初めまして。左之助です。
やはり君の名はというのは素晴らしいものですね。
時間が経った今でも昨日の事のように思い出せます。
他の投稿者さんのようにハイペースで事を進めていってもアリだとは思いますが、自分はあえてゆったりと日記のように事細かに書いていきたいなとは思います。そっちの方がリアルだと思いますし。
ハイペースの方が良いと思った方は閲覧をお控え、いや、1度見てから判断してくださればとてもよろこびます。
兎に角、ゆっくりと2人を幸せにしたいと思いますので何卒よろしくお願いします。
それでは本編です。どうぞ。
探していたなにか。
「御社を志望致しました理由は、、」
「東京だっていつ消えてしまうか分からないと思うんです。だから記憶の中であっても、何ていうか、人を温め続けてくれる風景を、、、」
◆◇◆◇◆◇
「、、、うまくいかぇな。」
就活が上手くいかず駅のホームで飲み干した缶コーヒーに行き場のないこのイラつきを当たるかのように握りつぶす。
「ドアがしまります。ご注意ください。」
電車のアナウンスが鳴る。
俺が乗るはずだった電車がホームから走り出す。
「、、、はぁ。」
就活というものはこんなにも難しいものなのか。
「そんなに似合ってねぇのかな。俺。」
高校からの友達である藤井司と高木真太にスーツが似合ってないと何度もいじられている。
2人といると就活により傷ついた心が安らぐが、ただ、なにかが足りない。
ぽっかりと空いたこの何がが俺を不安にする。
ーーーずっと何かを探している。
いつからかそんな気持ちに取り憑かれている。
探しているのが ”誰か” なのか ”どこか” なのかそれとも単に就職先なのか自分でもよく分からない。
平日の昼間、我忙しと言わんばかりにごった返す駅のホームのように俺が満たさればいいのにと思っている矢先、人混みの中に見覚えのある色が見えた。
橙色の髪紐。いや、あれはきっと元々は髪を結う為のものではないのだろう。だが、何故かそれがしっくりくる。知らないはずのあの紐を何度も見ていたかのように当たり前に感じる。
しかし、すぐさま ”それ” は人混みのなかに消える。
俺の中に焦りが募る。でも、それが何故かは分からない。
”それ” を失ってはならない。そんな気がするが、そう思う理由も追いかける理由も思いつかない。
ただ、俺の周りだけ、時が止まったかのように寂しい喪失感が漂う。
晩秋。バイト先の先輩だった、奥寺先輩と再開し懐かしい会話を交わす。
「今日は急にどうしたんすか。」
「仕事でこっちまで来たから久しぶりに瀧くんの顔を見ておこうと思って。」
当たり障りの無い会話を交わしながら、色が変わっていく東京を闊歩する。
歩行人が横断歩道に引っかかり足を止め、上を見上げる。それにつられて俺たちも上を見上げる。
「、、、私たち、いつか糸守まで行ったこと、あったよね。あれって瀧くんがまだ高校生だったから・・・」
「5年前。ですかね。」
「そんなに!なんだか色々忘れちゃったな。」
5年前。そこまで長くない昔のことなのに俺はあまりよく覚えてない。
ケンカでもしたのか司と奥寺先輩とは別々で東京に戻ったこと、どこかの山で1人で夜を明かしたこと、その程度の記憶しか残っていない。
ただ、あの彗星が起こした未曾有の大災害に俺は妙に心を惹かれていた。
彗星の片割れが田舎町に落ち町の大半を破壊した災害。町民はその日全員総出で避難訓練をしていた為全員、奇跡的に無事だった。
様々な噂が飛び交う記事を当時の俺はずいぶん熱心に読んでいた。
それが何故なのかもう理由はよく、分からない。
あの町に知り合いも、大切な人もいたわけじゃないのに。
日が暮れ、奥寺先輩と別れる。
「いつかきっと君も幸せになりなさいよ。」
ーーーずっと何かを、誰かを探しているような気がする。
より一層その気持ちが強まる。
◆◇◆◇◆◇
時が進み、12月初旬。
就活の為にみっちりと詰まった予定表をいじりながら俺は喫茶店のコーヒーを啜る。
「やっぱり、もう1回ブライダルフェア行っときたいな。」
「どこも似たようなもんやろ。」
「神前式もいいかなぁって。」
「お前チャペルが夢やって言っとったに。」
「んーそれからテッシーさぁ・・・」
上京してきたカップルだろうか。
