ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人 作:サバ缶みそ味
ワイルズ9月のアプデにFFコラボ、オメガが登場するようで……ベヒーモスの時みたいに強い装備が出てくるのかなぁ
ミールストームみたいな設置技はやめてね!
「これでよしと、これで入れますよ」
長い年月を経て劣化し閉ざされたままであった扉をユミアはリペアツールを使って修理し開けられようにした。
鉄が軋む音を響かせながら扉を開き研究施設の中へとユミア達は入る。内部も扉同様に風化と劣化が進んでいるようで壁は崩れ穴が空き、破れた天窓から光が差し込み蔦や植物が生い茂る、通路のあちこちには瓦礫の山ができている。
風化が進んだ内部ではあるが棚や机は壊れることなく残っており、置かれている本や実験器具には埃が積もり、色褪せた植物らしきサンプルのようなものがいくつか見られた。
「……おそらく植物学を中心とした研究施設だったようだな」
「何か手がかりになるようなものが見つかるといいけど、先にマナ領域を晴らさないとね」
「ここに台座があるはず。探してみよう」
ユミア達は辺りをくまなく調べながら施設内を進んでいく。廃墟と化した内部は瓦礫の山で行き止まりになっていたり、扉が錆びついて開かなかったり、レクスが大タル爆弾で突破しようとするのを止めたりとなかなか行き着けないでいた。
「なかなか見つからないな……」
「レクスさん!爆弾は禁止!」
「す、すまない。でもこっちの方が手っ取り早い気が……」
「旦那さん、また怒られちゃうよ?」
「みんな、ここから上へ上がれそうかも」
2階へと上がれそうな階段を見つけ、さっそく上の階へと上る。2階のフロアは入り組んだ部屋は無く、広い空間が広がっていた。天井まで高く伸びた大木が床を突き破っていたり、屋根が崩れ落ちたせいか床に大穴が空いている箇所も見えた。
「ここも台座は無さそう……」
「うーん、どこにあるんだろうね」
「床が抜けているところもある。足元を注意して進もう」
「ぷにー」
「「「ん…?」」」
聞き慣れない声が聞こえたのでユミア達は声のする方へと視線を向けると、レクスが銀色の体色をしたぷにこと『シルバーぷに』を抱えていた。
「ちょっ!?れ、レクスさん!?何してんの!?」
「というかそのシルバーぷにはどうしたんです!?」
「いやぁー、お腹空かしてたのを見かけたから携帯食料あげたら懐いちゃって……」
「ぷにぷに♪」
「接してみると害は無さそうだよ?」
『だからいいよね?』とキラキラした眼差しを向けるレクスとブランにヴィクトルとアイラは頭を抱えた。
「いつの間に魔物を手懐けてたのか……」
「レクスさん、アルボール植物園でもその辺にいたバードニクスにもごはんあげて手懐けてたし……まあおかげで団員も学者も襲われずに済んでるから助かってるんだけどね……」
周辺の生物所謂『環境生物』をも利用する狩人の癖なのだろうか、大抵のぷに種は攻撃的なものはそういないのでレクスが手懐ければ問題ないだろうとヴィクトルは判断した。
「僕達に危害を加えないようにしてもらえれば大丈夫だろう。団長には僕から話そう。その代わり、ちゃんと世話するんだぞ?」
「「やったー!」」
「ぷにー!」
喜び合うレクスとブランとシルバーぷにの姿にアイラとユミアはクスッと笑う。
「ほんと大はしゃぎするんだから…でも明るく楽しそうにするのがレクスさんのいいところだよね」
「うん、こっちまで楽しくなっちゃう」
ほっこりしたところでユミア達は調査を再開し進む。床が抜けているので落ちないよう気をつけながら台座を探す。
「!あった…!」
ユミアは床に空いた大穴を覗き、下の階に鎮座している台座を発見した。
「やはり下の階にあったか……」
「でもどうやって行くの?」
