ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人   作:サバ缶みそ味

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 ついにアセンダンスに新古龍が……!

 飛んでるし、蛇竜種体型だし、なんか戦いにくそう……
 ラヴィエンテみたいに胴体を殴る感じかな?
 もしくはマキヒコやナルハタ、アマツみたいに浮いてる感じかだろうか……片手、双剣泣かせか


28話 戦士ヴェスペル

「こっちだよー、ついてきてー」

 

 アルバー達が先頭に立って突き進み、目的地である巨大樹に行ける抜け道へと案内していく。更に樹海の奥へと分け入り、苔むした大樹の根の坂を上っていった。確かに巨大樹に向けて登っているのは実感できるが進めば進むほどより鬱蒼としより険しくなってきていた。

 

「おぉい……何処まで進むんだ。ずっと登りっぱなしじゃねぇか」

 

「もう、ルトガーは文句が多いっての。せっかくアルバー達が安全な道へと案内してるんだからつべこべ言わずついていきなさいよ」

 

 中々抜け道へと辿り着かないことに苛立つルトガーをアイラが叱咤する。

 

「まあディノバルドに出くわさないルートだからこそ、あいつに見つからないまたはあいつが通れない道があるってのは大事だよね」

 

 へばりかけるルトガーに対して疲れの色を見せずルンルン気分でレクスはアルバーについていく。

 

「レクスさんがそこまで言うからして、ディノバルドは結構縄張り意識が強いモンスターなんですね……」

「その通り、一部界隈では『しめじの番人』とあだ名つくほど縄張りを頻繁に巡回するからね。侵入者には容赦しないんだ」

「へー……でもなんでしめじ?」

 

 

「ユミアって……結構歩き慣れてる?」

 

 アイラやルトガーが歩くペースが遅くなっている一方でユミアは疲れの色を見せることなくレクスと並んで歩き話が弾んでいた。

 

「僕達がユミアの監視役を担う前からよく周辺を長時間散歩しているところをよく見かけたからな……長距離は慣れているんだろう」

 

 

「着いたよー!あそこがその抜け道だよー!」

 

 

 そうこうしているうちに抜け道に辿り着いたようだ。一行が目にしたその先には幾つもの木の根が絡まり合い、行く手を阻む木の根の壁が見えた。

 

「すっごい根っこ……でも道が塞がっちゃってるね」

 

 抜け道を通れば目的地である巨大樹へと行けるが、この状態では通り抜けることはできない。

 

「…あーそっかー。のっぽさん達はこれじゃ通りないんだー」

 

 アルバーなら下の方にできた隙間をくぐれるがユミア達ではくぐるとのも容易では無いようだ。

 

「あぁ?無駄足ってことかよ?」

 

 長時間歩いて辿り着いたと思ったらアルバーしか通れない道だったことにルトガーは悪態をつく。

 

「ルトガーの鎌で何とかならないの?ほら、新調して切れ味よさそうだし?」

 

「こんなバカでかい木に刃が通るかよ。てかこんなんで刃毀れしたくねぇし」

 

「………」

 

 壁として塞がっている根に対してレクスはうずうずしていたが察したブランが牽制をする。

 

「旦那さん、大タル爆弾はダメだからね?」

「はっ!?あ、当たり前だろ!壊せるような気がしただけだ!」

 

「レクス、気がしてもダメだからな?」

「爆弾て、物騒なもん持ってんのか!?」

 

「え?見たい?」

 

「いや見せなくていい!つうかめっちゃわくわくしてんなおい!?」

 

 何かいい方法はないか、別の迂回路はないかヴィクトル達が考えている最中、ユミアはじっくりと木の根を見て考えていた。

 

「うん……これくらいなら、なんとかできるかも……」

 

「のっぽさん達大丈夫そー?」

 

「うん、後は私達がなんとかしてみる。道案内ありがとう」

 

 ユミアは微笑んで礼を言い集落へと帰るアルバーを見送った。

 

「ユミア、何かいい方法があるのか?」

 

 ヴィクトルの問いにユミアは頷く。

 

「人が通れるくらいの道ができればいいわけだから、木の根をなんとか持ち上げればいいんです。確か………フラミィ、こんな感じに調合できないかな?例えば―――」

 

 フラミィに木の根を持ち上げる方法、調合の組み合わせやらを聞いてみるとフラミィはポワっと少し光らせた。

 

『はい、その調合なら可能です』

 

「よかった。皆、ちょっと作りたい道具があるから協力してくれないかな?」

 

「あの根をどうにかできんだろうな?」

 

