ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人   作:サバ缶みそ味

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 星8の歴戦ゴアが強すぎて泣いた

 難易度LEGENDの仕様でいつの間にか全滅して泣いた


15話 新しい武器、マルゴー樹海へ

 アトリエにて、ヴィクトルが団長に報告しに戻りアイラがレクスのハンモックで寝息を立てている間、レクスはブランと青ぷに達と畑で薬草やキノコ、木の実を収穫していた。

 

「よしよし、怪力の種や守りの種も弾薬の素材になる実もたくさん採れたな」

 

「ぷにぷに」

「ぷにっ!」

 

「こらこら、ウチケシの実を食べ過ぎたらダメだぞー?」

 

「ハチミツは沢山採れるまでまだ時間かかりそうだね……つまみ食いしてないよね?」

「ぷ、ぷにに……」

 

 

「あ、あのー……たった数日で実や種が成るなんて……早すぎません?」

 

 短期間で収穫できるほどの成長速度にユミアは思わずツッコミをいれた。

 

「あれだな。肥料がよかったんだろうな」

「竜のフンとか灰があったらもっと早く収穫できるよ。1日くらいかな?」

 

「……レクスさんの世界の植物の生命力がおかしすぎる」

 

 彼らの世界の大自然の逞しさと言うべきなのだろうか、ユミアはますます分からなくなってきた。

 

「さてと、ブラン達は火薬草とニトロダケを干しといてくれ」

 

 ブランと青ぷに達が共に火薬草とニトロダケを笊に移して運び天日干しにしている間、レクスはアイテムBOXから石臼を取り出して白い木の実を幾つかいれて挽いて粉にしていた。

 

「レクスさん、これは?」

「これはチャッカの実とハッカの実。挽いて粉にしたものはボウガンに欠かせない火薬粉に利用できるんだ。一種でも十分な火薬になるがこの2つを掛け合わせるとより強い火薬粉になる」

 

 続いて収穫した木の実から先端が丸い筒形の実と先端が尖った木の実を取り出してユミアに見せる。

 

「先端が丸いのが『カラの実』、尖ってるのが『ハリの実』。どちらとも殻が頑丈で弾頭と薬莢の材料になる。火薬粉を入れて組み合わせるとより威力のある銃弾になり、また種も『放散弾』や『散弾』の弾になるんだ」

 

 

 レクスはハンターナイフでくり抜き種を出した後に組み合わせると銃弾を作り上げてユミアに渡す。

 普段錬金術で作り、使っている銃弾と比べて一回り大きく、頑丈な手触りにユミアは驚く。

 

「すごい、植物で作られた銃弾なのに金属みたいに、いや私が使ってる銃弾より頑丈だ……」

 

「他にも組み合わせでツラヌキの実で貫通弾、ザンレツの実で斬裂弾、バクレツの実で徹甲榴弾、火薬草等で属性弾になるんだ」

 

 ユミアは植物や木の実だけで火薬や銃弾が出来上がることにレクスの世界の技術に驚きを隠せないでいた。

 

「これが狩人の知識と力……そうだ!レクスさん、この銃弾をお借りしてもいいですか?」

 

「お、おぉ?」

 

 何か閃いたユミアはすぐさまアトリエに戻り作業台で設計図を書き始めた。

 

「何か作るのか?」

「はい、レクスさんの銃弾に対応した杖銃を作ろうかと。私の使う銃弾だとモンスターには効いていないみたいで、魔物討伐にもモンスターとの戦いにも対応できるものが必要だったんです」

 

 ユミアが撃つ銃弾では弾かれるか当たりはしても手応えが薄すぎてモンスターの気を逸らすぐらいしか効果が無かった。この銃弾やレクスの作る様々な銃弾に対応できる杖銃が出来れば力になれるはずとユミアは考えた。

 

『ユミア、この杖銃の素材では耐久と強度に問題があります。この銃弾では威力が強すぎて杖銃が耐えきれず引き金を引いた直後に杖銃自身が爆散してしまいます』

 

「えっ、そっか、私達の世界の素材では強度に難があるか……うーん……木材だとすぐに壊れるし、鋼材だと重くなって持ちにくくなる。どうしよー……」

 

 悩むユミアを見たレクスはアイテムBOXから何か探り、ひときわ大きい骨と桃色の鉱石を取り出し作業台に置いた。 

 

「ユミア、これを使ってみたらどうだ?」

 

「レクスさん、この骨は……」

 

「これは重竜骨。かなり頑丈でテントの骨組みの素材になるし、ボウガンや弓の修理にも使うから強度もバッチリだ」

 

