ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人 作:サバ缶みそ味
性能はともかくティガレックスのチャアクが好きなのではやくティガレックスがワイルズに出て来ないかなぁ!
「うん……!こんな感じかな」
アトリエの寝室の一角にある作業台で作業を終えたユミアは一息ついた。そこにアイラとレクスとブランがひょっこりと顔を覗かせる。
「ユミアー、今日の開拓任務だけど……あれ?何してるの?」
よく見ると作業台の上にはユミアがいつも履いているブーツが置かれていた。
「前回イャンクックの戦いを参考に改良をしていたんだ。強度を高めて戦えるようにカスタムしてあるよ」
「モンスターに踵落としをする人なんて狩人でもいないだろうな……」
イャンクックからスタンをとったほどだから今後出くわすモンスターにも踵落としをするのかとレクスは苦笑いする。
「ユミア、中には岩よりも頑丈なモンスターもいるから気をつけてね?」
「ブランちゃんありがと。その時は更にカスタマイズするから!」
「まさか踵落としで岩を割ったりしないよね……?」
「目標はそれぐらいかな。それだったら次の強度は……」
そう言うやいなやユミアはノートに計算式と図案を書き始めた。
『熱心に研究開発に没頭するのはいいことですが、そろそろフラミィの定期メンテナンスにも取り掛かってほしいものです』
「あはは……フラミィも大変だね」
研究熱心なユミアの姿にアイラはくすりと笑う。彼女にもこだわりがあったり意外な一面があったりと初めて知った。
「ねえユミア、何か手伝えることある?」
「なんか楽しそうだから俺達も手伝うぞ」
「ありがとう!それなら必要な鉱石の採取を……」
ユミア達が没頭するあまり、ヴィクトルとの集合時間にかなり遅れてユミア達はヴィクトルからたっぷり説教をくらった。
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「どうだレクス、ブラン、調査団の中は馴染めたか?」
エアハルトはニッと笑ってレクスとブランに尋ねる。開拓任務をいくつか熟し、また団員の話を聞いたり依頼を受けたりとレクスとブランは団員達と交流を深めていた。
「団長、みなさん活気があってこっちまで元気をもらっちゃってますよ!」
「開拓任務もバッチリだよ!」
「そいつはよかった。ところで今回からリグナス地方の本格的な調査に取りかかる訳だが、ひとり紹介したいやつがいる」
「協力者、ですか?団員の方ですか?」
ユーステラから派遣される調査団の中には冒険者だけでなく生物学、植物学、考古学などあらゆる分野の学者や研究者もいる。
「ああ、調査団に参加している学者で、ウィルマという先生だ。ユミア、お前が持っている力を借りたいそうだ」
「珍しい…私にできることがあるなら協力したいです」
自分の力が必要とされていることに意外と思ったが力になれるなら全力で取り組むとやる気に満ちた。
「ああ、まずは会ってみてくれないか?とはいってもあいつは現場にいるみたいだが……」
エアハルトは少し困った顔をして山のある方角に視線を向ける。
「調査熱心なのはいいが、冒険者と組んで行動することをすっかり忘れててな……」
イャンクックの襲撃があったことから学者達は冒険者と複数人で行動するよう決めたのであった。
「わかるなぁ……つい夢中になりすぎてモンスターのことすらアウトオブ眼中になる学者や研究者もいるからねぇ……」
「レクスさん、なんだか心当たりありそう……」
「モンスターと遭遇する前に僕達が向かおう。みんな、準備ができてるなら直ぐに行こう」
レクス達はそのウィルマという学者が単身で調査している山へと向かった。
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岩場を乗り越え、針葉樹の森を抜けた先、リグナス地方に広がる草原が一望できる崖のあたりにその学者はいた。
