カムりたい 作:カカシ先生は俺の青春
「成功してくれよ──────千鳥!!」
俺の手に集中させたチャクラが雷へと性質変化し「チチチチ...」と鳥のさえずりのような音を発している。
習得に苦戦していた千鳥をこの土壇場でものにすることが出来た。眼を写輪眼に切り替え、姫島の母親に姫島を頼み狛犬共へ突っ込む。
「殺れ式神達よ!たかが手に雷を纏わせた程度だ!」
狛犬達がさっきと同じように三匹が陽動、残り二匹が二人の元へ行こうとしているが写輪眼となった今の俺には全てが視えている。姫島さんが簡易結界が崩壊する前に俺へ向かってくる狛犬達を千鳥で仕留める。狛犬一匹一匹の体を貫くと、呻き声を上げながらただの札に戻った。
雷遁チャクラの細胞活性で瞬身並のスピードを継続的に持続出来たお陰で、奴らが出した式神達を一掃出来て残るは男達のみだ。
「さて、ご自慢の式神はこの通り。どうする?逃げるか?」
「ふ、巫山戯るな!何も知らないガキが!姫島家「そんな事知らねぇよ」」
「姫島家っていうのがどんなに偉いかは知らない。だが──────」
雷遁チャクラを再び練り上げ、貫手では無く力強く拳を握りしめ、吠えている奴の顔面に雷遁チャクラを纏わせた拳を顔面に叩き込んだ。
「友達を傷つけようとするヤツは神様だろうが何だろうが絶対に許さない!金輪際、この二人に近づくな!近づこうとするのなら、次はそこで寝てる奴以上にすると上に伝えておけ!」
俺が殴り飛ばした奴の顔面は鼻の骨が完全に折れ、歯も数本折れ顔近くに歯が散らばっていた。取り巻き達は顔面蒼白になりながら、気を失っている奴を担いでこの場から去っていった。
「ヤバいな...初めての千鳥でチャクラ大分持ってかれたな」
姫島家の人間達が尻尾を巻いて逃げ帰っている後ろ姿が見えなくなるのを待ってから、姫島達の元へ行こうと歩き出そうとしたら視界が揺れた。
「カカシくん!」
心配そうな顔をした姫島が駆け寄ってくる姿を最後に、俺の意識が遠のいていく。
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「カカシくん!」
カカシくんが糸の切れた人形みたいに突然倒れてしまった。私とお母様は直ぐにカカシくんの元へ走り、カカシくんの容態を確認するとスヤスヤと眠っていた。
「ただ眠っているみたいね」
「良かった...」
「カカシくんを休ませる為に家に運びましょう朱乃」
お母様がカカシくんを抱えようとした時、大人の男の人がいきなり目の前に現れた。その男の人は白髪の髪をしていて、顔付きが少しカカシくんに似ていた。
「あなたはサクモさん!」
「こんばんは朱璃さん」
私達の前に現れた男の人はカカシくんのお父さんだった。
カカシくんのお父さんがカカシくんを抱え上げ、私達の家に運んでもらい、直ぐに布団を用意してカカシくんをゆっくり寝かせてもらった。
「やっぱり姫島家の人間が来たようだね」
「はい...ですが、カカシくんが助けてくれたお陰で殺されずに済みました。流石はサクモさんの息子ですね」
「それなんだけど...カカシは裏の事情を何一つ知らないんだ。私はカカシに普通に生きて欲しいと思ってたから何も教えて無かったんだ」
話に着いて行けず、お母様に私にも分かりやすいように説明して欲しいと頼み込んだ。カカシくんのお父さんは白い牙という通り名を持つ退魔師で日本神話勢に属している凄い人、カカシくんは凄い人の息子だけど、裏事情については何も知らない一般人として育てていたらしい。
「でも、カカシくんのあの力は一体...」
「それについては私にも分からない。ただ、半年前からカカシが何らかしらの力に目覚めて一人で修行し始めていた」
半年前と言うと私と一緒に帰らなくなった時期と被っていた。それに今日の下校に誘った時、最近始めた事があると言っていた...つまり、カカシくんは目覚めた力の修行をしていて私と帰る時間が無かったという事になる。
良かった...本当は嫌われてしまったのでは無いかと不安だった。
「力もそうですがあの赤い瞳は一体何でしょうか?邪眼か魔眼の類なのでしょうか?」
「私も遠目で見た事はあるけど
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俺の周りで話し声が聞こえてくる。
重い瞼を開けると見覚えのない天井が視界に写り、周りを見渡すと姫島さんと姫島、それとここにいるはずの無い父さんが居た。
「おはようカカシ」
「おはよう父さん...何故父さんが此処に?」
「カカシくん!」
父さんが此処に居る理由を聞こうとした俺に姫島が強く抱き締めてきた。俺が目覚めるまでずっと心配していたと姫島の母親が教えてくれ、父さんが此処にいる理由は俺の力について聞こうと思っているらしい。