微笑ましい会話の中に聞き覚えのある名前を耳にした。
いや、聞いたこともないのに何故か体が反応した。
「式までにヒゲ剃ってよね。私も3キロ痩せるでさ。」
「ケーキ食いながら言うか。」
「明日から本気出すの。」
2人の声のしていた方に目を向けるがすでに出口に2人は向かっていた。
それに続いて俺も外に出る。雨だったはずの空は雪に変わっていた。
吐いた息が白く見え、視覚的に気温が下がっていることを実感しながら歩道橋を歩く。
人々とすれ違うなか、1人の人と一瞬何かで繋がったような錯覚に陥る。
が、すぐさまその繋がりは解け振り返るがその人が傘により ”彼” なのか ”彼女” なのかもわからない。
そして、俺の思考はすぐさま寒いという事だけにしか向かなくなる。
「、、、はぁ。」
今はもうない町の風景に何故これほどまでに心を締め付けられるのだろうか。
◆◇◆◇◆◇
夜が明け、冬が明け、人々は活動を再開する。
俺もベッドから起き、顔を洗う。昨日まで悩まされていたあの気持ちは今日も変わらず心を締め付けてくる。
家の扉を開ける。
咲き始めた桜を背に通勤道を歩く。
改札を通りスマホを眺めながらエスカレーターを降りる。
駅のホームに走り込んできた電車に乗り込む。
誰かを探しているかのように電車内で外を眺める。
交差する電車の中、探していた
周囲を見渡し、走り、また見渡す。
息はとうのとっくに上がっているが、そんなものお構い無しに走り続ける。
ずっと探していたあの人に逢うために。
住宅街のなかにある階段に行き着く。
そして。
確かにあの時感じた繋がりを感じた。
しかし、やはりすぐさまその繋がりは解け離れていく。
失望感、喪失感がのしかかる。
このままでいいのか。いや、よくない。
だって、ずっと探していたのは
俺はポケットに突っ込んでいた手を出し、勇気を振り絞って声をかける。
「あ、あの!俺!君をどこかで・・・!」
離れていく繋がりを俺はしっかりと掴み手繰り寄せる。
先程とは打って変わって彼女が俺を見上げる。
その顔には涙を浮かべていた。
ただ、その涙は悲しさでは無い、嬉しさ、安堵からくる涙なのだとすぐさま分かった。
なぜなら俺も彼女と同じく、涙を浮かべていたのだから。
「私も!」
彼女は振り絞るかのような声で言う。
透き通った声。
笑顔が似合う顔。
まるでどこかの巫女なんじゃないかと思わせる清廉潔白な佇まい。
この人だ。
俺が探していたのはこの人なんだと。
みるみるうちに空っぽだった心が彼女で満たされていく。
知りたい。
何度も忘れてしまった彼女の名前を。
そして俺はこう口にする。
◆◇◆◇◆◇
すれ違った彼がそう声をかけてくれる。
一度は解けてしまったその繋がりを手繰り寄せるように。
嬉しい。
安心した。
そう思った矢先瞳から涙があふれる。
でも、その涙はとめようとしなくていいのだと彼の顔を見て分かった。
また、彼も泣いていたからだ。
だから私はこの涙を素直に受け止める。
「私も!」
私も彼が言ったナンパ紛いな言葉を繰り返す。
でも、これが最適なんだ。
彼に初めてかける言葉はこれでいいのだとなぜかわかる。
だって、今、こんなにも満たしてくれているんだもの。
空っぽだった私の心に彼がこんなにも満たしてくれているのだから。
知りたい。
こんなにも嬉しい気持ちにしてくれた彼の名前を。
何度も忘れてしまった彼の名前を。
そして私はこう口にする。
◆◇◆◇◆◇
「「 君の名前は? 」」と。
ということで1話目終了でございます。
みなさんご存知映画のラストシーンを書き起こしてみました。
時系列的に瀧くんは就活に苦戦を強いられている所でしょう。
三葉ちゃんはきっと嫌な言い方にはなりますが貼り付けたような自然な笑顔でお客さんと接客していたのでしょう。
あ、天気の子見た方ならわかると思いますが三葉ちゃんの職業はおおよそですがジュエリーショップの店員だと推測します。ていうかそのつもりで物語進めますので把握おなしゃす。
いやはや、いつ見てもこの2人の出会いは素晴らしいものですね。自分もこんな出会い、してみたいものです。
それでは1話目閲覧ありがとうございました。またよかったら見に来てください。
自分、あなたを待ってますんで。