ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人   作:サバ缶みそ味

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マナ間欠泉が消えるバグ……残響片が採取できないからどうにかならないかなぁ


 中和剤、すっごく便利ですね!


10話 大灯台のマナの対処、開拓の始まり

 大灯台の道を登り、ようやく大灯台の入口へと辿り着いた。高くそびえる灯台の壁には苔や蔦が生え伸び、亀裂や穴が空いておりどれだけの年月が経っているか物語っていた。

 

「間近で見ると大きな灯台だね…」

「当時は立派な灯台だったんだろうなぁ……」

 

 ブランとレクスは見上げながら灯台の大きさに感嘆する。

 

「よーし!さっそく中に……」

 

 アイラは張り切って金属製の扉を押そうとするが扉はビクとも動かない。押してダメなら引いてみるがうんともすんとも動かなかった。

 

 

「ん?んんーっ……だ、ダメ、全然動かない」

 

「開かないみたいだ。錆びついて建て付けが悪くなったみたいだな」

 

 長い年月が経ち人の立ち入りもなかっため風化或いは錆びがついて劣化してしまった。

 

「どうしよう、ここ以外入口はないんだよね?」

 

 

「扉が開かないなら、大タル爆弾で「「それはダメ(だ!)!」」……すんません」

 

 

 すぐに却下されてレクスはしょんぼりした。古い大灯台故に下手に爆発したら灯台そのものが壊れてしまうかもしれない。ユミアは開かない金属製の扉をじっと見つめ、アイラ達に視線を向ける。

 

「それなら私が修理してみようか?」

 

「え!?ユミア、修理できるの?」

 

「多分ね、この扉なら……」

 

 ユミアは辺りを見回し、灯台の近くに落ちていた金属片やスクラップしたパーツを拾うと小さなコンパスみたいな道具を取り出して操作し始めた。するとスクラップパーツと金属片が合わさり、金属の工具箱が出来上がった。

 

「ゆ、ユミア、今の何したの!?」

 

「あ、これ?略式調合っていって簡単な道具ならすぐにできるんだ」

「錬金術はそんなこともできるのか…」

 

「ほほう、採取してすぐに調合。俺達もよくやるよな」

「うん!すぐにアイテム補充できて便利だよね」

 

「レクスさんもブランちゃんもわかるんだ。それでこのリペアツールを使えば……」

 

 ユミアはリペアツールを使い、扉を修理する。数秒も経たないうちに開かなかった扉が簡単に開いた。

 

「おー!開いたー!」

「すごい技術だな…これも錬金術なのか?」

 

「これは錬金術というよりか純粋な修理技術ですかね」

 

「お兄ちゃんはこういうの全然だもんねー」

 

 アイラが悪戯っぽく笑いって茶化し、妹に笑われたヴィクトルはジト目で返す。

 

「アイラ、余計なことを言うんじゃない」

 

「わかるわかる。旦那さんも開かない扉とか立ち塞がる岩とかをすぐ大タル爆弾で突破しようとするからねぇ」

「だ、だってそっちの方が手っ取り早い気が……」

 

「あ、あはは、ブランちゃんも大変だね……」

「さ、ユミア、ブランちゃん、行こっかー」

 

 アイラが率先してユミアとブランを連れて不器用な2人を置いて先に進んでいく。

 

 人の出入りがなかったためか、灯台の中も相当風化が進んでいた。階段を登る途中が崩れているため飛び越えて行かねばならないところがあり……

 

「結構な段を登っ……おわっ!?」

「レクスさん!?そこ飛び越えないと!」

 

 辺りを見回しすぎてレクスが落ちそうになり、途中外の階段を登り梯子を登る最中は……

 

 

「気焔万丈ぉぉっ!」

 

「「」」

 

 梯子そっちのけで壁を駆け登るレクスの姿にユミアとアイラはぎょっとする。

 

「い、今どうやって駆け登ったんだ!?」

 

「んー……気合い?」

 

「いや気合いでどうにかなる登り方じゃなかったよそれ!?」

 

「旦那さん、翔蟲があったらよかったね」

「翔蟲と気合いで灯台の天辺までいけるんだがなぁ」

 

「レクスさんの世界の人ってみんなあんな感じなのかな……」

 

