ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人 作:サバ缶みそ味
なのでちょっと無理やりいれてみました
拠点はどうしても空中都市か昔の出雲大社みたく階段作って空中に家を建ててしまう
アトリエの新調した窓に朝の日差しが差し、ベッドで眠っていたユミアは微睡みながら目を覚ます。
「ん……もう朝……?」
『ユミア、おはよう。30分遅い目覚めです』
目覚まし代わりにフラミィがユミアの側で声を大にしてわずかな寝坊を伝える。まだ眠たいためかユミアはムスッとしてフラミィをコツンと小突いた。
「むぅ……いちいち細かすぎ」
昨日は大灯台のマナをはらい、大灯台付近の土地の拠点作りのため一度アトリエにもどり設計図を考えたり、書いたりとその後も忙しかった。
「大体は書き終えたし、開拓任務を熟しながら拠点作りをしよう」
アトリエの外から土を耕す音が聞こえる。アトリエ周辺の開拓のため、レクスとブランが畑を耕しているようだ。
「レクスさん達、起きるの早いなぁ……」
日の出と共に目を覚ますようで行動が早い。流石は狩人というべきかまたは自分が寝すぎなのか。
それはさておき、畑の進捗具合はどうか何か手伝えることはないか、ユミアは着替えてレクス達の様子を見に行った。
_____
開拓任務①畑を耕そう
「レクスさん、おはようございま……」
外の様子を伺ったユミアは目を丸くする。既に何か所は畑ができあがっており、様々な形の葉っぱをもつ植物が植えられていた。アトリエの日陰になる場所にはキノコを育てるための原木が設置され、数は少ないものの青や赤や黄色のキノコが生えいる。
「えっほえっほ」
レクスは土を耕し畝を作り、出来上がった畝にブランが種を蒔いていく。
「れ、レクスさん。おはようございます…」
「おぉ!ユミア、おはよう。いい朝だな!」
「もうこんなに早く畑ができちゃってるじゃないですか。早すぎですよ」
アトリエの外の3分の2は畑が出来上がってしまっている。レクス達の作業の早さにユミアは驚かされた。
「慣れてるからな。今できてるのは薬草や弾薬等の素材になる植物、調合に必要なキノコ、そして怪力の種、守りの種、ウチケシの実がなる植物の畑だ」
「後は調合に使う虫の住処と養蜂用の花も育てるよ!」
レクスとブランは自慢げに胸を張る。意外と早く、しかも広めにできているものだからこれなら魔物も無闇矢鱈と近寄ることはあまりないだろうとユミアは安心する。
「すごい…それなら柵とか作ってあげようよかな……」
ユミアは何かできることはないか考え込む。レクスとブランの畑仕事の様子を見ていると自分もわくわくしてきた。
「ふう、キリがいいかな……よーし、水を撒くのを手伝ってくれ」
「「「「ぷにー」」」」
「………ん?ぷに?」
ユミアは聞き慣れない声にハッとなり、声がした方に恐る恐る視線を向ける。
「ぷに」
「ぷにぷに」
「ぷにー」
「ぷにに」
水を桶に移して運ぶレクスとブランに続くように頭に桶を乗せて運ぶ青色の丸い魔物こと『青ぷに』が4匹ついてきていた。
「れ、レクスさん!?その青ぷに達は!?」
「ん?あぁ、この子たちか?お腹すいてたのか誤ってマヒダケを齧って痺れてるところをウチケシの実をあげて助けたらすっかり懐かれちゃってな。畑仕事を手伝ってもらってんだ」
レクスは屈んで近くにいた青ぷにを撫でる。撫でられた青ぷには嬉しそうに跳ねた。
「いや青ぷにも魔物ですよ!?追い払わないと!」
「ええっ!?こんなにかわいいのに!?」
「畑仕事手伝ってくれるのに!?」
「ぷににっ!?」
青ぷに達はびくびくと震える。どうやらこの青ぷに達は敵意は全く無く、寧ろ可愛気があるのでユミア少し罪悪感を感じた。
おそらくではあるがレクスの植えたウチケシの実が気に入ったので食べたいのだろう。
「ま、まあ青ぷにはそこまで危ない魔物じゃないけど……ヴィクトルさん達が見たらどう反応するか……」
「ユミアー!おはよー……って、青ぷにの群れ!?」
「2人共おはよ……って、畑が既にできている!?それにその青ぷに達はなんだ!?」
案の定、アトリエにきたアイラとヴィクトルが畑の出来具合と青ぷに達にぎょっとする。
「それがレクスさんが青ぷに達を助けたらすっかり懐いちゃったようで……」
ユミアが事の顛末を話した。すぐに懐いていた青ぷにも達だが手懐けさせたレクスの腕に驚かされた。
