで行きましょう。ここ結構変なのとか出るから女の子ひとりじゃ危ないわよ」

 

そんなわけで四人で探索することになったのだった。

 

                      ☆

 

イヴが花瓶を見つけてきた。そして、手に持っていた薔薇(ばら)を活ける。

 

「そういえば、アタシやイヴに薔薇があるってことは明久とメアリーも持ってるの?」

「え? バラ……なんで?」

「明久、あんた持ってないの。よくそれで無事だったわね?!」

「明久、本当に持ってないの?」

「うん。バラがどうかしたの?」

「これは一から説明する必要ありね」

 

こんこんと説教のようなギャリーの説明が始まった。思わず正座しちゃったよ。隣のメアリーもおんなじような感じだったなぁ。その後二人して足が痛くなった。ギャリーの説教って今でも時々あるんだけど正論ばかりだから反論できないし思わず正座したくなるしあんまり好きじゃないなぁ。

 

「つまり、バラはその人の命ってこと?」

「そういうこと、あんたの薔薇が何処かにあるはずよ。メアリーは持ってる?」

「うん持ってるよ! 黄色いバラ」

 

メアリーが見せてくれた薔薇が妙に造花っぽく感じてそんなわけないと自分で否定してたなぁ。

 

「イヴもメアリーもちゃんと持ってるのよ。明久、あんたの薔薇を探しながら行きましょう」

「あ、うん。ごめんなさい。迷惑かけてるみたいだし」

「こんなの迷惑にも入らないわよ」

 

先へ進むことになったのだった。

 

                  ☆

 

次の部屋へとやってきた。張り紙を見つけた。『一体どちらが正しいのか』

 

「ギャリー、どう思う? これ」

「わからないわ。とりあえず先に進みましょう」

 

先へ進めば扉が二つ。片方には鍵がかかっていた。しょうがないので鍵の開いている方の部屋に入った。……入ったのはいいんだけどさー。あれトラウマだったよ。全部姉さんそっくりの人形でさー。まあ『そう見えていた』って話なんだけど、それでもあれはお化けとかにも勝る恐怖だった。

 

「わ、かわいい」

「そうだね。イヴ」

「かわいい? この人形気色悪いわよ」

「むしろ勘弁してほしいよ。こんな姉さんそっくりの人形なんかいやだ」

「「「…………」」」

 

そこで妙な感じがしたのだった。というより三人とも僕の顔見てびっくりしてたし。

 

「えっと、お姉さんそっくりって?」

「どうもこうもないよ。こんなさー、人間そっくりな人形何十個も並べて楽しいのかなぁ」

「これ、ウサギの置物だよね?」

「あたしにもそうみえるよ」

「何言ってんのよ。青い不気味な人形でしょ」

 

四者四様な回答が返ってきた。もしかして、なんかヤバい?

そう思ったよ。本当に一対一対二状態だったし。誰が正しかったのか結局わかってないしなぁ。

 

「な、なんかおかしいわね。とりあえず鍵がないか探してすぐに外に出ましょう」

「うん。そうだね」

 

その直後、不気味な音がした。振り返れば臓物散らした人形が……うぇ、思い出したら吐きそうになった。

 

「ウェ」

「ちょ、明久。大丈夫なの?」

「大丈夫?」

「……気持ち悪い」

 

ふぅ、気を取り直して。とりあえずなんともなく見えていたイヴが中にあった鍵を取って、とりあえず外に出た。

ふらつく僕を何故かイヴが支えてくれて扉の間にかけられた絵の前を通り過ぎたとき、それは起こった。地面が揺れて、茨のような植物が生えてきた。

 

「「!」」

 

逃げようとしたところでイヴもろとも体制を崩……さなかった。今でも不思議なんだけどなぜかちょっと離れたところで倒れきった。

 

「「イヴ! 明久!」」

 

見ればギャリーとメアリーから完全に分断されていた。ふらつく頭を押さえながらどうにか立ち上がった。

 

「大丈夫だよ。イヴは?」

「大丈夫。メアリーとギャリーは?」

「こっちは問題なしよ」

「大丈夫。でも、そっちに行けないよ」

「これ折れないかしら……ってこれ石でできてるじゃない」

 

