ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人   作:サバ缶みそ味

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 9月に新しいアトリエが始まるそうですが……

 主人公の女の子、ちょっと肌の露出多くない?
 いやかなりかわいいのだけど……ちょっとエッ!!ですぞ


22話 新しい仲間

「……行ってしまったか」

 

 レクスは肩を落としつつ古代竜人が去っていった樹海の彼方を見つめた。

 

「レクスさん……」

 

 心配そうに見ていたユミアは声をかけようとしたがかける言葉が出なかった。

 彼のいる世界で起きている異変の真相を探し続け、その最中にこの世界へ流れ着いた。手がかりはこの世界にあると信じて探し続けている。手がかりを探して、もといた世界に帰りたいと思ってるはず……

 

 レクスは深呼吸し両手で頬を軽く叩いてからシャキッと体を伸ばした。

 

「……よし!とりあえず拠点に帰ろう」

 

「え!?古代竜人の後を追い掛けないの!?」

「詳しく聞けばもっと重要な手がかりを獲られると思うが…?」

 

「古代竜人は自身は自然の一部と考え自然に流れるがまま生きていく。だから滅多に人に会おうとはしないし、会いたがらない。樹海の奥深くへと身を潜めるだろう」

 

 導蟲でも痕跡を集めるのはかなり根を詰めるものであり、古代竜人自らが会おうとするまで探すことは至難だとレクスは話した。

 

「詳しく聞きたかったが、それでも古代竜人が教えてくれたことは重要な手がかりでもある」

 

「私にはちんぷんかんぷんだったけど……」

 

「レクスの世界にとっては重要な手がかりなんだ。十分な収穫は獲られたし僕達も拠点に戻って団長に報告しよう」

 

 第八研究所で錬金術士に関する手がかりも得て、観測施設で思わぬ手がかりも獲られので無駄足ではなかった。

 

「それもそうだね、私は歩き疲れたし帰ってシャワーも浴びたいよー」

「アイラ、帰るまでが探索だ。それにちゃんと調査日誌も書くんだぞ」

「えー!?書くのもめんどくさーい!」

 

 

 探索を切り上げ談笑しながら帰る兄妹のやりとりを見ながらユミアはくすりと笑い、チラッとレクスの方へ視線を向ける。レクスも同じように楽しげに笑っていた。

 

「……レクスさん、一緒に真実を明かしていけるよう頑張りましょう」

 

「ん?あぁ、きっと答えが見つかるはず。諦めないで突き進むぞ」

 

 兜で素顔は見えないが彼の声から力強さを感じた。ありとあらゆる困難を乗り越えてきたような簡単に折れない芯の強さがあるとユミアは感じた。

 

「……それにしても、お腹すいたなぁ。ブラン、今日の晩御飯はなんだろうな?」

「旦那さん、まずは報告が先だからね!」

 

 ユミアはずっこけそうになった。さっきの雰囲気が台無しである。

 

「……もう、切り替えが早すぎ」

 

_____

 

 調査拠点に戻ったユミア達はさっそく団長のもとへ向かい、手に入れた情報を報告した。

 東から魔物の群れが流れ込む原因であった錬金術が施された『護竜』の存在、伝想器から獲られた錬金術士との関わり、レクスが見つけた碑文と古代竜人が語った内容……報告を聞いたエアハルトは考えながら腕を組み、そばにいたウィルマとリヒトは目を丸くして驚いていた。

 

「そうか……十分な収穫だ。よくやった、お前達」

 

「この先も伝想器を見つけたらユミアに任せれば色々分かるし手がかりも見つかるかもね!」

 

「収拾した遺物に似たようなものがあったな。ユミア、解析を頼んだぞ」

 

「はい!任せてください」

『解析は主にフラミィの役割なのですが……』

「それは言わなくていいの!」

 

「さて次は……『護竜』の存在とそれを造った竜都の民の存在、か……レクス、『竜隠し』の手がかりと思うか?」

 

