カムりたい 作:カカシ先生は俺の青春
昨日は色々と疲れてしまい、風呂に入らずに寝たせいで汗とかで変な感じがして朝風呂に入った。体も気分も風呂でさっぱりさせてから部屋に戻ろうと歩いていると、父さんが朝食の支度をしていた。
「おはよう父さん」
「おはようカカシ、気分はどうだい?」
「まだ疲れが残っててダルい以外は何も無いかな」
「そうか。なら、朝食食べてから姫島神社へ行こうか」
朝食後に何故か姫島神社に行かなければならなくなった。
俺的には学校休みだし二度寝してから修行を始めようと思ってたんだけど、昨日の姫島母娘襲撃事件の事で姫島の父親がお礼を言いたいと父さんに連絡したみたいで行く事になった。
「あ、1つだけ忠告なんだけど、バラキエル...朱乃ちゃんのお父さんは物凄い親バカだから、もしかしたらカカシに突っかかって来るかもしれないから気をつけてね」
「滅茶苦茶行く気が失せたんだけど...」
お礼の言葉を受け取りに行くだけなのに、意味のわからない事を言われて二度寝をかましたい気分になった。面倒臭いなって思いつつ、父さんが用意してくれた朝食を食べて気が乗らないが身支度を整えた。
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「はぁ...着いちゃったよ」
「ほら行くよカカシ」
姫島神社に到着した。
昨日、結構暴れたはずなのに昨日は何も無かったかのように戦いで神社につけてしまった傷は一切なかった。姫島神社の中を進んでいくと、向こうから姫島がバタバタと走ってくるのが見えた。
「おはようカカシ!」
「ん?ああ、おはよう姫島」
今まで君付けだった筈の姫島から呼び捨てで名前を呼ばれた。何か喋り方も堅苦しい話し方から少し砕けた感じで話しかけてくる。
「お父様が待っているから行こ!」
「ちょ、引っ張らなくても」
「カカシのお父様も行きましょう!」
強引に連れてかれて家に上がった。
家の中を歩いているだけなのに姫島は一向に手を離す気配がない。
「お前の後ろを着いて歩くだけだから手を引く必要なくないか?」
「私と手を繋ぐのカカシは嫌?」
「別に」
「ならいいじゃない!このままで行きましょう!」
何を言ってもダメそうだと悟った俺は姫島の好きにさせる事にした。ただ、これから会う姫島の父親がこの状態を見て襲ってこないかが心配だ....愛娘が男と手を繋いで目の前に来たら発狂し出すかもしれない。
そんな不安を他所に姫島の父親が待っているであろう部屋の前に到着し、姫島に続いて俺と父さんは部屋に入った。
「やあバラキエル、久しぶりだね」
「久しぶりだなサクモ...今回は迷惑をかけてしまってすまない」
「それは俺にじゃなくて息子に言ってくれ。今回の件の立役者は私の息子なんだから」
父さんと姫島の父親は知り合いらしく、会った瞬間にまるで久しぶりに会う友人のような話し方で会話をしていた。日本神話勢の父さんが堕天使の幹部とどうやって知り合ったのか滅茶苦茶気になっていると、姫島の父さんが俺の方へ向いて話しかけてくる。
「畑カカシくんだったな...この度は朱璃と朱乃の命を助けてくれてありがとう」
「え、ちょっと!」
姫島の父さんが俺に向かって土下座をした。
「君が居なければ私は朱璃か朱乃...もしかしたら二人を失っていた」
「頭を上げてください...堕天使の幹部である貴方が易々と人間である俺に土下座をしてはいけない」
「命の恩人に種族も立場も関係ない」
頑なに頭をあげようとしてくれない姫島の父さんにどうすればいいのか困っていた所に姫島さんがお茶を持って入ってきた。
俺が困っているのを察してくれて、姫島の父さんに言ってくれて頭を上げてもらった。
「くどいかもしれないが、二人の命を助けてくれてありがとうカカシくん。これから困った事があれば私は何時でも君の助けになろう」
「何かあればその時お願いします」
断ろうと思ったけど、父さんから小声で俺の人生に必要となってくる可能性があるし素直に感謝の礼を受け取った方がいいと言われて、姫島の父さんの礼を受け取った。