「うん……多分、そのはず。植物とか花とか、素材を幾つか採取しなきゃいけないんだ」

 

「歯切れが悪いなぁ…まあいい。出来るんならさっさと動くぞ」

「よし!調合の素材ならばばっと採取するから任せとけ!」

「採取ならボクも得意だよ!」

「お花なら任せて。綺麗なの選んであげるね!」

 

 悪態をつきながも協力するルトガー、ふんすと張り切るレクスとブランとアイラにヴィクトルは頼もしく思えた。

 

「ところで調合するということはアトリエに戻るのか?」

「いえ、今回は植物園の拠点に簡易祭壇を設置して調合します。レクスさん達がすぐ素材を集めてくれそうなんで」

 

 ユミアに信頼されてる、とレクスとブランとアイラは更にドヤ顔を決める。

 

「いやだからそんなことしてねぇでさっさと動くぞ……」

 

____

 

 素材を集め、植物園の拠点に簡易祭壇を設置したユミアが道具を錬成し、再び木の根で塞がった道へと戻った一行。

 

 ユミアが木の根の壁へと近づき、ポーチから調合して作った道具を取り出す。取り出したのは拳大の丸い種で、ユミアは木の根の壁の真下に種を埋め込んだ。

 

「これでよし、と」

 

「なるほど、種も錬金術で作れるのか」

「それよりさっき埋めた種は何なんだ?」

 

「目には目を、歯には歯、根には根を……と思って」

 

 一同ハテナと不思議そうな顔をして首を傾げているが、ユミアは続けてエナジーコアを取り出した。

 

「よし、やってみよう」

 

 

 ユミアは目を閉じて集中し、エナジーコアからマナを放出させる。エナジーコアから淡い赤色の光が発し、キラキラと光を放つ。何が起こるのかしばらく見守っているとエナジーコアの光が一瞬強く光って消えたと思ったらユミアはエナジーコアをポーチにしまった。これから何か起こるのかと思いきや何も起きない。

 

「……で?」

 

 ルトガーが半ば呆れ気味に事の顛末を聞くがユミアは苦笑いする。

 

「えー……一日置きます」

 

 まさかの一日放置にルトガーとアイラがずっこけそうになった。

 

「なんで一日置くんだよ!?さっきのは見掛け倒しか!?」

「なんかこうすぐに何か起こるのかと思ったよ……」

 

「あはは……今回のは始めて作った道具だからちょっと時間がかかるかなぁって」

 

「ったく、それまでどう時間を潰せばいいんだよ。テントなんざ持ってねぇし、野宿でもすんのか?」

 

「いや、テントなら……」

 

 文句を垂らすルトガーにヴィクトルが指を差す。ユミア達のすぐ横ではレクスとブランがせっせとテントを設置していた。

 

「いやー簡易キャンプセットを常時持ってて正解だったな!」

「いつか役に立つと思って持ち続けてよかったね」

 

「テント持ってたのかよ!?つかどうやってそんなもん持ち歩いてたんだ!?」

「それがレクスさん達なんだよねぇ……ツッコミどころ満載でツッコミも疲れちゃったよ」

 

「レクスのいた世界の技術には驚かされるばかりだな……おかしいところもあるが」

 

 ヴィクトル達が半ば驚き半ば苦笑している間にレクスとブランは簡易キャンプの設置を完了させる。

 

「よーしこれで完成だ」

 

「これでゆったり休める……って、テントの中、なんか狭くねぇか?」

 

 ルトガーがテントの中を覗き込むと中にはハンモックが2つ、簡易アイテムボックスがスペースを大分とっており狭く感じた。

 

「簡易キャンプだからね、元々は俺とブランの2人で寝泊まりできる広ささ。今回はユミアとアイラ専用だよ」

 

「つーことは、俺達野郎は野宿かよ!?」

 

「さっすがレクスさん!わかってるぅ♪」

「レクスさんありがとうございます。悪いねルトガー、このテント二人用なんだ♪」

 

 アイラとユミアはハイタッチしルトガーを茶化す。ギッと睨み返すルトガーであったがヴィクトルが苦笑いしながら宥める。

 

「レクスが言ってたように2人用のテントだから仕方ない。僕達は火を焚べる枝を集めておこう]

「すまないなルトガー。後でこんがり肉ご馳走してあげるからさ。あっ、ハンモックなら作れるぞ?」

 

「いらねぇよ!あー畜生……美味い飯作らねぇと承知しねぇからな!」

 

 

 文句を言いながら不機嫌になるルトガーだったがその後レクスが造った簡易ハンモックで爆睡した。

 

