レベル上がらないテイマーさん   作:匿名幼女

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リュカオーンとして生きろ

 

 

 

 

 ちょっとこれやばいかもしれない。

 

 

 ステータス画面に出てくる赤文字のタイムリミット。ゴブリンを破棄したら出てきたからもう一度やったらより最悪になるかと試すと何も出てこず、経験値だけが貰えた。

 まあ私の経験値はリュカオーンに奪われるからずーっとレベル1なんですけどね!

 

 つまり先程のは偶然重なったユニークイベントであったということ。

 ユニークスキルのデメリットが今発動したということか。

 

 

 とにかくだ。

 リュカオーンの影というスキルが悪さしているならどうにかしてこれを放棄しなければならない。

 

「検証に行きますかぁ……」

 

 

 

 うん、何かこういう、どうしようもない状況下でいつ自分が殺されるのかと思うとゾクゾクするわ。

 ホラーゲーム作るのも面白そうだし、また今度やってみようかな?

 

 

 

 

 

 

 町中で歩き回ってNPC限定で話を聞いてみたけど収穫無し。

 プレイヤーには話しかけるつもりはなかった────なんせ私しかないオンリーワンなユニーク職業だからね。情報公開するならもう少し探ってからがいいからね。

 特に闇の石が完全に罠だと教えてくれなかったあのクソ商人を殴るまでは!

 

 

「うーん、昨日に引き続き何も無しかぁ」

 

 

 1日、2日とかけて探ったが何も出てこない。ついでにいつリュカオーンが私に悪さするのかとビクビクしていたが何も無し。

 

 現在月明かりが全く無い深夜過ぎ。セカンディルから抜けてサードレマへ向かう途中の地底の樹海にいた。

 夜が危ないみたいだったからあえて深夜のお散歩してみたけど、モンスターが襲いかかる以外何もない。

 

 そのモンスターもラピンの手で狩られ、使い魔となって影が増えた。

 

 

 

「ねえどう思うよラピンくん」

 

 

 

 鼻で笑ってきたラピンにちょっとだけムカついて、頭を強く撫でてやった。嫌そうにしてたけど人参をあげれば何もいわず足ダンして苛立ちを見せるのみ。

 

 最近知ったけど使い魔となった子達は飲食も出来るらしく喜怒哀楽が分かりやすい。

 ゴブリンにも一体だけリーダーとして名前を『ゴブリ』にし、交流してみたが殺意の欠片もなく私をボスとして立ててくれる超良い子だった。

 

 ただ、レベルが全然足りないのでラピンくんに頑張ってもらいますがね!

 

 

「んー。虫がいるだけであんまし変化は────ラピン?」

 

 

 

 それは、突然起きた。

 

 ブルブル震えたラピンが影に沈む。

 瞬間、ゾッとするほどの寒気が辺りを包み込んだのだ。

 

 

 

「な、なに?」

 

 

 周りを見るけど何もない。異変もないはずなのに、何かがおかしい。

 

 私だけそう感じたかもしれない。

 なんせ遠くから虫モンスターを倒しているらしい音が聞こえるから。

 

 ────頭の中から、獣の声が聞こえた。

 

 

 

『夜襲のリュカオーンにより、その身体は喰われる』

 

『リュカオーンの分身へ変質します』

 

 

 

 

「は? ────ガッ、ァ」

 

 

 

 何が起きたのか、一瞬理解が出来なかった。

 

 

 めきりめきりと、身体が裂ける。

 骨が折れる。

 肉が分解される。

 

 

 痛みなど規制されているはずのシャンフロで大きな衝撃に襲われる。

 

 きっとこれが現実にあったなら────痛覚100%だったサバイバル・ガンマンでやられたならしばらくは寝られず発狂してしまうぐらいの劇物。

 

 

 攻撃エフェクトが体内から発生していく。

 

 身体の内側から自分が喰われていることを、自覚する。

 

 

「グォォォォォォ!!!」

 

 

 

 私の身体が、勝手に動かされる。

 

 近くにいたプレイヤーが「ひぃ! ユニークモンスター!?」と私を見て悲鳴をあげて、噛みつかれて死んだ。

 

 

 

『全使い魔に経験値が付与されました』

『影が濃くなりました』

 

 

 モンスター達を足で踏み潰し、駆ける。影に飛んではどこか光の無い場所へ向かう。

 

 

 

『全使い魔に経験値が付与されました』

『片腕のヴォーパルバニー(ラピン)のレベルが上がります』

 

『影が濃くなりました』

 

 

 

 しばらく迷子になっていて抜け出せなかったはずのセカンディルへ舞い戻って────そのプレイヤーを見た。

 攻撃を避けて、避けて、私を攻撃するプレイヤー。どう足掻いても死ぬしかないはずのユニークモンスター相手に勝ちに向かおうとするその意思に、兄を見た。

 

 潰し甲斐のある玩具と悟り、呪いを刻む。

 

 ────それを食べるのは私だ。

 

 

 

『夜明けにより、その闇は一時の休息を得る』

『リュカオーンの分身は影へ消えます』

 

『ユニークスキル「リュカオーン」が付与されました』

『ユニークスキル「リュカオーン」は夜襲のリュカオーンによる許可を得ないと発動しません』

 

 

 目を覚ました時に見えたのは、セカンディルの目前。

 

 岩肌に寝転ぶ私を変な目で見てくるプレイヤーが通過する。

 先程の衝撃を徐々に受け入れ、自然と身体が震え始める。

 

 

「ってか、サンラクってお兄ちゃんじゃん!!」

 

 

 

 私……というか、身体を動かしてたリュカオーンが呪いを刻んだプレイヤーの名前がサンラクだったけど、お兄ちゃんクソゲーじゃなくて神ゲーやってんの!?

 

 他にもいろいろとツッコミたいところあるけど、まず先に────。

 

 

 

「助けてお兄ちゃん!!」

 

 

 

 これもう私の手に負えないからどうにかしてぇ!!

 

 

 

 

 

 

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