We are…Lethal Protector !!   作:ヌルノルヌール

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お気に入り登録者700人を超えててひっくり返ってます。本当にありがとうございます…最高に嬉しい……感想をくれた方々、読んでくれている皆様本当にありがとうございます




#11 CONTACT IN THE DARK Part2

轟音と悲鳴が交差する十字路

 

高層ビルの壁面が崩落し、砕けたコンクリート片や鉄骨、舞い上がる煙が視界を覆い尽くす。そして迫り来るホロウと爆発の余韻が路面を震わせ、逃げ惑う人々の足を鈍らせていた

 

そんな中で、朱鳶は一歩も引かず、むしろ静かに呼吸を整えていた。その瞳は揺らがず、通る声で明確に指示を飛ばす

 

「皆さん、落ち着いてください。治安官の指示に従い、順番に避難を。慌てず、前の方に続いてください」

 

人波に飲まれないよう、彼女は端末のマップを手早く操作。即座に避難経路の再構築を行い、地形とホロウの発生地点や周囲状況を確認

 

(今の状況なら…このルートが比較的安全ね)

 

朱鳶は迷わず、声を張る

 

「皆さん、避難経路を変更します。ホロウが安定しているうちに、できる限り多くの方を退避させましょう!」

 

彼女の声に呼応するように、部下たちが動き出す

 

「そこのご婦人、こちらへ! お子様の手を離さないでください!」

 

その指先は揺るがず、背後の部隊にも躊躇なく命令を出す

 

「バス停周辺に民間人が残っている可能性があります。保護を最優先でお願いします」

 

隊員たちが頷き散開していく中、朱鳶は目線だけで青衣とセスを呼び、淡々と続けた

 

「セスくん、青衣先輩は私と共にホロウ内部へ。中に取り残された人々の捜索に入ります」

 

青衣は静かに頷き、落ち着いた口調で言葉を返しながら横にいるヤマネコのシリオンの部下、セス・ローウェルへ声をかける

 

「御意。セス坊、無茶をするなよ?特にとし“彼奴(あやつ)”に遭遇しても、飛びかかる…なんてことは」

 

「わ、わかってます!それに…市民優先ですから!」

 

「…よし、では突入しま」

 

朱鳶たちがホロウへと入り込もうとした瞬間、ドスンッと轟音とともに黒い塊が空から落ち、治安官の車両が潰れ、屋根が大きく陥没した

 

「……っ!?さがって!!」

 

朱鳶の指示に従い、部下たちは警棒や銃を構え、青衣は三節棍に電流を走らせ、セスは盾と警棒を構えて前へ一歩出た

 

舞い降りた塵が静まり、現れたのは…

 

「んー!んんーっ!!」

 

「あう、うぐぐ……!」

 

「痛ぇ!早くほどいてくれよぉ!」

 

黒い粘糸に巻かれ、グルグル巻きの赤牙組の組員たちだった。拘束されたまま転がっている姿に、周囲が一瞬言葉を失う

 

青衣は淡々と、それでいてどこか呆れを含んだ目でその光景を見つめた

 

「彼奴め…これでは“怪物”と呼ばれても致し方あるまい」

 

捕縛された組員たちを助け出すためセスを含めた何人もの治安官が粘糸をとこうとするとセスが何かを見つけ、朱鳶の元へ持っていく

 

「班長! この紙、見てください!!」

 

セスが一人の組員の額に貼られた紙を剥がし、朱鳶へ差し出す。

そこには、こう書かれていた。

 

"Caught them for you instead, oh so competent yet sluggish officer!!"*1

 

黒い粘糸、そしてこの紙…朱鳶の中でわかりきってはいたがこれを行った犯人が誰かハッキリし、紙を無言で見つめ、口を一文字に結び、ぐしゃっと拳で握り潰した

 

「あいつ…!治安官をなんだと思って…!!」

 

セスは怒りに震え、青衣は淡々とした声でぽつりと呟いた。

 