おっとりとした風貌の女性で、崖から景色を眺めていたがやってきたユミア達に気づくとにこやかに笑ってお辞儀をした。
「みなさん、ウィルマ・ルッターです。お噂はかねがね。早速お越しいただいて、とても助かります」
「だ、旦那さん、すごく礼儀正しくて立派な学者さんだよ…!」
「こ、こらブラン。学者さんは礼儀正しくて立派なんだぞ。だけど……ウィルマさんは群を抜いて礼儀正しくて立派だ…!」
「いや驚きすぎだって……」
レクスとブランの驚き様に一体学者関連で何かあったのかとアイラはツッコミをいれたかった。
「それよりも単身で行動して大丈夫だったのか?」
ヴィクトルはモンスターに出くわすことなく無事にいるウィルマに尋ねるとウィルマはにっこりして頷く。
「はい、この子に安全な道を案内してもらったので大丈夫でした」
ウィルマは足元にいるゴーグルをつけた三角帽子を全身に被っている小人のような生物に視線を向ける。
「これは………タケノコの妖精?」
「レクスさん、タケノコの妖精じゃなくて『アルバー』という種族ですよ。世界各地に住んでいて、このアラディスにも暮らしている種族もいます」
「ねーねー、このガシャガシャののっぽさんがでかでかのガオガオをやっつけてくれたのー?」
陽気に尋ねるアルバーにレクスははてなと首を傾げると、ウィルマは微笑んで頷く。
「レクスさんのいうドシャグマのことですよ。アルバー達もそのモンスターに悩まされていたようです」
「そうだったのか……ああそうだよ。とはいってもユミア達と力を合わせてやっつけたんだ」
「そうなんだー!ありがとー!お礼にいいものたっくさんもってくるからね!」
「調査団はアルバーと植物や魚、鉱石など物々交換をして交流しているんです。おかげで珍しい品種を発見できたり、調査研究が捗りっているんですよ」
「物々交換かぁ……私も素材で何か交換しようかな」
ここでしかない素材が手に入れば何か錬金術で新しい道具が作れるかもしれない。ユミアは拠点に戻ったら早速物々交換をしようと考えた。
「ところで、団長から手伝ってほしいという話だけもらったが……さっそく具体的な要件を伺ってもいいだろうか?」
「はい、今私は『精霊と共に暮らす村』について調べています」
「『精霊』?アルバー達のことじゃなくて?」
ブランは不思議そうに首を傾げる。アルバーは見た目からしていかにも精霊っぽい雰囲気をしているのだがどうやら違うようだ。
「『精霊』……この概念を理解するには、まずは信仰文化について説明する必要がありますね。みなさんは豊穣神信仰についてご存知ですか?」
「豊穣神信仰……名前ぐらいは、という所ですね」
アイラは苦笑いをしながら答える。名前は聞いたことはあるが詳しくは知らない。
「『豊穣』か……俺のいた世界では砂漠の海を渡る巨大な龍がいてな。街には甚大な被害を与えるが、そいつの素材や身体についた希少な鉱石から莫大な利益を得たり、そいつの排泄物や餌のおこぼれを食べに生物が大量に現れ人々の食糧になったりと『厄災と豊穣』の象徴とされている。これと似たようなものかな?」
レクスの話を聞いたウィルマは目を輝かす。
「その話、すごく気になります!ぜひ詳しく……あっ……ごほん、豊穣神信仰は元はアラディスに住んでいた少数の民に伝わっていた文化でした。形態は様々ですが、広義では『大地に眠るマナとその恩恵を崇めること』を指します。『精霊』というのもそのうちの1つ、これは豊穣神の化身を指す言葉だとされています」
「なるほど……『豊穣神』または『精霊』の象徴とされている存在、或いは物がその村とやらにいたのか」
レクスは納得しながら頷くとウィルマは更に目を輝かす。
「レクスさん、その通りです!そしてその『精霊』の加護を受けて繁栄した村があるんですよ。興味深いと思いませんか!」
「は、はい…」
ふんすと張り切るウィルマにアイラ達は苦笑いするがレクスとブランは納得しながら頷く。