「へー……ん?竜骨……りゅ、竜骨ってことは竜の骨ですかこれ!?」

「ん?そうだけど?」

 

 当たり前のように頷くレクスにユミアは思わずぎょっとする。簡単に手に入らないドラゴンの素材をなんで普通に扱っているのか、レクスの世界では竜が跋扈しているのだから当然かと直ぐに納得した。

 

「そしてこっちはユニオン鉱石。丈夫な防具や武器の素材になるし、防具の修理や繋ぎに使われる」

 

「なるほど……竜骨は少し重いけど加工すれば問題無さそう。フラミィ、スキャンして」

 

『スキャン開始……骨の素材、鉱石の素材、どちらも強度と耐久に問題なく、寧ろより強い杖銃が作れます」

 

「これならいいのが作れそう!そしたら採寸して……」

 

 ユミアは設計図に計算式を書き、計算に当てはめながら杖銃の図を書き上げ、短時間で杖銃の設計図を完成させた。

 

「ほー、そしたら今から加工して作るのか?」

「いえ、伝想器を使えばすぐにできます。フラミィ、送信して」

 

『了解しました』

 

 ユミアは無色の伝想器を取り出すと、フラミィが自身を光らせ設計図をスキャンしもう一度自身を光らせた。すると伝想器が光りに反応し、黄色く光らせると無色の伝想器が黄色に変色した。

 

「おぉ、今のは?」

 

「伝想器に設計図の記憶を入れて杖銃のレシピを作ったんです。私も出来るんですが、フラミィの方が正確に出来るんですよね……」

 

『これはフラミィが自慢でできることです』

 

「もう一言余計。そしてこの伝想器を使って錬金術で生成します」

 

 台に立ち、伝想器を光らせて掲げると伝想器からアトラスコアが光りながら飛び出して宙に浮く。

 

「レクスさんの銃弾と火薬粉、重竜骨とユニオン鉱石……これを素材にして……」

 

 アトラスコアに素材を入れた直後、強い光を発しユミアは軽く声を上げて驚く。ユミアが尻もちをつきそうになったところをレクスが慌てて受け止める。

 

「ユミア、大丈夫か!?」

「ご、ごめんなさい。コアの強さとマナとの共鳴の強さにビックリしちゃって……上手にマナを操作しないと失敗しちゃう」

「どうする、支えておこうか?」

「ありがとうございます、でも大丈夫。私の力で作り上げてみたいんです」

 

 ユミアは深呼吸し、手を光らせてマナを操る。川の流れのように流れたマナは強い光の中へ収束すると光の強さが緩くなり眩しさも落ち着いてきた。

 

(これならいける…!)

 

 マナの流れを操作しながらユミアは舞い踊る。マナの光が流れ、アトラスコアの中へと集まりやがて一つの光となる。ユミアが踊り終え、ふわりとユミアの手元へ降りていくと光は消えて桃色の宝玉の装飾が付いた白い杖銃が現れた。

 

「よし、完成した…!」

 

 強度、重さにも問題なう見事完成して嬉しそうに微笑むユミアにレクスは拍手を送る。

 

「すごいなユミア!こんなかっこいい杖銃が出来上がるなんてな!」

「えへへへ……ありがとうございます」

 

 上手くできて、更にはレクスに褒められてユミアは照れながら笑う。

 

 

「なるほど……錬金術で武器も作れるのか」

 

 はっとしたユミアは恐る恐る声の方へと振り向く。そこにはヴィクトルが腕を組んでじっと見ていた。

 

「ヴィ、ヴィ、ヴィクトルさん…!?い、いつからそこに……!?」

 

「ユミアが設計図に夢中になっている時に戻っていた。一部始終、見ていたぞ」

 

 ジーッと見つめるヴィクトルにユミアは焦る。無断で、しかも錬金術で武器を作ったのは流石にまずかったか。

 

「ヴィ、ヴィクトル、これはモンスターとの戦いに備えてだな……あれだ大丈夫だ、ユミアは錬金術を悪いことには絶対に使わないから!」

 

 レクスがあたふたとフォローに入るがヴィクトルはユミアに近づき、盾を渡した。

 

「ヴィクトルさん…?」

「すまない、僕の武器も頼めるか?僕も今後のモンスターとの戦いに備えて武器を修理または強化してほしい」

 

 きょとんとしているユミアにヴィクトルはふっと笑う。

 

「アラディスの錬金術は禁忌故に未知で警戒しなければならない事が多い。だが君のこれまでの行動や成果から見て信頼に値すると僕は思う。ユミア、僕は君の錬金術を信じる。だから頼りにしているぞ」

