ギネヴィア転生物語   作:妖月くぅちゃん

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続きです。どうぞ。



第8話 蟲家の玄関にて

 

大規模な戦闘が終わり朝日が登り始めた頃、何処か薄暗さがある間桐家にて間桐雁夜の叫び声が漏れていた。

 

それは昨日の戦いにて暴走したバーサーカーに魔力を持っていかれた為に身体中の虫達が瀕死になっているからである。

 

ただ、瀕死になっているなら叫び声は上がらない。

 

その間桐雁夜の生命を維持している虫達が死にかけているのを一時的に活性化させるため、間桐臓硯が杖を使い死にかけの虫達に叩き込むことで最後の力を振り絞らせているのである。

 

活性化された虫達は最後の力を振り絞り次世代に繋ぐための卵を産みつける。

 

それに対して間桐臓硯が魔力を注ぎすぐに孵化させることによって何とか一命を取り留めているのである。

 

但し、身体中の中を虫達が駆け巡るのは激痛では済まない。

 

常人なら死んでしまう様な痛みを桜を助けると言う思いだけでやり過ごしているのだ。

 

その結果、少しずつ精神と肉体が歪み正常な判断が下せなくなっていく。

 

いつしかそれは遠坂時臣に対する復讐の怨嗟に変わっていっていることに本人は気づいていなかった。

 

その少しずつ変わりゆく精神の歪みに間桐臓硯は気づき愉悦の笑みを持ちながら何処か嗜虐的に嬲り見ていた。

 

「ほれ、まだ聖杯戦争は始まったばかりだと言うのにもう令呪を2画も消費するとは、やはり落伍者だのう」

 

間桐臓硯はそう言いながら間桐雁夜の中の虫達を叩き活発化させる。

 

「黙れクソジジイ…ぐぁあああ!!はぁはぁ」

 

「それに狂化によって他のサーヴァント達とやり合えるようにしたと言うのに狂化を下げるとは馬鹿じゃのう。このままだと小娘が蟲蔵に戻るのは時間の問題じゃて」

 

「はぁはぁ…桜には手を出すなぁ!!」

 

「なら耐えて見せるんじゃな」

 

そのようなやり取りの傍ら、バーサーカーは唇を噛み締めながら見ていた。

 

臓硯の言う通りバーサーカーの狂化が1段階下がったことで意思のやり取りが通じるようになったものの今だ理性が完全に回復したわけではない。

 

令呪を切ったタイミングでは一時的に狂化から解放されたが令呪の効果が消えた今では1段階下がる程度になっている。

 

それでも、意思のやり取りがやり易くなったのはデカいことなのだが、その分のステータスダウンを招いているのでその判断は難しい所に分類された。

 

そのバーサーカーは昨日の帰りに間桐雁夜に聖杯に賭ける願いを聞いた。

 

だが、バーサーカーのマスターは聖杯自体に興味が無かった。

 

ただ、幼じみの友人の娘を救う為にその身体をボロボロにしながら参加していると聞いた時は今の自分自身に対する自分勝手な願いのもと参加した自分が馬鹿らしく見えた。

 

死にかけの間桐雁夜の口から語られた思い。

少女の桜を助けたいという純粋な願い。

それに呼応するように昔の自分を思い出す。

 

昔の自分はブリテンという国を良くしたい、民達が飢えと略奪に怯えずに暮らせるような国を作ると言ったアーサー王の輝きに見せられ着いていったことを。

 

その時の王の純粋な願い。それとは違うがそれに似た思いを持つマスターを見て考えを改めた。

 

確かに今でも王に裁かれたいと言う思いがあるがこの何処か拙さを感じながらも1人の少女を救いたいと動いているマスターを見ると助けてあげたいと思ってしまう。

 

覚悟を決めたバーサーカーは、今なお苦しそうにしながらも少女を救う為に生きようとしているマスターを痛ぶっている臓硯を見て止めようとしたが臓硯に何もしなければすぐにでも死んでしまうと言われれば手を出すのは難しかった。

 

延命治療の為と言った臓硯は何処か楽しそうにマスターを痛ぶっている。

 

その様子に何処か思うところがないかと言われると嘘になる。

 

だが、それをしなければ直ぐに死んでしまう。

剣を抜こうにも今のマスターから魔力を吸い取ると死んでしまう。

マスターを救いたいと思いながらもどうしようもできないジレンマに雁字搦めになっていた。

 