「はい、護竜は竜都の民が創り上げた技術……護竜、そして碑文の内容でアラディスに竜都の民がいたと確信しました」

 

 レクスはポーチからハンターノートを取り出してページを開く。ページには沢山の文字が羅列されているがユミア達には文字の意味が分からないため何て書かれているか読めなかった。

 

「これは古文書の写しです。ギルドに保管されている『赤衣の男の手記』に書かれている内容に……『彼らは扉を経て逃げる選択を選んだ。だが同じ過ちを繰り返すかぎり、禁忌から逃れることはできない』、と」

 

「扉か……竜都の民が何らかの方法でこの世界にやってきた、というところか。生命を造る技術があるんだ、世界を渡る技術を発明していた可能性があるのか?」

「おそらく。竜都の民の一部が集まり都をつくり、他の世界へ避難していった……その技術が『竜隠し』に関係するのではないかと考えられます」

 

 レクスの話を聞いていたヴィクトルが少し眉を顰めてレクスに尋ねた。 

 

「レクス、君の言う『禁忌』とは何だ?僕達で言う『錬金術』に近いものなのか?」

 

 錬金術のようなアラディス滅亡の原因であるように忌避されるほどの危険なものかもしれない。レクスは少し考えたが首を横に振る。

 

「ヴィクトルの言う通り、確かに危険……に近しいものだが、俺の世界の『禁忌』とは認識が少し違うかな」

 

 レクスはハンターノートのページをいくつかめくり、古めかしい絵が描かれているページを見せた。絵には海を渡る背中から火を吹かす龍や王冠のような角を持つ龍が天を舞う姿が描かれていた。

 

「禁忌とは伝承や伝説に、または詩や古文書にのみ名が残されている存在だ。どの存在も国をも滅ぼす力を持ち、あるものは海矢大地を燃やし、あるものはあらゆる天災を操り破壊をし、そしてあるものは一夜にして国を焼き尽くし滅ぼした、と」

 

 国をも滅ぼす力を持つ存在。それを聞いたエアハルト達は難しい顔をして沈黙する。

 

「れ、レクスさんの世界にはそんなヤバいのが沢山いたとされているの……!?」

「数多の伝承や詩、古文書が……後世に伝えるために残していったのですね」

 

 

「これらは重要で唯一の手がかりなんだ。過去に古文書や伝承に似た天変地異が発生したことがあって、ギルドや調査隊はこれらを下に調査をし……生還できなかった者も沢山出してしまったが、『厄海』、『神域』と文献や詩と一致する禁足地を見つけることができた。さらなる調査を続けた結果、伝説やおとぎ話とされていた存在が発見され、当時の調査隊達や狩人達が撃退または対処をし天変地異を解決していったんだ」

 

「それが禁忌、か……文献のみならず実際の存在もあったのか」

 

 

 『禁忌』という言葉に惑わされず臆することなく調べ、真実を見つけた。彼らには探究心と勇気あったからこそ辿り着いたのかとユミアは少し羨ましく感じた。

 

「実のところ、『禁忌』と竜都の民や護竜とは繋がりがある可能性もあって……千年前、竜都と同時期に繁栄していたシュレイド王国が一夜にして滅んだことと滅ぼした『禁忌』の存在を知り、防衛のためにある護竜達を造った。一つは絶滅した種を改造し、もう一つは『禁忌』に対抗するために『禁忌』の力を取り込んだ。だが、その『禁忌』の力を取り込んだ護竜が凶暴化し、その護竜によって竜都は滅亡したとされているんだ」

 

「『禁忌』の力はそう容易く御することはできない、か。何故そうまでして……いや、そうせざるを得ないほど存在だったのか」

「竜都の民の一部がこの世界に避難するほど危険な存在だったんですね……」

 

「でも竜都の民が避難してきたならどうしてアラディスは護竜の存在を知らなかったの?錬金術と組み合わせた護竜がいたのならもっとアラディスは発展してたんじゃない?」

 