 レクスのトンデモフィジカルにユミア達は若干引いた。そんなことがありながらもエナジーコアの残量に気を配りつつ灯台を登り続けていくと広い空間のある場所にたどり着いた。

 高濃度マナでぼやけているが360°外の景色が一望でき、中央には不思議な紋様が描かれた円形の台座らしきものがあった。

 

「!!これは……!」

 

 

 円形の台座を見てユミアは何か気付いたのか駆け足で台座へと向かう。

 

「もしやこの台座が『循環器』というやつなのか?」

 

 ユミアの様子から察したヴィクトルが尋ねた。するとユミアの側で飛んでいたフラミィが振り返る

 

『いいえ、これは『循環器』が壊れた跡です。大災害で破損し、台座だけが残ったものと推測します』

 

「つまり、これが壊れたからマナが溜まったということ?」

 

「うん、本来なら装置は不要で、マナは自然と大地に循環するものなんだけど……」

 

「これも大災害が残した爪跡、ということか……ユミア、君は台座について知っていたのか?」

 

「概要程度は。この知識がアラディスにあるものに通用するか、確証はなかったんですけど……これなら」

 

 ユミアは台座の形を見て自信はあると頷いた。ユミアの錬金術が通用する、先程までの不安感は払拭され安心感に満ち溢れていた。

 

「だから『はず』とか歯切れ悪かったんだ」

 

「それでどうやって高濃度マナをはらうんだ?」

 

 レクスは台座をまじまじと観察し、恐る恐る触れても何も起きないので不思議そうに首を傾げる。

 

「実際に試したことはないけど……台座もちゃんとあった。きっと『あの時』みたいにすれば…!そうだよね、フラミィ」

 

『――はい、イリーネはそうしました』

 

 フラミィの言葉にユミアは真剣な眼差しで頷く。確信を得て自信に満ちたユミアは深呼吸をして台座の中央へと歩む。

 

「……見ててください。これからマナをはらいます」

 

 ユミアは目を瞑り、両手をゆっくりとかざす。すると台座の回りが淡く青白い光が光だし、数多の光がユミアの回りに漂い回る。

 両手を下ろしたユミアは目を開けて舞い踊り始めた。ユミアの舞いに反応するかの様に空間に漂うマナが光り、魚の群れ、或いは流星群の様に回りを流れるように動き出す。

 

「これは……!!」

「これって、全部マナ!?き、キレイ……」

「おぉ…!星の流れみたいだ…!」

「うわぁ…!すっごくキラキラしてる…!」

 

 ユミアは更に舞い踊り続ける。台座の光が強く灯され、まるで台座が彼女の舞いのステージのように輝く。

 ユミアの舞いによって流れるマナの範囲がさらに広がり、灯台内だけでなく外に漂うマナも反応し青く淡い光が流れ始めた。

 

 ユミアの舞いは更に早くなり、ステップを踏みながら踊り、漂うマナの光も強くなっていく。そしてくるりと回りながら跳び着地をしたと同時に灯台の回りに漂うマナが光り、優しい風となって流れ始めた。

 

――――

 

 モヤになって漂うマナが灯台を抜け、空へと流れる様は天の川の様で、調査拠点からもその様子が見えた。団員達をはじめ、エアハルトもこの淡いマナの光の流れに思わず見とれた。

 

「……やってのけたな、ユミア」

 

 エアハルトは嬉しそうにマナの光を見上げながら呟いた。

 

―――――

 

 舞いが終わり辺りにモヤとなっていたマナは消え、明るい日差しが空間に差す。静寂に包まれながらもユミアは息を整え側で飛んでいるフラミィを見て頷き、ほっと一息ついた後ヴィクトル達に向けて優しく微笑む。

 

 完璧に高濃度マナをはらえたのだった。

 

「高濃度マナが、晴れた……」

 

「すごい……すごいよ、ユミア!」

 

「ユミア、すごい!!とてもキレイだよ!」

 

 はっきりと景色が見えて晴れたことにヴィクトルは驚き、アイラは目を輝かし、ブランは大喜びで拍手をした。

 

「よかった、うまくいって……レクスさん、どうでした?」

 

 ユミアは腕を組んでじっと見つめているレクスに尋ねる。だがレクスは微動だにしない。

 