この状況を変えてくれるような都合の良い存在が現れないかと考えてしまうぐらいだ。

 

そんな彼らの耳に一つの音が聞こえてきた。

 

ピンポーン。

 

それはチャイムの音だった。

 

その音に臓硯は近隣住民の苦情かと思うと無視して雁夜の虫達の調整を進めようとする。

 

ピンポーン。ピンポーン。ぴんぽぴんぴぴぴ。

 

加速していくチャイムの音にとうとう耐え切れなくなった臓硯は切れた。

 

「うるさいわい!!今出てる暇はないわ!!ほれそこの暇なバーサーカー見てこい」

 

その切れた臓硯の命令にバーサーカーは嫌々ながらも従うと玄関に向かうのであった。

 

ーーーーー

 

時は少し戻りギネヴィアが用意した家にてギネヴィアは星剣から情報を得ていた。

 

「なるほど。バーサーカーとそのマスターはあの例の屋敷に帰って行ったと…」

 

ギネヴィアの言葉に星剣はブンブンと頷くように揺れる。

ギネヴィアは、その調べたことにお礼を言うと優しく星剣を手に取る。

そして労うように油などクリームを使い剣身を磨く。

 

「ふむふむ。こんなもんですね」

 

ギネヴィアは星剣を磨き終えると星剣から手を離す。

そうすると星剣は輝き宙に浮く。それはお礼を言うとプカプカと浮かぶように漂い家から飛び出し空へと消えていった。

 

「魔力の反応と星剣の情報から間違いないですね」

 

ギネヴィアはそれを見送ると星剣から教えてもらった情報を基に間桐家に向かうとことにした。

 

暫く歩き間桐家に着いたギネヴィアはその鬱蒼とした外観、すなわち雑草など苔むした壁に日光が入りにくい何処か古さを感じる屋敷の前に来ていた。

 

たどり着いたギネヴィアは貼られている魔術に干渉しないように人避けや逃げれないように結界を貼った。

 

ギネヴィアは話しをしに来たのだ。

それなのに逃げられても困ってしまう。

その為に簡単には逃げられない様にこのような処置をとった。

 

こうして下準備を終えたギネヴィアは玄関にあるチャイムのボタンを押す。

 

ピンポーン。そのような音が響くと反響した音が響き小さくなっていく。

 

ギネヴィアは反応が無い様子を見て少し首を傾げると再度ボタンを押す。

 

「うーん?可笑しいですねー星剣が言うには帰っている筈なんですが…魔術使いの工房。テリトリーを覗くのはリスクがありますし…」

 

そう呟くようにいうと連続してボタンを連打する。

それでも反応がないので連打しながらどうしたものかと考えていると玄関のドアが開きバーサーカーが現れた。

 

現れたことにやっぱりいるんじゃないかとギネヴィアは思うと口を開いた。

 

「昨日ぶりですね。バーサーカー様。貴方とは一度話してみたいと思っていました」

 

「貴女は昨日のキャスターですか?」

 

「そうですね。」

 

正直なところバーサーカーは狂化により知性が失われていたのでキャスターに関して正確には覚えていなかった。

 

ただその隣にいた我が王のことはしっかりと覚えていた。

 

アーサー王に裁かれたいと言う思いで聖杯戦争に参加したのだ。その為にアーサー王の事は覚えている。

 

但しそれ以外のことはうろ覚えと言った感じなのだが。

 

それでも彼は昨日の朧気な記憶を辿り、目の前にいるのがキャスターであるということに気づいたのだ。

 

そんなバーサーカーは相手がキャスターだと分かると姿勢を正し口を開く。

 

「折り入ってお願いがあります」

 

その姿勢を但し放たれた一言にギネヴィアは聞く姿勢をとると促す。

 

「我がマスターとその養女を救ってほしいのです」

 

「なるほど。わかりました。詳しく説明をしてください」

 

バーサーカーとしては聖杯戦争中なのもあって断れると思っていたのだが、まさかの了承を貰い驚く。

 

「いいのですか?」

 

「違う世界線とは言え貴方様と私の仲ではありませんか」

 

その一言にバーサーカーは混乱した。何処かの誰かと間違いているのでないかと記憶を探るか知っている人物に該当する女性はいなかった。

だが何処かキャスターに惹かれている自分がいたのも確かだ。

 

