"アビス"に転生したと思ったらキャベツが飛んでいた。 作:琥珀色の大西洋サバ
ナキカバネのキャラクターをどう小説で表せばいいかわからねぇ。人外って書くの難しいね。
「と、友達になってください!」
わけがわからないよ。
◆
はい、いつもの様にナキカバネさんです。
普通に生活してたら何故か女子に友達になろうって言われました。
初対面でズバッと言うんだね……。
その子の面を見る。とても美人。
なんと……なんと素晴らしい。
いやそうじゃなくて。
『……どうやってここに?』
そう、ここは安楽少女との共同スペース。
いつもの洞窟なのだが、とても簡単には発見できない様な隠れ家になっている筈だ。しかもこの前のミツルギ騒動の一件もあって人間対策用に入り口に緑のカーテンをかけて隠密性を強化したのだが……。
「あ、それはその……こっそり後をつけました……」
……ダメだこりゃ。
『安楽少女さーん、侵入者ー』
「はぁい、ジョージ?」
「ちょ、やめっ…!!やめてぇッ!!?」
流石に可哀想だったのでこの後普通にお迎えしました。多分ミッちゃんだったらこのまま処されてた。セーフ!
◆
『んで、友達……って言ってましたよね?』
「はい……」
「すくーる?」
「すちゅーでんと……って何言わせてんですか!!?」
あ、今回こいつボケ側なんだ。
いや漫才やってる訳じゃないんだけど。
『でも貴方程の美人なら友達に困る事はないのでは?』
「ぐあっ!!?」
『それにあの街の人間ってそんな雰囲気悪くないですよね?』
「ぎゃっ!!?」
『あ、でもストーキングするなら話は別ですか』
「ぐわぁぁぁ!!?」
「見事なまでの3連コンボ。しっかりトドメも刺しやがったぞコイツ……」
正直配慮したら負けかなと思ってる。
こういうのは指摘しないと直らない人間もいる訳だし。
「シテ…コロシテ…」
『……やりすぎた』
「悲しい程にうずくまってるな」
閑話休題。
『とりあえず訳を聞こう』
安楽少女、お茶。
「私はお茶じゃ……私って茶葉になるのか?」
『とりあえず訳を聞こう』
「仕切り直しやがったし」
『というかその前に名前聞いてなかったわ』
『What's your name?』
「え、あ…… 我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者。やがて紅魔族の長となる者……!!」
『「………。」』
『今日さ、エリンギ様から質の良いういろうを貰ったんだ、食べる?』
「ういろうか……毎回だけどあの神様土産のセンスがいいよな」
「え、ちょ…」
『ちなみに餡子入り』
「あー、ちょっと自分の葉っぱ千切ってみるわ」
【お届けものでーす】
「ま、待って…!理解が追いつか」
『おぉ、リアルタイムで茶葉が届いてきたぞ!流石エリンギ様!』
「エリンギ様万歳!」
「エリンギ様って誰です!!?」
◆
3分後。
『紅魔族、ね』
『そんな種族が居たんだ。てっきり可哀想な子だと思った』
「で、では友達に…!!」
『ちょと早い早い』
勢いが凄まじいなこの子。
『まぁ、友達に執着する気持ちは分かるけどそもそもゆんゆんの友達の定義って何?そこから知らないと俺もサポートしづらいからさ』
「定義……ですか?」
「よく分からないですけど……友達って言ってくれる人は友達です!」
……うーん、困った。
ストーキングからは目を逸らすとして、喋ってみた感じそこまでぶっ飛んだ子ではないんよな。友達の定義も厳しいっちゃ厳しい方だがやばくはない。騙されそうで心配になるけど。
何処だ?何処が駄目なんだ……?
「……あ、その……あの……」
「えっと……ははは……」
これか。
『全体的にゴニョゴニョしてるな』
「何言ってるのかよくわからん」
「ぐはっ!!?」
こういうのは思い切りが必要だけど自分のペースで会話しちゃうと逆に友達なくすんよな……人間関係って難しい。それはそれとして。
『気を使うのは大事だが結局は自分から話しかける事も大事だぞ』
『コミュニケーションってのは結局は妥協だ』
『丁度いい距離感を見つけて保つ。それが重要なのよ。少なくともゆんゆんは人との関わりを持つ事すら出来ていないけど』
「はい……」
『ちなみに俺も中学時代はぼっちだった』
「人のこと言えないじゃねぇかよ」
『というか極度の人見知りなのによく俺に話しかけられたな?』
つけるにしても友達になろうとか、そういう発想は普通思いつかんのよ。
俺のビジュ、10m超えのクソデカバードだぞ?しかも鳥というには嘴ないし、目の位置もヒラメみたいに左に偏ってて右目は肥大化してるし。アビス知らない人が見たらどっかの夜廻なのよ。
よう声かけられたな……。
「ちょ、調査依頼が来てましたから……丁度いいかなって……。人じゃないなら、私でも声かけられるかなって……」
ゆんゆんが顔を俯かせる。
そして俺、安楽少女に顔を合わせて冷や汗を流す。
『俺、もしかして人間サイドに警戒されてる?』
「今更だろこの鳥頭」
マジか……うわマジか!!マジかッ!!(大声)
「最近よく深夜に冒険者ここらへんに来るぞ。けどこの植物の壁でなんとか発見は免れてたみたいだな」
緑のカーテン効果ありかよ!!