 

「ヴィクトルさん……!はい!とびっきり頑丈なのを作ってみせます!」

 

 錬金術にやや警戒していたヴィクトルが自分の錬金術を信じ頼りにされていることにユミアは嬉しくてたまらなかった。そしてヴィクトルの期待に全力で答えて見せようとユミアは張り切った。

 

「そしたらまずは設計図からですね。モンスターと戦えるようにするには、より強固にしないと……レクスさん、盾はどんな素材を使ってるんです?」

 

「そうだな……まずは加工してより強度が増す鉱石や、頑丈な甲殻や鱗を何枚も重ねたり、それらを組み合わせたりしてるな。他には……」

 

 レクスはアイテムBOXの中を探り、大きな赤茶色の毛皮を取り出した。

 

「これは大灯台で討伐したドシャグマの皮だ。意外と丈夫で衝撃を和らげたりすることもできるから使い勝手はいいぞ」

「ゴワゴワしているがなかなか丈夫そうだ。これを使ってみないか?」

「面白そう……レクスさん、もう一度鉱石を使わせてもいいですか?」

 

「構わないぞ!武器の強化するためならどんどん上げちゃう!」

 

 レクスは意気揚々と先程のユニオン鉱石と紫色の『メランジェ鉱石』をユミアに渡す。

 

「綺麗な鉱石!これを組み合わせるには……」

 

 設計に夢中になっているユミアにレクスとヴィクトルは笑顔で見守った。これが本来のユミアの性格なのかもしれない。

 

 

「よし!フラミィ、スキャンして伝想器に記憶して」

『了解しました。スキャン開始』

 

 フラミィに再び伝想器にレシピを記憶させ、台座へ向かい錬金術で作成に取りかかる。伝想器からアトラスコアを取り出し『闢獣の皮』、ユニオン鉱石、メランジェ鉱石を素材としてコアの中へと入れると先程より強い光を発した。

 

「うおっ、まぶしっ」

 

(コアとの反応だけじゃなくて素材に含まれてるマナの量もすごい…!)

 

 特にドシャグマの素材のマナの共鳴が凄まじく、他の素材とのバランスを崩しかねない。レクスの世界に生息する生き物達の力強さにユミアは驚く。

 

(均衡を保たせないと。ここが腕の見せ所……!)

 

 ユミアは舞い踊りながらマナを操作してコアの光とマナの共鳴値のバランスを保たせ、光の強さを緩やかにしていく。やがて一つになった光から赤茶色の毛皮の装飾がされた黒鉄色のパイルバンカーの盾が完成した。

 

「どうですか?ちょっと皮ペタな出来になっちゃいましたけど、丈夫さには自信があります」

 

 受け取ったヴィクトルは盾を手にはめて振ったり、上下に動かして試した。

 

「ふむ……いつもの盾と比べて重みは増したが、その分かなり丈夫そうだ。なかなかいい武器じゃないか」

 

 頷いて笑うヴィクトルにユミアは満面の笑みを見せた。見守っていたレクスはこれでヨシと何度も頷く。

 

「武器も新調できたことだし、準備ができたらマナ領域への探索を始め……あれ、なんか忘れてる気が……」

 

 

「お・に・い・ちゃぁぁぁんんんんん!!」

 

 

 ヴィクトル達は振り向くとそこには頬を膨らまてギロリと睨む怒れるアイラの姿が。

 

「あ、アイラ!お、起きてたんだな……!」

 

「さんざんユミアのこと錬金術がどうのこうのとかで見て少し距離を置いて考えていたくせにぃ?」

 

「い、いやあれは錬金術のことは分からなかったことと、ユミアの行動をしっかり見て考える必要があってだな……」

 

「しかも武器を新しく作ってもらうなんてずるい!!私もユミアに作ってもらいたいし!!」

 

「だ、大丈夫だよアイラ。アイラの武器も新しく作ってあげるから……」

 

「お兄ちゃん、いい?これからもユミアのことを信じてあげること!じゃないと晩御飯は肉少なめの野菜山盛りにするからね!」

「わ、わかった!野菜山盛りだけは勘弁してくれ……!」

 

 アイラに説教されてヴィクトルはしょんぼりする。この後ユミアはレクスから『傘鳥の鱗』、『人魚竜の鉤爪』、『ユニオン鉱石』を貰い錬金術でアイラの新しく槍を生成した。

 

 アイラは嬉しい反面、少ない素材でどうやったら槍ができるのかツッコミを入れたかった。

 

______

 

 

