ギネヴィア転生物語   作:妖月くぅちゃん

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長らくお待たせしました。
それではどうぞ。



第5話 高みの見物

 

次の日、ギネヴィアは家を手に入れる為に不動産に赴いた。

店員に暗示を掛けて問題なく取引を終えるとお金を一括払いして不動産を後にする。

 

何も問題なく購入出来た事にギネヴィアは満足すると買った土地に向かう。

 

ギネヴィアが買った土地と家は山沿いに面している場所だ。

 

本来なら街中に拠点を構えたいのだが、街中は少し値段が張るし買えたとしても広々とした土地ではない為に魔術工房などを設置するには向かないのだ。

 

生前みたいに部屋を魔術工房にしたり地下に張り巡らせるのもありなのだが、今は聖杯戦争中。

 

つまりいつ拠点が襲われてもおかしくない。

 

もし街中で敵が拠点に乗り込んできたら近くの住民達に迷惑をかけてしまう事になる。

そう言う意味もあり人の少ない場所で尚且つ戦闘が出来る場所となると必然的に街から離れた山側になると言う事だ。

 

そんなことをを考えて買った土地にギネヴィアは着くと魔改造を開始する。

 

まずは大量の魔術を展開して土地そのものに幻術となる目眩しを施す。

 

その後は家を分解して再度立て直し、地下などを増設する。

立て直す時に魔力から物質を生成して家の骨組みに使ったりなどして襲われても簡単には壊れないようにする。

 

他にも色々と魔改造を施したギネヴィアは最後の仕上げで地下に魔力炉となる竜の心臓を模した炉心を設置してこの土地に張った魔術などの魔力維持を賄うことにした。

 

一連の作業を午前中に済ませたギネヴィアはその出来に満足すると現代の街中を探索しに行くのであった。

 

ーーーーー

 

ひと仕事を終えた私はやっと出来た時間を使い現代視察を楽しむ事にした。

正直魔力の確保なり情報収集なりと忙しく、現代を見ている暇がなかったのだ。

 

ならやっと出来た時間を使って現代観光しても許されるだろう。

 

アルを呼んだ時の予行練習にもなるしねと思い街に繰り出して見ると様々な物が目に入る。

 

その目に入るどれもが懐かしい物だった。

 

暫く歩きこの時代には活発だった頃の商店街に入るとそこには古き良き文化があった。

 

私はそれをのんびりと観光をしながら商店街の精肉店で売っていた牛肉コロッケを買うと歩きながら食べる。

 

正直コロッケが目に入った時にジャガイモに対する苦々しい思い出が蘇ったのだかそれも遠い昔のことだ。

 

あれから時が経ち、前よりはジャガイモに対する苦手意識が減少していたのはよかった。

 

せっかく美味しいものを食べると言うのに嫌な記憶を思い出すのは馬鹿な奴がすることだ。

 

そう思い私は苦々しい記憶にそっと蓋をする。

 

いや、やっぱりつれぇわ。

 

流石に毎日潰したマッシュの記憶は簡単に消えては無くならない。

本当にマッシュに関する良い記憶がないんですよね。

 

つい買ってしまったコロッケに失敗したと思いながらも一口かじる。

 

そのサクサクほかほかとした衣に包まれた潰されたジャガイモをホクホクとしながら食べる。

苦々しい思いでとは裏腹にそれは美味しかった。

 

うん。やっぱり美味しいですね。

ちょっと冷えてきた時期に食べるこれが美味しいんです。

 

そう思いながらも何処か懐かしさを覚えるそれに考え耽っているといつの間にか公園にいた。

 

コロッケが入っていた小さな紙袋をゴミ箱に捨てて喉をうるわす為に買ったジュースを飲む。

休憩が終わると今度は繁華街の方を探索をしに歩き出す。

 

その様に時間を潰しているといつの間にか夜が近くなっていた。

 

うーん。もういい時間ですね。

私は夕日を見ながら今日はどうしようかなと考えていた。

 

昨日、サーヴァント同士のぶつかり合いがあったのだ。なら今日あたりから活発になってもおかしくはない。

 

その様な事を考えていると早速と言わんばかりに他のサーヴァントの気配を感じた。

 

この露骨な挑発行為みたいな気配は誘っていますね。

少し確認がてら見て見ましょうか。

遠見魔術を使い標的を確認すると距離を取りながら後を追う事にした。

 

暫く後を追っていると後ろから知っている声が聞こえてきた。

 

「おおー。キャスターではないか。お主もこの気配を追っておったか」

 

「何で話しかけるのさ。キャスターとはいずれ戦わないといけないのに」

 

その声の方向を見るとライダーとウェイバー君がいた。

 

「おや。ライダー様にウェイバー君ではありませんか。そちらもこの気配をおっている感じですか?」

 

私の質問に頷くとライダーは口を開く。

 

「うむ。かれこれ何時間もこの様な気配を撒き散らして練り歩いているのだ。余が気づいているのに他のサーヴァントが気が付かないということはないだろうに。ならそのうち何処かの陣営が殴り込みをしてもおかしくないだろう」