 アイラの疑問にレクスも不思議そうに首を傾げていた。

 

「そこが分からないんだよなぁ……護竜の存在と碑文や古代竜人の話には竜都の民や護竜がアラディスと錬金術との関わりがあった。だけど竜都の民は後悔し、護竜を隠した。もしかしたら『禁忌』が……いやそれならアラディスはもっと前に滅亡していたことになる……」

「一度滅んで別の国ができ、その国がアラディスなのでは?いやそれだとこっちの文献の時系列がおかしくなるか」

 

「時系列か……先生、確か気になる文献があったんだよな?」

 

 エアハルトはウィルマの方へ視線を向けるとウィルマは頷いた。

 

「はい、アラディス帝国ができて間もない頃……錬金術による発展が始まりだした時期なんですが、空白の期間があったようです」

「空白の期間?」

 

「なんというか……『大きな厄災が起きて沢山の人が亡くなった』とか、『天災により国は焼かれ、数多の戦士が犠牲になった』とか曖昧で詳しく記載されていないんです」

「そのさらなる発展がされるまでの数百年の期間だけ詳しい文献やそれに関する伝承もない。何とかして集めてはいるが厳しいな」

 

 伝承を集めているリヒトもお手上げだと首を振る。

 

 

「竜都の民が関わり、()()()()()()。そして竜都の民は護竜と共に存在を隠した……のかもしれない」

 

「ますます謎が深まるな……よし、レクスは更なる調査を続けてくれ」

「はい。それと団長……差し出がましいかもしれないんですが、一つお願いがありまして……」

 

「おう、そう遠慮するな。何か気になることがあるのか?」

 

「はい……調査拠点の防衛を強化した方がいいかもしれません」

 

 レクスの意見を聞いたエアハルトはしばらく考えて腕を組みレクスを見つめる。

 

「ふむ、その根拠は?」

 

 今の状況では魔物の襲撃もなく、調査も順調に進んでいる。今さら防衛を強化する必要があるのか、ヴィクトルやユミアも疑問に思っていたがエアハルトはじっと見据える。

 

「古代竜人の話で、いくつかの『古龍種』の存在が示唆されました」

「『古龍種』……そいつはどんな存在だ?」

 

「古龍種は自然の中でも特に逸脱した存在で、雷や暴風、爆炎や氷、様々な自然の力を操り、時として脅威となり災害をもたらすとされています」

 

 あらゆる自然の力を操り猛威をふるい天災にもなる自然そのものを体現した存在。レクスの世界にはそんな恐ろしい生物もいれのかとヴィクトルは息を呑む。

 

 

「彼らの力は周辺環境や生態系に影響を与え、他の生物達がよその土地へ避難して暴れたり、異常行動を起こしたりします。普段は奥地に生息するモンスターが街へ下りて暴走し破壊をしたりといったケースがあります」

「このアラディスの大地の何処かに古龍種が潜んでいて、そいつらが暴れると周辺環境に影響が出てモンスターが縄張りや住処を移動し調査拠点に流れ着いて襲撃、という可能性がある……ということだな?」

 

「……万事に備えた方がいいかと」

 

 エアハルトはしばらく考え、拠点の周辺を見回す。

 

「……万が一、か。この拠点はモンスターの襲撃は予想されていない。どう防衛強化をしていくか、襲撃された際の対処は心得た方がいいな。レクス、是非とも教えてくれ」

 

「任せてください!」

 

 拠点の防衛強化の任を任されたレクスはフンスと張り切るとすかさずユミアの方へと歩み寄る。

 

「さっそくなんだけど……ユミア、君の建築技術の力が必要なんだ」

 

「へ!?わ、私ですか!?」

 

 急に指名されたユミアはビックリしてアホ毛がピンッと伸びた。

 