「この関門跡をくぐった先がマルゴー樹海だ」

 

 ユミア達は相談した結果、まずは北のマナ領域の解消を目指すことにした。関門の先は数多の木々が生え、入ったら迷いそうな樹海が見える。

 

「中に入れば草原地帯とは違う魔物が潜んでいる。十分に気をつけて進もう」

「新調した武器もあるしきっと大丈夫!」

 

 慎重に身構えるヴィクトルに対し意気揚々になりきるアイラにユミアは苦笑いする。

 

「高濃度マナ領域に入るから無茶は禁物だからね?レクスさんもブランちゃんも、珍しそうな木の実やハチの巣に直行しないでくださいよ?」

 

 ユミアは振り向くがすでにレクスとブランの姿はなく、まさかと前を向くとアイラとヴィクトルが呆れ顔でレクスがいる方角に指を差していた。

 

「ブラン!この果実、ハチミツみたいに甘いぞ!中に蜜がたっぷりだ!」

「旦那さん、ここにもハチの巣があるよ!持って帰ろう!」

 

 いつの間にか樹海に入って果物を採取して頬張るレクス、せっせとハチの巣のついでにハチミツを採取するブラン、自由すぎる二人組にユミアはすぐさま首根っこ掴んで引き戻す。

 

「もー……高濃度マナ領域は一般人が入ったら危ないんですからね!私も果物を食べたいし、ハチミツが欲しい気持ちは分かりますがまずはマナ領域を晴らすのが先ですよ!」

 

「「す、すみませんでした……」」

 

「ユミアも食べたいんだ……」

 

 

 気を取り直してユミアが先端に立ち、高濃度マナ領域の中へと進んでいく。空気が重い感覚はするがエナジーコアのおかげか息苦しさはない。

 

「ユミア、マナ領域を晴らすにはあの台座みたいなのを見つけなきゃいけないんだろ?どうやって見つけるんだ?」

 

 レクスはふと気になって尋ねる。闇雲に探索してはエナジーコアが尽きてしまう。

 

「マナの流れを辿って、流れが滞留している場所かつより濃度の高いマナが漂っている場所に流れを止めた循環器があるはずです」

 

「そっか、ユミアはマナの流れが見えるから流れが止まっている場所を見つけれるんだよね!」

「辿る道中に魔物に出くわすこともある。そこは警戒しないといけないな」

 

「今のところさっきから背後から追いかけてくるミミズクみたいなのぐらいだけどな」

 

 レクスの言葉にユミア達は『えっ』と声を出して振り返る。自分達の背後を狙って跳んできているのは鳥の魔物こと『バードニクス』の群れだった。

 

「レクスさん、あれ魔物!」

 

「えっ!?あれ魔物なの!?フククズみたいな環境生物かと思った!」

「旦那さん、お肉あげたら懐くかな?」

 

「レクスさん達が悠長すぎる!?」

 

 のほほんとしているレクスとブランにツッコミを入れたいがまずは魔物を追い払うのが先決。ユミア達は武器を構えてバードニクスの群れを相手する。

 

「そこっ!」

 

 ユミアは杖銃を構えて自分めがけて襲い掛かるバードニクスに銃弾を撃つ。銃弾を変えたためか少し反動があるが一発でバードニクスを撃ち落とした。

 

「レクスさんの銃弾だから威力が違う…!反動もやや強めだからまた調整しないと」

 

 一方のアイラとヴィクトルは軽々とバードニクスを倒し、実戦に使用してみて槍の切れ味の違いと盾の頑丈さに驚いていた。

 

「いつもよりも威力が増してる!ただちょっと重いかな……」

 

「レクスの世界のモンスターも相手するんだ。重さが増すのは当然だ。僕達もこの重さに慣れよう」

 

 

 マナの流れを辿り探索を続けた。この後もパンサー種の『スレッジタスク』や走鳥種の『マッシブピーク』などの魔物と遭遇するがユミア達は軽々とあしらい樹海の奥へと進んでいった。

 

「…!この先でマナの流れが滞留してる…!」

 

 

 アルスタリアの花からマナを回収してエナジーコアを補充したり、残量に気をつけつつ進んでいきユミアはマナの流れが滞留しより濃いマナが漂っている場所を見つけた。

 

 あちこちに鮮やかな色の花、人よりも大きな花、ひときわ巨大な花などが咲いており、その先にドームのような廃墟が見えた。

 

「わ、すっご…!何に使われてたんだろう、ここ…」

 

「確か…史書によれば『アルボール植物園』とのことだ」

 

