大学生探偵福来あざみ   作:あざジャス派の猫

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福来あざみを中心に書いていきます。
それ以外は巻き進行か飛ばしたり、また作者の技量的に難しそうな場面やネタが思い浮かばなくても飛ばしますが、それでも良ければ引き続きお読みいただければと。


ピアノソナタ「月光」殺人事件1

 私は階段から足を滑らせて頭部を強打して死亡したら、都市伝説解体センターをクリアして脳を焼かれた女神様と対面した。

 

 彼女は同好の士として私を呼んだらしく、それならとネタバレを気にせず時間を忘れて語り合う。

 

 疲労も食欲もないが何となく話題が途切れたところで、女神様に福来あざみとして転生して欲しいとお願いされる。

 

 どうやら二次創作の数が不足していて、深刻な都市伝説解体センターロスに苦しんでいるようだ。

 

 正直、意味がわからなかった。

 いや、私も脳を焼かれた同志なので気持ちはわかるが、何で自分なのかである。

 

 すると女神様は福来あざみに転生した私に自己投影して、遠くから見守りつつニヤニヤしたいらしい。

 それを聞くと道理で自分を呼んだわけだと納得する。

 

 彼女も陰の者だったようで、性格的な相性はバッチリだ。

 それに私の死因は階段から足を滑らせたことだが、そもそも原因は都市伝説解体センターの続きが気になって徹夜でプレイしたことで、注意力散漫な状態で出勤したことにある。

 

 なので当事者になるのは絶対に嫌だが、友人……いや友神のお願いで転生特典をくれると聞いては迷ってしまい、そのまま少しだけ過去になるが日本で電気水道ガスはあるし、ヘーキヘーキと説得される。

 

 結局押し切られる形で渋々頷いたまでは良かったが、その後ろくに説明もないまま転生させられるのはマジ勘弁。

 

 

 

 

 そして私は、福来あざみになった。

 だが赤ん坊スタートとは聞いていないし、最初は滅茶苦茶取り乱して、オギャアオギャアと毎日のように泣き喚いた。

 

 けれど時間が経てば、多少は落ち着いてくる。

 ジタバタしても状況は好転しないので諦めたともいう。

 

 幸い、こっちの家族も良い人たちだ。

 幼いのに妙に賢くてちょっと不思議な私だが、それでも愛情を注いで育ててくれた。

 

 なので前世の大切な人たちと心の中でお別れして、気持ちの整理をつけることができた。

 幼少期は暇だったので、考える時間はたっぷりあったのだ。

 

 だから私は新しい両親の娘、福来(ふくらい)あざみとして生きていくことに決める。

 

 なお名前だけでなく、都市伝説解体センターの主人公にそっくりな外見だ。

 おまけに眼鏡をかければ、幽霊や影のようなぼんやりした何かが見える。

 こんな能力、もしバレたら絶対に変人扱いされるか誘拐待ったなしだ。

 

 なので家族や友人にも秘密で、決して口にしたりはしない。

 一生心の内に留めて、墓まで持っていくつもりだ。

 

 それでも探し物をするときには便利なので、眼鏡をかけてバンバン能力を使ったりしている。

 おかげで両親が財布や鍵などを失くしても見つけ出せたし、褒められてお小遣いアップは悪い気はしない。

 

 

 

 そんなこんなで少しずつ過去の日本の暮らしに慣れてきたが、前世と比べると不便なのは当然として、ぶっちゃけ治安が悪すぎる。

 実家は首都に近いホームタウンで、近所には一通りの施設が揃っていて利便性はかなり高い。

 

 けれど事件や事故が毎日のように全国ニュースで報道されている。

 

家族や知り合いが巻き込まれたことはないが、これからも絶対に大丈夫とは言えないので、心の底から安心安全な地域に引っ越したいと思っている。

 

 でもうちは一般家庭だし、そんな気軽に引っ越しできるわけもない。

 そもそもこの世界は全国各地で割と頻繁に事件や事故が起きているようで、絶対に安全という保証は誰もしてくれないのだ。

 

 なのでその辺りの問題は先送りにして、ちょっと賢い幼女として過ごしているうちに時は流れていく。

 

 そうしていると成長して、帝丹大学に通うことになったのだった。

 

 

 

 ちなみに私は福来あざみで、一人っ子だ。ここは重要である。

 なので念視が使えて同じ名前の人が居たとしても、ここは都市伝説解体センターとは関係ない異世界と考えるべきだろう。

 

 なお現在の福来(ふくらい)あざみが今何をしているかと言うと、荒事は専門外だし、能力バレは危険なので、普段は普通の女子大生として生活している。

 

 おかげで平穏に暮らせているが、運悪く事件や事故に巻き込まれることは良くある。

 

 それでも私に親切にしてくれる人と出会って、流れで映画サークルに入部することになった。

 

 以降は鈴木綾子(すずきあやこ)先輩と、定期的に電話や手紙の遣り取りをする友人関係になる。

 

 有名人との縁ができたのは予想外だけど、おかげでごく普通の充実したキャンパスライフを過ごせているし、とても感謝しているのだった。

 

 

 

 とにかく全てが順調とは言えないが、念視も今のところはバレてはいない。

 だがいくら便利でも、眼鏡をかけると地縛霊っぽいのが見えるのだ。

 それに事件や事故の現場は血の跡や死体が転がっているので、調査するのはちょっと怖い。

 

 おまけにこっちは関わる気は一切なくても、面倒事が向こうからやって来るのでマジ勘弁だ。

 毎回、半泣きになりながら推理する私の身にもなって欲しい。

 

 まあ私がやらなくても、事件や事故はいつかは解決する。

 公安や警察が何とかしてくれるだろう。

 

