大学生探偵福来あざみ   作:あざジャス派の猫

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浪花の連続殺人事件1

 服部平次君から、大阪見物の招待が届いた。

 昔は違ったが今は探偵業よりも大学生としての日常を優先なので、せっかくなので二つ返事で受ける。

 

 だがあとでコナン君たちも誘ったことを知り、事件や事故が起きることが確定してしまう。

 判断を早まったかも知れないと、少しだけ後悔したのだった。

 

 

 

 何やら不穏な予感がするが、それでも大阪観光は楽しみだ。

 地元の人に案内してもらえるのはありがたい。

 

 ネットの評価ではなく実際に食べて本当に美味しかった店を、紹介してくれるのだ。

 

 私はインドア派であまり食べるほうではないが、飯が美味しいに越したことはない。

 それに人の食べてるのを見るのは好きで、最近だとジャスミンさん以外に一色まりやさんも増えた。

 二人は体を動かすことが多いからか、とにかくたくさん食べる。

 

 福来家に、ちゃんと家賃や食費は多めに振り込んでいる。

 なので別に問題はないのだが、食が細い私からするとちょっと羨ましい。

 

 ただジャスミンさんのようにとはいかないけど、最近は子供に負けるようでは不味いと危機感を持ち、少しは運動をするようになった。

 

 今回の大阪行きも長時間歩くことになると考えて、靴や服装を新調したりと出発前に準備もしてきた。

 目標は途中でバテずに旅行を終えることで、宿泊先で柔軟体操は欠かせない。

 

 

 

 当日は新幹線で大阪に向かい、現地で服部平次君と顔を合わせて挨拶をし、彼の案内で各地の名所を巡る。

 

 何でも犯人逮捕を目前にしてコナン君が殺される夢を見たらしいが、夢は夢で現実ではない。

 まあ一色まりやさんのような予知能力があれば別だが、彼は高校生探偵をしている以外は普通の少年のように思える。

 

 それ以外に私たちを大阪に呼んだ理由はないので、今回は事件や事故が起きずに普通に観光できそうだと、安堵の息を吐いた。

 

 

 

 しかし通天閣で迎えの人を待っていたが、大阪府警の刑事さんが来たのは驚きだ。

 警察を足代わりに使うとは、流石は服部君である。

 実際には彼の父親が私と毛利さんに気を利かせて、手配したらしい。

 

 なお私もジャスミンさんに運転手をしてもらっているが、一応給料を払っているし表向きは普通の助手だし、別に問題になったりはしない。

 

 だがパトカーに乗って移動するのは私は遠慮し、ジャスミンさんにレンタカーを借りてもらい、服部君と一緒に行くのは毛利探偵たちに譲ったのだった。

 

 

 

 うどん、たこ焼き、お好み焼きと続くが、私はハーフサイズを注文する。

 それだけで十分に満足できるのだけど、途中で服部君の幼馴染と出会った。

 

 名前は遠山和葉さんだ。

 何やら私かジャスミンさんか蘭さんのうちの誰かを、工藤という女性だと勘違いしていたようだ。

 

 しかしそれも、離席していた服部君が戻ってきて誤解が解ける。

 

「蘭さんのことはわかったけど。それじゃあ、そっちの二人は誰なん?」

「アタシは止木休美(とまりぎやすみ)。ジャスミンと呼んでくれ」

 

 次に和葉さんが私をじっと見つめるので、微笑みながら自己紹介をする。

 

「私は福来あざみです」

「福来あざみって! 貴女があの名探偵の!?」

「そういうのは、……ここではちょっと」

 

 お好み焼き店は、非常に混み合っていて騒がしい。

 だが近くの人は丸聞こえだし、食事の最中に騒ぎが起きるのは困る。

 

 せっかく普段とは違った外着で大阪旅行を楽しんでいるのに、こんな時まで平成のミス・マープルで騒がれたくはなかった。

 

「あっ、すっすんまへん」

「いえいえ、わかってくれれば良いのです」

 

 近くの人たちにはバレてしまってヒソヒソ話をしているが、そこまで大騒ぎにはなっていない。

 お好み焼きを食べたらすぐに立ち去るので、このぐらいなら大丈夫だ。

 

 その後は、服部君と和葉さんが鉄の鎖で繋がれた馴れ初めを聞いたり、付き合っているかどうかの怪しい発言があったりと、二人はなかなか面白い関係のようだ。

 互いの父親も警察繋がりで仲が良いなど、家族の付き合いもあるらしい。

 

 

 

 とにかくすぐに仲良くなって和気あいあいと話しながら、美味しいお好み焼きをいただく。

 ただ私が福来あざみだということが広まって、段々と周りが騒がしくなってくる。

 

 なので自分とジャスミンさんは皆よりも先に店を出て、少し腹ごなしの散歩をすることにした。

 

 その後、適当なところで皆と合流して、車に乗って次の観光名所に向かう予定だ。

 

 

 

 だが私たちが戻って皆と合流し、車を出発させる直前に事件が起きる。

 

 パトカーのボンネットの上に、知らない中年男性が落ちてきたのだ。

 当然のように周囲はパニックになり、ビルの屋上には誰かの影が見える。

 

 コナン君と服部君は犯人らしき人を追ってビルに駆け込んだが、私の体力では最上階に辿り着く前に息切れしてしまう。

 

 本来ならこういう事件は警察に任せるところだけど、自分は目撃者の一人だ。

 容疑をかけられては堪らない。

 

「ううー、どうしてこうなるの!」

 

 私は服のポケットから眼鏡を取り出して、それをかけながらガックリと肩を落とし、溜息を吐く。

 とにかく被害者に触らずに注意深く調べ、二人が戻ってきたあとにビルの屋上にえっちらおっちら登る。

 何か手がかりがないか、一通り調査をするのだった。

 

 

 

 調査を終えたあとは、大阪府警東尻署に移動する。

 服部君から、今回の事件が世間を騒がせている連続殺人に関係があるかも知れないことを聞かされる。

 

 本当のところは良くわからないが、殺されたのはこれで三人目らしい。

 特徴はナイフが財布を突き抜けて、胸に刺さっていることだ。

 彼らが皆、首を何かで締められて殺されたあとで、ナイフを刺されている。

 

 先程の被害者は二日前には既に殺されていたことがわかり、私の容疑は晴れた。

 なのでこれ以上は捜査する必要はないし、警察に任せればいい。

 

 だが服部君は私たちの大阪見物を滅茶苦茶にした犯人を許せないと言って、自分の手で犯人を捕まえる気だと判明する。

 彼は友人の一人だし、放ってはおけない。

 

 しかし私は現場に出て体を張ったり、あちこち走りまわる気はないのだった。

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