 ヴィクトルは地図と照らし合わせて場所を確かめた。見たことのない花や植物が群生していることから間違いはないようだ。

 

「それにしてもかなり大きい施設だな……」

 

「流れが滞留してるってことは台座があるのか?」

 

「そうですね、この辺りにあるはず。調べてみよう」

 

 

 あるとすればあのドームのような施設の中にあるかもしれない。ユミア達は施設の中を探索することにした。

 

 中は瓦礫が散在し、花々が咲いてはいるが雑草や樹木が生い茂っていて植物園の面影も無くなっていた。だが施設の中央には大灯台と同じ太陽の形をした台座があった。

 

「あった!こんな所にあるなんて驚きだね」

 

「これがあれば……ユミア、頼めるか?」

 

「任せてください」

 

 ユミアは台座の中央に立って手をかざす。手の先が光り、辺りに漂っていたマナが青白く光り始め魚の群れのように流れ始めた。そしてユミアは舞い踊り始めると台座が光り、彼女の踊りに呼応するようにマナがユミアの周りを回るように流れていく。

 

 ユミアが踊り終わると同時に施設の中に漂うマナが広がるように流れていき、青白くモヤモヤしたマナが次第に消えていき空が晴れていく。そして重く伸し掛かるような空気が軽くなり、完全に高濃度マナが消えた。

 

「うーん!空気がおいしい!マナが晴れたね!」

「やったなユミア…!」

 

「ありがとうございます。これで他のみんなも来れるはず……って、レクスさんったらまた感動しちゃってる」

 

 涙目で拍手を送るレクスにユミアは苦笑いする。

 

「やばい、ユミアが、ユミアがめっちゃ美しくてキレイでヤバイ」

「旦那さん、語彙力。語彙力がおかしくなってるよ」

 

『ユミア、灯台から続くマナの流れはここより北へ続いているようです』

 

 フラミィによるマナの流れの探知は間違いない。更にマナの流れを辿ればアラディスの調査がより捗れるはず。

 

「よし、この調子で調査を進めれば――」

 

 

 その時、大きな音と同時に大地が一瞬大きく揺れた。

 

「皆、大丈夫か!?」

 

「いますごい揺れたな……」

「ビックリしたぁ……私は大丈夫だよ!」

 

「な、なんだろう今の…?」

 

 ユミア達が戸惑っていたその直後、植物園の入口からロックリザードの群れが慌ただしく押しかけてきた。

 

 

ギシャァァアッ!

ギャシュゥゥゥッ!

ギュシュゥゥゥッ!

 

 ロックリザードの群れはユミア達に対して威嚇し、今にも襲い掛かろうとしている。

 

「わああっ!?いきなり何!?」

 

「なんだか魔物の群れも焦っているな……」

 

 ロックリザードの群れは時折後方を気にしつつ唸り声を上げていた。

 

「何かに追われて――ん?なんか聞こえてきたな?」

 

 レクスの言う通り、遠くからドドドと立てて走る音が聞こえ始めた。その音は次第に近づくにつれ大きくなっていく。

 

 五月蝿いくらいに聞こえてきたその時、ロックリザードの群れの近くの壁が勢いよく壊れ、中からくすんだ桃色の鱗に背中から尻尾にかけて生えた黒紫色の体毛、そして大きく口を開けた恐竜のような体躯のモンスターが飛び出してきた。

 

 

ブオオオオオォォォッ!!

 

 モンスターが咆哮しながら着地し、ロックリザードの群れをギロリと睨み大口を開けて群れに襲い掛かる。ロックリザードの群れはあたふたと逃げていった。

 

 

「こ、今度はでかいのが出てきた!?」

 

「レクス、まさかあれはレクスの世界にいるモンスターか!?」

 

「あれは『獣竜種』の1種、【蛮顎竜】アンジャナフ。獲物となればすぐに襲い掛かる獰猛なやつだ!」

 

 ロックリザードの群れは逃してしまったがユミア達の存在に気付いたアンジャナフは唸り声を上げて近づいていく。

 

 

「僕達に標的を変えたか……対処するぞ!」

 

 

 

「狙った獲物は逃さず執拗に追いかける執念深さもある。噛む力もかなり強いから気を付けるんだ!」

 

 

 

 

 

 




アルボール植物園でのモンスター戦、アンジャナフにするかトビカガチにするかリオレイアにするかでかなり悩みました。

 トビカガチではちょっと軽いし、リオレイアでは狭いし、ユミア達の武器も新調したし難易度的にアンジャナフでいいかなぁと。え?火の海になる?えーと……火耐性のある植物だからダイジョーブ(ヤケクソ
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