『本美術館鑑賞の際の注意事項
・オリジナル展開
・どんどんひどくなる地の文
・火気厳禁
以上』
「それにしてもなんでこんなものが……」
「びっくりした」
落っこちてきた不思議なものを眺める二人。するとメアリーが気が付いた。
「あ、床のこれ」
「あーなるほどね」
床のくぼみに不思議なものをはめると扉が開いた。
「明久たち大丈夫かしら」
☆
ちょっと時間を巻き戻して、僕サイド。
無個性どかすのをあきらめて次の部屋に向かった僕らの前に谷のような穴が現れた。
「どうしよう」
「うーん、本当にどうしよう」
悩んでいるといきなり上にあった板が下へと降りてきた。
目が付いていたのが印象的だったよ。
「わたれってことかな」
「だと思うよ。行こう」
「わたって大丈夫かな?」
板にイヴが聞くと板は目を閉じた。これがOKの合図だったらしい。メアリーに後で聞いたら分かったことだけど。
「渡ろう」
「うん」
二人で板を渡り終えて、僕はそのまま床に落ちていた三角のオブジェを下へと落した。
「だ、大丈夫? 下に落として」
「大丈夫だよ」
実はあんまり大丈夫じゃなかったとわかったのは後の祭。まあ、しょうがないよピンポイントでいるなんて思わなかったもん。
次の部屋に向かうため通路を進むことにした。
「ねえ、明久」
「なに、イヴ」
「ギャリーと明久は昔からの知り合いなの?」
「ううん、今日会ったばっかりだよ」
「そうなんだ」
「? どうしたの」
「ギャリーと明久ってすごく仲がいいから。ずっと前から仲いいのかなって」
「人と仲良くなるにはねきっかけが必要なんだ」
「きっかけ?」
「うん。ギャリーみたいに会うことが仲良くなるきっかけになると思うよ」
「そっか。わたしもギャリーともっと仲良くなれるかな」
「大丈夫だよ。ギャリーいい人だもん」
「ありがとう。明久」
この後、仲良くなりたいの内容が一部僕の考えていたこととずれていたのは僕のせいではない。ごめんね、ギャリー 今外堀埋めまくられているギャリーを見るとこの時にちょっとくらい止めておけばよかったと後悔している。
★
Noside
「くしっ」
「どうしたの?」
「何でもないわ」
妙に悪寒がしたらしいギャリーはくしゃみをした。
「それにしてもこの人形……まあ、いいわ」
頭の上に乗せた若干気味の悪い青人形は気にしない方面で行くらしい。
「ギャリー、頭に人形乗せてよく落とさないね」
「落ちないのよ。ま、これ以上に凄いのは見たことあるから、こっちの方が可愛いくらいよ」
ばしゃっと音がしたかと思うと『かわいい? ほんと?』という文字が壁に書かれた。
「ええ、彼女のセンスは一回疑ったわ」
明久母となんかあったらしい。
「あ、次の部屋だよ」
「行きましょう」
★
「普通の部屋ね」
「いっぱい絵が飾ってあるよ!」
はしゃぐメアリーに転ばないように言いながらぼうっと眺めていくギャリー、ふと気が付いた部屋に入った。
「うわ、何よこれ」
赤い変な煙が充満している。ふと横を見れば変な台座と丸い何かがあった。
「(これ何よ)」
触れようとするとどこかに転送されたらしく消えた。
ついでに傘も取ってきた。
ギャリーも長居は無用とばかりにとっとと出て行った。
「ギャリー、その部屋何かあった?」
「あんたは入らないようにしなさい。やだ、薔薇ちょっと萎れてるじゃない。あ、花瓶発見」
見つけた花瓶で薔薇は回復した。
「あそこの部屋入れるみたいだよ」
「あら、メアリーありがとうね」
中に入れば変な台座と一個だけ浮いた丸いのがあった。
『七つの色彩……絵具玉を集めよ。さすれば部屋は色づき、そなたの懸け橋となるだろう』
「つまりこの丸いのを探せってことね」
「そうみたい。行こう!」
「メアリー、一緒に行くわよ。これ以上はぐれると大変だからね」
「う、はーい」
部屋を出た二人の目線の先に黄色い丸いのがあった。