「あの貴女は一体?」

 

「その話は、この急ぎの件が片付いた時にでも話しましょう。今すぐ助けたい人がいるのでしょう?」

 

ギネヴィアは先の話を促す。

それに釣られてバーサーカーは今のマスターに起こっていることを説明した。

 

「ふむふむ。その養女を救う為に聖杯戦争に勝ち聖杯を持ち帰らないといけなくて、尚且つサーヴァントを使役する為の魔力を手に入れる為に身体中に刻印蟲?と言う物を入れているのですね。それで魔力を補っていると」

 

「聞いた話ではその通りのはずかと」

 

「そして昨日の戦いでバーサーカー様がアホほど魔力を持っていた為に身体がボロボロになっていると」

 

ギネヴィアのその発言に何処か申し訳無さそうな表情をするバーサーカー。

それもそのはず、自分が後先考えずに私利私欲のために走ったのだ。

そんなバーサーカーは謝罪をする。

 

「助けを求めている者がいるのに自らを優先するとは騎士として面目ありません」

 

「それは仕方ありません。ランスロット様はこの度、バーサーカーのクラスで召喚されています。まともな意識があれば違った筈です」

 

自分の知るランスロットを想像しながら語ったギネヴィアはふと思う。あれ?記憶に居るランスロットはこんなに真面目だったかなと首を傾げた。

 

私と話すと直ぐに挙動不審になり走り去っていくイメージがあるのですが…世界線が違えばこうも違うものなんですね。

 

そんな検討外れの事を考えているとそれを見たバーサーカーはもしかして救うのが難しいのかと思い口を開く。

 

「それでマスター達を救えるでしょうか?」

 

その言葉にギネヴィアは考えるように頷くと答えを言う。

 

「見てみなければ何とも言えませんが、多分問題なく救えますよ。ただ今の状態で虫を駆除するとバーサーカー様を維持するための魔力で結局は死にかけるので、ここから手をつけないといけませんね」

 

ギネヴィアの発言にバーサーカーは何処か決心したような表情をするとその思いを打ち明ける。

 

「最悪、私のことは気にしなくても大丈夫です。思うところが無いかと言われると嘘になりますが今を生きている民達を救えるのであれば私の私利私欲は捨てても構いません」

 

「聖杯戦争から脱落してもですか?」

 

「元より死んだ身ですから今を生きる人達を救えるのであればそれでも構いません」

 

自分は今まで間違えてきたのだ。ここで、我が身可愛さで見捨てたら最後。アーサー王に裁いて貰うことさえも烏滸がましくなってしまう。

 

そのバーサーカーの決意にギネヴィアは思う。

 

生者の為にその命を投げ出すその心意気は世界が変わっても変わらないのですねと納得した。

 

「そう言う所は変わらないのですね。ちなみになんですけど聖杯に賭ける望みはなんですか?」

 

「生前に犯した我が罪を我が王。アーサー王に裁いて欲しかったのです。ですが此度の聖杯戦争。我が王も参加していました。もしここで私が脱落することになるなら代わりに謝罪の一言を王に伝えてくれませんか?」

 

バーサーカーの発言にギネヴィアは納得した。

ああなるほど。そう言えばウェイバー君が言っていましたね。まさか本当にこの世界のギネヴィアに手を出しているとは。

 

ワンチャン後世に伝わった伝承の間違いではと思ったのですがこの様子では本当の事らしいですね。

 

ギネヴィアは伝承の通りだったことに驚きながらもあのランスロットが理由もなくその様な事をするわけないと思うとその考えに一旦けりをつける。

 

どちらにせよ、バーサーカーの今の状況を何とかしてあげなければ、ゆっくりと話すことも出来ないだろう。

 

そうギネヴィアは考えると口を開く。

 

「その願い諦めるのはまだ早いですよ」

 

ギネヴィアの発言に首を傾げるバーサーカー。

バーサーカーはその意味を聞く為に口を開く。

 

「それはどう言う意味ですか?」

 

「魔力問題は簡単です。貴方様がマスターを変えれば良いのです」

 

ギネヴィアの言葉に考えたバーサーカーは言葉を口に出しながらその考えをまとめる。

 

「でも私を問題なく運用出来るほど魔力を持った魔術師はーーまさか養女を桜をマスターにするつもりですか!?」

 