「そのままで良いからカカシにはこの世界の裏について聞いて欲しい」
「いや、そのままって...とりあえず姫島離れろ重たいし痛い」
「お、重たいって乙女に対して何て言う事ですか!」
「乙女なら慎みを持って異性に無闇に抱きついたりはしないぞ」
ぐぬぬと姫島が言いながら離れた。
姫島が離れてから父さんは俺が今いる世界の裏側について語り始めた。この世界には人間以外に神様や悪魔等と言った架空のもの達が跋扈すると教えてくれた。姫島さんも補足で色んな勢力があると教えてくれて、父さんは日本神話に属していて他勢力から白い牙って通り名が轟いてる程有名らしい。
畑サクモって名前だったからまさかとは思ってたけど、カカシ先生のお父さんと同じ白い牙って呼ばれていたのか父さん。
「さて、カカシ。君の力について話してくれないか?私は今まで色んな力を見てきたがカカシが使っている力は見た事も無い」
「俺の力はチャクラって言ってね、身体エネルギーと精神エネルギーを掛け合わせた力。俺もこれに目覚めたのは半年前くらいだから上手く説明が出来ない」
俺自身もチャクラが宿った事、写輪眼が開眼した理由をよく分かってない。
「そうか...じゃあ次は赤い瞳について教えてくれないか?」
「赤い瞳?」
「朱乃は見えてなかったかも知れないけど、カカシくんが手に雷を纏って戦った時、黒かった瞳が赤くなったのよ」
俺は三人の前で写輪眼に切り替えた。
「赤いお月様みたい...」
「この目についてもよく分からない。ただ、この目になると相手の力の流れや相手の動きを見切れる様になるんだ」
俺に宿った写輪眼の瞳力がどれほどのものか分からないが、少なくとも幻術位は相手にかけられる瞳力があるといいなって思ってる。だけど、万華鏡に昇格はさせたいが条件が厳しすぎるし万華鏡を開眼した後のリスクがでかい。
「力の流れが見えるってことは...」
「姫島が人とは違う事に気づいてたよ」
そう言った途端、姫島の顔色が悪くなって俯いてしまった。大方俺が離れていくと思っているのだろう、見捨てないで欲しいと言わんばかりの表情をしていた。
「カカシくん、わ、私「お前は姫島だろ?」カカシくん?」
「お前が人と違かろうが姫島は姫島だ。周りからチヤホヤされてるが俺が構わないと寂しがって教室に乗り込んでくる構ってちゃん...それがお前だろ?」
「「ふふ」」
大人二人が微笑んでた。
姫島から何も反応が無く、顔を覗き込んだらぷるぷる震えながら涙を堪えていた。当たり前の事というか、そんな事で嫌ってないって伝えただけなのに泣く必要は無いだろって思っていたらまた抱きつかれた。
「怖かった...本当の私を知って離れていくんじゃないかって!」
「そんだけで離れる訳ないだろ」
姫島が大声を上げて泣き始め、姫島さんから泣いてる姫島をあやして欲しいと頼まれ落ち着くまで背中をぽんぽん叩いた。しばらく泣き続けた姫島は泣き疲れたのか、俺にもたれ掛かったまま眠ってしまった。
「ありがとうカカシくん」
「いえ、姫島って普通に泣くんだなって」
「朱乃だって女の子だもの、気になってる男の子に離れられるかもって不安だったのよ」
「はぁ...」
「落ち着いたところでこれからの話をしようか」
父さんがこれから起こりうる話を始めた。
姫島家の人間に手を出した俺はこれから狙われる可能性があり、姫島さん達もこれから多くの刺客が送り込まれると父さんは言った。
「まずはカカシのこれからだが、カカシが隠れてしていた修行に私も手伝いカカシを強くしていこうと思う」
「父さんが修行を手伝ってくれるの?」
「今までは傍観していようと思ったけど、今後を考えてカカシの修行に介入して鍛えようと考えてたんだけど嫌かい?」
「そんな事無いよ!父さんに色々教わりたい」
白い牙直々に修行をつけてくれる事になった。
姫島さん達の今後については姫島さんの旦那さんに直ぐに連絡をとり、旦那さん側の勢力に保護をしてもらう事を父さんが提案した。ちなみに姫島のお父さんは堕天使らしく、しかも堕天使の幹部というすごい人みたいだ。
「話も終わったし、帰ろうかカカシ」
「帰りたいんだけど...姫島が寝てるお陰で動けない」
「あらあら」
姫島さんがゆっくり俺から姫島を剥がしてくれて体が自由になった。姫島さんに布団で寝かせてくれた事にお礼を言ってから、姫島家を後にした。
家を出る時にまだフラフラした足取りの俺を父さんが背負ってくれた。父さんの背中で感じる温かさと少しの揺れで再び眠くなり、父さんの背中で眠りについた。
「出来ればカカシには平和に過ごして欲しかった...」