We are…Lethal Protector !! 作:ヌルノルヌール
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「邪魔だ、どけ!!」
「え、えいっ!」
ヴェノムの触手がうねり、エーテリアスのコアを寸分の狂いもなく突き刺さる
カリンの丸のこチェンソーがうなりを上げ、回転する刃でエーテリアスを次々と切り裂いていく
容赦のない連携が次々と敵を蹴散らしていく光景を前に、猫又とボンプはただ立ち尽くすしかなかった
彼らにできることは、ただ見守ること…それだけだった
「おぉ、ヴェノムとカリンちゃんもすごいぞ……」
『エーテリアスが一瞬で……味方で良かったよ、本当に』
倒れたエーテリアスの残骸を見ながら、ボンプは心底安心したように呟いた。
「ほら、ボサッとしてないでさっさと道案内しろ。オマエはそのためにいるんだからな」
『もう、プロ……調査員使いが荒いなぁ!こっちだよ』
「はいっ!」
ボンプのあとを、カリンが小走りでトコトコとついて行く。その背を追うように猫又が歩き出そうとしたその時
「ぎにゃっ!? な、何す」
ヴェノムの巨大な手がすっと伸び、猫又の首元を掴んで引き留める
「先程の質問に答えてもらおう。なぜ、カンバス通りから出たお前がここにいる? 赤牙組から抜け、もう戻らないと言っていただろう?」
低く、鋭い声だった。猫又は一瞬たじろいだが、すぐに目をそらし、尻尾をパタパタと揺らしながら軽い調子で返す
「…あ、アンタには関係ないでしょ! ただなんとなーく戻りたくなっただけで…」
その言葉には明らかに嘘の気配があった。目を合わせようとせず、どこか落ち着きなく手を弄ぶ猫又。ヴェノムはじっと彼女を見つめるが
“無理に聞いたって、ろくな結果にならない”
以前、エドワードが言っていた言葉が、ふとヴェノムの中に響いた
「……チッ、そうか。ならいい」
ふいに手を放し、猫又を地面へ落とす
「わっ!? ちょっと! いくら猫だからって急に落とされたら危ないぞっ!」
「話したくなったら話せ。無理には聞かん」
『おっ?どこかで聞いたことあるセリフだな、ヴェノム?』
「うるさいぞ」
『ふたりとも〜? 何してるの早く行くよ〜!』
ボンプの遠くからの呼び声が響く。ヴェノムはちらりと猫又を見下ろし、それ以上は追及せずに歩き出した
「……」
猫又は胸の前で両手ををギュッと握りしめ、それから3人の後を追うように歩き出した
「それで? オマエたちはどこに向かってるんだ?」
『えっと…今、私たちはヴィジョンの爆薬を積んだ無人列車を停めたいんだ。そのためには線路を切り替えて列車の進路をトンネルへ向けたいの。Fairyが言うにはここら辺に制御室が…』
「待て」
「にゃっ! どうした……んっ!?」
ヴェノムは触手を伸ばし、猫又の口をふさぐ。次の瞬間、彼は静かにコンテナの隙間を指差した
そこには、これまで見たどのエーテリアスよりも圧倒的に巨大な影が、地響きとともにゆっくりと歩いていた。ドスン……ズリズリ……鈍く重たい音が空間を押しつぶすように響く
「デ、デッドエンドブッチャー……!!」
「プレッシャーが……桁違いですね……!!」
『ん? でもなんか…背中からお腹にかけてなにか刺さってない?』
ボンプが言う通り、その巨体には道路標識のような巨大な金属の塊…斧と槍が合わさったような武器が、背から腹へと貫通していた
「あれは元々はアイツの武器だ。あれを振り回し、見境なくなんでも叩き潰していたな」
『へぇ…でもなんでそれが背中に?』
「あぁ、オレたちがブッ刺した」
「『「えっ?」』」
3人の目が見開かれ、ヴェノムへと向けられる
「あの時はゴミ共を背負ってたからな。最後まで戦わず、奴をその場に固定することを優先したんだ。その時に、アイツがちょうどいいモノを持ってたからな。アレを奪い、アイツを壁に突き刺して、さっさとホロウから抜けたって訳だ」
「あ、あんたあの後そんなことしてたのか……?」
