大学生探偵福来あざみ   作:あざジャス派の猫

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ルパン三世 TVSP 炎の記憶 ~Tokyo Crisis~2

 銭形警部を自宅に運び込んだが、あまりに部屋が汚れていたので簡単に掃除をすることにした。

 その際にまりやさんが飾られていたご先祖様の十手(じって)を見て、何かを思い出したようだ。

 

 ただそれは私にはわからないし、あまり長居をする気はない。

 二日酔いのためにナメコの味噌汁を作り、粗熱が抜けたら蓋をして冷蔵庫の中に保管する。

 

 ちゃんと朝起きたら気づけるように、紙に書いて残しておいた。

 

「福来探偵は、これからどうするんですか?」

「歳が近い同性なんだし、もっと気さくに話しかけてくれていいですよ」

「ええと、じゃあ、これからどうするの?」

 

 まりやさんが尋ねてきたので、私は今後の方針について簡単に説明する。

 

「取りあえず、マイケル鈴木についての調査かな。

 もし黒い噂が出てきたら、アクアポリスも関係がある可能性が高い。

 それが何かは、まだわからないけど」

 

 何もないに越したことはない。

 だがマイケル鈴木は、一般市民にどれだけの犠牲が出ても構わないようだ。

 ルパン三世だけでなく、近づく者は例外なく排除しようとした。

 

「マイケル鈴木にとっては、ルパン三世は濡れ衣を着せるにはもってこいだし。

 彼は利用されたんじゃないかな? うん、きっとそう」

 

 表は清廉潔白だとしても、裏は真っ黒なのは想像に容易い。

 ルパン三世は世界を股にかける大泥棒だし、彼のせいで被害が出ても全てルパンが悪いで済んでしまい、誰も疑問に思うことはない。

 

「鬼が出るか蛇が出るか。

 私は私で動いてみるから、まりやさんも気をつけてね」

 

 銭形警部もルパン三世の逮捕を諦めていないだろう。

 そうなるとマイケル鈴木とも、遅かれ早かれ衝突する。

 それにもし、まりやさんがこの件を調査するなら、間違いなく巻き込まれるだろう。

 

「私としては、できればこの件には関わらないで欲しいけど」

 

 だが、まりやさんの表情は真剣で、どうしても引き下がれないようだ。

 

 私も本当はさっさと銭形警部の家から立ち去って、ホテルでゆっくり休むつもりだったのに、予定を変更せざるを得ない。

 大きく溜息を吐いて、まだ少し埃っぽい座布団を敷いて腰を下ろす。

 

「理由があるんだね。私で良ければ話してくれない?

 何かの役に立てるかも知れないし、一応は探偵だしね」

 

 まりやさんを気遣うように微笑みかけると、彼女は悲しそうな表情で自分の過去を語り始める。

 

 母親はまりやさんを産んですぐに亡くなったが、優しい父親が一緒だったので寂しくはなかった。

 しかしあるとき屋敷が火事になって、唯一の家族も失ってしまう。

 

 彼女の壮絶な過去を聞かされた私は、悲しくなって半泣きになる。

 ついでに考えなしに何かの役に立てるかもと言ってしまったことを、思いっきり後悔していた。

 

 こんなの明らかに私の手に余る。

 精神科の先生じゃないと無理だけど、まりやさんは一人でも強く生きてるので、きっとこの先も自分の出る幕はないと判断して、無難に励ましの言葉をかける。

 

 その後、私は彼女と別れて、急ぎ警視庁に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 早朝に警視庁を訪れた私は、松本清長(まつもときよなが)警視正に急ぎ連絡を取る。

 平成のミス・マープルと呼ばれるだけはあり、本来なら門前払いだがあっさり会ってくれることになった。

 

 なおそれよりも前に、具体的には昨日の夜にジャスミンさんを通じてマイケル鈴木に関して調査を依頼していた。

 そのせいでまだ早朝なのに、蜂の巣をつついたような大騒ぎになっているようだ。

 

 これは警察や各組織などから依頼を受ける私だが、たまにこっちからお願いすることがある。

 だがその場合は、高確率で大事件や陰謀絡みだ。

 

 それこそ一分一秒を争う場合も多く、放っておけば時間と共に被害が拡大しかねない。

 つまり私の名前で電話がかかってきたら、デスマーチの始まりを意味する。

 

 事件や事故が解決するまで、家に帰って寝られると思うなよと、大体そんな感じだ。

 

 もっと言えばタイミングが悪く、全国からアクアポリスの警備に警察官が大勢動員されている。

 重要性の高い仕事が、急遽追加されたのだ。

 

 だがまあ、そう頻繁にあるわけではない。

 探偵の真似事を長く続けていると、警視庁に所属している人たちは大体わかってくる。

 

 何やかんやでお世話になることが多い、松本清長(まつもときよなが)警視正と個室で面会し、警察組織が一晩のうちにまとめてくれた山のような資料に目を通していく。

 眼鏡をかけて念視で閲覧し、特定のキーワードを素早く丸で囲んで補足説明も書き込む。

 

「だが良いのか? マイケル鈴木は世界中の政財界と太いパイプで繋がっている。

 もし隠蔽されたり、証拠が出てこなかったら──」

「そうなれば、私の評価が地に落ちるだけです。

 家族や友人に迷惑をかけるのは、心底申し訳なく思いますが」

 

 自分は一度も、名探偵や平成のミス・マープルと名乗ったことはない。

 ただ周囲が勝手に持ち上げているだけで、名声には全く興味がなかった。

 

 けれど、もし失敗すれば手のひらを返して心無い言葉で叱責される。

 家族や友人も、酷いことを言われるだろう。

 

「その場合は、縁を切ってもらいましょう。

 安いものですよ。私の名誉ぐらい」

「福来探偵! 貴女は、それ程の覚悟で!」

 

 松本清長(まつもときよなが)警視正が何か勘違いしている気がするが、別に探偵を辞めて一般人になっても、私は全く困らない。

 

 縁を切られたりお世話になった人たちに迷惑をかけるのは心苦しくても、仕事の山とおさらばできるなら、かえって清々するかも知れない。

 

 だが頭の中でアレコレ考えても、それを口に出すことはなかった。

 捜査資料に目を通して、キーワードをチェックするのに忙しい。

 欲を言えばオープン記念式典が始まる前に片付けたい。

 

 全世界の各界の著名人が一同に会するときに摘発して、大炎上させたくはなかった。

 マイケル鈴木は世界中政財界に太いパイプを持っているし、もし不正が暴かれたら著名人に繋がっているパイプが導火線になって、爆弾が次々と爆破する。

 

 最終的に、世界経済壊れちゃうーになるのが容易に予想できるからだ。

 

 しかし今のペースでは到底間に合わないし、どう足掻いても穏便に済ませるのは絶対に不可能なのはわかっている。

 

 それでも日常への影響を極力抑えて、事件を早期解決するために頑張らざるを得ないのだった。

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