 だが、それまで犯人は野放しだ。

 無実の人が罪に問われて苦しんでいたり被害が拡大し、さらに人が大勢死ぬかも知れない。

 

 実際に私が狙われたこともあったし、不幸中の幸いで大きな怪我もせずに生き延びられたが、物凄く怖かったしトラウマになってもおかしくない。

 

 

 とにかくそんな状況で、何もせずに傍観者でいることは、私にはできなかった。

 もし見捨てたら良心の呵責に苛まれて、最悪心を病んでしまう。

 

 自分から危険に飛び込むのは正直凄く怖いが、それでも頑張って探偵の真似事をして、念視と推理で事件を解決していった。

 

 

 

 そんなある日のことだ。

 財閥令嬢の鈴木綾子(すずきあやこ)先輩から電話がかかってきた。

 

 何でも妹の知り合いの探偵事務所に、奇妙な手紙が送られてきたらしい。

 

 私はちょうど、警察から依頼された調査書類の整理が、一息ついたところだった。

 そこで何となく興味が出て、その不審な手紙について少し調べてみることにする。

 

 理由は未解決事件や事故の書類が、まだまだ山積みになっているからだ。

 どれだけ片付けても、一向に減る気配がなく。

 あと一体どれだけの時間が経てば全部片付くのかと、溜息を吐く。

 これでは気が滅入って当然だ。

 

 なのでたまに、依頼とは関係のない推理をして気分転換する。

 もしくは家族が気を利かせて申し込んだ、ヘンテコなツアー旅行に参加したりもしていた。

 

 

 

 そして今は相棒兼同居人が、所用で不在である。

 護衛の人たちが入れ代わり立ち代わりで、不審者が居ないか見張ってはいるが、自室で一人で黙々と仕事をしているのだ。

 

 大学の課題も殆ど手つかずなのに、何をしているやらである。

 けれど人命に関わる依頼を無視するのは心苦しいので、探偵と女子大生の二足の草鞋をしていた。

 

 取りあえず私は、相棒にメールを送る。

 返信はすぐに届いて許可が取れたことを確認し、急ぎ旅行の準備を始めるのだった。

 

 

 

 今回調査をする依頼は、既に別の探偵が受けて、報酬も振り込まれている。

 

 なので自分はただ、気分転換の旅行気分で月影島に行くだけだ。

 個人的な興味はあるが推理は建前で、本音は観光や美味しい海の幸だった。

 

 とにかく簡単な変装をして定期船に乗り込む。

 私はちょっとした有名人なので、友人や知り合いに会いに行く以外は、身バレを避けるために変装し、不自然にならない程度に顔を隠している。

 

 しばらく船に揺られると、特に問題もなく月影島に着いた。

 

 

 

 まずは事前に予約した宿泊施設に荷物を預け、独自に調査を始める。

 

 出発前に簡単に調べてきたが、依頼人の麻生圭二さんは十年ほど前に既に亡くなっている。

 

 なので、手紙を送ってきた人が別人なのは間違いない。

 それでもお金は振り込まれているので、きっと過去の事件に関して調査して欲しいのだろう。

 

 そんなことを考えながら、物珍しそうな顔で月影島をウロウロしていると、女医さんに声をかけられる。

 

「あら? もしかしてお姉さんも東京から?」

「はい、月影島には観光で来ています」

 

 せっかくなので、医師の浅井成実(あさいなるみ)さんに話を伺う。

 

 手帳に人物関係や状況について書き記していく。

 どうやら今は村長選が行なわれているようで、三人の候補者がいるようだ。

 

 こういう一見すると無関係に思えることでも、過去の事件と何処で繋がっているかわからない。

 長年探偵の真似事をしていると、念視以外にも多少は鍛えられるのだ。

 

「そう言えば貴女、お名前は?」

「えっ? ええと、廻屋渉(めぐりやあゆむ)です」

「へえー、変わった名前ね。まるで男性……あっ、ごめんなさいね!

 私ったら、初対面で失礼なことを!」

「あはは、よっ良く言われるので、お気になさらず」

 

 私が正体を隠しているときに良く使う偽名を、咄嗟に口にして誤魔化す。

 もしセンター長が実在していたらごめんなさいだが、今のところは全く名前を聞かないのでセーフだと思いたい。

 

 とにかく色々教えてくれた浅井成実(あさいなるみ)さんに、軽く頭を下げてお礼を言って別れる。

 

「しかし、呪われたピアノかあ」

 

 今夜は前村長の法事が行なわれると聞いた。

 そして、そのピアノもそこに置かれていることもだ。

 

「旅館で夕食を済ませたら、少し調べてみようかな」

 

 もしかしたら、念視で何かが見えるかも知れない。

 私はそんなことを考えながら他の場所も色々と調べて、区切りがついたら旅館に戻るのだった。

 

 

 

 私は前村長のことは何も知らないし、月影島の人間でもない。

 なので法事に出席する気はなく、終わったあとに少し見せてもらえれば良かった。

 

 ただ帰ってしまっては許可が取れないので、その前に旅館を出る。

 夜道を歩いて公民館の近くまで来ると、ほんの微かだがピアノの音が聞こえてきた。

 

「この曲は、月光? でも、一体誰が?」

 

 確か十年ほど前に亡くなった、麻生圭二さんが弾いていたのも月光だったはずだ。

 それが聞こえてくるのは明らかに妙だと、気になった私は自然と足早になるのだった。




大変お見苦しいですが誤字脱字等がかなりあると思います。
見つけた際には、誤字脱字機能を使って修正してくれると、ボタン一つで片付くので作者はとても助かります。

読み直して修正すると時間とモチベが削られて……アッアッアッ。
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