 

「ほほう。それを高みの見物という事ですね」

 

「そうともいえるな。うむ。これも運命の巡り合わせか。キャスターよ。一緒に観に行かんか?」

 

「せっかく誘われましたし着いて行きます」

 

こうして、私はライダー陣営と一緒に観察することになった。

 

追っていると途中、ライダーが見晴らしの良い所からみるかと大橋の上から見る事になった。

 

川から川へと繋ぐ橋の鉄骨の上、そこには手すりもなく海からくる風が轟々と音を立てながら私達を襲う。

 

もし、一般人なら足を滑らせて落ちてしまえば一巻の終わりだろう。

そんな中ライダーが口を開く。

 

「やはり登って正解だな。ここまで見晴らしが良ければよく見える。暫くはここから高みの見物といこうではないか」

 

ライダーがそう言いながら何処から持ってきたのかワインをゴクリと呷る。

 

私はその様子を見ながら今日の夜に出す予定だったツマミをライダーに渡す。

ライダーはそれに喜ぶとかぶりつき食べる。

 

そんな余裕綽々なライダーと私と違いウェイバー君は死にそうな顔をしながら鉄骨に両手両足でしがみついていた。

 

「し、しぬぅ……しんじゃう…おろして。早く!!」

 

その魔術師としての威厳をかなぐり捨てるかの様に情けなく叫ぶウェイバー君。

まぁ、仕方ないだろう一般人からしたら落ちたら死ぬような高さにいるのだから。

 

「まぁ、そういうな坊主。戦というのは時に待つことも大事だ」

 

「それでマスターが死んだら意味がないだろう!!」

 

「はぁ。昨日から色々と調べ始めたから関心したというのに…余のマスターならシャキッとせい!!」

 

なんか流石にウェイバー君が可哀想になって来ましたね。

仕方ありません。助けるとしますか。

 

私は魔術を使いウェイバー君の周りに風を遮る結界を張る。

そうすると少しは余裕が出来たのかウェイバー君ホッとため息をついた。

 

「あ、ありがとうキャスター」

 

「いえ。大丈夫ですよ」

 

私はそう返すと見物に戻る。

 

結界のおかげで少し余裕が出来たウェイバー君は鉄骨の下を見てヒィと情けない声を上げる。

 

あ、駄目だこりゃ。

 

そんな風にやり取りしていると状況が動いたのかライダーが声を上げる。

 

「ほれ。ようやくこの状況が動きだしそうだぞ」

 

「どれどれ?」

 

そう言ったライダーの方向を見るとそこには知っている姿の人がいた。

 

「あれ?」

 

「どうしたキャスター?知り合いでも見たかの様子だぞ」

 

「んー?知り合いというかなんというか…私の夫というか…」

 

私は目のフィルターを解除して夫と同じ姿をしている存在を見る。

 

ああー。なるほど?

 

「ウェイバー君。幾つか質問があるのですが大丈夫でしょうか?」

 

私の真剣な表情を見てウェイバー君はコクリと頷く。

それを見て了承を得られた私から質問が飛ぶ。

 

「この世界のブリテンはどの様に滅びましたか?端的で構いません」

 

ウェイバー君は一瞬。この世界?と首を傾げながら質問に答える。

 

「叛逆したモードレッドがアーサー王と相打ちで死亡してブリテンが崩壊した感じ」

 

「なるほど。それではアーサー王の妻。つまりギネヴィアはどの様な存在ですか?」

 

私の続いての質問にウェイバー君は凄い答えにくそうな表情をすると口を開く。

 

「凄い言いにくいんだけど…不義理の妃。ランスロットと不貞の仲で円卓を滅ぼした原因の一つとも言われてる」

 

「なるほど。本人の前で言いにくい中しっかりと答えてくれてありがとうございます。おかげで色々と気づく事が出来ました」

 

「色々って?」

 

「私の知っている歴史として、まず私はランスロット様と私は不貞の仲ではありません」

 

「え?でも」

 

「まぁ待て坊主。キャスターがまだ喋ってるだろうに」

 

「続いてブリテンは滅びましたが国として続いています。何よりアーサー王とモードレッドの一騎討ちも起きていません」

 

私はそう言うと自分の答えを言う。

 

「結論を言うとどうやら私は平行世界のギネヴィアという事です。つまりこの世界のギネヴィアと全く関係ない存在になります」

 

「なるほどな。ほれ坊主。気になってた事が聞けたではないか」

 

ライダーがそう言ってウェイバー君と話しているのを横目にこの状況について考える。

 

抑止力に現代での聖杯戦争に参加してみないかと言われてはいましたがまさか平行世界の聖杯戦争とは思いませんでした。

 

と言うか詐欺ではないでしょうか?

しっかりと説明してくれないと困ります。

帰ったら1発どでかいのをブッなしますか。

 

とりあえずこの世界については私が生前にマーリンから聞いた史実に近いかそれであるという事がわかりました。

 

それうえに困ることが発生する。

平行世界のアーサー王は私の夫になるんでしょうか?