「違いますが?」

 

「えっ?」

 

ギネヴィアの即座に否定された言葉に想像した答えと違ったことに更に考えこむバーサーカー。

 

考えこむバーサーカーに答えを言うようにギネヴィアは口を開いた。

 

「魔術の訓練をまともに受けてない子供がまともな魔力供給を出来るはずないではありませんか。そんな危ないことは出来ませんよ」

 

「それなら何処にその様な人物が?」

 

「いるではありませんか。目の前に」

 

「まさか!?キャスター。サーヴァントの貴女がマスターになると言う事ですか!?」

 

聖杯戦争の根本を崩すかの様な発言にバーサーカーは驚く。

 

「それでは貴女のマスターが大変になるではありませんか?もしかしてそれすら補えるようなマスターがいるというのですか?」

 

「それは大丈夫ですよ」

 

「まさか。本当にいるんですか?」

 

「いや。何かを勘違いしている様ですが私にマスターはいませんよ。それに、魔力も自前で生産状態を整えているので問題ありません」

 

ギネヴィアは考えること全てを間違えるバーサーカーを見て仕方ないなぁと言った感じにうむうむと頷くとーー

 

「そもそもサーヴァントがマスターをやってはいけないなんてルールはありませんし、マスターがいないといけないルールなんてありません。マスターがいるのはサーヴァントがこの世界に留まりやすくする為に必要な楔とその実体化するために必要な魔力を供給する為にいるのです」

 

そうあくまでもマスターはサーヴァントが化現する為の世界に対する楔や実体化の為の魔力供給の為に存在している。

 

ギネヴィアはその自分の考え述べながら言葉を続ける。

 

「そして魔術の心得がないサーヴァント達でも聖杯を扱えるようにする為にマスターがいます」

 

そこまで言うとバーサーカーも気づく。

 

「つまり、魔術師たるキャスターの貴女は魔力さえどうにかしてしまえばマスターがいらないということですか?」

 

「そういうことですね。それに昨日の戦いで更に魔力炉を追加したので魔力に余裕があります。サーヴァントの一騎や二騎程度の魔力なら簡単に賄えます」

 

「なるほど、わかりました。貴女をマスターにする前にこちらも聞いてもいいですか?」

 

「ん?何をですか?」

 

「救って欲しいと言いながらも聞くのはあれかも知れませんが貴女は聖杯に何をかけるのですか?」

 

マスターを救って欲しいと言いながらバーサーカーのその問いの答えによっては止めなければいけないと考える。

そう考えるバーサーカーに対して直ぐに返答を返すギネヴィア。

 

「無いです」

 

その予想外な発言についつい口から言葉が漏れる。

 

「え?」

 

「願いはありません。私の場合は聖杯を手に入れて勝てば条件が揃います」

 

「それはどういうことでしょうか?」

 

「まぁ簡単に言えば抑止力に夫と旅行をする為の条件に出されたのがそれと言う事ですね。座の位置はわかっているのです。なら後は簡単でしょう?」

 

そう、ギネヴィアにとって聖杯に願わなくても自力で座から本体丸ごと引っ張ってくるとが可能なのだ。

 

その為に、ギネヴィアにとって聖杯は勝利のトロフィーでしかないということだ。

 

「バーサーカー様は色々と心配しているのでしょうが、現世の人達に迷惑を掛けるつもりはありませんよ」

 

キャスターが嘘を言っている様子がないのを確認するとバーサーカーは安心した。

そしてその問いの答えを聞けた事に覚悟を決めると膝を着き述べる。

 

「それではこの問題が片付いたら貴女の騎士として力を貸すことを誓いましょう」

 

その世界線が違いながらも変わらないランスロットの真面目さにギネヴィアはクスリと笑うと手を差し出しランスロットの手を取り立ち上がらせると口を開く。

 

「それでは貴方様のマスターを救い行きましょうか」

 





久しぶりにログインしたら誤字脱字の報告のオンパレードで笑いました。
感想も沢山きていて励みになります。時間がある時に確認させてもらいます。ありがとうございました。

小説が遅れた理由?忙しい中、取れた時間で息抜きでREPOやってました。ガッツリハマってしまい友達と潜り込んでモンスター狩りしてたらこの様なことに…誠に申し訳ございません。

それでは次回まで首を長くしてお持ちください。
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