「ふむ……彼奴とこの塊の中にシルバーヘッドの姿が見えぬな。となると、吾らの前に姿を見せず、ただ組員と嘲罵の書き付けを置いて去ったのは……今も尚、ホロウの中で標的を求めているということか」

 

ちょうどその時、別地点に配置されていた治安官が息を切らしながら駆け寄ってきており、必死に報告を叫んだ

 

「朱鳶班長!クリティホロウに巻き込まれた民間人が何人も…って、あれ? ど、どうしたんです?」

 

黒く固まったチンピラたち、それを何とか解こうとする治安官たち、怒りに震えるセス、紙片を握りつぶす朱鳶の背をさする青衣…

 

駆けつけた治安官は現場に何が起こったのか、一瞬では飲み込めるはずもなかった

 

 

 

一方その頃、クリティホロウ内部にて

 

周囲は黒く輝く巨大なエーテル結晶が生え、重く濁った空気が空間を支配している広場。その中心で、一人の益荒男が狂ったように刀を振るっていた

 

「はぁっ……! これさえ、これさえあれば……!! ぐっ、ああぁ……!」

 

剣筋は荒く、呼吸は乱れ、明らかに限界を超えていた

 

彼、ミゲルの肉体に余裕はなく、肩、腕、頬に至るまで、体中に紫の結晶が浮き出してきていた

 

そして力尽きるように駅のホーム跡に倒れ込み、胸に抱えていた金庫が手から滑り落ちる

 

「うぅ……あぁ……」

 

ミゲルは、エーテル適応体質ではなかった

 

通常の人間よりも速く、そして苦しく浸食される。キャロットも仲間もいない今、彼にできることは、ただ襲いくるエーテリアスを斬り伏せることだけ

 

「死んで……タまるかァ……! ゲホッ、これさエあれば……赤ガ組は……!! ギッ! がぁあああ!!」

 

再び金庫を掴もうとするが、右手のひらから緑色の刀身のようなエーテル結晶が隆起し、金庫は再び落下する

 

そのとき、彼の断末魔のような叫びに反応するかのように…

 

「チィ…」

 

瓦礫の陰から、エーテリアスたちが這い出してきた

 

数匹、いや、十数体。呼応するようにコアを光らせ、ゆらりとにじり寄ってくる

 

「クソッ……ガぁあ……!」

 

手から生えた刀身を地に突き刺し、歯を食いしばって立ち上がるミゲル。

 

だが次の瞬間、目の前のエーテリアスに黒い触手が巻きついた

 

「……ッ!」

 

瞬きをする暇すら与えられず、触手はエーテリアスを貫き、壁へと叩きつけ、地にねじ伏せていき、ミゲルの前に漆黒の巨影が立ちはだかった。

 

「よう、シルバーヘッド」

 

「ヴェノムゥゥ……!! がはっ……金庫は……ゲホッ……渡セねェ!!」

 

怒りに満ちた声と共鳴するかのように、彼の肉体はさらに結晶化を進めていく。背中、頬、腕――そして、顔にブラックホールのような球体が浮かび始めていた

 

『……エーテル適応体質じゃ……なかったみたいだな』

 

ヴェノムの中のエディが、苦悶の表情を浮かべる

 

悪党とはいえ、目の前で人がゆっくりと死にゆくことは、彼にとって平気なことではなかった

 

「うぁああ……タノむ……たすけ…キエロ…コろ…す!!…シテ…」

 

ミゲルが変形しかけた右腕――巨大な結晶で肥大化した腕を、助けを求めるようにヴェノムへと差し出す。

 

ヴェノムは、何も言わずその顔を掴み、静かに囁く

 

「……恨むのなら、自分を恨め。人を傷つけ、苦しめた自分の人生をな」

 

そう言ってヴェノムは、ミゲルの頭部に形成されつつあった“コア”を握り潰した。

 