「これを探せってことね」
「あたしが拾うね!」
メアリーが触れようとすると勝手に消えた。
「次は何処に行こうかしら」
ばしゃっと再度音がして壁に文字が書かれた。
『ワタシのおうちすぐそこだよ』
「今は関係ないんじゃない?」
『うーん、もうちょっと待ったらどうにかなるよ』
「ギャリー怖くないの?」
「これ以上ビビってもしょうがないわ」
なんか悟ったらしいギャリーだった。
「その傘どうしたの?」
「拾ったのよねぇ。どうしろっていうのよ」
☆
再度時間を戻して僕サイド。
あの通路の後、部屋に入ると作品が飾ってあったり色々している部屋へとたどり着いた。
「どこから行く?」
「あそこの一番近い部屋から行こう」
部屋に入ると、マネキンの首がいっぱいあった。怖かったよ。あれ
「あんまり用事はなさそうだね」
「この人傘をなくしてかわいそうだね」
『傘をなくした乙女』の絵を見ながらイヴは言った。いつも思うけど優しいよね。イヴは
「傘見つけたら届けようか」
「そうだね」
とりあえず部屋を出た僕らは一番奥の部屋へ向かった。
「またパネルだね」
「確かこの作品は『ミドリのよる』だったかな」
パネルを入力すればあっさりと扉が開いた。
「また本棚だね」
「何か情報ないかなぁ」
探してみるとゲルテナの作品集を見つけた。家で読んでるから知っているけど、『ジャグリング』は6223年に描かれたんだ。へぇ
「あ、ここに鍵穴がある」
「本当だ。でも、鍵持ってないよ」
「これ使えるかな」
イヴが手にしていたのは木でできた鍵だった。いつ拾ったのかな。どこに落ちてたの。色々な言葉はぐっと飲み込んだ。イヴが鍵を差し込むと、どこかでカチッと音がした。
★
「なんか音がした?」
「そうね。あの部屋かしら」
音がしたらしい部屋へと向かった二人。
何かないものかと別れて探し出した。
「………(嘘でしょ)」
ギャリーが手にしたのはゲルテナの作品集だった。明久が手にした上巻ではなく下巻の方だ。ギャリーは驚いたものの口にも出さずにぐっと飲み込み、本をしまった。
「ギャリー、絵具玉見つけたよ」
「あら、メアリーは凄いわね。こっちは何の収穫もなかったわ」
「そうなんだ。あそこの絵具玉取れないかなぁ」
「え、あったの?!」
「気が付いてなかったの? ギャリーあたしよりおっきいのに」
「う、灯台下暗しってやつね」
「何それ」
「近くに居る人のほうが気が付かない。物の例えよ」
「ふぅん。一回外に出よう」
先に行くメアリーを心配そうな顔で見ていたギャリーだったが小さく響いたぱしゃという音に壁を見る。
『とうだいもとくらし、ギャリーもだよ』
「あら、どういうことかしら」(こそっ
『ワタシ みてたもの。メアリーのヒミツ、ギャリーがしったの』
「あっちゃあ、あんた見てたのね」(こそっ
『だから、ヤクソク。あのこちゃんとそとにだしてね』
「あら、意外ね」(こそっ
『メアリーはワタシたちとはちょっとちがう。だからここでいるよりもそとにいったほうがいい』
「わかったわよ。元からそのつもりよ。あの子がなんだろうと変わらないわ」(こそっ
『よかった』
そこでメアリーが振り向いた。
「どうしたの?二人でこそこそ喋って」
「みんなで一緒に出ましょうって話」
「うん。皆で出よう!」
釣り針と書かれた絵が妙に出っ張っていることに気が付いた。
「あ」
「どうしたの?」
「何かひっかけられそうなのよね」
「その傘でもひっかけたら?」
「なるほど」
釣り針に傘をひっかけると傘はそのまま釣られていった。
☆
もっかい僕サイド。
キリキリキリと音がしたかと思うとなんと傘が釣れていた。
「あ、そうだ。あの人に届けようよ」
「あ、なるほどね」
釣れた赤い傘を持ってマネキンの部屋の方に行って、傘を渡すと部屋に雨が降った。
「明久、早く出よう」
「うん」
部屋を出る直前、女の人が手を振っていた気がした。