_____

 

 ユミアが錬金術で調合した種を植えた翌朝、ユミア達は簡易テントを片付けさっそく植えた場所へと様子を見に行く。

 

 そこには地面から幾つもの根が生えており、道を塞いでいた大樹の根を持ち上げるように伸びていた。

 

「まじかよ、こんなこともできるのか…!」

 

 一日置いただけで根が生え、道が通れるようになったことにルトガーは目を丸くする。

 

「さっすがユミア、頼りになるね」

 

「どうにかできたけど、結構力技だったな……」

 

 うまく成功したことにユミアはほっと安堵した。レクスとブランは珍しそうに大樹の根を持ち上げる根っこを軽く叩いた。

 

「すごいな、その種を上手く使えば岩や倒木で通れない道も通ることができるな…!」

「探索や移動するのに便利だね!」

 

 関心するレクス達にユミアはエッヘンと胸を張る。ヴィクトルもユミアの発想と技術に関心していた。

 

「……うん、想像以上だ。行こう、目的地の巨大樹はこの先だ」

 

 道が切り開かれ、本来の目的地へと進むことができる。ユミア達は通り抜けて更に奥へと進んでいった。

 

 途中エナジーコアがキラリと光り、エナジーコアによるマナの膜が貼られる。どうやら高濃度マナ領域に入ったようだ。

 

「濃いマナの量……進んでいけば祭壇があるはず」

 

 エナジーコアの残留に気を配りつつユミア達はまわりを警戒しながら進む。その時、レクスの腰に提げている容器に入っている導蟲が緑色の光を発しながら飛んだ。

 

「導蟲が反応した?何か痕跡があるのか?」

 

 モンスターの痕跡があるのか導蟲が光りながら集まっている場所へと向かうと導蟲が渦を描くように飛んでいる場所に辿り着く。しかし痕跡らしいものは見つからない。

 

「んん?モンスターの痕跡がない。どういうことだ?」

 

「導蟲が渦を巻いて飛んでる……ちょっと確かめたいことが」

 

 レクスが首を傾げているとユミアが導蟲が飛んでいる場所に向けて杖を掲げる。杖の先に淡い光が灯るとユミアは頷いた。

 

「やっぱり……ここにマナ間欠泉があったんだ」

「確か、ユミアが残響片を集めるのに利用する、マナが吹き出してる場所だよね?」

 

「うん、恐らく誰かがそこにあった間欠泉から出た残響片を集めてたんだと思う……」

 

「ユミア以外で利用する人物……まさか」

 

 ユミアの言葉にヴィクトルとアイラは目を見開く。心当たりがあるとすれば、植物園付近で目撃したヴィクトル達が追っている竜の魔物しかいない。

 

「お兄ちゃん…!」

「ああ、もしかして奴がこの周辺にいるのか…!」

 

「奴ってなんだ?お前らの様子からして何か事情があるみてぇだが……」

 

「詳しい事は後。レクスさん、痕跡を採取できたら奴を追えることはできる?」

 

 アイラの問いにレクスは少々難しく考えたが悩みながらも頷く。

 

「できると思うが……いや、やってみよう」

 

 レクスはとりあえずマナ間欠泉があった場所の土を採取して導蟲に痕跡を嗅がせる。すると導蟲が緑色の光を強く発して道の奥へと飛んでいった。

 

「もしや……この先にいる可能性がある…!」

 

 驚くレクスの言葉にヴィクトルとアイラは武器を強く握りしめた。

 

「アイラ、気をつけて進むぞ…!」

「うん…!」

 

 2人に緊張が走っている一方でユミアも同じく杖銃を強く握りしめていた。

 

(もし私の考えている通りなら……あいつがお母さんを……)

 

 緊張感を高めながらも導蟲が光る先へと辿っていく。やがて広い場所へと辿り着くとそこには天まで伸びているように大きく聳える巨大樹が見えた。本来なら巨大樹の大きさに目を見張るものだが、導蟲が飛んで行く先からひしひしと並ならぬ気配を感じていた。

 

 ユミアはマナの流れを追う。周辺に漂うマナが何処かへと集束していたのだ。そして警戒しながら進んだ先に、人型の竜の魔物の後ろ姿が見えた。魔物の手にはユミアと同じエナジーコアらしき物があった。

 

「――!」

 

 見覚えのある魔物の後ろ姿にユミアとアイラ、ヴィクトルは咄嗟に武器を構え、ただ者ではない気配を察知したルトガーも同様に武器を構える。

 

「あいつ―!」

 