「あ、失礼……私の一族はアラディス帝国の末裔にあたります。実家に、豊穣神信仰文化がわずかに伝わっています」
「なるほど…それで詳しく調べているんですね」
「ええ、文化人類学者である私の仕事はこうしたアラディスの文化を解き明かすこと。ですが…性質上、マナや錬金術とも深く関わる分野で、よろしければご協力いただきたく」
「もちろん、そういうことでしたら」
このアラディスでは文化として人とマナと錬金術は深く関わりがある。自分の持っている知識が力になれるのならばとユミアは
笑顔で承諾する。
「手始めに現地のアルバー達に聞いてみたのですが、まだ具体的な手がかりには辿り着けていない状態です」
「ふむ、状況は分かった。ユミア、どうする?」
ヴィクトルに尋ねられたユミアはどうするか深く考えた。
「それなら私達も協力して調査してみます」
「うん!錬金術の力があればきっと手がかりも掴めるはずだよね!」
「そうだね……では私達はこの周辺の調査から始めましょうか」
「ありがとうございます!では私は引き続き伝承の聞き取りを続けますね」
ウィルマはアルバーと一緒に山を下りていった。この土地に詳しくモンスターに出くわさない安全な道を知っているアルバーと一緒なら心配はないだろう。
「さて、僕達はどこからを調査しよう?」
「やっぱり足で稼ぐしかないかなぁ。緑豊かな場所だけあって大変そう…」
『精霊』に関する手がかりはなく、リグナス地方だけでも広いため足で調査するだけでも一苦労する。
「うーん……そういえば、この辺りって入口が壊れて入れない廃墟がいくつかあったっけ?」
長い年月を経て風化し扉が壊れて調査が行き届いていない廃墟がいくつか点在している。
「なるほど……大タル爆弾でこじ開けるんだな?」
「いやダメですって。そこを調べてみるのはどうですか?」
「そうか!ユミアの錬金術でリペアツールを作って直せば調査ができるもんね!」
「いい考えだ。たしか川沿いに朽ちた塔があったな…」
「川沿いの塔って…あれのこと?」
ブランは崖から一望できる草原の先にある川沿いの丘に建つ廃墟の塔を眺める。
「一度山を下りて向かうか…」
「ヴィクトルさん、これを使えば一気に移動できますよ」
ユミアは崖の近くに設置されている青く光るラインが通っている柱を指差す。
「調査拠点にも似たようなのがあるよね。これって何?」
「たぶんジップライン。昔の人はこれを使って木材や石材の運搬、気軽に移動したと思われます」
ユミアは略式調合で黒いグローブのようなものを作りヴィクトルとアイラに渡す。
「これを使えば私達も利用できます。アトリエ近くにもあったので作り試したところ、安全に使えたので大丈夫ですよ」
「このジップラインも錬金術で作られていたのか……つくづく便利だな」
「そうだったんだー……あちこちにもあるから昔の人は結構利用してたんだね」
「あとはレクスさんの分も……「イヤッフゥゥゥッ!」えっ?」
レクスはスリンガーをジップラインに引っ掛けると颯爽と移動していった。
「ちょ、レクスさーん!?そっちはまだ高濃度マナ領域ですよ!?」
「ごめんユミア!旦那さん、颯爽と移動できるの好きな人だから!」
「急がなきゃ!ブランちゃん、私につかまって!あとお兄ちゃん、レクスさんを羨ましそうに見ちゃダメだからね!」
「えっ、あっ、すまない……」
ヴィクトルも『イヤッフゥゥゥ』をしたかったが兄の威厳のため我慢した。
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「ほんとーにすみませんでした」
レクスはユミアとアイラに土下座して謝った。高濃度マナ領域に入り、エナジーコアによる膜が張られ高濃度マナの影響は未然に防いでいる。
「まったく…『イヤッフー』したい気持ちはわかりますけど無茶はダメですからね」
「ユミアも気持ちはわかるんだ……」
「とりあえず先に進もう。高濃度マナ領域内だから迅速に塔の中を調査しなければな」