というか俺の睡眠中に来ないでもらえるかなぁ!!?
「調査だからな」
はぁ、と一つ溜め息。
どんな印象持たれてんだろ、俺。
『へいゆんゆん、人間達から見た俺の印象教えて』
「へっ!?きゅ、急ですねっ!!?」
『ゆっくりでいいから教えてくんろ』
「えっと確か事前に提示された情報だと……ジャイアントトードを好んで捕食する鳥型の大型魔物……対象の声帯を模倣して飛行能力と体格を活かした空中からの奇襲が得意とする……みたいな感じだった筈ですっ!!」
はへー、俺って魔物なん?
「私に聞くなよ」
【この世界の人外は大体魔物判定ですので……】
なるほど。
エリンギ様からの天の声、いただきました。
「本当になんなんだろうこの声……」
「お土産が美味しいお姉様だ」
「???」
……んじゃあ俺アレか、結構人間達には把握されてんのか。情報。
『これワンチャン交流持ったら街にも行けるくね?』
「焼き鳥になりたいならどうぞ行ってください」
んー、やっぱダメか。
『この世界って擬人化の概念とかある?』
「知ってるが数年前に養分にした冒険者が持ってた神聖な本でしか見た事ないぞ」
えぇ……異世界なんだからそんぐらいあってもいいじゃん。
【異世界に理想を求め過ぎですね……】
そんでもって安楽少女、その本まだ残ってたりする?
「植物が性欲を持つとでも?」
確かに。
「わ、私買いに行きましょうか……!!教会に行けばあるかなッ!?」
『遠慮しときます』
「ばっさり断られた……」
流石に若い子にそういう物を買わせる訳にはいかないからね。健全に育って貰いたいし。
「お前今何歳だよ」
精神年齢だと17歳。
「若ぇよ」
『んで、結局のところどうなんのよ。俺って結構危険な状況に置かれたりする?』
「わかんない」
【わかんないです】
「わかりませんよぉ……」
そっかぁ……わかんないかぁ……。
なら仕方ないね。
ほら安楽少女、ありがとうの投げキッス。
「くたばれ」
◆
『……みたいなくっだらない会話をするのが友達だと俺は思うの』
「そうですk」
「クソみてぇな茶番の間違いだろ」
『もう一度聞くがゆんゆんにはそんな感じの人は』
「いません……」
男子同士ならう○こっていう魔法の呪文を唱えればすぐに仲良くなれるんだけどなぁ……。
『ゆんゆん、俺が最終的にアドバイスできる事は3つだ』
『一つ目。仲良くなりたいなら話せ、謙遜しないで話せ』
『人間は中途半端な距離感が嫌いだ。仲良くなりたいならしっかり話すのが重要だし……まぁ、コミュ力は経験しないと手に入らないからな。こればっかりは勇気を出して話すしかない』
「うぅ……はい……」
『二つ目。空気は読め』
『話すタイミングはしっかりと把握しておくこと。相手がなにか重要な話をしている時に急に割りこんではいけないぞ。唐突な話題は反応しにくいし、嫌悪感を抱く人が殆どだ』
「な、なるほど……?」
『3つ目。過度な自慢はするな』
『中学時代悪魔を自称する奴いたけど痛すぎて目も当てられなかった』
「あぁ……」
【うわぁ……】
「心がけておきます……」
『中途半端な厨二病ならもうネタに全部突っ走った方が楽だぞ。けど第一印象が決まる初対面ではしっかりした自己紹介をする事だな』
「わ、我が名は……!!」
『違うそっちじゃない』
「わ、私は……?」
『うんそっち。郷に入れば郷に従うことだ』
「了解しました……」
素直だなぁこの娘。
やっぱり変なやつに騙されていないか心配になる。
……小学生の頃、よく外出は控えさせられてたけど親ってこんな気持ちだったんだ。
『……今度、一緒に遊園地行こうな』
「はいぃッ!!?」
「急にどうした気色悪い」
◆
「きょ、今日はありがとうございました!」
『いえいえこちらこそ』
「次会うとなっても引っ越すだろうし、時期は不定期になるだろうな」
「また会えたら……幸いです!!」
『じゃーなー』
そうしてぼっち少女、ゆんゆんとの出会いを果たしたのだった。
またいつか会えるだろう。多分、恐らく…めいびー。
文字数が頑張っても3000までしか出ません。(文章力不足で悲しい)
5000文字越えの人達は人外か何かですか?