下の階では瓦礫の山で行く手が阻まれていたり開くことができない扉もあった。位置的には行く手が阻まれている場所にあるようなのでどう行くか悩んだ。
「やむを得ない……ここは壁を崩して通れるようにするかあるいはry」
「よっ」
「ほっ」
「ニャっ」
ヴィクトルが伝えるよりも早くユミアとレクスとブランは飛び降りて何事もなかったかのように着地する。
「えええっ!?何普通に飛び降りてるの!?」
「ん?この高さなら大丈夫だぞ?」
「私はエナジーコアで着地の衝撃を緩和させるんですけど……レクスさん達へっちゃらすぎません?」
「ユミア!何か梯子になるようなものはないか!」
ユミアは辺りを見回すが梯子になるようなものは無く首を横に振る。
「ぷにぷに」
レクスが抱えていたシルバーぷにが下りてぴょんぴょんと跳ねてヴィクトルに視線を向けた。
「ヴィクトル、アイラ!どうやらこの銀ぷにがクッションの役割を担ってくれるそうだ!飛び降りても大丈夫だぞー!」
「たしかシルバーぷにってちょっと硬いってきいたけど……」
「ぷに種だからそこまで硬くはないだろう……たぶん」
アイラは悩んだが意を決して飛び降りた。シルバーぷにの真下に落ちたがプニッと柔らかい弾力で跳ねて怪我なく着地できた。
「意外と柔らかい……あ、ありがと」
「ぷにぷに♪」
続いてヴィクトルが飛び降りてシルバーぷにが受け止めようとしたがゴッと鈍い音を響かせつつも弾力で跳ねて着地した。ヴィクトルには怪我はなかったがシルバーぷには涙目になっていた。
「ぷにぃー……」
「あちゃー、お兄ちゃんは重かったかぁ。ごめんねー」
「き、騎士だから装備は重いものだ…ま、まあその…す、すまない」
「全員揃ったことだし……それじゃ始めます」
ユミアは深呼吸をしてから気持ちを切り替え、マナ領域を晴らうことに集中した。手をかざしてマナの流れをつかみ舞い踊り始める。
ユミアの舞いに合わせるようにマナは青白い光を発しながら星の流れのように流れていく。マナの流れは舞い踊り続けるユミアの周辺から研究施設跡地の周り、そして濃いマナが漂う領域へと広がっていった。
くるりとひと回転し舞いが終わったと同時に流れていたマナが外へと流れるように広がっていきながら霧散していく。周辺にモヤッと漂っていた濃いマナが消えていき、息が詰まるような空気が無くなった。
「……うん、これで大丈夫ですよ」
「うーん!空気がおいしー!」
「モヤが消えた……これで安全に調査が続けられるな」
「ヤバい。ユミアの舞いが綺麗すぎて涙がでちゃう」
「旦那さん感動しすぎ……」
ユミアは感動しすぎて拍手を続けているレクスに苦笑いしつつここからのマナの流れを確かめようとした。すると先にフラミィが感知していたのかフヨフヨしながらユミアに近づく。
『ユミア、灯台から続くマナの流れはこの地で途絶えているようです』
「そっかー……マナの通り道は北側だけ繋がっていたかぁ……すみませんヴィクトルさん、無駄足踏んじゃったみたいです」
謝るユミアにヴィクトルは笑って首を横に振る。
「無駄足ではない。マナ領域を解消できただけでも大きな収穫だ」
「うんうん、お兄ちゃんの言う通り!東から魔物が流れ込んでくる原因も解決できたしトントン拍子だよ!」
魔物が流れ込む原因となっていたガランゴルムの討伐もできた。これで調査団も安全に調査ができるようになったはず。
「それに他にも収穫になりそうなものも見つけたしね」
アイラはウィンクして指を差す。その先にある研究者が使ったであろう埃にまみれたの下に厳重そうに保管されている箱があった。
「どう?いかにも何か入ってそうじゃない?」
「確かに……研究で使われていた資材箱かな?」
「でも当然のように開かないんだよねぇ……」
「よし、叩き斬って開けようか?」
