「なあ、俺達でこの現状を変える気は本当にないのか・・・?」
「特にない。今のところはな」
最近、玄野アキラとの距離が妙に近くなったような気がする。私が酔った勢いで、雅の息子ならぬ雅華の
しかし、心なしか玄野アキラのIQが下がっているように感じる。吸血鬼化したのに、原作と違って、妙に楽観的な思考をしている点も気になる。崇拝と言った感情等も私に向けているようだし。
そういえば吸血鬼化した際にことごとくIQが低下して、雅様をなんて神々しいんだ・・・・・と崇めるようになる際の現象を、吸血鬼ウィルスならぬマサ菌に感染した者の特徴と、彼岸島の一部の
もしかして、玄野アキラは今はそういう状態になっているのか。まさか・・・・・。だが、それが本当だったら、都合の良い部下の誕生ということになるか?
いや、違うな。定期的に血を提供してくれる血袋兼眷属としてはいいかもしれん。だが、今の私に必要なのは少しでもいいから、生存率を高めてくれる仲間だ。つまり、退治されるべき存在ではない。共存できる同胞として、一緒に人間達にアピールできるように努めてくれる存在だ。
・・・・・一人でも方向性を定めて、目的を達成できるように頑張ることができるが。感性が通常の人間と違う。カルマ値に表したら、間違いなく悪と自称できる吸血鬼故に、どこかズレた視点のせいで生存戦略に失敗するかもしれない。
だから、恐れずに意見を具申して方向性を定めてくれる存在が必要というわけだ。人並に善性や良心と言ったモノがある存在が。
突然、何を考えたのか、抱き寄せる勢いで玄野アキラを自身の身体が密着するまで引き寄せた雅華。
「(玄野アキラよ。今は機会を伺い続けろ。私もこのコミュニティから抜き出したいと思っている。それに・・・・・ちゃんとした考えがあるから心配するな)」
自分なのか?眼前にいる彼女なのか?どっちが発しているのかは分からないが、ハァハァという息づかいが聞こえてくる。
「(今の段階では作戦は教えない。機が熟したら教えるとするよ。だから・・・・・今のところは吸血鬼らしく活動しろよ)」
そう言うのが早いと思うと、今日で何度目の吸血行為なのか分からないが、玄野アキラの首筋に彼女の牙が再び突き立てられた。
「あああぁぁぁぁ」
私のウィルスに耐性を持っている都合上、吸血行為をしても玄野アキラは身体が痺れて動けなくなる、失禁するという行為は起こさない。まあ、大なり小なり快楽は感じる羽目になるから、一時的に動けなくなる結果が作成されるのは変わらないが。
彼岸島に生息している原住吸血鬼一族が人間達に神として信仰された理由の一つ。吸血行為によって発生する快楽の強さは伊達ではないということだ。
あまりの快楽の強さに床に倒れて動けなくなった玄野アキラを、赤黒い目でじっと見る雅華。
最初は嫉妬で殺意をもってしまったが、改めて考えると玄野アキラが、私の血液を摂取したことで突然変異し、周りの吸血鬼達と違う体質を獲得したのは僥倖だったかもしれない。
血液サーバーとして見ても優秀だからな。
ただの
これは玄野アキラの血液が邪鬼化を防ぐワクチンになっている証かもしれない。
本当に嬉しい。
吸血関連の問題は輸血用の血液パックでも解決できるが、精々頭痛程度で収まる吸血衝動持ちのガンツ世界の吸血鬼と違って私だけに存在する問題、個人的な欲求に近い問題。血の楽園編に登場したゆう太を筆頭とした子供の吸血鬼達と同じように人間の鮮度たっぷりの美味しい血液をそのまま飲みたいという
倒れた少年から目を離した彼女は、所属しているコミュニティが持つツテで手に入れた輸血用の血液が保存している冷蔵庫に向かう。玄野アキラに血を飲ますために。
・・・もしかしたら、今の玄野アキラを喰えば、邪鬼化を筆頭とした幾つかの問題を単独で解決できるようになるのでは?いや、仮に豹丸様や卑弥呼様といったアマルガム達。千手観音のように相手の性質や能力を取り込む能力を私も持っていたとしても、同じように対象の影響を受けるか、別の人格を体内に形成してしまう可能性があるからそれはなしにしよう。
自身が住んでいるマンション。家に配置している冷蔵庫の中から血液パックを手に取り、封を切って玄野アキラに血を飲ませた雅華。
造花として部屋に飾っている彼岸花と桜の花を見ながら、彼女は着替える。私服用の服から吸血鬼達の組織の一員の証たる黒いスーツに。
ご丁寧に、周波数シフトを筆頭した技術で姿を消しているガンツチームを見れるようになる、特殊なコンタクトをつけるのも忘れずに。
そしてベランダに通じる窓を開けて外に出ようとした矢先に、彼女の携帯電話が鳴ったのであった。
『池袋に来い・・・・・。オニのヤツらと落ち合う』
「私もそっちに向かうつもりだったよ」
