レイ・ヴァレンシュタイン、転生特典【ガチャ】呪い【超不運】 作:寝心地
私、アイズ・ヴァレンシュタインには年の離れた兄がいるらしい
強く 優しく、真面目で、しかしどういうわけか運が凄く悪い
ただ運が悪いのではなく、
木剣を振っていて手からすっぽ抜け蜂の巣に当たり蜂を怒らせ追いかけられる、それが最低1日に6回、蜂から逃げる途中石に躓き転んだのは数えるのも嫌になるほどらしい、普通そうはならないと思う
はぁ、運が悪い
その癖、事態の終わりにはそう言って何事も無かった様にまた剣を振り始める
私は正直兄が好きではない、私が生まれる前に出ていった為ほぼ他人の様なものだし、聞いている限り凄い人には思えないし両親の話しも何処までが本当か分かったものじゃない
「え?」
「だから、もうすぐお兄ちゃんが帰ってくるらしいわよ」
唐突にお母さんから放たれた言葉に私は唖然とした
私が生まれて1度も家に帰ってこなかった兄が近々帰ってくるらしい
「…………………………」
「あら?、どうしたの?」
「ハハハ、始めて会うお兄ちゃんに緊張してるのか?」
私の気も知らないで両親は笑う、その時、コンコンと扉を叩く音が聞こえた
「はぁ~い」
お母さんが扉を開けると私と同じ瞳と髪色の男の人が立っていた
ボロボロの外套に身を包み剣を腰に差し左手の指が1本欠けている
……………ただいま
「レイ!!、お帰りなさい!!、凄いボロボロね、今度はどんな目にあったの?」
別に、ちょっと魔物を相手しただけだよ
「それはちょっとではなくないか⁉」
外套を脱ぎそう言って家に入ってくる男の人、良く見れば外套の下は爪痕や噛み傷等無数の傷に覆われていた、両親はそんな彼を優しく歓迎し家の中に招き入れた
ん?、お前は…………
怖かった
ただその目が 傷が 声が 欠けた指が
彼を形作るもの全てが怖かった
ポン
と頭に重みが加わる
初めまして、と言っておく、レイ・ヴァレンシュタイン、お前の兄だ
兄はそう言うと私の頭を優しく撫で誰も使っていなかった部屋に入った、どうやらあそこは兄の自室だったらしい
兄が来て数日が経った
兄は朝誰よりも速く起きて剣を振り食事の時以外ずっと剣を振っていた、そして両親が言っていた言葉が真実であることも
剣を振れば何故か木が倒れてくる、最悪な事にその範囲には私も入ってしまっていた
思わず目を瞑り痛みに備える、しかしいつまで経っても痛みは来ず恐る恐る目を開けると
……………怪我はないか?
兄はそう言い私は兄に抱えられ倒木は真っ二つに切り裂かれていた
「……………………格好いい」
これが私の前に英雄が現れた瞬間だった