We are…Lethal Protector !! 作:ヌルノルヌール
朝の光がカーテン越しに差し込み、エドワードの顔をやさしく照らす
彼はゆっくりと目を覚まし、しばらく天井をぼんやりと見つめていた
「なんだ、やっぱり夢だっ…」
「おはよう、エディ」
「クソッ!!やっぱりいるっ!!」
叫びながらベッドを飛び出し、洗面所へ向かうが昨日の出来事が脳裏によみがえり、気持ちを落ち着かせるように下を向きながら洗面台へ歩く。
覚悟を決めて恐る恐る鏡を覗くと、そこには普段通りの自分の顔が映っていた。
「顔は戻ってる…良かったぁ…」
「そんなにオレの顔が好きならずっと出ておいてやろうか?」
ヴェノムの顔が肩からぬるりと現れ、エドワードは思わず飛びのいた。
「うおっ!?なにそれどうなって…俺の肩から出てる!?」
「オマエの中にいるんだ。当たり前だろ」
その後も何やかんやと騒ぎながら身支度を整え、少しボロボロになったリュックを背負って家から飛び出した
「どこに行くんだ?」
「…喫茶店だよ。家にいても落ち着かないし」
「朝メシまだ食べてないぞ」
「向こうでサンドイッチ買う…」
「パンか…もっとジューシーなもんがいい。脳ミソとか」
「食いたかねーよそんなモン!!」
エドワードは街の中心地、ルミナスクエアへと向かっていた。
新エリー都でも屈指のにぎわいを見せるこの場所は、カフェやショップが立ち並ぶオシャレなエリアだ。
「人がたくさんいるな。1人くらい食ってもいいよな?」
「アホ、そんなことしたら速攻で治安官飛んできてブタ箱行きだよ」
「ならソイツらも食っちまえばいい。
(病院…いや、治安局?得体の知れないのに寄生されたってなると、どこに連絡すればいいんだ…?いや、まてよ!?もしかしたら俺ごと処分されるんじゃ…)
「処分なんてされないさ。オレたちは最強なんだ」
どこにどう相談しても最悪の未来がよぎり、絶望しながらフラフラと歩いていると、やんちゃな格好をした三人組の若者にぶつかってしまった。
「オイオイ、どこ見て歩いてんだ?」
「……あぁ、悪い。ちょっと考え事してて」
「おいおい、こっちのシャツに泥ついたんだけど?」
「うっわ、これ高かったヤツだよなぁ?」
「あー……」
(めんどくせぇのに絡まれた……)
不良の一人がエドワードの服を乱暴に掴み、無理やり路地裏へと引きずっていく
「ほら、さっさと金出せ。痛い目にはあいたくないだろ?」
ニヤニヤと笑う不良たちを見て、エドワードの中に怒りが湧き上がった
だが、手は出さなかった。こちらが先に動けば、不利になるのは自分のほうだと分かっていた
だからこそ、隙を見て逃げ出して…そう考えていると頭の中にヴェノムの声が響いてくる
「逃げる?そんなかっこ悪いことするつもりか?」
「は?何言って…」
「コイツらは生きてる価値のない……ゴミクズだ。オレたちが掃除してやろう」
「なっ…!?バカやめろ!!」
「テメェ、なにゴチャゴチャ言ってんだよ!黙って金を出せ!!」
次の瞬間、不良のひとりがエドワードに拳を振り上げる
その動きに反応するようにヴェノムがエドワードの身体を使い、殴りかかってきていた不良を弾き飛ばした
「なっ…!?な、なんだあれ!?」
「その細い腕のどこにそんなパワーが…!!」
そこから先は一瞬だった。怯えた残りの不良2人を殴り飛ばし、最初に殴った不良の頭に足を乗せる
「はは、見ろよ。ゴミみたいに転がってる。お似合いだな」
「やめろ!!もう十分だ!!」
あまりの出来事に呆然としていたエドワードが自身の足をつかみ、気絶している不良から引き離す
「お前…何しようとした!」
「頭を潰そうとした。どうせ大したことに使ってないカラッポの頭だ、潰したって問題ないだろ」
「大アリだ!!人殺しは絶対ダメだ!!」
怒鳴るエドワードの声に、ヴェノムの動きがピタリと止まる
彼の中で、善悪の境界がせめぎ合っていた
「……弱いものは死ぬ、それが世界のルールだろ」
「いつの時代の話してんだ!」
そういうとヴェノムは肩から顔を出し苛立ちながらエドワードに顔を近づける
「じゃあどうすればいい?オレはまだまだ暴れ足りないぞ」
「……暴れたいんだよな?それなら、ちょうどいい場所がある」
エドワードは顔を上げ、路地裏の奥の奥に目をやった
「……ホロウか」
街路灯の光も届かない暗がりの中ほんのりと輝くカラフルなノイズを帯びた異空間へと繋がる壁
「あの中なら…人はいない。いたとしてホロウレイダーだ。こいつらよりもっと悪い奴」
「ソイツらなら食ってもいいのか?」
「……なぁ、俺の体に住んでるんだ。ハウスルールを決めよう」
エドワードはヴェノムに向かって、真剣な表情で言い放つ
「どうしようもない悪党とエーテリアス以外には絶対に手を出すな。それと人間は悪党でも殺さない、絶対に…いいな」
「ならオレからも1つ条件を出させてもらおう」
「なんだよ」
「チョコレート、暴れ終わった後は必ず大量のチョコレートを買え」
「まぁ、それで人を食わないってんなら……いいぞ」
しばし沈黙が流れた後、ヴェノムは不満そうに唸りながらも――笑った。
「いいだろう、エディ。交渉成立だ」
エドワードはヴェノムをチラリと見上げ、互いの妥協と誓いを胸に、二人は静かに歩き出した
主人公くんについてなんも考えてなかったからキャラふっわふわです