ダゴンの亡霊たち   作:kuraisu

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登場人物&用語解説

同盟側の人物

+サルト・ルナティア

亡霊艦隊司令官。三〇歳前後にして大佐の地位にある才媛。

長い黒髪と妖しい赤眼が特徴的な端麗な容姿の持ち主。乗艦は戦艦ハイドラ。

同盟軍士官学校戦略研究科席次七位卒業、第四艦隊司令部参謀経験者といった理由から「ここにいる四人の大佐の中で一番艦隊指揮能力がある」とダゴン星域に逃げ込んだ将校達の合議により、亡霊艦隊の司令官に推戴されてしまい、帝国軍の勢力圏内になってしまった国境周辺星域でゲリラ戦をする立場になってしまった。

当初将兵からの評判は芳しくなかったが、冷静沈着な指揮ぶりと大胆な決断力で戦果をあげて信頼を勝ち取っていく。

 

幼い頃から宇宙に心惹かれる一面があり、一〇歳になる頃には同盟軍正規艦隊司令官になる夢を抱くようになって、同盟軍士官学校の門を叩き、卒業後に少尉に任官すると女だてらに艦隊勤務を希望し続け、多くの実績を積み上げて若くして大佐になった、やや夢見がちなところがある女傑。

将来的に統合作戦本部長にまでのぼりつめるが、それはコルネリアスの大親征を退けた後に、敵中に取り残された状況下で独自に亡霊艦隊組織運営をやってたことから「前線よりも後方に必要な人材」という方向で高く評価されてしまったからであり、艦隊勤務とは縁遠い出世ルートを歩まされたので本人的には不満が多かったらしい。

 

+エメール・ジョシュア

サルトと同じく元第四艦隊司令部所属の参謀。無精髭と屈強な肉体が特徴的な中佐。亡霊艦隊ではサルト付きの補佐役をしている。

ひとまわりほど年下のサルトからは精神主義的な直線思考を好むので参謀向きではないと思われているが、陸戦隊あがりの強者で、兵の心情を読み取る洞察力に優れているので重宝されてもいる。

三流脚本の立体TV番組に出てきそうな宇宙海賊風の言動をしているが、亡霊艦隊じたいが非公式な部隊なのだから多少はふざけてもいいだろうという心情と極限状態にある将兵らの前であえてコメディリリーフ風に振る舞ってみせることで空気の緩和を狙うという打算の産物である。

 

+ソユーズ

警備隊司令の少佐。彼が率いている艦艇群はティアマト会戦に参戦しておらず、彼らは上層部からの撤退命令が手元に届くのが遅かったために逃げ遅れたとある星系警備隊のひとつである。

そのため亡霊艦隊合流後も特に部隊の再編が行われておらず、軽武装艦艇中心ながら連携面では亡霊艦隊随一であり、ドゥルガーの戦いでは二倍以上の第八航路艦隊前衛駆逐戦隊を極低周波爆弾の起爆時間にあわせてドゥルガー基地近辺に誘導するように立ち回るという地味に凄いことをやっている。

 

+マヘーンドラ

偽装隊司令。ダゴン星域に逃げ込んだ四人の大佐の一人。

偽装隊は損傷の激しかった艦艇多めで編成されていた部隊であり、第八八輸送船団襲撃にも参加していない艦艇群んであるために、もともと危険が多い部隊ではあったが、怒りと屈辱で我を失ったパッセンハイムの後先考えぬ猛攻を受けて九割以上の艦艇が破壊され、司令のマヘーンドラも戦死した。

 

 

帝国側の人物

+コルネリアス一世

ゴールデンバウム王朝第二四代銀河帝国皇帝。通称『征服帝』『元帥量産帝』。

元帥二個小隊と大軍を率いて同盟領に攻め入り、ティアマト会戦で勝利したものの、同盟軍残存戦力はまだ無視しえぬほど豊富で、また同盟領奥地について得ている地理情報が心もとなかったことから、情報収集と地盤固めを行う方針を示して占領区統括府に同盟軍が放棄した国境周辺星域主要諸惑星の占領と管理を任せつつ、前線付近にあって同盟軍と小競り合いを続けている。

