「姫路瑞希がFで吉井明久がAクラスって普通逆だろjk」
とのこと
「このAクラスすごいよぉ!! さすがBクラスのお兄さん!」
ノートパソコン 個人単位で設置されたエアコン、冷蔵庫、これは学業するところより寛ぐ所と言った方が良いかもしれない。
「随分テンション高いわね、吉井」
先程まで僕がAクラスだ、というのを信じていなかった島田さんだったが、自らの目で紙に書かれた文字を見るとようやく納得した。
「絶☆好☆調である!!」
最高にハイって奴だぁ!
「貴様ら、何をしている。ここは貴様のようなモノの来るところではないぞ」
そう言って教室にいた生徒が僕らを追い出そうとする。
「ちょ、ちょっと待って、僕Aクラスだから。」
「何を言っている、貴様は観察処分者だろうに」
「本当、本当にAクラスだから!!」
ああもう、何で皆僕の話を信じてくれないんだ。
「どうしたんだい、吉井君」
その声を聞きつけたのか、別な生徒がこっちに近づいてきた。
「僕、Aクラスになったんだけど、この人がそれを信じてくれないんだ」
「本当かい? 君がAクラスだなんて」
彼も僕がAクラスになったと言うことを信じれないみたいだ。
でも、話を聞いてくれる余地はありそうだ。
ポケットからクラス分けが書かれた紙を出してみせるとようやく納得してくれた。
もっとも、最初に僕に絡んできた生徒はまるでモノを見るような見下した目でこちらを見ていたが。
そんな悶着があったものの、ようやく席につけた。
「しかし本当に驚いたよ、吉井君 君がAクラスだなんて」
先程、僕に助け舟を出して、そのまま僕について来て横に立っているのは確か久保君だったかな。
「僕もびっくりだよ。でも、頑張った甲斐があったよ」
目的があってAクラス目指して勉強してきたんだ、届かないかとも思ってたけど今こうしてAクラスに入るのが自分でも信じれない。
(……僕も嬉しいよ吉井君)
「うん? 久保君何か言った?」
「うほっ! 別に何も……ところで吉井君、その本はなんだい?」
驚いたのか、一瞬変な声を上げた久保君だったが、開けた鞄の中で圧倒的存在感を放つ“ソレ”について聞いてきた。
「あぁ、ただの鈍器だよ」
そう言いながら鞄から“名状し難いラノベのようなもの”を取り出した。
☆ ☆ ☆
それはライトノベルと言うには あまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして、壮大すぎた。
それは正に“鈍器”だった。
「ライト………ノベル………?」
「疑問は最もだろうね久保君、しかしライトノベルには明確な定義は無く、アニメやマンガ調のイラストを使用する事。
が有力な判別であって、本の内容は兎も角。厚みに関しては触れられていない。
つまり、内容が少年向けであって表紙や挿し絵のイラストが前述の該当していればそれはライトノベルを名乗る条件は全てクリアしているんだ。不思議だね?」
「君は何でそんな事を知ってるんだい?」
「何故だって? 調べたからに決まってるじゃないか。」
そんなおしゃべりをしていると、次第に教室に人が集まって来る。時計を
誰かが入って来る度に、チラリチラリと入り口を見ていたが、その誰もが僕がこのクラスに入ることに驚いていた。
時計を見るとまもなく始業時刻、担任と思わしき先生も教室に入ってきた。
スーツをピシッと着込み、メガネと言う如何にもインテリと言った女性だ。
先生は教室を見回し、人数を確認し、口を開いた。
「……“全員”揃っているようですね。 若干時間には早いですが出席確認を始めてします。
皆さん、ネームシールに従い適当な席に着いてください、シールは机の左上に貼って有ります。
出席を取り次第、お好きな席に座って結構です。希望が重なった場合は話し合いで決めてください」
そういわれて、それぞれ自分の名前の付いた席に付く、僕は最初から自分の席だったので動く必要は無かったが。
出席番号順に名前が呼ばれ、それぞれ返事を返す。
順調に進み、次は僕の番だ。
「吉井明久君」
「はい」
「おい、吉井って確か観察処分者じゃないのか?」
「それってバカの代名詞の?」
「何でそんなのがこのクラスに入るんだ?」
クラスの各所からざわめきが上がる。
「出席確認中です、私語は控えてください。」
先生が注意をするが、ざわめきはなかなか止まらない。
「私語を止めろと言っている!!」
裂帛の声と共に勢い良く机を叩く先生、その気迫に誰もが私語を止め息を飲む。
(こ、怖ぇー)
その後数名の名前を呼ぶと出席の確認は終わった。
「皆さん、進級おめでとうございます。
私がこのクラスの担任を務めます高橋洋子です、この学園で最も優秀な成績を修めたクラスの一員である事を
先生はメガネを外すと、完璧で瀟洒な様で自己紹介をした、目を細めたりしないから見る実にどうやらあの眼鏡は伊達メガネらしい。
「では、翔子さんから順に一言づつ自己紹介をお願いします
そう言ってクラス代表、すなわち学年主席である霧島翔子さんから順に自己紹介が始まった、翔子さんから始まったってことは成績順なのかな?
皆、趣味や特技などをあげていく中、最後の一人、自分の番が来た。
「吉井明久です、ご存知の通り観察処分者に認定されましたが、その後の努力で、Aクラスとなりました。 よろしくお願いします。」
僕の言葉に、感嘆の声が上がる。
当たり前だろう、最低から末席とは言えAクラス入りしたのだ。
「設備に不備の有る方はいますか? 支給されるものは全て自由に使って構いません」
先生が最後にそう言って自己紹介を締めくくる。
「先生、質問があります。」
代表、霧島さんがピンと手を真上に上げて質問する。
「何でしょうか、霧島さん」
「姫路さんはこのクラスでは無いのでしょうか」
僕も、その質問は気になってたけど、霧島さんも気にしていたのか。
どうやらあの噂は本当らしい。
「姫路さんはAクラスではありません、テスト中に体調を崩し退席した為にFクラスとなりました。」
「「「な、なんだってー!!」」」
三人ほどが驚きの声を上げる。
そして僕も、その三人に負けないくらいショックを受けていた。
その後に先生が何を言っていたかは覚えていない、何もかもが頭からすっ飛んでいった。やがてHRが終わり、先生が退出した。
そして僕は……声を殺してさめざめと泣いていた。
「もうダメだ、おしまいだぁ」
「どうしたんだい、吉井君」
泣いてる僕を心配したのか、声をかけて来たのは久保君だ。
「聞かないでくれ、久保君」
僕は姫路さんと同じクラスになるために努力してきたんだ。
もしだめならもうグレるしかない。
「わかった、深い事は聞かないで置くよ……」
そう言ってコトンと机の上に何かが置かれる。
支給設備の紅茶のようだ、芳醇な薔薇の匂いが広がる。
「ハハッ、ありがとう久保君」
「利光でかまわないよ」
弱々しくも礼を言うと、久保君、いや利光君がメガネをキラリと光らせて言った。
その光景がおかしくておかしくて、思わず笑いがこみ上げた。
「な、何を笑ってるんだ吉井君!」
「だって、キラッ☆ って、あまりに上手くメガネが光るものだから……」
笑いを堪えて説明すると、訳がわかった利光君も笑い始めた。
しかし、おかげで気が晴れた、とりあえず今は考えないようにしよう。
ちなみに吉井が成績を取れたのは歴史、生物、科学などだったりする。