「だから強行突破しちゃダメって!」
レクスが太刀を抜こうとして直ぐ様アイラが止めた。
「こういう時は…ユミア、頼めるか?」
「えっへん、ここは任せてください」
ユミアはフンスと張り切ってリペアツールを作り、箱のロックの解除を行った。
ガチャリと解錠され、慎重に箱を開けてみると中には金属の装飾が施された筒が入っており、中央には紺碧色に光る試験管のような物が保管されていた。
「これは……伝想器だ」
「確かいろいろ記録できるってやつだよね?」
「もしかしたら研究者が使っていたかもしれないな」
塔の跡地でも見つけた伝想器と同じように、何かしらの記録或いは音声が残っているかもしれない。何か手がかりがあるかもしれないと考えたユミアはフラミィに視線を向ける。
「フラミィ、旧文明のもので古いけど、読み取れる?」
『はい、すぐに』
フラミィはユミアが持っている伝想器に近づくと、プルプル震わせてから光を発した。フラミィの放った光に順応するように伝想器も光る。
《―――ありがとう!君たちのおかげで、今年も豊作だったよ!》
伝想器から若い男性の声が発せられる。
「うわっ!?しゃべった!?」
「記憶……だね。昔、アラディスに生きてた人達の……」
《―――東で何かあったか知らんが、俺たちはあんた達の味方だからな》
続けて中年の男性の声が伝想器から響いた。
《――手順はしっかり記録して、っと……あの、使い方はこれであってますよね?》
《――すごいなぁ、錬金術士ってのは!あんたらの技がありゃ新種の開発も夢じゃねぇ!》
更に続けて若い女性の声と初老の男性が伝想器から響く。
《――あんたたち、やっぱり名乗ってくれないのかい?……そう、なら、仕方ないねぇ》
《――これからも助け合っていきましょ、錬金術士さん。どんな困難も、あたしたちならきっと―――》
初老の女性と中年の女性の声が響いた後、伝想器の光が消えて静寂が戻った。
「今の声……当時この辺りはに住んでいた人達のもの?」
「なんだかみんな、東からきた錬金術士っていう人達を慕ってるみたいだね」
「豊作、新種……農作物の話か?錬金術でそんなこともしていたのか……錬金術を禁じられた現在では考えられない話だが、これが錬金術と共存していた時代か」
「そう、ですね……」
ユミアは少し腑に落ちなかった。一見、当時の住民達と錬金術士の生活の話のようだが、『あんた達の味方』という言葉が引っかかる。
(裏を返せば、別の場所では誰かと敵対していたってこと…?)
錬金術士達は東から来たと言われていた。東に何か起きていたのかと考えたが今ある資料では答えは見つからなかった。
その後もユミア達は施設内の探索を続けたが伝想器や当時の資料など手がかりにつながりそうなものは見つからなかった。
「今のところ、有益な資料は伝想器くらいか」
「うーむ……錬金護竜に関する手がかりも無さそうだ」
レクスは伝想器に護竜に関する話が無かったことにしょんぼりした。
「まだ何処かに手がかりがあるはずですよ」
「伝想器を記録代わりに使ってるから今後も調査したら見つかるかも」
当時のアラディスでは日常として伝想器を使用していたに違いない。伝想器を見つけたら積極的に解析しようと方針が定まった。
「よし、次は『マルゴー中央観測施設』だな」
「あれ!?ここがマルゴー中央観測施設じゃないの!?」
えっと驚くレクスにフラミィがフヨフヨと近づく。
『伝想器の記録によりますとここは『帝国第八研究所』です』
「旦那さん、名前のとおりマルゴー樹海にある施設でここはマルゴー樹海から遠いでしょ?」
「いやー、台座もあるからてっきり」
「レクスさんってたまにお茶目なところあるよねぇ……」
ユミア達はこの研究所をあとにし、地図を確かめながらマルゴー樹海へと繋がる道を進んだ。