……いつかこいつも正面から描いてみたいとは思う。

 

+イゴール・フォン・ツェレウスキー

占領区統括府最高司令官。先帝マクシミリアン・ヨーゼフ二世の時代から帝国軍の再建と強化を指導してきた冷徹な合理主義者の傑物で、帝国元帥の中でも別格に見られている。というよりは主君がコルネリアス一世でなくても元帥杖を賜っていた人物と目されており、戦場での武勲はいまひとつだがそのことでツェレウスキーを侮れる現役帝国軍人は存在しない。

皇帝に対する忠誠心は強いが、昨今の元帥号の乱発ぶりには頭を痛めている。

 

+シュトルヒ

占領区における航路の安全確保に責任を持つ航路保安総監。

航路巡視艦隊等は彼の指揮下にある他、同盟軍の敗残艦や浸透してきたゲリラ小艦隊を捕捉することも彼の任務。ダゴン星域のことはまったくのノーマークであったために第八八輸送船団を壊滅させた亡霊艦隊の所在の手がかりがまったく掴めていなかった。

 

+デオチュレ

第八八輸送船団付護衛艦隊司令官。乗艦はオッワリー。

出落ちで終わりなのである。

 

+レンナート・フォン・パッセンハイム

第八航路巡視艦隊司令官。頭髪を反り上げた壮年期の帝国軍大将。ダゴン星域会戦で初めて同盟軍相手に戦死した正規艦隊司令官パッセンハイム提督の息子。乗艦はゼートイフェルⅫ。

元帥号保持者大量発生しているために、価値が暴落しているが、それでも大将に任じられただけあって司令官として相応の実力はあったが、ドゥルガーの戦いでの亡霊艦隊のやり口、特に偽装隊の戦い方が、父を始めとした三〇年前のダゴン星域会戦における帝国軍将兵の戦死者を嘲弄するが如き所業であると激しい怒りと憎悪に囚われて理性が蒸発。後先考えずに偽装隊に猛攻をくわえて壊滅させるが、サルト率いる亡霊艦隊本隊の攻撃を背後から受け続けたために第八航路巡視艦隊は戦力の大半を喪い、本人も戦死した。

 

 

用語解説

+ティアマト会戦

コルネリアスの大親征開始劈頭に起きた同盟軍と帝国軍の大規模会戦。

帝国軍の実力を過小評価し続けていた同盟軍はティアマト会戦で大敗を喫し、同盟軍首脳は戦力再編と反撃能力の維持のために国境周辺星域を放棄しての迅速な戦略的撤退を決断する。

 

+惑星ヴァラーハ

帝国軍占領区統括府が置かれている有人惑星。

道原版漫画で言及されていた星であるが、自分の二次創作群での扱いなら『レガリア』という自作を読んだ方が早いと思われる。

 

+亡霊艦隊

ティアマト会戦の敗北後の混乱の中でダゴン星域に自然集結した所属がバラバラな同盟軍の敗残艦艇群を、将校達の合議によって紛いなりにもサルト大佐を司令官とする小艦隊として再編したもので、亡霊艦隊というのは正式名称ではない。

そもそも撤退から取り残された軍人達の集いであり、同盟軍勢力圏と交信する方法もないので、宇宙暦六六八年時点では同盟軍本隊には存在すら把握されておらず、この小艦隊そのものが正式な艦隊と言えるか怪しい。

この事実に加え、きっと自分たちは軍上層部には戦死かMIAとして扱われているという推測から亡霊艦隊とだれともなく将兵がジョークとして言い合うようになり、いつの間にやらニックネームとして定着した。

帝国軍占領下でゲリラ戦を展開しながらの逃避行を行いつつ、同盟軍本隊との交信と合流を目的としている。

 

