レイ・ヴァレンシュタイン、転生特典【ガチャ】呪い【超不運】 作:寝心地
ズルズルと1人の少女が男を運んでいる。その異様な光景の主はどちらも同じ金色の髪を持ち運ばれる側には青薔薇の剣が腰に指してあり、少女の方の腰には無謀の意味を持つ愛剣がぶら下がっている。本来なら運ぶどころか持ち上げるのですら難しい体格さを、少女は軽々とまではいかなくとも背負いフラフラと走っていた
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」
運びながらも兄を呼ぶアイズの目には涙が浮かんでいる
瀕死の兄を見つけたアイズは完全に取り乱し、怪我をしたら水薬を飲む或いは飲ませるという基本すらも頭から抜け落ち、一刻も早く自身の本拠地に連れていくと言う短絡的な思考に辿り着いた
(死なないで 私を1人にしないで 迎えに来るって行った 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
家族を失う事への恐怖で完全にパニックになったアイズは何とか黄昏の館に辿り着く
「リヴェリア!!」
相手の返事もなく言うと同時に名前の主の部屋に飛び込む
「何だアイズ、部屋に入る時はノックくらい「お兄ちゃんを助けて!!」……………………詳しく話せ」
「お兄ちゃん怪我したの!!、早く助けて!!」
グイグイと服を引っ張りながらそう言うアイズに何となく事態を理解したリヴェリアは、それ以上の追求はせず黙ってアイズに着いていく
「お兄ちゃん!!」
「………………これは」
リヴェリアが見たレイの状態は酷いの一言に尽きた。ザッと見ただけでも裂傷、打撲、内出血、骨折、脳にも影響しているかもしれない
「リヴェリア!!お願い助けて!!」
泣き叫ぶアイズの横に座りあらゆる回復魔法を掛けた
「リヴェリア……………………」
心配そうにリヴェリアの顔を覗き込むアイズにリヴェリアはフッと笑った
「大丈夫だ、怪我は治した。今は疲労で眠っているだけだ」
ホッと息を吐き安心したのかその場にへたり込む
「詳しい話は後で聞く。それまではゆっくり休ませてやれ」
リヴェリアはそう言うとその場を離れアイズは取り敢えず自室にレイを運んだ
【死の7日間】???
レイは目を覚まし見慣れない天井に驚きながらゆっくりと体を起こす
ぼんやりとする思考がハッキリとし始め、装備がない事に気付き少し警戒するが、自身の状況に首を傾げる
闇派閥に拉致………………にしては拘束もされておらずベットに寝かされている。奴らは治療より負傷させる方が得意な筈だ。となると此方側の人間か。一体誰が
ガチャッと扉が開きそこには知っている人物が盆を持って入ってきた
アイズ?
「お兄ちゃん!!」
盆を投げ捨てる様に置き此方に走り頭突きするように飛び込んでくる。脇腹が軋んだが平気な振りをしてアイズの頭を撫でる
アイズ、ここは何処だ?俺はどれだけ寝ていた?
「???ここは【ロキ・ファミリア】の本拠地。お兄ちゃんは4日寝てた、もうすぐ5日」
となるとエレボスの絶対悪宣言から6~7日は経ったのか。何か街で変化はあったか?
「分かんないけど、リヴェリアが最後の戦いが始まるって。私も来るように言われた」
成る程。となると寝ている訳にはいかないな。アイズ悪いが俺は行く。他の奴らが心配だ。何かあればリヴェリアを頼れ
「分かった」
俺の装備は?
「服はあそこ、武器は下の保管庫にある」
分かった。ならまたその最後の決戦とやらで
俺はアイズに言われた場所に向かい装備を回収しリヴェリアに礼を言うと本拠地に戻る
済まない、遅くなった
「レイ!!良かった、無事だったのね!!」
アリーゼが最初に出迎え俺は頷き詳しい状況を聞く。何でも夜が明ければ最後の決戦が始まり、俺達はダンジョンの中で召喚されたという【大最悪】討伐隊に組み込まれたらしい
ならば準備してくる。出てきた道具の中に何か使えるものがある筈だ
俺はそう言い部屋に入ると、ゴミ山の様な道具の中から必要と思う道具を雑嚢の中に放り込んでいった