ミゲルの肉体は、血を流すこともなく、パステルカラーの粒子へと変わり、風に溶けるように消えていった。

 

そんな様子を見てヴェノムはフゥ、と息を吐いて自身の中にいるエドワードへ話しかけた

 

「……2年も一緒にいるが、ここだけは理解できん。なんでお前は…こんな悪党の死すらも悲しむ?」

 

ヴェノムの中で、しばし沈黙が続いたのちエディの声が、ゆっくりと返ってきた。

 

『……だってさ、誰かを助けるってのは、そいつが“良い奴かどうか”じゃないだろ?』

 

『立ち止まって、罪を償おうって思えるんなら、戻って来れる可能性が少しでもあるのなら…俺は、その選択肢を奪いたくないから』

 

少しの間、沈黙が続いた。

 

そして、ヴェノムはふっと鼻で笑ったような声を漏らす

 

「甘いな、エディ。オマエは……甘すぎる」

 

『でも、それが俺だよ』

 

「そんなんじゃいつか…死んじまうぞ?」

 

『死ぬ?ハハハッ!何言ってんだ、お前と一緒なら大丈夫だろ』

 

「…オマエのそういうとこ、本当にやめた方がいいと思うぞ」

 

『な、なんだよ急に…ん?あれって…』

 

ヴェノム呆れ気味に呟き、不思議そうに聞き返すエドワードだったがふと視線が足元にある金属の塊に気がついた

 

『ミゲルのやつが言ってた金庫か?』

 

「随分頑丈そうな金庫だな……叩き壊すか?」

 

『やめなさい。てかお前、ハッキングしたら開けられるだろ』

 

「冗談だ。本気にするな…おっと」

 

ヴェノムが細い触手を数本伸ばし、金庫に触れようとしたその時、バンッ!と鋭い音を立てて、足元にエーテル弾が撃ち込まれる

 

ヴェノムはそれを避け、一際大きなエーテル結晶の上へ登った

 

「久しぶりだな、プレゼントは喜んでくれたかな? 優秀な治安官!! それと……未熟な子猫(キティ)

 

ヴェノムは、エーテル結晶の上からこちらを見下ろしながらセスを挑発し、セスは眉間に血管が浮かび上がらせながら警棒を構える

 

「なっ……! このッ!」

 

「コラ、セス坊。落ち着け…」

 

青衣が静かに制する。視線の先では、朱鳶がやや目を細めながら声を投げかけた。

 

「久しいな、黒き獣よ。元気そうでなにより」

 

「オマエこそ調子が良さそうだな、青衣。飼い猫の躾くらいちゃんとしておけ。こんな安い挑発に乗るようじゃ……悪党の良いおもちゃだ」

 

ヴェノムの言葉に青衣は顎に手を当て少し考えると口を開いた

 

「……確かに、セス坊の実直なところは善き点でもあり、悪しき点でもある。お前の言う通りだな。肝に銘じておこう」

 

「ち、青衣先輩!?」

 

「2人とも、彼の話に乗らないで!ヴェノム、今日こそ貴方を逮捕します!」

 

朱鳶の瞳が鋭く光り、銃弾を放つ。ヴェノムはそれを回避し、広場へと降り立った

 

「そう怒るな。CM見たぞ、なんでも完璧にこなすロボットみたいな奴かと思ってたが……可愛らしいところもあるじゃないか!」

 

「ぐっ…!! 青衣先輩、セスくん!!」

 

顔を赤く染めながらも朱鳶は構えて射撃し、ヴェノムに向かって鋭く放たれ、それと青衣が三節棍に電撃を走らせ、セスは両手の警棒と盾を組み合わせ、巨大な大剣へと変形させた。

 

「はぁあああッ!」

 

勢いよくヴェノムに振り下ろすが、ヴェノムは身をひねって回避。しかし、セスの肩を踏み台にした青衣が高く飛び上がり、三節棍を振り下ろした

 