「防壁とか、柵とか設置や製造が正確で手早く建設できるからね」

 

「確かに拠点作りでもユミアによる建築は手早い上に丈夫だよね!」

「錬金術によるものだが、そんなことすら気にならないほどのものだ。調査は一旦置いて拠点強化に専念しよう」

 

 僕らも手伝うとヴィクトルとアイラもやる気になり、レクスにも頼られたユミアはしぶしぶ頷くしかできなかった。

 

「私、建築家じゃなくて錬金術士なんですけど……」

 

 

 

______

 

 

「木材と石材を組み合わせてと……できた!レクスさーん!この辺りに設置していいですかー?」

 

 ユミアは杖銃を掲げてマナの力で浮かせた防壁を運び、レクスは拠点周辺の地図を見ながら設置場所を確かる。

 

「ああ、そこに設置をしてくれ!そしたら囲うように次も設置を頼む!」

 

「ユミア、木材と石材はここに置いておくぞ」

「お、重いぃ……!お兄ちゃん先々行かないでこっちも運ぶの手伝ってよぉ!」

 

「ヴィクトルさんありがとうございます。アイラ、少し休んでていいよ?」

 

 ヴィクトルとアイラは他の団員達と共に防壁の素材となる木材や石を運んでいた。

 積まれた素材をユミアは杖銃を振りながらポフンという音を響かせながらあっという間に防壁を作り上げ、浮かせながら容易く設置をしていく。そんな様を見ていた団員達は唖然としていた。

 

「……錬金術士が建てた拠点の建物は丈夫で安心なんだけど、こう作る工程とかすっ飛ばして作るのは何時見てもビビるよなぁ……」

「しかもスッて簡単に設置していくから大丈夫なのって思うわよね……」

「錬金術って別の意味で怖いな……いやまぁ拠点作りとかは大いに助かってんだけど」

 

 

 団員達が心配する気持ちは分かるがユミアが建てた建築物は丈夫で助かっている。ヴィクトルもいとも容易く造り設置をするユミアにツッコミを入れたかったが我慢をした。

 

「ふう……これで防壁の設置は完了ですね。門も造って設置すればいい感じになりそう」

 

「おぉー!丈夫そうじゃん!これならモンスターが襲撃してきても大丈夫だよね!」

 

「うん……地上からはね」

 

 レクスは少し考えながら上を見上げる。

 

「飛竜種のように飛んで空から襲撃してくる場合もある」

「えぇー!?レクスさんの世界のモンスターってズルくない!?」

 

「防壁で防ぎきれない空からの襲撃の場合は人力、あるいは家屋の強化か被害を小さくするよう工夫しなければならないか」

 

「そうだな……弓や銃の飛び道具による対処や盾を使った防御とか。ヴィクトル、騎士団出身の団員達は盾の扱いは長けてる?」

「もちろん。レクスの使う盾ほどの大きさではないが問題ないか?」

 

「それなら大丈夫!タイミングを合わて防ぐジャストガードさえできれば小さい盾でも上手くいなせるよ」

 

 空からの襲撃の際の弓や銃による防衛の仕方を教え、盾を扱える団員達にタイミングに合わせて防ぐ『ジャストガード』をレクチャーしていった。

 

「上手く弾き返してもモンスターが反撃して鍔迫り合いの状態になることがある。その時は……気合いで押し返すんだ!」

 

 

 それはレクスのようなフィジカルがおかしい狩人だからできといるのでは、とアイラは心の中でツッコミをいれた。

 

「食糧や燃えやすい素材、収集した遺物等は倒壊しないまたは焼失しにくい建物へ移しておこう」

「丈夫な建物……棟梁!出番だよ!」

「だから私は棟梁じゃなくて錬金術士だってば!」

 

 そうプンスカ言いながらもユミアは立派で丈夫そうな倉庫を造り設置をした。

 

「うん、見事な倉庫だな」

「褒められてもなんだか複雑ぅ……遺物の移動は団長に許可をもらいにいこう」

 