戦闘に探索、長い距離の移動でありながらも疲れの色は見せず樹海を分け入って突き進んでいくと、長い年月を経て風化し成長し伸びた樹木に侵食され半壊しかけている廃墟が見えた。
「あれが観測施設だな」
「それじゃさっそく中に―――」
アイラがいざ扉を開けようと近づいた瞬間、彼女が触れるよりも先に扉が開いた。
「……ん?」
開いた扉からダークグリーンのコートを羽織り、赤いサングラスをかけた白髪でギザ歯が目立つ男性が出てきた。
アイラはぎょっとして身構えたが、男性の腕に調査団の印である赤いバンダナを腰に巻いていたので同じ調査団だとヴィクトル達は気付いた。
ギザ歯の男性はユミア達を見つめると軽く鼻で笑いニッと笑った。
「はい、失礼」
「あっ、すみませーん」
アイラは営業スマイルで道を譲りギザ歯の男性はそのまま通り過ぎていった。男性が去った後、しばらく静寂がよぎったがアイラはハッと気付く。
「……いやちょっと待って!?今の誰!?」
「バンダナを巻いてたし、調査団の人だと思うけど……」
調査団としては奇抜な見た目なのだが面識がないアイラとユミアは首を傾げる。
「僕は何度か顔を合わせたことがある。名前はたしか……ルトガー、と言ったかな」
「……先を越されたってことですかね」
観測施設を出ていったのだからルトガーという男性が先に中を探索していたかもしれない。ヴィクトルは少し難しげな顔をして腕を組む。
「調査団はただのレリックハンターじゃないんだ。早い者勝ちというわけではないんだが……」
「レリックハンターって?」
「冒険者の中でも旧文明の遺物や資料を収拾することを目的とした人達のことだよ。中には金銭目当てで勝手に収拾する人もいるらしいけど……」
アイラは訝しげにルトガーが去っていった道を見つめる。
「もしかして行き違いかな……?」
「ともかく、僕達で独自に調べていくしかないな」
すれ違いがあったものの、気を取り直して観測施設の中に入り探索を開始した。だが本棚や床に散乱している瓦礫、ほこりまみれの壊れた机と上の階から隅々調べても目ぼしいものは見つからなかった。
「やっぱりさっきの人が調べ尽くしちゃったのかも……」
先に入っていたルトガーという男性が調べ尽くし、資料になりそうなものを片っ端から持っていったかもしれない。
「うーん成果なし!」
「痕跡もなーんにもないっ!」
「ふう…仕方がないな。ここは一度拠点に戻るべきだろう」
目ぼしいものがなくヴィクトル達にも少し疲れの色が出てきていたがユミアは休むことなく本棚を調べ続けた。
「私、もう少し調べてみます。ヴィクトルさん達は少し休んでください」
一つ一つ黙々と調べ続けるユミアをじっと見ていたアイラは気になったのかゆっくりと口を開いた。
「ねぇユミア、一つ聞かせてほしいんだけど……ユミアはさ、どうして錬金術士になろうと思ったの?」
「……え?」
アイラの問いにユミアは調べるのを止め、きょとんと不思議そうに見つめる。
「『錬金術は禁忌』…ユミアもそう教わってきたんだよね?お母さんが錬金術士だったのは知ってるよ?でも、どうしてお母さんと同じ道を進もう思ったの?」
「同じ道を進もうと思った理由……」
何か思いがあるのかユミアは少し悲しげな表情を見せた。責めているわけじゃないとアイラは慌てて言い直す。
「あ、ほら!私達しばらく一緒に行動するでしょ?なのにユミアのこと全然知らないなって思って」
ユミアはきょとんとし、優しく微笑んだ。
「……私も、いつかは話したいって思ってたんだけど……聞いてくれてありがとう」
ユミアは一息ついてから口を開く。
「私が錬金術士になったのは……母の、真意を知りたかったからです。私の家は道具屋でした。私と父はお店番、道具を作るのが母の仕事……父が亡くなってからは2人でお店を切り盛りしてきました。母が作る道具はたまに変なものもあったけど、たいていのものはどれも人気で……私も大好きだった。商品で遊ぶなってよく叱られたっけ」