むしろ植物のように動いたことを誰かツッコミ入れて。って過去に言ってもしょうがないか。

 

「明久、向こうの扉の方に何か道具があるかも」

「あ、そうかも」

「二人とも危ないよ!」

「とは言えそっちの二人に賭けるしかないかもしれないわ。こっちは行き止まりかもしれないし」

「何もなかったら戻ってくるよ。それでいいでしょ?」

「そうね」

「あ、そうだ。ギャリー、これ」

 

母さんが持たせてくれたキャンディーを茨越しにギャリーへと渡した。まあ、こっそりと紙も一緒に渡したんだけどね。

 

「吸いたくなったら食べなって母さんが言ってたよ」

「あら、そうなの。禁煙してるのばれてたかしら」

「じゃあ、本当に危なくなったら食べてね」

「わかったわよ。あんたたちも気を付けなさいね」

「「うん」」

 

僕とイヴは紫の鍵を使って扉を開いた。

 

                  ☆

 

「でも、何かいいものあるかな」

「あの像とかよさそうだけどギャリーじゃないと動かせないよね」

「そうだね。何か他にあるかな?」

 

部屋中をくまなく探すと一本のパレットナイフを発見した。うん、本当に発見したのが僕でよかったと後々のことを考えてつくづく思ったよ。

 

「これで削れないかなぁ」

「うーん、かなり時間かかるよ?」

「そうだね。何かないかなぁ」

 

探していると不意にゴゴゴゴゴという音がした。あわてて見に行くと無個性が動いていた。なんとなく思うけど無個性の仕掛けは本当に悪意を感じるよ。

 

「動かせ……ないよね」

「うん。どうしよう」

 

途方に暮れた僕らだった。

 

                   ★

 

Noside

 

さて、取り残されたギャリーとメアリーはといえば。

 

「遅いわね」

「そうだね」

 

大人しく待っていた。そこにゴゴゴゴゴという音が響く。

 

「?! イヴたちに何かあったのかしら」

「気になるけど行けないよ。どうするの? ギャリー」

「しょうがないわね。あそこ、もう一回調べましょう。何かあるかもしれないし」

 

ギャリーは先ほど出てきた奇妙な部屋を指さした。

 

「わかった。行こう」

 

ちょっとため息をついてメアリーが立ち上がり先を進む。その時、ギャリーは違和感の正体を掴もうとしていた。

 

「(メアリーになんか違和感があるのよねぇ。今の明久が違和感の塊なのと同じように)」

「ギャリー、中入ろ」

「ああ、ごめんなさいね」

 

ギャリーが扉を開けた。ギャリーの目の前には青く不気味な人形が並ぶ光景が広がっていた。

 

「変わらず気色悪いわね」(ぼそっ

「どうかした?」

「何でもないわ……あら、あんなところに通路あったかしら?」

 

本棚がずれて通路が出来上がっていた。

 

「こっちから行けるかしらメアリー」

「う、うん! 行けると思うよ」

「(やっぱり、この子嘘ついているわね)」

 

明久母と仲がいいせいなのかこういったものに若干聡いギャリーだった。

 

                   ★

 

通路を抜けた先には部屋があった。

 

「さて、どうすればいいかしら」

「あ、ひもがあるよ! 引っ張ってみたら?」

 

メアリーが引っ張っていった先には五本のロープがあった。

 

「うーん、こういう時は真ん中ね」

 

直感で引っ張るギャリー、目の前が暗くなった。

 

「え、ちょっとこれ電気のスイッチなの?!」

 

もう一回引っ張り、電気が付いた。

 

「勘弁してよー。とりあえずこっちね」

 

右手の方のロープを引っ張った。

するとゴゴゴゴゴと何やら仕掛けが動く音がした。

 

「? 何か動いたみたいね」

「そうだね」

 

何事もないと安心した二人、しかし頭上から何やらわけのわからないものが降ってきた。

 

「メアリーっ!」

 

とっさにメアリーを抱え込み、壁に激突する前に停止したギャリーの目の前によくわからないものが落ちてきた。下に居たらバラが無事だったとしても即死だっただろう。

 

「大丈夫?」

「う、うん。大丈夫」

 

涙目のメアリーを見て本当にぶつからなくてよかったと安心したギャリーだった。

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