エナジーコアの残量に気をつけつつ、レクス達は廃墟の塔へと向かう。塔の入口は既に朽ちてしまったのか崩れており中に安易に入れた。
「既に開いてたかぁ……大タル爆弾がダメならこれでこじ開けようと思ってた」
レクスは背中に背負っている青い虎柄の模様がある爪と牙のデザインがされた大きな盾をコツンと叩く。
「だから力技はダメですって」
「気になってたけどその盾みたいな武器はなんですか?」
「こいつは剣にも斧にも変形できる武器、チャージアックスのひとつ、『轟盾斧【大騎虎】』。中にビンが搭載されていて、そのビンにエネルギーが蓄えられ、そいつを使って戦うっていうちょっと変わった武器なんだ」
「ちょっとどころかかなり変わってる気が……」
「カッコイイな……」
アイラはちんぷんかんぷんだったがヴィクトルはかなり興味を示していた。
「あっ……これは使えそう」
塔の調査をしている最中、ユミアは金属でできた筒のようなものを見つけた。珍しいもなのかとブランが軽くつつく。
「これは?」
「これは『伝想器』。錬金術のレシピが記憶されるもの以外にも音声や通信を記憶するものもあるんだ。フラミィ、スキャンお願い」
『わかりました。スキャンを開始します』
フラミィが伝想器に近づきプルプルと自身を震わせ光を発する。するとフラミィの光に反応したのか伝想器も仄かに光らせた。
『情報を読み取ることができました』
「おー…フラミィには伝想器とやらに記憶されている情報を解析することができるんだね!」
『音声が記憶されているようです。ユミア、再生しますか?』
「うん、フラミィお願い」
フラミィが再び光を発すると同じように伝想器も光を灯す。
『―――地底湖からまた聞こえたんだよ。大勢の人の声なんだ』
伝想器から若い男性の慌てる声が再生せられる。
『だが、あんな所には何もないはずだ。気のせいじゃないのか?』
続けて中年の男性が若い男性を諌める声が再生された。
『信じてよ。もう何人も聞いてるのよ。気のせいじゃない、何かいるのよ』
同席していたようで若い女性の怯えた声が再生される。
「……え、何これ。怪談!?」
尋常じゃない内容でアイラはぎょっとする。伝想器にはまだ音声が記憶されているようでまだまだ再生される。
『調査が入ったものの、何も見つからなかっただろう?』
『でも声はやっぱり聞こえているんだ。原因もわからない、いい加減にしてほしいよ』
どうやら地底湖に赴き調査をしていたようだが何も見つからなかったらしい。怪談じゃなかったとアイラはほっとしたその直後だった。
『―――まさか、噂の精霊――』
何かを見つけたのか怯えた中年の男性の声が途切れ、伝想器が発していた光が消えて再生が終わった。一部始終を聞いたユミア達の間に静寂が過る。
『ユミア、読み取れる記憶は以上です』
「今途切れる直前、精霊って言葉が……」
「今の話からすると……地底湖に何らかの形で精霊が絡んでいる可能性が高そうということか」
ユミアとヴィクトルは地図を広げて確かめた。情報からしてリグナス地方にある地底湖がないか探るとひとつ見つけた。
「記録では『ケラル地底湖』という場所があるようだな」
「もしかしたら村の手がかりが掴めるかも!」
「ま、まさか本当に怪談なんてことはないよね!?」
一部始終を聞いていたアイラはびくびくしていた。怪談話ではないかと気にするアイラにレクスは明るく笑って励ます。
「大丈夫大丈夫!幽霊じゃなくてモンスターかもね!」
「いやそっちも怖いよ!?」
「実際に行って確かめてみるか……」
_____
ユミア達は高濃度マナ領域を抜け、地図で確かめながらケラル地底湖へと向かった。険しい岩場の道を抜け、途中魔物に遭遇するがレクスの持っていたこやし玉で追い払い、大きな洞窟の入口に辿り着いた。
「ここがケラル地底湖の入口だ。昔の人はこの地底湖で採掘していたらしい……」
「ふむふむ、ピッケルを持ってくればよかったな…」
「旦那さん、採掘より調査が先だよ」