「れ、レクスさん……?」

 

「やばい……めっちゃ感動した。言葉にできない。ユミアめっちゃキレイ。やばい泣きそう」

 

「レクスさんなんで泣くんですか!?」

 

「もー旦那さんったら……ごめんねユミア。旦那さん、感動すると言葉足らずになっちゃうんだ」

 

「あはは、レクスさんって面白い人ですね」

 

 感涙しているレクスにユミアはくすくすと笑った。

 

「これならきっと、私も……」

 

 そんな最中、マナが晴れた景色を眺めていたアイラの拳を握る力が強くなっていた。一瞬深刻そうな表情を見せたが、今はその時でないと首を振り、いつもの明るい笑顔に戻った。

 

「それじゃ大成功で終わったことだし団長に報告しに戻ろっか!」

「ドシャグマの討伐も無事に済んだ。外の様子からして団長達も向かっているだろう。合流するだろうから僕達も行こう」

 

 ドシャグマのボス個体を討伐し群れを解消させ、高濃度マナをはらうことができた。安全がほぼ確証され、団員達も灯台に向かっているはずだ。

 

「すまん、行く前にもうちょっと観察してもいいか?」

 

 戻る直前、レクスがヴィクトル達を呼び止めた。

 

「構わないが、どうかしたのか?」

 

「少し心当たりが……」

 

 

 ヴィクトルから許可をもらい、レクスは再び台座をまじまじと見ながら観察をする。

 

「旦那さん、何か気になることがあるの?」

 

「ああ……ブラン、上から見てみたらわかると思う」

 

 ブランを抱き上げて台座を見下させる。するとブランも何か気付いたのかハッとなった。

 

「旦那さん…これって…!」

「でもなぁ、似てるんだけど台座だけだから……ちょっと違うかもしれない」

 

「レクスさん、台座に気になることが……?」

 

「ああ、俺達がいた世界で見つけた遺跡に似たような形をしたものがあったんだ……」

 

 レクスの言葉にユミア達は目を丸くする。レクスのいた世界にアラディスのものと似たような台座があるとは思いもしなかった。

 

「そいつが光って光の扉が開き、俺達は浮いて……この世界に流れ着いた。これって錬金術の類なのだろうか?」

 

「それは……わかりません。この台座はマナの流れに関する装置ですから……異世界と関わる錬金術が存在するのかは私にもまだわからないです」

 

「レクスのいた世界とアラディスの錬金術と何か関わりがあった可能性もわずかだがある……ということだろうか」

 

「それも一理あるかもな……俺のいた世界の古代文明も解明しきれてない技術や謎があるからな。このアラディスの地を進んでいけばきっとわかるかもしれない」

 

「レクスさん……一緒に謎を解き明かして頑張っていきましょう!」

 

 ユミアはフンスと張り切ってレクスを励ます。そんな張り切るユミアにレクスは笑って頷いた。

 

「ありがとうユミア、頼りにしてる」

 

 

――――――

 

 

 大灯台を出て、向かってるであろう調査団達と合流しようとしていたが、すでにエアハルト達こと調査団の面々がまっていた。

 

 

 

「お前たち、よくやった」

 

 エアハルトがマナが晴れた回りを見回してニッと笑う。

 

「団長!」

 

 既に待っていたエアハルトにヴィクトルはあたふたするがエアハルトは満足しながら頷いた。

 

「期待通りの成果だ。前に一度に、俺達が先行調査でやってきたが……高濃度マナ領域に阻まれ、目と鼻の先の灯台すら近づけやしなかった」

 

 長い時間、調査ができずにいてどれだけモヤモヤしていたか、何もできず悔しかったか、色々な思いや悩みもあったが今はそれもはらえた。

 

「だが今このとき、マナははらわれ、俺達は先へ進めるようになった」

 

 エアハルトはユミアに視線をユミアに向けた。

 

「ありがとう。これは調査団にとって、紛れもなく大きな一歩だ」

 

 エアハルトの言葉にユミアは笑顔で頷き首を横にふる。

 

「お礼なんて……これが、私の使命ですから」

 

「いい心構えだ。その調子で、これからも頼むぞ。それからレクス、ブラン」

 