 ユミア達は許可をもらいに団長のもとへと向かう。

 

 

「団長、収集した遺物をユミアが建てた倉庫に移したいのですが……」

 

「あれ?団長、誰かと話してる?」

 

 声をかけようとしたが団長が誰かを叱っている最中なのが見えた。

 

「――ルトガー、何度も言わせるな。いい加減に団員の一員として自覚を持ってくれ」

 

 

 団長に叱られていたのは樹海の観測施設でバッタリ出会ったレリックハンターのルトガーであった。

 

「1人の方が動きやすいんだよ」

 

 叱られているルトガーは反省の色は全く見せず、どこに問題があるのかと飄々としていた。

 

「成果は十分に出してる。どこに問題がある?」

 

「そういう問題じゃない。今までは1人でもやってこられたんだろうが……1人じゃ手に負えない問題やモンスターという存在もあるんだ」

「……へいへいっと……」

 

 ルトガーは面倒くさそうに生返事で返す。エアハルトはため息をつき、ユミア達が待っているのに気付いた。

 

「おうお前達、何か相談か?」

 

「おっ?お前ら樹海で出会ったのんびりチームか」

 

「言い方!何がのんびりチームよ!」

 

 ルトガーに茶化されたアイラは怒るがヴィクトルが諌める。

 

「樹海の施設では挨拶できなかったな。あの施設にあった遺物は君1人で回収したのか?」

 

 ヴィクトルに対してもルトガーは不適に笑う。

 

 

「おいおい、『手柄を横取りされた』とでも?同じ調査団で、横取りも何も無いだろ?」

 

 飄々とした態度を見せるルトガーに対してヴィクトルは厳かな雰囲気で返す。

 

「そういうことじゃない。1人は君にとっても危険ではと……」

「……ほぉーん……?」

 

 ルトガーは鋭く睨み、ヴィクトルは睨み返す。なんだか重たい雰囲気が漂いだした時、エアハルトは苦笑いしながら割り込む。

 

「あーすまん、紹介がまだだったな。こいつはルトガー。昔から俺が面倒を見ている。一応経験豊富な冒険者なんだが……見ての通り、ちょっと気難しいところがあってな。お前達には余計な手間を取らせちまった」

 

 

 苦笑いするエアハルトにユミアは笑って首を横に振る。

 

「別に気にしてないです。みんな無事ならそれでよし、ってことで」

 

「いいや、この大陸で軽率に動く危険性をこいつにはもっとよく説明しておくべきだった」

 

 ドシャグマやイャンクック、ラバラ・バリナのように団員に襲い掛かる危険なモンスター、護竜のみならず古龍種といった危険な存在が明らかになった。今はレクス達が対処をしてくれているが単身でモンスターに出くわした場合、軽率な行動は命取りになりうる。

 

「チッ……」

 

 エアハルトに睨まれたルトガーは嫌そうにそっぽを向いた。

 

「そういえばユミア、ルトガーが持ち帰った遺物の中に伝想器があったんだ。中身を調べてくれないか?」

 

「わかりました。団長、拠点防衛のため収集した遺物を丈夫な倉庫へと移そうと考えているんですがいいですか?」

「ほー、倉庫を建てたのか。丈夫そうなら構わないぞ」

 

「そこまでしなくても……躍起になって襲撃してくるやつなんかいるのか?」

 

 ルトガーは疑いの眼差しをレクスとユミアに向けるがエアハルトがゲンコツを入れて止めさせた。

 

「ルトガーが回収した遺物は管理担当に預けてある。中身を調べてから移動をさせておく。ほらルトガー、お前も来るんだ」

「チッ、なんでオレまで……」

 

 

 ユミア達はエアハルトとルトガーて共に遺物を管理されている家屋へ向い、管理担当からルトガーが回収していた伝想器を受け取る。

 