「す、凄いですヴェノム様…!」
『……さすが“黒衣の怪物”だね。噂にたがわぬ強さ。心強いよ!』
会話の間にも、デッドエンドブッチャーは重々しくコンテナを吹き飛ばし、別の方向へと歩き去っていく
「……行ったね。早いとこ制御室に向かおう!!」
『反対方向へ行ってくれて良かったよ……』
その後、一行は少し進んだ先で目当ての線路制御室を発見し、慎重に中へと入った
途中、制御盤が操作できないトラブルがあったがカリンがその原因を見つけ、ボンプの修理のお陰で何とか無事に列車の進路を変更することに成功する
「へへーん!切り替え完了!」
『列車が来るまでまだ時間があるね…近くに出口があるから、ヴェノムとカリンを先に出してあげようか』
「本当ですか!ありがとうございます!」
「オレたちはまだ出んぞ。やることがあるからな」
『えっ!?そうなの?』
「そういえば…ヴェノムは何しにこのホロウに?」
「…何となく来ただけだ。ほらボンプ、さっさと出口に向かえ」
『はーい、こっちだよ!着いてきて!』
トテトテと軽快に走り出すボンプ。その後を、カリンと猫又、そして最後尾をヴェノムがついていく
道中いくつかのエーテリアスと遭遇するも、今の彼らにとってはもはや脅威ではなかった。連携した動きでそれらを難なく蹴散らし、ついにホロウの裂け目へとたどり着く
『肯定。この裂け目はホロウの外へと通じています。旅のお供、家事代行会社の従業員:カリンの依頼、達成』
「ん?『パエトーン』今、何か言った?」
「えっーと、出口が見つかったよってさ。カリン、この裂け目からホロウの外に出られるよ」
「ほ、本当ですか!よかったぁ……!」
カリンの顔がぱっと明るくなり、胸を押さえながら深く息を吐く
「あの…本当に、ありがとうございました!ヴェノム様と調査員様達のお力がなければ、カリンはきっと永遠にホロウを彷徨っていました」
「それはお互い様だぞ!カリンちゃんのチェンソーのおかげで、こっちもだいぶ時間を短縮できたんだから!もちろん、ヴェノムもね!」
猫又は遠く離れたエーテル結晶の上で警戒態勢のまま立っているヴェノムを指差しながら、にっこりと笑う
「その、よろしければお二人の名前を教えていただけませんか? ボンプの調査員の方には初めてお会いしましたし、なにより今度、従業員一同でお礼に伺いたいんです!」
『気にしないで!ホロウでは持ちつ持たれつ、でしょ?機会があったらまた会おう。元気でね!カリン!!』
「またね、カリンちゃん!」
手を振る2人に、カリンは深々と頭を下げる。そして、ヴェノムのもとへと小走りに駆け寄った
「ヴェノム様、ありがとうございました!」
「カリン、まだ居たのか。さっさとホロウを抜けろ。きっと……仲間が心配してるぞ」
「……貴方がホロウを彷徨っているところを見つけてくれたおかげで、カリンは無事に出られます。今度、従業員一同で」
「チョコレート」
「えっ?」
「チョコレートだ。次会う時までに、とびきり美味いチョコレートを用意しておけ」
ヴェノムは言いながら、触手の先でカリンの頭を軽くぽんぽんと叩き、そのままやさしく掴んで裂け目の前へと下ろした
「……はいっ!かしこまりました!」
そう力強く応えたカリンに、ヴェノムは何も言わず片手を軽く上げる
カリンはその背中をじっと見つめ、深く一礼してから裂け目の中へ入っていった
すると今度は、猫又がエーテル結晶の下からひょっこりと姿を現した。
「チョコレート〜? あたしもそれでいいのかにゃ?」
「オマエはディニ―とチョコレートだ」
「んにゃ!? なんで!!?」
「仕事量に見合った報酬を要求してる。エーテリアスを倒し、車両を動かし、周囲の警戒もしている……当然だろう?」
悔しそうに頬を膨らませる猫又の顔を見下ろしつつ、ヴェノムは軽やかに跳躍し、ボンプの前に着地した。
「ほら、さっさと行くぞ。プロキシ。列車がそろそろ来るんじゃないのか?」
『そうだね、ちょうどいいタイミング……へっ!?』
