"アビス"に転生したと思ったらキャベツが飛んでいた。   作:琥珀色の大西洋サバ

6 / 9

「小松菜とぜんざい、どっちがいい」と聞かれたら投稿主はぜんざいを選びます。


落とし物。(上)

 

「……なぁ、一つ言わせろ」

 

安楽少女は見つめながらそう言う。

……なんだろうか。

 

「全部ガラクタじゃねぇか」

 

それはそう。

 

 

ある日、森の上空を飛んでいるとバックが落ちていた。落とし物だろうか。しかしここは魔物が多く棲んでいる地帯だ。仏様の持ち物の可能性もあるな。

まぁ……そんな訳でとりあえず洞窟に持ち帰った訳だが。

 

「なんだこれ…… 全自動卵割り機ィ?

 

中身がゴミばっかである。

 

「えっと……魔力に反応してパーツが作動し卵を割る事ができる……手で割った方が早いじゃねぇか」

 

取扱説明書を読みながら安楽少女はそう呟く。

 

まぁ雰囲気だけでも楽しむとかあるんじゃない?

カツ○も「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛」とか言ってたし。知らんけど。

 

「誰だよカ○オ」

 

わかんね。誰だっけ。(すっとぼけ)

 

「絶対いらねぇだろ、次」

 

安楽少女が卵割り機を投げ捨てバックに手を突っ込む。そして綺麗な水晶を取り出した。

 

「仲良くなる水晶?なんじゃそりゃ」

 

目を細める安楽少女。まぁ卵割りの次に出てきたんだから仕方ない。疑心暗鬼にもなるわな。

にしても仲良くなる……ねぇ。

これでサッカーでもすんのかな?割れるだろうけど。

 

「というか植物と鳥がまともにサッカーできるはずねぇだろ。んで使い方は……」

 

ツッコミを入れながら安楽少女は取扱説明書を開いた。

 

 

 

「いや恥ずかしい過去ってなんだよ」

 

 

ベチッという音と共に取扱説明書が地面に叩きつけられる。

どうやら安楽少女の説明曰く、互いの魔力を通す事で互いの恥ずかしい過去を見せ合う物だったらしい。これは酷い。黒歴史鑑賞会なんて最悪の場合仲悪くなるだろ普通に考えて。

 

 

「……というかまずお前魔力ねぇから使えねぇだろ」

 

そして安楽少女のドキツイ一言。

 

そーなんだよぁ……。

 

そうこの俺、まさかの魔力が一切無いのである。

この前エリス様が懺悔していた。どうやらナキカバネの体の構造上、魔力を持たせる事が難しいらしい。神の力も万能ではなかったようだ。

まぁそんな訳で俺は魔法やらが使えないのだが、それは別に大した事ではない。

人間の体ならまだしもナキカバネの体だから仕方ないのもあるし、別に魔法がなくて生活に困った事はなかった。

だから魔法が使えなくても全然辛くないのだ。

 

ぜーんぜん!!辛くなんかないのだ!!

 

「………」

 

安楽少女の冷たい視線が俺を襲う。

 

……すんません嘘です。結構心にダメージ受けてます。

 

だってぇ!!憧れるじゃん魔法とか!!折角の異世界なのに魔法使えないとかさぁ!!!

 

「……へっ」

 

……後でこいつ処す。

 

顔を歪ませる安楽少女を隣に俺はそう決意した。

 

 

「全部ガラクタじゃねぇか」

 

んで冒頭に戻るって訳だ。

いやぁ……見事にゴミしかない。

 

例えばこれ。

ㅤ上部パーツ「アタックリング」に搭載された3枚羽がㅤ回転に伴って空力「ダウンフォース」を発生させて敵を抑えつけて弾かれにくくするという売り文句のクソザコフリスビー*1とか。なんでここにいるんだよお前。

 

「おー、飛んだぞ」

 

安楽少女が回して遊び始める。一応もう一つ別の使い方はあるが、知らぬが仏だろう。

 

……というかこのバッグの持ち主は何を思ってこれを手に取ったのだろうか。コレクターなのか?

まぁ別に他人事だからいいんだけどさぁ……。

 

【そんな事言わないでくださいよ】

 

あ、天の声でご登場ですかエリス様。お疲れ様です。

そう言いながら俺は頭を下げた。ナキカバネの体だからちゃんとお辞儀できてるか分かんないけどまぁいいか。

 

【お疲れ様です……ではなくて!!】

 

はい?

 

【この荷物、落とし物の様ですね。持ち主、困っているんじゃないですか?】

 

諭すような優しい声で語りかけるエリス様。

 

……あー、でも拾った場所周辺って主に冒険者達がモンスターを討伐したりする所ですよ?

落とし物というより遺品というか……。

 

【それでもです。持ち主に戻してほしいのです】

 

流石女神。慈悲の心が凄まじい。

でもやっぱ面倒くさい……。

 

【頼みます……やってあげてくださいよ】

 

……今度の差し入れ、ちょっと豪華にしてください。

 

【先輩から頂いた沖縄のシークワーサーゼリーでいいですか?】

 

シークワーサーですか!?

 

【……まぁ、はい】

 

よし決めた行くぞ安楽少女ォ!!!

 

「いや私歩けねぇよ」

 

そうして謎のテンション感を抱えつつ、俺はこのバッグの持ち主探しに出かけたのであった。

 

【……ああいう感じの人って何を考えているんでしょうかね?】

 

「多分なんも考えていないと思うぞ」

 

ほらそこ仲良くしないの。

 

 

『きーみーがーぁーよーぉーはー』

 

風切音と共に俺の君が代が空に響く。あいきゃんふらい。

今更だけどあのバッグに名札とかは書かれていなかったのを思い出した。そのせいで誰に返せばいいか分かんないわ。

そんな訳で現在、とりあえず落とし物を見つけた場所に移動しているのである。

最悪あそこに落としときゃいいしな。持ち主が困ってるなら自分の来た道を戻って探しに行くだろう。

そんな事を考えて数分後、俺は着地した。

 

さて持ち主が見つかるといいんだが……。

 

 

「あ!!私のバッグ!!*2

 

 

……早ぁ。

 

*1
トライピオで検索!!

*2
CV:堀○由衣




つよつよアンデットさんご登場です。
多分次回で浄化されかけます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。