「だからのぅ、そのときワシはこう言ってやったんだ……あぃやまたれぃ!!このワシこそが妙木山の……」
「ウッセェヨ老ケ顔ジジイ、ソノ自慢話既二5週目ダゾ。」
「えぇい、いいところなのに邪魔すんじゃねぇーのォキャサリン!!打率100%のワシのすべらない話を…!」
「打率100%っつうか送りバントだろアンタのその話。」
スナックお登勢。バカと貧乏人と変人しか寄り付かないと噂のこの店に、今日もまた濃ゆい客がまた一人。
他里にその名が広く知れ渡る、正しく仙人。
生ける伝説、『三忍』が一人。
師は歴代最高と謳われた猿飛ヒルゼン、使う忍術は千差万別、変幻自在。蝦蟇の秘術を操りし英傑。
名を、自来也。エロい人。
「…なんか最後おかしくなかったか?」
「実際エロ小僧にゃ変わりないだろうに。聞いたよ、また覗き見してたんだろ?こちとら、アンタに関する苦情は殆どコッチに来て迷惑なんだ、とっととお縄についてくれたほうが有り難いんたけどねェ。」
「ソーダソーダ!!ドウセワタシノ身体見テ発情シテンダロコノエロジジイ!!」
「ワシのは単なる取材だっつうの!!っつうか有り得んから!身体はボン・キュッ・ボンな癖に顔だけ三枚目どころか千切りにされたみたいなツラして!!」
「ア゙〜!!!!乙女二向カッテナンテコトイイヤガルコノクソザルコラァ!!」
「止めなキャサリン、このエロ小僧は底無し性欲のヒルゼンのジジイのエロと天性の文才が悪魔合体して生まれちまった悲しきモンスターなのさ。」
「誰が小僧だ誰が……」
お登勢の仲裁を受けて中指を立てながら後ろに下がっていくキャサリンを睨みつけながら、お猪口に残っていた酒で熱くなった身体を冷やす自来也。身体が火照る酒ではあるが、心を冷やすのにはこれ以上ない冷却水。美味い酒に、お登勢手作りの唐揚げを摘めるともあれば、当然留飲も下がるというもの。
「…しっかし驚いたのォ、ちぃと久々にワシが里に帰って来てみりゃ登勢姐がミナトの子供を……」
「あんなガキ放置してたら町内会の評判が悪くなっちまうからね。」
「またそういう…素直じゃねぇのォ相変わらず。」
「女は化粧で顔も本音も隠すもんさ。…ま、今日は酒で化粧が崩れちまってるんだ。今は隠すもんも隠せないから余計なこと言っちまうがねェ。」
「…大蛇丸の件なら、アンタのせいじゃない。ありゃあワシらの……」
「関係ないよ、ナルトと大蛇丸は。拾いたいから拾った、それだけだ。」
「…そうか。」
また、一献。酒は進む、会話は止まる。
「…ナルトは、元気か?」
「元気も元気、負けん気なら母親のクシナに似たねありゃ。そこにミナトの賢さが加わってくれりゃ良かったんだけどねぇ、あれじゃ狐じゃなく猪だよ。」
「そうかァ……」
「そういやアイツ、分身の術が使えないってんで悩んでたんだ。このままじゃアカデミーの合格も危うい、ってイルカが悩んでてね。アンタ教えてやりなよ、仙人だろう?」
「いやぁ、弟子を取るのはどうにものォ……どいつもこいつも才はあったくせに、ワシより早く逝きよる。…時代が時代、なのかもしれんがの。」
「んなジンクス信じるんじゃないよ、アンタ『蛙が頭に草乗っけてるの見た時は当たる』って言っといて賭場で金だけ擦られて逃げられたんだろ?」
「なんでその話をっ!?」
「うちにゃ博打でやらかした貧乏人しか来ないんだよ、アンタとか。」
「ぐぬぅ……あの日は当たるはずだったんだが……」
「…ま、無理強いはしないよ。アイツに会ったときにどうするか決めとくれ。親心…っつうよりは老婆心だからね。」
会話は進む。酒は止まる。
「……のぅ、登勢姐。」
「なんだい改まって、気持ち悪い。金なら貸さないよ。」
「いや、これでも金はあるんだ金は。」
「なら告白かい?勘弁してくれ、"あの人"を置いて所帯を持つ気にゃならないし、アンタみたいなスケベとは御免だよ。」
「いや違うわ。ワシだって若い頃はともかく今のしわっしわのババァはコッチから願い下げだわ。……木ノ葉を離れる気は、やはり無いか?」
「………」
「奴は必ず、いつか必ず此処でコトを起こす。いや、それだけじゃない。二階に住んどるナルトもそうだ。…近頃、ある組織の噂をよく耳にする。そいつらの狙いには、ナルトも入っとるかもしれん。確信は無いが、恐らくそうなる。」
「……で?」
「…アンタにゃ世話になった。若い頃からずっとな。今更忍のいざこざで死んで欲しくない。」
「そうかい。酒の席の話だ。明日にゃ忘れてるよ。」
「登勢姐…!」
「あたしゃね、自分の人生で悔いたことは生牡蠣を食べたこと以外で一度もないよ。いつ死んだっていい。…なのにこの年まで来ててめーが居なかったらこうはならなかった、なんて後悔を背負わせようとすんじゃないよ小僧。」
「…もう小僧じゃネェっつうの。」
「ま、いずれにせよ……」
過去を纏うように、或いは過去を振り払うように、煙草を嗜みながら視線を向かわせた先には、遺影。お登勢の愛した、ただ一人の人。
「あの人が守ろうとしたこの里を、この里に住むバカを、愛してるんだ。それを置いて離れるぐらいなら、死んだほうがマシさね。」
時系列とか矛盾しまくりだと思います