「そんなに驚くことか?猫又と一緒にいる時点で、調査員じゃないことくらいわかってた。リアルタイムでホロウ内で通信し、人間のように流暢に喋るボンプ、そして猫又の口にした“パエトーン”……捕まったって噂もあったが、どうやらデマだったようだな」
そう言うとヴェノムはボンプと猫又を同時に担ぎ上げ、トンネルへと踏み込んだ
中へはいると減速しながらも前に進む列車が走っており、ヴェノムはその列車と並走しながらボンプに話しかける
「ほら、次の作戦は?」
『あぁ、えっと!私を電車の上に置いて!!』
ヴェノムは無言で触手を伸ばし、リンを軽々と電車の屋根に持ち上げる。そのまま爪を突き立て、自身も車体に張り付いた
「で、オマエは何をするんだ?」
「えーっと、あたしがボンプを上に投げるって作戦だったから……」
「出番なしか。ハッ」
「んにゃー!! バカにしたなーー!!」
バタバタと暴れる猫又を軽くいなすようにヴェノムは車両の側面を移動していく
そしてふと窓を覗き込んだ瞬間、車両内に大勢の“治安官”がボンプに銃を突きつけているのが目に入った
「えっ!? 中に人は居ないはずじゃ!?」
猫又が驚きの声を上げるのとほぼ同時に、ヴェノムは車両の外装を引き裂き、中へと強引に侵入した。
「なっ、ヴェノ……ぐえっ!!!?」
「た、隊長!! ヴェノムが、ヴェノムが現れ……ぎゃああ!!?」
「猫又!! 受け取れ」
ヴェノムはボンプを空中へ放り投げ、猫又の元へと送り出した。
「うわっ!」
「オマエたちはさっさと逃げろ!!コイツらとはオレたちが遊んでやる」
「わ、わかった!ありがとう、ヴェノム!」
猫又は叫びながら、ヴェノムがこじ開けた穴から車外へ飛び出した
「撃て!! 撃てェ!!」
治安官たちは恐怖に駆られ、必死に弾幕を浴びせるが、ヴェノムはまったく怯まず、銃弾をものともせずに治安官たちを次々と叩き伏せ、列車の地面や天井、壁に貼り付けていった
その中の一人、ヘルメットが転がり落ち、赤いモヒカン頭の男が顔をあらわになった
『…治安官がこんな髪型するか?規則厳しかったろ、あそこ』
ヴェノムは周囲に目を走らせた。脱げた靴にヘルメット、明らかにサイズの合っていない装備、見た目のみ寄せた粗悪品の銃……よく見れば、偽装の粗が目立つ。
「少し、脅してみるか」
『優しめにやってやれよ? 失禁されたりしたらたまったもんじゃない』
赤モヒカンの首を鷲掴みにし、ヴェノムはゆっくりと持ち上げる。
「あぁ、軽く動いたら腹が減ったなぁ。でもオレたちは運がいい…ここには沢山のゴチソウがある。脳みそ、目玉、肺、心臓、膵臓…全部一気に行くかぁ?」
「ひっ、ひぃいい!!!」
「だが、優しいオレたちはオマエ達にチャンスをやろう。オマエたちは何者だ? 無人列車の中に何故いる?」
「オ、オレ達は雇われただけだ!! カンバス通りにいる連中を外に出さないようにって、正面を固めるためにこの列車で向かってて……」
「カンバス通りにいる連中?」
「あ、ああ!! カンバス通りにはまだ大量の人間がいる! でも全員を連れ出すには大量のディニ―が必要だろ? だ、だからヴィジョンはカンバス通りの連中ごと爆破させ……」
ドゴンッ!とヴェノムは怒りに任せて男を地面に叩きつけ、怒声を轟かせた
「このゴミ共め!! 『人の命をなんだと思ってやがる!!』」
怒りが頂点に達した声は、エドワードとヴェノムの二重の響きとなって車内にこだました
拘束されている雇われた悪党たちは恐怖に打ち震え、震え上がっていた
「ひぃいいい! た、頼む!! 殺さないで!! 食わないでぇええ!!」
『ヴェノム、このままこの電車に乗ってくぞ』
「言われなくとも、そのつもりだ。……ヴィジョン・コーポレーション……いや、“パールマン”」
「『ぶっ飛ばしてやる!!』」
はい、ご察しの通りカンバス通り塞いでるヴィジョンの雇われ偽物治安官、全滅します
なんならそのままパールマンのところに突っ込んで行きそうな勢いでエドワードくんヴェノムくんキレちゃってます。超絶悪いことしてるから仕方ないよね、なむさん