ユミアは懐かしむように楽しげに、儚げに語る。
「錬金術って言葉、話題に上がったこともなかったです……あのマナ災害が起こるまでは……」
ユミアの視線が一瞬落ちたのにヴィクトルは察した。
「それは、デューラー領の……」
「……はい。町のあちこちからマナが溢れてきて、うちのお店も爆発で壊れちゃって……思い返せば、あの時はアラディスと同じように高濃度マナが拡大している状況にありました。わけも分からず避難してきて、呆然としている時……事故の状況を見ていた母が言ったんです……『私には、みんなを助ける力がある』って。母は私を強く抱きしめた後、マナ領域の中へ飛び込んでいって……それ以降、どれだけ待っても母は帰ってきませんでした」
帰ってこなかったということは……俯くユミアを見て察したアイラとヴィクトルはじっとユミアを見つめる。
「広がっていたマナ領域が消えた後、現場から母が連れていたこの子だけが見つかりました」
ユミアは儚げにそばで浮いているフラミィに目を向けた。
「ひどく壊れてて、仕組みも何も分からなかったけど、どうにか今の状態まで復元できました。そして、フラミィが教えてくれたんです。私と別れた後、母がマナ領域を解消したこと、それと……錬金術のことを。生きているのか死んでいるのか分からない状況で、言われるままに災害の事後処理を進めてた頃……団長、エアハルトさんが私の所に来たんです。簡単に言うと……『お前の母親、イリーネ・リースフェルトは錬金術士だった。母と同じ素養を持つお前なら、アラディスの高濃度マナ領域を解消できるはず。調査団はその力を求めている』……と」
「それで今ここに……」
そしてユミアはアラディスで何が起こったのか、錬金術がどうして禁忌とされているのか……母親が禁忌を破ったのか、その答えを、真実を知りたいと覚悟を持ってここに来た。
「じゃああの時、私達が助かったのって……そっか、私達何も知らなかったんだ」
何か気付いたのかアイラは頷いてじっとユミアを見つめる。
「あ、アイラ…?」
「だってさ、ユミアのお母さんは私達にとって恩人かもってことでしょ?それって私達にとってもすごく大事なことじゃん」
「アイラ……」
アイラの優しさにユミアは微笑んだ。
「ずごいごどだぞユミア!」
ずっとユミアの話を聞いていたレクスは大号泣していた。
「れ、レクスさん!?」
「ずっどびどりで!!ごごまでながいみぢのりで!!ごごまでがんばっでぎだんだな!!」
「だ、旦那さん、泣きすぎだよ……ごめんねユミア、旦那は涙脆い人だから」
「う、うん大丈夫……」
「ほらレクス」
ヴィクトルがいつの間に用意していたのかちり紙を渡そうとしていた。レクスは号泣しながら受け取ろうと手を伸ばした矢先、足元にいたシルバーぷにを踏んでしまう。
「ぷにっ!?」
「あろっ!?」
足を滑らしたレクスは本棚に激突し本棚ごと倒れてしまった。
「レクスさん大丈夫ですか!?」
「レクス、怪我はないか!?」
「あいたたたた……すまない、せっかくいい雰囲気だったのに……ん?この壁、なんか刻まれてるぞ?」
倒れた本棚の後ろの壁に何か文字が刻まれていた。よく見るとこの壁だけかなり古いのか、他の壁と材質が違うようだ。
「本当だ……でもなんて刻まれてるんだろう?」
「ユーステラでもアラディスの文字でもないな……」
『この壁は石碑の一部のようです』
「フラミィ、この文字分かるの!?」
『はい、イリーネが読んでいた古文書の文字と一致しています』
ユミアは母が読んでいた古文書と聞いてハッとする。その文字はレクスの世界の言語と同じということは旧文明時代にレクスの世界から来た人間がこのアラディスにいたということになる。