炭鉱夫になろうとするレクスをブランが止めつつユミア達は地底湖の奥へと進んでいく。
「おーい!誰かいませんかー!?」
アイラが大声で呼びかける。しかし声が木霊するだけで何も反応は無かった。
「……これで返事が返ってきたらそれはそれで怖いな……」
「ずっと耳を澄ませていたけど、人の声は何も聞こえなかったね」
聞こえるのは自分達の足音と地底湖内で遭遇したビーバー種の魔物の声だけであった。
「レクスさん、なにか痕跡はありました?」
「うーむ、この辺りにはなかったなぁ…」
レクスの導蟲も反応はなく、これといった収穫は無かった。
「さすがに空振りか……」
「うーん……塔で見つけた記録はなんだっんだろうね」
「この辺りには読み取れるものは見当たらないし、ちょっと行き詰まっちゃったかも」
「まあそう焦るな。一度来ただけで分かることも、そう多くないだろう。ここは一度戻って、団長に報告すべきだ」
ヴィクトルの言う通りそう簡単に見つかるものではないこともあるとユミア達は頷く。調査を切り上げ、これまでの調査を団長に報告しに戻ろうとした。
―――――オロロロォン……
地底湖の奥から何か歌声のような声が聞こえた。耳にしたユミア達は足を止めて振り返る。アイラが恐る恐るユミアの方に目を向ける。
「……ね、ねえユミア……何か聞こえなかった?」
「うん……聞こえた」
「僕も確かに聞こえた。まるで歌声みたいな……」
――――オロロロロォン……
再び地底湖の奥から歌声のような声が響く。気のせいじゃないとユミア達は顔を見合わせる。
「気のせいじゃない!聞こえる!」
「も、もしかして、精霊!?」
確かめてみようとユミアとアイラは駆け足で声のする方へと向かう。一方、レクスは腑に落ちないようで首を傾げていた。
「今の歌声……どっかで聞いたことがあるような……」
「ボクも聞き覚えがあるよ……」
何か、嫌な予感がするとレクスは胸騒ぎしつつユミア達の後に続く。地底湖に響く歌声を辿り、広い地底湖に着いた。水深は浅く、足首が浸かる程度であった。
「確かここから聞こえてだような……」
「おーい!もう一度歌ってくださーい!」
精霊が歌っていたのかもしれないとユミアとアイラは水辺近くまで寄って確かめる。様子を見ていたヴィクトルも何かあると警戒し始めた。
「さっきの歌声、まるで僕達を惑わせおびき寄せたように見えてきた気がしてきたのだが……」
「惑わせる……あっ、まさかっ!!」
ヴィクトルの言葉でレクスは思い出しユミア達の方へ急ぎ駆け出した。
「ユミア、アイラっ!!いますぐ水辺から離れるんだっ!!」
ユミアとアイラがきょとんとした直後、地底湖の奥から勢いよく何かがユミア達に迫ってきた。
「キュロロロロッ」
山吹色の鱗を持つ細く長い体躯、丸みを帯びた頭部から生えた紫色の大きなヒレ、口内や喉元を青白く光らせたモンスターが前脚の鋭い爪でユミア達に襲いかかろうとした。
それよりも早くレクスがユミア達の前に立ち、チャージアックスの盾で防ぎそのモンスターの身体を押し上げる。
「うおおおっ!!どっせいっ!!」
力強く盾を押し上げてモンスターを押し退けた。モンスターはバランスを崩して転がるも長い尾ビレで直ぐに起き上がる。
「ユミア、アイラ!大丈夫か!?」
「れ、レクスさん、あのモンスターは何!?」
「もしかしてあれが歌声の主!?」
「あれは【人魚竜】『イソネミクニ』。綺麗な鳴き声をしているがかなり凶暴なモンスターだ」
「人魚という名がついているのに見た目通り恐ろしいモンスターだな…!」
ヴィクトル達は武器を構え、イソネミクニと対峙する。イソネミクニはギロリと睨むと大きく息を吸う。
「耳を塞ぐんだ!」
「キュロオオォォォッ!!」
イソネミクニは地底湖全体に響き渡るようなやかましいほど大きく甲高い咆哮をあげた。
地底湖暮らしのイソネミクニさんの登場。
最初はフルフルかギギネブラにしようかと思いましたがアイラがトラウマになりそうなのでチェンジ。
イソネミクニだけにミックミックにしてやんよ!