「そうだったのか……レクス、手懐けるのが上手いんだな」
「まあね、極寒の雪山とか灼熱の火山地帯や砂漠地帯とかセクレトだけじゃ移動が困難な場所は小型モンスターを手懐けて安全な道を移動したりしてたからな」
「この青ぷに達、敵意は無いし畑仕事とか手伝ってくれてるみたいだし……お兄ちゃん、どうする?」
アイラが撫でたり抱き上げても警戒せず嬉しそうにプルプルする青ぷにを見てヴィクトルはこの青ぷに達なら問題はないだろうと考えた。
「アトリエの畑仕事を手伝い、僕達に危害を加えないなら大丈夫だ。一応団長には伝えておく」
「よかったー、ごはんもちゃんとあげるからしっかり手伝ってくれ」
「「「「ぷにー!」」」」
青ぷに達はにこやかに笑ってぴょんぴょんと跳ねる。
「こう見てると青ぷにもかわいいねー!」
「あの、ヴィクトルさん。噂で青ぷには食べるごはんによっていろんなぷにに変化するとか聞いたことがあるんですけど……」
「あー……レクスなら大丈夫、たぶん…きっと…おそらく……」
しっかり手懐けさせたレクスの腕なら大丈夫だと信じたいがレクスがやらかしそうで心配でたまらないヴィクトルであった。
___
開拓任務②拠点を建てよう
再びドゥクス大灯台にやってきたユミア達は大灯台の付近にある広い場所で拠点作りに取り掛かった。
「さっそく拠点作りを始めたいが……ユミア、まずは何をすればいい?」
「それでしたら……図案があります」
作業台を設置したユミアは設計図を広げる。図には大きな屋敷の全体図と設計が描かれていた。
「まずはすぐにできそうな一般的な拠点を建てようかと思います。他にも丈夫な柵を設置したり……」
「一般的な……拠点?」
小さめな小屋かと思ったら本格的なしかも一回り大きな屋敷なのでこれが手早く出来上がるのかアイラはきょとんとする。
「その建設に必要な木材や石材を集めればいいんだな?」
「はい、一定数の木材と石材、硝石等があればできます」
「よーし、力仕事なら任せてちょうだいっ!!」
レクスは張り切って灯台の道を駆け下り、すぐに両脇に沢山の木材を抱えて戻ってきた。木材を拠点予定地に置くと再び駆け下り木材を抱えて戻ってくる。
「こうしちゃいられないな……!」
ヴィクトルがやる気に満ちた眼差しで腕を捲り、レクスに続いて駆け下り、肩に沢山の石材を担いで戻ってきた。
「ヴィクトルもやるな!どっちが沢山持ってこれるか競争だ!」
「ああ!望むところだ!」
互い感化された2人は更に張り切り猛スピードで建設に必要な素材を集めていく。そんな2人の熱気とやる気とは裏腹にアイラはやや呆れ気味に笑う。
「2人共張り切りすぎ……」
「あ、あはは……」
ユミアも苦笑いするが2人のおかげで必要な数の素材がすぐに集まった。一方で気力を使い切ったレクスとヴィクトルはヘトヘトで座り込んでしまう。
「ふう、いやーいい汗をかいた」
「はあ…はあ……そ、それで、ユミア……建設は応援を呼んだ方がいいか?」
「応援なら大丈夫です。あとは私が」
ユミアの言葉に2人はえっとなりユミアの方へ顔を向けた。ユミアが杖を使って石材や木材をポフンという音を出して石や木の床や窓付きの壁、屋根の一部等に変えていった。
「「」」
あっという間に壁や床へと作り上げるユミアのやり方にレクスとヴィクトルはあんぐりとする。
「それからこうやって……」
作られた壁や屋根はユミアが杖をかざすとふわふわと浮いて積み木のように組み立てく。作り、組み立ての繰り返しで半日もかからずに一般的な拠点が出来上がった。
「うん、こんな感じかな」
一息ついてドヤ顔で頷くユミアに対して目の前であっという間に出来上がった拠点とユミアの力にヴィクトル達は呆気にとられていた。
「いやユミア!?今の何!?どうやったら短時間でできるのこれ!?」
「ま、まさかこれも錬金術の類なのか!?」
「これは私流の錬金術の応用した建築技術です。マナを操って浮かせたり組み立てたりできて便利なんですよ」
ユミアの力には驚かされたがエアハルトがユミアに拠点作りを任せたのも納得ができた。
「もしかしたらアラディスの建築も錬金術士が携わってたかもね……」
「可能性があるな。意外と奥深いものだ……」
「すごいなユミア!この大きさなら俺のいた世界じゃ男手数人で2日でできるが短時間で作るなんてな!」
「えへへ、もの作りは得意なんです」