アルと見た目はほぼ同じですがお互い赤の他人ではないでしょうか?

私がそれに悩んでいるとそれを気になったライダーが聞いて来た。

 

「何をそんなに悩んでいるのだ?」

 

「うーん。平行世界とは言えこの世界のアーサー王は私の夫になるんでしょうか?」

 

「うむ。そんなに悩む必要はなかろう。好きにやればいいのだ。我々は英霊。一度死んだ身。それに平行世界だろうと何だろうと夫なのは間違いない。なら夫を征服して抱けば良いのだ。それから考えても遅くはない」

 

ライダーの答えに少し考えつつも冷静に考える。

 

聖杯戦争に参加してる人は除きますが今生きてる人に迷惑が掛からなければいいのではないかと。

 

そもそもこの戦いに参加したのも自分勝手な所もありますし今更ですね。

 

「なるほど、確かにそうですね。抱くのはどうかとして好きにやるとします。ライダー様ありがとうございます」

 

「ふむ。そのついでに世の配下にならぬか?」

 

「お断りします」

 

「うむ惜しいな。キャスターよ。ついでに余から一つきいても良いか?」

 

「いいですよ」

 

「余の勘違いではなければあのセイバーは女の筈ではないか?」

 

「そうですね。それで間違いありません」

 

「なるほど伝承では男という話だがどうやら現実では違う様だな。それにしても夫婦とは言え女性同士か…」

 

「いえ違いますよ?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「私、男ですよ」

 

「なぬ!?」

 

「嘘だろ!?その見た目で!?」

 

ライダーとウェイバー君が今日1番と言った感じに驚く。

 

「ああ、そう言うことですか。この世界のギネヴィアの性別は知りませんが、私の世界ではよく勘違いされるんですよーマーリン様も初めは私が男か疑っていましたし」

 

私のその発言にウェイバー君が答える。

 

「なら何で女物の服を着てるのさ」

 

「この顔で男性物を着た所で麗しの男装にしかならないではないですか」

 

「確かにそうだけど…嘘だろ…僕、男に興奮していたのか…」

 

ウェイバー君が小さく唸っている間に状況は一刻と変化していた。

そう、ランサーと平行世界の我が夫が戦うのである。

というか、呼び方はどうしましょうか。

とりあえずセイバー様とお呼びしますか。

あとは適時に呼び方は変えると言うことで。

 

考えを一旦切り上げて戦いが始まりそうなのを見る。

 

「おっ!動きがありそうですよ」

 

「なぬ。驚きのあまり忘れておったわ」

 

そうして始まった戦闘は激しい斬り合いのもと両者一歩も引かない激しい戦いだった。

その戦闘に魅せられる様にウェイバー君がポツリと呟く。

 

「これは凄いな」

 

それに続くようにライダーも口を開いた。

 

「これはまっこと見事な戦いよ」

 

ここにいる人達に見守れながらも戦闘は進んでいく。

 

「これはいかんなぁ。どうやらランサーが決め技を打つらしい。出るぞ坊主!!」

 

「出るって何処にだよ」

 

「何処って戦場にだ」

 

「なーにをいってやがるんですかこの馬鹿!?何のための見物なんだよ。このままほっとけば好都合だろ!?」

 

「それでは遅い」

 

「遅いって何がだよ」

 

「それではどちらか死んでしまうではないか。余はあの様な戦いをする奴らを気に入ったのだ。なら死なすには惜しい」

 

「聖杯戦争は殺し合いだぞーちょっとライダー!?」

 

「見物はここまでだ」

 

ライダーはそう言うと腰の剣を抜き放ち虚空を切り払う。

そうするとそれに応えるかのようにライダーの宝具が現れる。

 

「あーもう。めちゃくちゃだぞ!?」

 

「ふむ。そんなに文句があるならここで見ておくか?」

 

ライダーがそう言うと今の自分がいる所を思い出したのかウェイバー君は大声を出す。

 

「行きます!着いて行きます!だから連れて行けこの馬鹿やろう!!」

 

「それでこそ我がマスターだ」

 

そう言うと豪快に笑いウェイバー君をヒョイと掴む。

そしてこちらを見ると口を開く。

 

「そういうキャスターはどうする」

 

それはどう意味なんでしょうか?

まさか、チャリオット乗せてくれるということ?

それなら是非とも乗らなければ損という物です。

 

その問いに私は食い気味に答える。

 

「やったー乗せてくれるんですか!!行きます!!」

 

このようなカッコいい物に乗れるなら乗らなければ勿体ない。

私は意気揚々とライダーの宝具に乗る。

 

「それでは捕まっておれぃ」

 

そうライダーは口に出すとチャリオットを走らせるのであった。

 





誤字脱字の報告ありがとうございました。
感想や評価もありがとうございます。

前回のを投稿してから評価が高評価低評価バラけていてうーむと考えていましたが多分三人称でなおかつ下準備を行っている為に大きく物語りが動いていないからではと思いました。

わからんけど。

それではこの後すぐにもう1話出すのでよかったらどうぞ。
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