「たしかに、旧文明の伝想器みたいですね……やっぱり先を越されてたんだ」

 

「なんなんだコレ?価値はありそうだが、使い道はわからん」

 

 ぶっきらぼうに話すルトガーにユミアはドヤ顔をする。

 

「私には分かる」

『一般人にはわからなくとも当然です』

 

「……へぇー……?」

「大丈夫、俺もブランも分からなかった」

「いやそこはドヤ顔されてもわかんねぇよ。てか張り合うなって」

 

 ルトガーはついでにドヤ顔をするレクスとブランにツッコミをする。

 

「さて、どんな情報が入ってるかな……フラミィ、スキャンをお願い」

 

 ユミアはフラミィに指示を出し、フラミィによる伝想器のスキャンがされた。

 

『……どうやら中には錬金術士達の技術研究資料が記録されているようです。【我々はこの地に根を下ろす】、【だが、追い求める真理は変わらない】【せめて後世に生きる錬金術士のために、この研究資料を残す】……などと記されています』

 

「この中にそんなことが……」

 

 小さな筒のようなものに数多の情報が入っていることにルトガーは驚く。

 

「なるほど……この資料、詳しく見てみたいです。この伝想器、借りていってもいいですか?」 

 

「ああ、構わないぞ」

 

 団長から許可をもらい、ユミアは伝想器をポーチに入れる。そんなユミアを見てルトガーはニッと笑う。

 

「錬金術士ってのはよく分からん道具を使うんだな」

『フラミィは【よく分からん道具】ではなく超高性能自立型探索補助装置です』

 

「ハハッ、面白いなコイツ。オレ達団員に貸してくれよ」

「無理です。この子は代わりが効かないし」

「そんなこと言うなよ、オレ達調査団だろ?」

 

「もしかしてフラミィを使って1人ですんごいお宝を見つけようと考えてたりしてない?」

「バッ、バッカヤロ!そ、そんなことしねえって!あれだ、調査効率に貢献すんだよ!」

 

 あたふたと取り乱すルトガーにアイラはジト目で睨む。魂胆が丸見えである。

 

「困ったなぁ……フラミィは貸せないし、調査団同士だから断れないし……」

「なら、一緒に行動したらどうだ?」

 

 エアハルトの提案にルトガーはぎょっとした。

 

「一緒に行動すれば伝想器は見つかるし、調査の効率も上がる。おまけにコイツに軽率な行動の危険性も学ぶことができる」

 

「いや待て、なんでそうなるんだよ。さっきも言った通りそういう話ならお断りだ」

 

 ルトガーが嫌そうにしながらエアハルトを睨むとエアハルトは眉間にしわを寄せてルトガーを見つめる。

 

「……あのな」

 

「んだよ、オレはオレの好きなように――」

 

 ルトガーが言い終わる前にエアハルトは片手でルトガーの肩を掴んだ。

 

「……ルトガー、ちょっとこっちにこい」

「あ?なんだ――おい、ちょ、おいっ!?引っ張るな!おい聞いてんのか!?いや引っ張る力強っ!?」

 

 

 ルトガーは肩を引っ張られ家屋の裏へと連れて行かれ、その直後にゴツンと鈍く大きな音が響いた。しばらくしてため息をこぼすエアハルトと頭にたんこぶをつけてしょんぼりするルトガーが出てきた。

 

「みんなもルトガーのこと、よろしく頼むな」

 

「あー、えー……まー……えーっと……」

 

 ユミアはどう返せばいいか言葉が出てこず苦笑いで返す。

 

「私が言うのもなんですが……大丈夫ですか?」

 

「ダイジョーブだ」

 

 即答するエアハルトにユミアは更に反応に困った。そんな最中、アイラは笑ってルトガーに手を差し伸べる。

 

「私達、冒険者としては不慣れだしここは仲良くして行きましょ!」

 

 しかしルトガーは握手することはなくしかめっ面で返した。

 