照れるユミアもだがこの大きさのものを2日でできるレクスの世界の住人達も大概だと兄妹は心のなかでツッコミを入れた。
「だがまあ……これなら今後の調査の足掛かりになるな」
ユミア共に進み高濃度マナをはらい、こうして拠点を建てていく。そうすれば他の調査団員達が続き調査や開拓が効率よく進んでいく。
「よし、拠点ができたことを団長に報告しに行こう」
「あ、まだベッドやカーペット、それに照明や本棚とかを作って設置しようかと……」
「……ユミアも意外とこだわりがあるんだ」
内部の設置にユミアはかなりこだわったためか完成してから拠点に戻るのにかなり時間がかかった。
_____
「おお、大灯台の拠点が完成したか」
調査拠点に戻り報告するとエアハルトは早い完成に満足して頷く。
「中はユミアがかなりこだわって設置たけど…」
「ユミア、匠にもなれるな!」
「むー…大工じゃなくて錬金術士ですー」
レクスに茶化されたユミアはムスッと頬をふくらませる。
「これからはお前たちが辿る道を俺達が続いて進んでいく。そのための拠点は必要不可欠だ。頼りにしてるぞ」
「はい!任せてください」
頼りにされユミアは少し誇らしげに頷いた。また一歩進むことができたことが何よりも嬉しかった。
ドゥクス大灯台に新しく建てられた拠点に向けて幾人かの団員達がそこに向かう準備をしている最中、1人の団員が息を荒げて慌ただしく戻ってきた。
「だ、団長!たいへんです!」
戻ってきた団員の後方から足や腕にケガを負った数名の団員達が続いて戻ってきていた。
「どうした。何かあったのか」
「だ、大灯台に向かう途中……変な鳥みたいな魔物に襲われて……!」
息を荒げて報告する団員に調査団員達はざわつく。大灯台に彷徨いていたドシャグマのボス個体を討伐したばかりだというのにまた見たことのない魔物が現れた。エアハルトは落ち着いて息を荒げる団員に尋ねる。
「その変な鳥みたいな魔物を詳しく話せるか?」
「は、はい……羽毛は無くてピンク色の鱗に、頭に特徴的な鶏冠が……」
「あの、もしかしてその魔物、顎がしゃくれてて鶏冠みたいなのがこんな形でついてなかったか?」
話を聞いたレクスは両手を頭の横に添えて目撃した団員に尋ねると団員は何度も頷いた。
「そ、そうだそれだ!一見大人しそうに見えたと思ったら、急に襲い掛かってきたんだ」
「旦那さん、これはやっぱり……」
「ああ、間違いないな。【怪鳥】『イャンクック』か」
やはりと納得したレクスは指笛を吹いてセセリを呼んだ。
「イャンクックは繁殖期以外は群れを作らず単独で行動する。脅威になっていたドシャグマの群れがいなくなり、行動しやすくなったのかもしれない。縄張りを作る前に対処しないと」
「早急な対処が必要か。レクス、やってくれるか?」
「もちろん、任せてください」
「ボク達に任せて!」
レクスとブランがセセリに乗り、現場へと向かおうとする前にヴィクトルとアイラがレクスを呼び止めた。
「レクス、僕達もついて行っていいか?今後レクスのいた世界のモンスターに出くわすこともある。僕達も対処や戦い方を身につけておきたい」
「私もレクスさん程力はないけど……強くならなきゃって」
2人に続いてユミアもレクスを呼び止める。
「レクスさん、私もヴィクトルさんとアイラと同じ考えです。私達が先陣を切ってアラディス各地にある高濃度マナ領域へ進みマナをはらう……その先には危険な魔物やレクスさんの世界にいた危険なモンスターがいるかもしれない。その困難を乗り越えるためにも私達は強くならないと」
ユミア達の話にレクスとブランは顔を見合わせどうすべきか悩んだ。自分達のいた世界のモンスターには想像以上に危険な存在もいる。
「レクス、心配すんな。ユーステラ騎士団のひとりでもあり、俺達調査団含めユミア達も冒険者のひとりだ。戦いのいろはも心得ているし、危険な時は退くことも知っている。危ない真似はしない」
悩むレクスにエアハルトがニッと笑ってユミア達の方へ視線を向ける。ユミア達なら大丈夫だという太鼓判とユミア達に教えてやってほしい願いにレクスとブランは再び顔を見合わせる。
「旦那さん、この先のことを考えたら大事かも……」
「そうだな……よし、わかった。イャンクックといえども大型モンスターだ。準備をしっかりしてから行こう」
――開拓任務③へ続く
長くなりますので前編後編と分けました……
しれっとみんなの先生ことイャンクック登場。
クック先生ならユミア達を強くしてくれる……はず