 アイラがキッと睨んで叫ぶと魔物はぴくりと反応してチラッと後ろに目を向ける。

 

 

「さて……なぜ、人がここにいる?」

 

 魔物が突然喋りだしたことにユミアは驚愕する。普段の魔物は道具のみならず言葉も使えないはず。ヴィクトルは臆することなく盾を魔物の方へと向ける。

 

「言葉が通じるなら、寧ろ好都合―――ユーステラ騎士団所属、ヴィクトル・フォン・デューラー!我が領地を襲い、マナ災害を引き起こしたのは貴様だな!名を名乗れ!」

 

 ヴィクトルは怒りに満ち溢れ睨み叫ぶ。しかし魔物は動じることなくエナジーコアを握り、力強く翼を羽ばたくと突風が巻き上がる。怯むユミア達に魔物は鼻で笑った。

 

「戦を知らぬ、現代の軍人か……」

 

 竜の魔物は振り向いた。竜のように力強いオーラを放つ人型の魔物。

 

「―――ヴェスペル。俺も国のため、命を捧げた1人の戦士」

 

 ヴェスペルと名乗った魔物はギロリとユミア達を睨み威圧する。ピリピリと感じる殺気に握る手を震わしながらもアイラはヴェスペルを睨み返す。

 

「あんたを倒して……みんなの仇を討つ!その為に私達は此処まで来た!」

 

 仇討ちと声を上げるアイラにヴェスペルは小さくため息をこぼした。

 

「……弱者をいたぶる趣味はないが、切り捨てることにも躊躇もない。アラディスの覇道に貴様ら下賤の民は不要」

 

 ヴェスペルは見下し、ただ躊躇なく屠ると拳を構えた。舐められてると感じたルトガーは睨み返して好戦的な笑みを浮かべて構える。

 

「はっ……おもしれえ、やってみやがれ」

 

 ヴェスペルの言葉にユミアはわなわなと震えていた。

 

「……お前がいなければ、あの事故は起きなかった……」

 

 そして確信する。あの魔物が―――

 

 ユミアはキッと睨み杖銃を構える。

 

 

「―――絶対に許さない!」

 

 

 怒りを露わにするユミア達にヴェスペルはふんと鼻で笑って挑発した。

 

「……身の程知らずの愚か者共め。己の無力さに打ちひしがれるがいい」

 

 挑発を皮切りにユミア達はヴェスペルに向かって走り出した。一方で戦い出したユミア達と違ってレクスは立ち尽くしていた。ブランは不安そうにレクスを見上げた。

 

「旦那さん……」

 

「ああ、わかっている……」

 

 レクスは虚しく己の拳を握りしめていた。

 

「はああああっ!」

 

 先陣を切ったのはアイラ。ヴェスペルの胴目がけて槍の突きを放つが、ヴェスペルはひらりと躱す。

 

「ふん……」

 

 ヴェスペルは相手を見下し、隙ができたアイラに向けて拳を放つ。

 

「させるかっ!」

 

 ヴィクトルがアイラの前に立ち、盾で拳を防ぐが余りにも強い衝撃でヴィクトルは苦痛の表情を浮かべた。

 

「おらあああっ!」

「このっ!」

 

 盾と拳の鍔迫り合いの最中にルトガーとユミアがヴェスペルの背後から鎌と杖銃を振り下ろそうとした。

 

「こざかしい!」

 

 ヴェスペルが持っていたエナジーコアを光らせ力強く翼を羽ばたかせると熱風が巻き上げった。

 

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあっ!?」

「っ!?」

 

 熱風を纏う突風にユミア達は吹き飛ばされる。だがユミアは怯むことなく杖銃の銃口をヴェスペルに向け、弾丸を撃った。突然の反撃にヴェスペルは目を丸くする。

 

「なっ…!?」

 

 勢いよく飛んだ弾丸が頭に直撃し、ヴェスペルは強い一撃によろめくが直ぐに立て直しユミアを睨みつけた。

 

「調子に……乗るなっ!!」

 

 ヴェスペルの口から炎が溢れ出し、ヴェスペルは炎のブレスを吐いた。

 

「ユミアっ!」

 

 ユミア目がけて放たれたブレスをヴィクトルが盾で防ぐ。踏ん張りながらも炎のブレスに耐えたヴィクトルにヴェスペルはふんと鼻で笑いながらも警戒する。

 

「腕は下民だが……その武器は違うな。錬金術か……いや、それだけではなさそうだ」

 

 ふむと頷くヴェスペルに向かってルトガーとアイラが駆ける。ふんと嘲笑うヴェスペルが爪で裂こうとするが2人は躱し、ヴェスペルの真横へ回り込む。

 

