「全く、須川君と雄二のせいでえらい目にあう所だった」
体育館裏に下手人(須川君)を連行し、処刑人(船越先生)の手に委ねたところでようやく一息ついた、正直言って途中で何時船越先生と遭遇するか気が気でなかった。
時間的にもHRは既に終わっているだろう、ここからは下校を始めた生徒たちに紛れてゲリラ戦法を仕掛けるFクラス勢の様子が良く見て取れる。
「逃げる奴はFクラスだ! 逃げない奴は良く訓練されたFクラスだ! 召喚戦争はホント地獄だぜぇ!」
「汚物は消毒だー!」
「いいFクラスは補習になったFクラスだけだ!」
……うん、見なかった事にしよう。
Dクラスがえらくカオスってたけど気にするな、突っ込んだら負けだ。
「いたぞおおぉぉ!!いたぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
お前はどこの捕食者に遭遇した軍曹だと言いたくなる雄叫びと共にDクラスの生徒がこちらに迫る。
って? え?どういう事?
「うまく出し抜いたつもりだろうけど、残念だったなぁ! 船越先生の彼氏くん!」
………………またか、もう訂正するのも面倒だ……。
「Dクラス、菊政 勝幸は吉井 明久に宣戦を布告します!」
あーあ、出会っちまった、もとい。宣戦布告しちゃった。
こうなると戦闘放棄は補習なので逃げるわけには行けなくなる。
召喚ーサモンー!!
勝負科目:世界史
Dクラス 菊政 勝幸:256点 VS Aクラス 吉井 明久:698点
「なに… あ!」
菊政君が点数に驚いた一瞬の間に、僕の分身が相手の召喚獣を撃破……いや“解体“した。
「あぁ! ジャン・ルイ……じゃなかった!菊政がやられた!」
「何だと!? 今度は何に押しつぶされたんだ?」
「0点は補習ー!」
僕によって0点にされた菊政君が鉄人に連れて行かれる。
……と言うか、“今度は何に”って、菊政君は押しつぶされるのがデフォルトなのか?
いや、きっとそうなのだろう。
「なんなんだよ! なんで観察処分者がそんなに強いんだよ!」
「吉井の癖に生意気だぞ!」
みんな言いたい放題だよ!? 僕だってあれから一生懸命勉強したからAクラスに入れたのに……
「いい設備使いやがって!」
入れたのに……
「つーかAクラスってことはあれか? 姫路さんと霧島さんがクラスメイトってことか?」
入れ……
「羨ましいぞこんちきしょう!」「お前それもはやただのやっかみじゃねーか!」
入……
「彼女いない癖に!」「リアジュウバクハツシロー」
き…切れた。ぼくの体の中で何かが切れた……決定的ななにかが……!
「うるさい…! お前に…お前なんかにわかるか!俺の気持ちが! 頭が悪くて、何もできない奴の気持ちが…すぐそばに居た子が高嶺の花にならないように努力した日々が…! その努力が無意味だった時の惨めさが!!」
意外!それは堪忍袋の緒!
吉井の中で蓄積された感情のエネルギーが咆哮と化して空気を振動させ、発露した感情は一時的にその場に居合わせた全員を硬直させるには十分だった!
「えーっと、Fクラスの姫路瑞希です、平賀君に現代国語勝負を申し込みます」
いつの間にかここまで来ていた姫路さんが平賀君に勝負を仕掛ける。
対する平賀君はというと、立て続けに起こった事態についていけないのか上の空で勝負を了承し、そして姫路さんの召喚獣の剣に一刀両断された。
──この瞬間、Dクラス対Fクラスの勝敗が決した。
平賀君
「… あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
『おれはFクラス確定な奴に戦闘を仕掛けたと思ったらそいつはAクラスだった』
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…何か戯言を騒いでただとか姫路さんがFクラスだとかそんな事はどうでも良い。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…