"アビス"に転生したと思ったらキャベツが飛んでいた。 作:琥珀色の大西洋サバ
キャベツ最高!!キャベツ最高!!貴方もキャベツ最高と言いなさい!!キャベツ最高!!キャベツ最高!!キャベツ最高!!
キャベツ。
まぁ、うん。
皆さんご存知あのお野菜である。
……最近高くなったよね。*1
ちなみに花言葉は「利益」らしい。
理由はキャベツって何十枚もの葉っぱが重なってできているじゃん?それがなんか宝物を守っているように見えるからなんだそう。
……まぁそれは置いといて、だ。
そんな野菜が空を飛んで目の前を通り過ぎている——と言えば……どうする?
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はい、どうもナキカバネです。
現在、木の幹に背中を押しつけながらバードウォッチングならぬキャベツウォッチングをしております。
……え?訳が分からないって?
大丈夫だ、俺も分からない⭐︎
キャベツが空飛ぶってなんだよ()
タンポポじゃあるまいし。
いやね?分かるよ?
ここが異世界だからどんな事でもあり得るってのは。
でもさ、理解は出来ても脳が受け入れるのを拒絶するのよ。だってキャベツよ?キャベツが飛んでるんだよ?
無理でしょ受け入れるなんて事。
……はぁ。もう嫌だ。
何なんだよマジで。
意味がわからないのよ。
転生したと思ったらナキカバネだし、アビスだし、キャベツ飛んでるし。
叫びたい気分だよ。ディアルガの鳴き声で。
いやもう受け入れるしかないってのは分かっているけどな?それはそれとして腹立つ話なんよ。
もう家族と会えないってのも辛いし。
こう見えて俺家族と仲良かったからね?
いつもの日常がもう無いものと思うと……。
……はぁ、畜生。
ま、今更嘆いてもしょうがねぇ。
ただ虚しくなるだけだしな。
……諦めるしかない、か。
手……ではなく翼を広げる。
キャベツウォッチングしてる時にふと気づいた。
滑空なら翼広げて落ちるだけで出来るんじゃないかって。
俺はキャベツが飛び去っていく方向に体を向けた。
そろそろ行動起こした方が良いな。
このまま何もしないで野垂れ死ぬよりかはマシだろう。
せっかく転生したんだ。
何かしらの思い出は作っておきたいからな。畜生。
とりあえずキャベツ追いかけてみる事にするか。
アイツらの行き先ちょっと気になるし。
あと……キャベツだから食える筈だ。
できればおひとつ頂こうと思う。
腹減ってるんよ。
いきなり転生しちゃったせいで呆気に取られてたから忘れてたけど俺まだ朝飯食ってないからね?何故か俺の腹ぺこゲージはナキカバネの体になっても受け継がれているみたいだ。
できればの話だが、ちょっと狙ってみようと思う。
え?朝食にキャベツ一玉は重いって?
……俺もそう思う。
俺は木から飛び降りた。
◆
右足で収穫物を握り締め木の上に着地する。
……いや〜思ったより上手くいったな。
キャベツの速度がまあまあな速度で助かったぜ。
タイミングに合わせて足裏を閉じるだけだったもんな。
……ちょっとくすぐったいけど。
キャベツの収穫は上手くいった。
正直キャベツ取るなんて無理な話だと思っていたが、そんな事なかった。
実はここら辺、上昇気流が発生しているみたいだ。
落ちている時なんか体がフア〜って浮くんだよね。
んで、それに乗っているとなんか自然にキャベツにたどり着けたって訳だ。
自分でも完全には覚えていないが上昇気流で飛ぶ鳥もいた筈だ。
確か名前は…… プテラノドン?
……絶対違う気がするがまあいいや。
ナキカバネもそういう飛行方法を持った鳥の一種なんだろう。よくわからんが。
足元に顔を向ける。
「キャベキャベー!!」
にしてもこのキャベツ鳴くんだよな……。
一体どういう進化をしたらこうなるのか。
……ナキカバネの俺が言えた事じゃねぇけど。
口を近づける。
さて、そろそろ頂こう。
鳴き声のせいで若干の抵抗感はあるが……食わない理由にはならないか。所詮は野菜だ、寧ろ美味しく頂かないほうが礼儀として間違ってるまである。
……いただきます。
◆
うん………。
うっっっまッッッ!!?
何だコレ!!度し難っ!!
俺人生で色んなもん食ってきたけどコレ4、5番目に入るほどの美味さだわ!!
異世界の飯ってコレほどまでに美味いんだな!!
流石だわ!!
……まぁ、転生して良かったと思える程のもんでもないけどね!!畜生!!
閑話休題。
さて、ここからが問題だ。
この先どうすればいいか。
それを決めよう。
俺の場合ありきたりな女神様の「魔王倒して!!」パターンでは無いので、目標も生き甲斐も何も無い状態だ。
どうする?やる事ないぞ?
テレビゲームも転生しちゃったから出来ねぇし。
……引き続きキャベツ追いかけるか?
まだ行き先がどこかちゃんとわかった訳じゃないし。
確かアイツら俺から見て右側に飛んでったよな……。
うーん……とりあえず追いかけるか。
特に理由はないけれど俺はアイツらの最後を見届ける使命がある。そう思い込もう。うん。
そうして俺はキャベツを地の果てまで追いかける、キャベツハンターになったのだった。(投げやり)
……がんばろ。
◆
三年後の時が経った。
皆様お元気でしょうか。
私は元気です。
実はですね、ご報告が一つ。
実はこの度私———
「んじゃこれからよろしくな。"てりやき"」
ペットになりました。
……いやどしてぇ?
突然転生したりと、人間卒業したりと、ペットになったりと、なかなか不憫な主人公である。
ちなみに人間時代の好物は焼き鳥だったらしい。塩よりタレ派なのだとか。