+戦艦ハイドラ

亡霊艦隊の旗艦。もとは第四艦隊の旗艦なのだが、大親征序盤のティアマト会戦で第四艦隊が壊滅した上、亡霊艦隊での活躍が凄まじいので、おそらく第四艦隊の旗艦だったという印象は薄まり続け、後世ではサルト大佐の乗艦という認識のほうが強くなるのだろう。

 

+ダゴン星域

宇宙暦六四〇年に同盟軍と帝国軍の間で発生した最初の大規模会戦の戦場。

当時のリン・パオ中将とユーフス・トパロウル中将のコンビが率いた同盟軍艦隊が、二倍近い艦艇数を誇った帝国遠征軍を包囲殲滅し、完勝した。

大量の小惑星帯や恒星の放つパルス波の影響により、艦隊運動が困難で索敵が不安定になる迷宮のような星域というのは原作からある設定だが、ダゴン会戦時に殲滅された帝国軍艦艇の残骸が放置されてそのままスペース・デブリとして漂い続けていることや、小惑星帯の一角を利用して軍事基地ドゥルガーが建設されていることは独自設定である。

 

+軍事基地ドゥルガー

もともとは宇宙暦六四〇年代の同盟政府国防委員会がダゴン会戦勝利の記念施設として、戦場跡であるダゴン星系の小惑星帯を利用する形で建造を始めたものであったが、色々あった末に統合作戦本部との協議によって建設計画が変更され、同盟軍の難所航海訓練基地として整備された施設。

そのため軍事基地の立地としては不適当な立地であるが、それが却って帝国軍の警戒網から外れる要因となり、亡霊艦隊の一時的拠点となりえた。

ドゥルガーの戦いで自爆の運命をたどる。

 

+星屑作戦

サルトが立案したドゥルガーの戦いでの作戦計画。作戦目的は以下の二点。

・亡霊艦隊の倍近い数を誇る帝国軍航路巡視艦隊をダゴン星域の環境を利用して大打撃を与える。

・上の戦果をもって帝国軍全体に亡霊艦隊を質量ともに過大評価させることによって逃走経路推測を混乱せしめ、コジュイアラ星系への移動を容易なものとならしめる。

 

作戦内容は三つの段階に分かれる。

・第一段階

ソユーズ少佐率いる警備隊が敵艦隊を軍事基地ドゥルガーへと近辺に誘導し、基地その物を時限式極低周波爆弾で大爆発させることで敵艦隊に大打撃を与える。

・第二段階

スペース・デブリの艦艇残骸に紛れながらマヘーンドラ大佐率いる偽装隊が敵艦隊を攻撃を加える。偽装隊は第八八輸送船団襲撃に参加しておらず、帝国軍にとっては未知の戦力であり、敵がどのように判断するか未知数。偽装隊こそ本隊と誤認してくれれば最良であるが、敵方の行動によりサルト大佐の本隊行動である第三段階は複数パターン用意す。

・第三段階

敵が偽装隊こそ本隊と誤認した場合、戦力のほとんどを偽装隊殲滅の為に向けるであろう。サルト大佐率いる本隊はその隙に敵艦隊の後背をつき、前後挟撃によって数的劣勢を覆す。

 

+ヴァンフリート星域

原作でダゴン星域に並ぶ航行困難な名所。

それがためにコジュイアラへの亡霊艦隊逃避行の経由地として選ばれた。

 

+コジュイアラ星系

亡霊艦隊の当面の目的地。無人星系であるが、資源採掘施設が整備されている。

銀河英雄伝説列伝一巻の『ティエリー・ボナールの戦い』で言及された星系。

列伝二巻の情報はまだか。

 

+惑星パルレメンド

コジュイアラ星系の近隣星系に存在する有人惑星。

この惑星も帝国軍占領下にあるが、優先度の問題から帝国軍の監視は少々おざなりであるらしい。

 

+ダゴンの亡霊たち

直接的には亡霊艦隊のことであるが、他のものも亡霊に見える読者がいるかもしれない。

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