「ぐおっ!?」

 

よろけるヴェノムの隙を朱鳶は見逃さず、ゼロ距離で銃を発射する

 

だがヴェノムは触手で朱鳶の両腕を掴み、金庫を持っていない方の腕で三節棍を掴むと、そのまま2人の身体を軽々と投げ飛ばす

 

「班長!青衣先輩!!このぉ!!」

 

セスは盾を電磁波で飛ばし、ヴェノムの視界を遮って警棒を振るう

 

しかしヴェノムは飛んできた盾を片手で受止め、そのままセスの攻撃を防いだ

 

「はぁっ!!」

 

だが、セスは引かずそのままヴェノムに攻撃を仕掛けるも触手とその太い腕に掴まれ、壁に叩きつけられてしまった

 

「がはっ!」

 

「前々から思ってたが、オマエは真正面から敵を倒すのが好みだろう? わかるぞ。オレ達もそうだ。なんたって相手に絶対的な恐怖と絶望を与えることが出来るからな」

 

ヴェノムはセスの顔を舐めるように見つめ、長い舌をちらつかせたその瞬間

 

「やめなさいッ!!」

 

朱鳶の銃が完全武装モードへと変形し、紫色に輝く閃光を伴った銃弾を発射。同じく吹き飛ばされたはずの青衣が、三節棍をバトンへ変化させ、投擲。2人の攻撃がヴェノムを撃ち抜き、その巨体が後退する

 

「セスくん! 大丈夫ですか!!」

 

「かはっ、はい……まだ、やれます!」

 

ヴェノムは後退しながらも、口角を吊り上げてニヤリと笑う。

 

「オレ達もまだまだ遊べるぞ! 最近手応えのあるやつが居なくてなぁ!!もっと楽しませろ!!」

 

ヴェノムは手に持っていた金庫を3人に向かって投げつける。金属の塊が大きな音を立てて壁へとめり込んで、朱鳶たちの動きを一瞬遅らせた。

 

その間に、ヴェノムの背中から何本もの触手が生え広がり、再び3人と激しくぶつかり合いながら、ホロウの奥へと消えていった

 

 

 

そして、そんな4人の戦いを遠く離れた瓦礫の隙間から覗いていた3人と1匹の姿があった

 

「……何がどうなってんのよ、アレ」

 

『え、映画のワンシーン見てるみたいだったね…あれがヴェノム…』

 

「ニコ、あそこに金庫があるわ」

 

「えっ!? どこどこ!?」

 

「ほら、あそこの壁に」

 

「やったぁあ! 私の金…ってアイツが投げたの金庫だったの!?嘘でしょ壊れてないでしょうね!!?」

 

大慌てで金庫に駆け寄るニコと歩きながら彼女に近づくビリーたち

 

「無駄な戦闘も避けれて、銃弾もほとんど使ってねぇ! 俺たち、ラッキーだぜ!」

 

「鬼の形相をした治安官達*2とプロキシ先生が乗っ取られた時はどうなる事かと思ったけど…何事もなくて良かったわ」

 

『あ、その事で話さなきゃ行けないことがあるんだけど……!』

 

その後、戦闘しているヴェノムたちの耳に「ンナナーーー!」という声と謎の光が見えたとか見えなかったとか…

*1
代わりに捕まえておいたぞ、ノロマで優秀な治安官!!

*2
特務捜査班、主に朱鳶のこと




今回1番得してるのは当然邪兎屋です。デュラハンと戦わず済んでますからね

そしてめちゃくちゃ展開早くして、パエトーンがハッキングされて困るところをカットしてますが…今作のメインはヴェノムたちなので…どうかお許しを……

ちなみに朱鳶たちとの戦闘中に、ヴェノムの中ではエドワードくんがやめろやめろとめっちゃ必死に止めてます

改めまして、見てくれてありがとうございます
のんびりゆっくり更新してきますがこれからもどうかよろしくお願いします
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