「オレは馴れ合うために来たんじゃねえ」

 

「………は?」

 

 しかめっ面で返されたアイラはルトガーを睨み返す。さっそく悪い空気になり、エアハルトがすかさずルトガーを睨む。

 

「ルトガー、何度も言わせるなよ?」

「分かった分かったよ。こいつらのお守りをしろって話だろ?」

 

「お、お守りぃ!?」

 

 完全に馬鹿にされているとアイラは怒りの声を上げる。

 

「あ、アイラ、落ち着いて……」

「だってさぁ!子供扱いしてるんだよ!」

「団長、その……」

 

「昔から言って聞かせてきたんだが……この口の悪さだけは直らんなぁ……」

 

「アイラ、仲良くね……」

「うん!ぜぇぇぇったい!無理!!」

 

「奇遇だな、オレもそんな気がしてた。だが……」

 

 ルトガーはチラッとレクスとブランに視線を向ける。

 

「よそ者の実力はまあまあ気になるがな……」

「ちょっと!レクスさんとブランちゃんをよそ者扱いしないでよね!」

 

「まあまあ、アイラ怒らないで。扱いには慣れてるから。これからよろしく、ルトガー」

「馴れ合うつもりは「仲良くなった印にこんがり肉食べる?」いやいらねぇって!てかそんな肉どっから出したんだ!?しかもいい香りしてんなあおい!」

 

「今なら握手の代わりにボクの肉球を触らせて上げる!」

 

「いやだから馴れ合うつもりは……うおっ!?肉球やわらけえな!?」

 

 この様子なら大丈夫だとユミア達は確信した。

 

「よしこれで問題ないな。それじゃあ団員達を呼んで遺物を倉庫に……」

 

 

 さっそく団員達で収集した遺物を倉庫へと移しに取り掛かろうとしたその時、ウィルマがアルバーを抱えながらあたふたと慌てながらやってきた。

 

「れ、レクスさん…!」

「あれ、ウィルマさん?慌ててどうしたんです?」

 

 

 慌ててきたため息を切らしていたウィルマは深呼吸をして息を整える。

 

「そ、それがアルバー達に困ったことが起きたみたいでして……アルバー達の食糧や物々交換に使う魚が取れなくなった事とこの子達の集落がモンスターに襲撃されて大変なことになっているそうなんです」

 

「アルバーの集落が…!」

 

 アルバー達が物々交換に使う魚や植物は貴重な資料になり、アラディスの土地や歴史にもある程度だが教えてくれたりして助けになっている。そんなアルバー達を無碍にするわけにはいかない。

 

「緊急事態だ。レクス、アルバー達を助けなくては」

 

「……詳しく教えてくれないか?」

 

「うん…!ぼくたちがいつもお魚をとる場所に『でかでかのバシャバシャ』が暴れてお魚をひとり占めして困ってたのー。どうしようか困ったところに『真っ黒のギラギラ』が暴れてぼくたちのお家をメチクチャにしたんだよー」

 

 いったいどういうことかユミア達はよく分からなかったがレクスは心当たりがあるのか考えた後アルバーに尋ねた。

 

「集落を襲ったモンスターの特徴はわかるかい?」

 

「うん!黒くてー、目が赤くギラギラしててー、ぴょんぴょんしてて、羽がスパスパしてた!」

 

「………もしかして尻尾はとても長かった?」 

 

「そうだよー!ガシャガシャののっぽさんは物知りだね!」

 

「旦那さん、やっぱり……」

「ああ、間違いないな」

 

 アルバーの話で納得したレクスとブランにルトガーは訝しげに見つめる。

 

「今ので分かったのかよ」

 

「だいたいは。アルバーの集落を襲ったのは『【迅竜】ナルガクルガ』だ」

 

 

 




 
 オメガ対策にむけてスキルの組み合わせをどうしようか……
 絶対にガ強を貫通するガード不能攻撃とかしてきそう。
 
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