「話は変わるがカカシくん...家の朱乃とはどんな関係なのかな?」
「俺と姫島の関係...友達?」
「そこは断言してくれませんか?一緒に登下校したり、昼休み等で会って話すじゃないですか!」
「それは姫島が襲撃してきてそういう流れになるだけでしょ 」
「襲撃ってなんですか!?私はカカシがボッチにならない様にしてるだけです!」
犬も食わないような言い合いをしていると姫島の父さんが大きめの咳払いをした。
「カカシくんと朱乃の仲がいいと言う事は分かった...カカシくん、君は確かに命の恩人だが──────貴様に朱乃はやらん!!」
急に糸目だった目をかっぴらいて意味不明なことを言い始めた。俺...姫島を欲しいと言った覚えは無いし、何言ってんだこのおっさんと思ってたら姫島の父さんが立ち上がった。
「さっきから我慢していたが何故朱乃と手を繋いでいる!!朱乃が話してくれる学校の話には貴様が出てくる!!娘から延々と聞かされる貴様の話を聞かされる父親の気持ちが分かるか!!」
「いや、知らねぇよ...」
父さんが言っていたのはこれか...正直早く帰りてぇ〜って思い始めたら姫島さんがスっと立ち上がって姫島の父さんの背後に移動した。
「貴方?少し話し良いかしら?」
「少し待ってくれ朱璃!今は朱乃に纏わりつく「あ・な・た?」しゅ、朱璃?」
「ごめんなさいねカカシくん、サクモさん。少しこの人と話してくるから待っててくれるかしら?」
「私は御手洗借りようかな」
姫島さんと姫島の父さんは別室、父さんはトイレに行ってしまい必然的に姫島と2人っきりになった。
「愉快な父親だな。ていうか、俺の話って何話してんの?」
「そ、それは内緒です!」
顔を少し赤く染めた姫島がやっと手を離してそっぽ向いてしまった。手が自由になり姫島さんが煎れてくれたお茶で喉を潤していると、パシンパシンと何かを叩いている音と変な声が聞こえてくる。俺はこの音と声については触れてはならない何かだと直感して、聞かなかったことにしようと心に誓った。
「カカシは...」
「ん?」
「カカシは私を助けて後悔してない?私を助けなければ普通に生活出来たのに」
「あの時、俺が見捨てていれば今みたいな状況にはならなかった思う───だけど、姫島が居なくなる。姫島が居なくなった日常を考えたらつまらないだろうなって思った...俺の日常に姫島が居なくなったら嫌だと思った時には体が自然と動いた」
「私はカカシのそばに居てもいいの?」
「俺が許可しなくても居るだろ?俺は来る者拒まず去るもの追わずの精神だからな、お前が誰かの所に行くまでは好きにしろよ」
「そっか...そっか、うふふ」
今の会話で笑う要素はゼロだと思うんだが、姫島が嬉しそうな表情で笑う。姫島が笑っているのを不思議がっていると、姫島がズイッと肩同士が触れる距離まで近づいてきた。
「私の事、これから朱乃って呼んでよカカシ」
「いつも通り姫島で良くないか?」
「良くない!いつも通りはもう辞めたいの!ほら!あ・け・のって呼んでよ!」
「はぁ...分かったよ朱乃」
姫島呼びから朱乃呼びに変えたら、騒いでいた朱乃が固まった。大方、俺がすんなり折れるとは思ってなくてフリーズしているのだと思う。
「姫島呼びに戻すか?」
「だ、ダメ!朱乃で良いの!また姫島呼びしたら泣くからね!」
「どういう脅しだよ...」
昨日今日で俺と朱乃の関係が大きく変わったなと感じた。
俺と朱乃の話が終わると同時に両家の親達がこの部屋に戻ってきた。姫島さんは妙にツヤツヤしていて、隣に居る朱乃の父さんは───まあいいや...
これからも深く関わっていくって事で親睦会の様な事をやってその日はお開きになった。
「じゃあな朱乃...また明日」
「またねカカシ!また明日」
「何故貴様が朱乃を呼び捨てに「あなた?」しゅ、朱璃...」
姫島夫妻は楽しそうでなによりだ。
朱乃に別れの挨拶を言って、父さんと共に家に帰った。