「フラミィ、なんて刻まれているか分かる?」
『解析します……【我々は同じ過ちを犯し、多くの犠牲を出してしまった。二度とこの世界を焼き尽くされないよう、かのものたちを眠らせ、我々は守ることを誓う】……と刻まれています』
「同じ過ち……?」
ユミア達は難しい顔をして首を傾げる。
「かのものたち……護竜のことか?」
「かなり古いみたいけど……アラディスに何か起こってたのかな?」
「『焼き尽くされないよう』……アラディス滅亡の手がかりのように見えるが、それだと辻褄が合わない」
今集まっている資料ではアラディスの住民、錬金術士は護竜の存在を知らない可能性がある。石碑の刻まれた碑文を一部を壁にするほどだからレクスの世界から来た人間と関わりが無かったのか、ますます謎が深まる。
しばらく考え込んでいると、アイラは何かに気付いたのか少し顔を引き攣らせて指を差した。
「ユミア、お兄ちゃん……き、木の上になんか変な小人みたいのがいる……」
指を差した先、大樹の太い枝の上に頭に網状のキノコのような笠を被り、杖を持った小柄な仙人みたいな小人が立っていた。
「な、魔物!?」
ユミア達は身構えたが、レクスは驚愕して見上げていた。
「あ、あれは古代竜人!?」
「古代竜人?レクスの世界にいる種族なの?」
「うん、竜人族という長寿な種族で高齢になるほど身長が小さくなるんだ。中でも古代竜人はかなり高齢で何千年も自然の一部として過ごしているんだ」
レクスが唖然としている最中、古代竜人はゆっくりとレクス達の方へ見下ろす。
「ひさしぶりだね、りゅうをかるものよ」
古代竜人は掠れた声でゆっくりと語る。
「な、なんて言ってるんだろう……」
「フラミィ、翻訳できる?」
「あ、古代竜人は警戒心強いから煙をかけたら逃げちゃうかも」
『わかりました。この場で翻訳します。【久しぶりだね、龍を狩る者よ】』
「おそろしききんきはいかりつづけている。ちからをとりもどすため、りゅうたちをよびよせだいちにちからをながしこむ」
『【恐ろしき禁忌は怒り続けている。力を取り戻すため、竜達を呼び寄せ大地に力を流し込む】』
「禁忌……!?」
禁忌という言葉にレクスは絶句する。
「つくられたものたちはねむりからさめ、しろきくさりがときはなたれた」
『【造られたものたちは眠りから覚め、白き鎖が解き放たれた】』
造られたものたち、ユミア達はこれは護竜のことではと考えたが、『白き鎖』が分からなかった。
「やがていにしえのりゅうたちやおおいなるやくさいたちがだいちをあらしていく」
『【やがて古の龍達や大いなる厄災達が大地を荒らしていく】』
「だいちのながれはみだれ、かぎがひらかれしとき、でんせつはよみがえる」
「【大地の流れは乱れ、鍵が開かれし時、伝説は蘇る】』
「っ!?」
古代竜人の言葉にレクスは心当たりがあるのか驚愕していた。
「わたしはしぜんのいちぶゆえにながれるまま……りゅうをかるものよ、かれらがおなじあやまちをおかさないようみちびいてゆけ」
「【私は自然の一部ゆえに流れるまま……龍を狩る者よ、彼らが同じ過ちを犯さないよう導いてゆけ】』
語り終えたのか、古代竜人はきびすを返して去ろうとした。
「ま、待ってください!竜都の民はいるんですか!?何のために、どうやってこの世界に来たんですか!?教えてください!」
レクスが必死に呼び止めようとしたが古代竜人は答えることなく樹海の中へと消えていった。
古代竜人がいなくなり沈黙が続く中、ユミアはレクスが虚しく俯き拳を握りしめているのを見た。
ワールドと同じくFFコラボとなると、冬のアプデはもしかしてマム・タロトみたいな大型モンスターが出たりして……
しれっとルナガロンとかディノバルドとか出していいのよ?氷霧の断崖や油湧谷にも復刻追加モンスター出してもいいのよ?