 エアハルトは次にレクスとブランに視線を向ける。

 

「ありがとう、お前たちもよくやってくれた。討伐したドシャグマ……あのような強大なモンスターがいるとはな。お前たちがいなければユミア達も、俺達も進むことができなかった」

 

「いやぁ、お礼を言うのは俺達の方ですよ。ユミア達がいなかったら高濃度マナ領域内であのドシャグマを討伐できなかった。力を合わせてできたことです」

 

「それでもユミア達を守り、灯台まで導くことができた。2人は調査団に大きな貢献をしてくれたんだ。こいつを受け取ってほしい」

 

 エアハルトは赤い布のバンダナをレクスとブランに渡した。

 

「こいつはアラディス調査団の仲間の証として身につけているものだ」

 

「団長……もしかして……」

 

 エアハルトはニッと笑って頷いた。

 

「おうさ。レクス、ブラン、お前さん達もアラディス調査団の仲間だ。これからも俺達に力を貸してくれ」

 

「団長ぉぉっ!!ありがとうございますっ!!」

「えへへ、これからも頑張るよ!」

 

 調査団の仲間入りをしたことにレクスは感涙し、ブランは誇らしげに胸を張った。

 

「よかったですね、レクスさん、ブランちゃん!」

「レクス、ブラン、おめでとう。これからもよろしく頼むぞ」

「ふふっ、レクスさんったらまた泣いちゃってるー」

 

 ユミア達が2人を祝福している一方、他の調査団達はマナが晴れたことに本当に安全なのか、錬金術を信用していいのか未だに不安でいた。陰口をこぼす者もいたがこれもユミアの成果なのでこれ以上は何も言わないでいた。

 

「ヴィクトル、アイラ、これでわかったか?」

 

 エアハルトは2人に尋ねる。ユミアの錬金術についてどういったものか、その意味を理解した2人はユミアに視線を向けて頷く。

 

「ぼんやりとしたものだったけど……ユミアの力でイイ感じになったってことですよね!」

 

「マナを操る……彼女の錬金術の適正について理解出来ました」

 

 

 

「アラディス滅亡の解明に、未踏の大陸の開拓……ユミアの力があればその両方も、きっと成し遂げられる。もう何も叶わぬ夢ではないんだ」

 

 

「私の力で……」

 

 この力で調査団の長年の夢が叶う、この力が役立った。

 

「君の力が調査団に必要だと分かった。果たすべき仕事をしたんだ……これからもこの力を正しく行使してくれ」

「お兄ちゃん、固すぎだよ。ユミアの力がみんなのためになったんだから信じてあげようよ」

「む…?正しく行使するなら問題ないと思うが……?」

「だからそれが固いってばぁ」

 

 兄妹のやりとりにユミアとはくすりと笑う。

 

「さて、こうして土地も拓けたことだ。今後の調査のためにもしっかり活用しねぇとな」

 

 大灯台の近くに広く開いた土地を見ながらエアハルトはニッと笑う。

 

「まだまだ働いてもらうぞ、ユミア」

 

「はい、私にできることをしようと思います」

 

 調査団による開拓がこれから始まる。ユミアは自分にできることを全力でやりきろうと決め、笑って頷いた。

 

「じゃあ手始めに……テントを建てようとしてるレクスを止めるか」

 

 いつの間に開くた土地のど真ん中でレクスとブランはテントを建てようとしていた。ユミア達はダッシュでレクスを止めた。

 

「ちょ、レクスさん!?何してるんですか!?」

 

「え?ここをキャンプ地とするんだろ?そんでひと休みしたのち探索して……」

 

「判断が早すぎだよ!?ていうかど真ん中にふつう建てる!?」

「それよりもいつの間にキャンプ道具を持ってたんだ!?」

 

「あー……探索で便利なんだけどなぁ。ダメ?」

 

「ダメに決まってるでしょ!没収です!」

 

 ユミアはプンスカとレクスのテントを没収した。自由すぎる新しい仲間にエアハルトは苦笑いをした。

 

 




 序章のボス、ドシャグマを倒し、本編ストーリーの体験版にあたる最序盤編、ようやく突破。これから開拓にはいる……

 リグナス地方も広いからどんなモンスターを登場させようか悩みどころ
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