「くらえっ!」

「そこっ!」

 

 2人は隙が出来たヴェスペルに向けて鎌の斬撃、槍の突きを放つがヴェスペルはいとも容易く鎌と槍の刃を両手で受け止めた。驚愕する2人に反撃を与えることなく力強く投げ飛ばし、ルトガーとアイラは地面に打ち付けられた。

 

「ルトガーっ!アイラっ!!貴様っ…!」

 

 ヴィクトルが盾を振るうがヴィクトルは軽く受け止め、ふんと嘲笑う。キッとヴィクトルが睨み、パイルバンカーを放つがそれを読んでいたのかヴェスペルは躱して翼を羽ばたかせて飛び上がり、ヴィクトルを蹴り飛ばした。

 

 

「ヴィクトルさん!このっ!」

 

 ユミアは走り、高く跳んでブーツに内蔵されつあるエナジーコアを光らせ飛んでいるヴェスペルに向けて踵落としを放つがこれもヴェスペルは軽く受け止めた。

 

「まさか外から錬金術士がやってくるとは。全て滅びたと思っていたが…」

 

 ヴェスペルは尻尾でユミアを捕らえ、力強く地面へと投げ飛ばした。

 

「うわあああっ!?」

 

 地面へ打ち付けられる寸前、レクスがユミアを抱き止めた。

 

 

「れ、レクスさん……」

 

「……」

 

 レクスは無言のままユミアを優しく下ろす。突然現れた乱入者にヴェスペルは睨み、急降下して拳を振り下ろした。

 

「……」

 

 振り下ろされた拳をレクスは大剣で防ぎ、ヴェスペルに向けてギロリと睨む。

 

「っ!?」

 

 ヴェスペルはレクスの殺気にゾクリと感じ、後ろへ跳んで間合いをとった。

 

 ヴェスペルは今までにない感覚を感じる。兜の奥に光る眼光に、それは倒すではなく、狩るという眼差し。己の異形の姿に臆することない……レクスから感じられるのらまるで自分よりも遥かに巨大な存在をも狩ったかのような、異様な気配だった。

 

 

「貴様、軍人ではないな……一体、どんな怪物を狩ったんだ…?」

 

 レクスは答える事なく大剣を構えた。

 

 

「俺はレクス・テイガー……狩人だ」

 

「ほう……ただの狩人ではないように思うが?」

 

「………ヴェスペル、ひとつ尋ねていいか?」

 

 レクスの問いにヴェスペルは頷く。本来ならば下民には答える筋合いはない。しかし、レクスという異様な存在にヴェスペルは興味を示した。

 

「お前、自分をアラディスの戦士だと名乗っていたな?」

「如何にも、俺はこの国の戦士だ」

 

「ならば………問おう。ユーステラで、ヴィクトル達の故郷で起こした殺戮は忠義か!それとも快楽か!」

 

「……何故、それを問う」

 

「俺は知っている……国のため、主君のため、戦士は忠義を尽くすと」

 

 変わった問いだとヴェスペルはふんと鼻で笑うが、大きく頷いた。

 

「……忠義だ。主君の大儀ため、アラディスの覇道のためならば俺は殺戮を厭わぬ。それが戦士の使命」

 

 ヴェスペルの答えにレクスはしばらく沈黙すると俯き、柄を握る力を強めた。

 

 

「狩人失格だな……お前が心無い魔物だったらどんなによかったと思うなんて」

 

 そしてレクスは大剣を納め、拳を構えた。レクスが武器を納めたことにユミア達も、ヴェスペルさえも目を丸くした。

 

 

「……どういうつもりだ?」

 

「狩人の武器は戦争や人殺しのために非ず。自然の脅威から人々を守るため、自然の均衡を守るために扱う。だから、お前をぶん殴ってとっちめて、何で何のために起こしたのか問い詰めてやる!」

 

 ヴェスペルは呆気に取られていたがレクスの行動に思わず高笑いした。

 

「ふはははは!!この俺に拳で勝つつもりでいるとはな!」

 

「心配ご無用!かれこれ盗賊や戦争中の兵士相手には素手で勝っているからな!」

 

「フッ……下民共と一緒にするな!」

 

 ヴェスペルは怒号を飛ばしレクスへと襲い掛かった。

 

 

 




 ちょっと長くなりそうなので分けます……

 カリアのアトリエの巨大魔物戦……どこか既視感が

 ゾラ・マグダラオス……!?背中に乗らないよね…?
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