『準備が早いな。それを斎藤の時に活かしてくれたら、助かったが』
「あの時は斎藤達だけで充分だろ。と言っていたのはそっち側のはずだが?」
『それもそうだな』
別に惜しくないヤツを亡くした。斎藤とはゲームセンターで格闘ゲームをよくやる仲でもあったが。
組織でゲーム仲間として絡んでいた吸血鬼が和泉という人間と戦って討ち死にするという未来を知っていても、彼女は動かなかった。死んでくれた方が助かるという理由で。
氷川や玄野アキラを除いた吸血鬼。自身や一部の吸血鬼以外の組織の吸血鬼達を、雅華はあえて見殺しにする予定だったのである。これまでと同じように。
池袋に向けて宙を舞う。夜空を背にした吸血鬼が。
マンションからマンションへ。建物から建物へ跳躍するという移動方法をとっている今の彼女の姿を視認できるものがいたら、風になびる黒スーツも相まって、コウモリが翼を羽ばたかせているように見えただろう。
池袋にて。
黒いぴっちりとしたウェットスーツに似たスーツの集団を階段の上から見下す二つの集団がいた。
ガンツの装備を着ている人間達と対峙している、二つの群れの内の一つ。片方の正体は人間達には吸血鬼と呼ばれている集団、もう片方の正体はオニ星人と呼ばれている集団だ。
「手を出すな。黒玉の連中は俺達が根絶やしにする・・・」
「おまえらも全員行くのか・・・・・?総力戦だな・・・・」
「ああ。おまえらは見てるだけだ・・・・・」
GANTZという作品の世界に転生して、
前日譚の物語で描かれた氷川と和泉の初戦闘。ガンツのターゲットになっていたジーンズ星人。そのボス個体と取り巻きを氷川が東京チームより先に纏めて殺害したように。
気分の赴くまま動物園に行ったら、普通のトラに擬態していると思わしきトラ星人と遭遇して、警告を意味する威嚇行動からの咆哮をされたり。
星人達が地球という惑星に勝手に移住してきた不法移民ということを前提として、地球人の規模で例えたらおかしくはないか。同じ移民なのに、人種が違うだけで対立したりなど・・・・・。
むしろこうして仲良く交流しているオニ星人と吸血鬼の方が珍しいケースと言うべきだ。レイカという名前の人間を物理的に喰おうとしたオニ星人幹部の一人の描写や古来より鬼は人間の血肉を食糧にするという伝承を裏付けるように、オニ星人も吸血鬼達と同じように人間を食べることもあるとはいえ。
かくいう私もオニ星人には交流会で食糧となる人間の調達やラーメンを奢ってもらう行為でお世話になったことがある。
そういうわけで私はカタストロフィを歓迎しない。巨人達の侵略行為を冷静に考えると地球人だけでなく、人間社会に紛れて暮らす人外の存在。星人視点でも迷惑だからだ。
カタストロフィを歓迎するのはひょうほん星人のような一部の星人達くらいなものだ。それ以外の大多数の星人達を巨人達が絶対に見下してくるのが簡単に予想できるよ。
・・・・・ああ、通常の存在より鋭い嗅覚の持ち主としての困り事の一つ。人類が減ることで苦手な排気ガスの排出量が減るという利点がカタストロフィにあったな。勿論、氷川達から漂う煙草の匂いにも困っているが。
「おまえらボスはいるか?いたら連れてこい」
「・・・・・・俺だ!!俺がボスだ!!」
「おまえ・・・・か・・・・・。おまえがハンターのリーダーか」
「そうだ・・・・・。俺がリーダーだ」
あの人間は・・・・・確か、稲葉という名前だったか?玄野計に反骨心を抱くのは分かるが、リーダーを名乗るには今の実力では無謀すぎる。しかもこちらが人間の姿をしているという理由だけで勝てそうと楽観視する始末。ダヴィデ星人編で覚醒した時ならリーダーと名乗っても遜色はない実力者になるのだが。
「俺がいく・・・・・。俺一人で充分だろ・・・・・」
炎の火力が凄いな。スピンオフに登場した星人。歌舞伎の連獅子をモチーフにした星人が操る炎とどっちが火力が上なのだろうか?能力の利便性は自身の身体を炎にできるオニ星人幹部の方が上か。
自分達の元にやってきた
「おまえら本気じゃねぇか。ハンター全員殺す気か・・・」
「ああ・・・ハンターは全滅させる」
「あいつらの中にも猛者はいる。教えてやるよ・・・。こいつには気を抜かない方がいい」
「俺とやりあえる相手が・・・
「まァ・・・あくまで気を抜かないことだな・・・。おまえなら勝てるだろうが・・・・・」
オニ星人達のリーダーと氷川の会話を聞いている彼女は周りの吸血鬼達と一緒に無言を貫き通した。オニ星人のリーダー格から俺と真正面から戦えそうな吸血鬼として氷川共々お墨付きをもらっても。
和泉という人間より、トラ星人やひょうほん星人も
◆◇◆
オニ星人の幹部が出撃してしばらくした後の池袋にて。
「全滅だッてよ・・・・・」
「驚いた・・・・・マジかよ・・・・・」
「ああ、間違いないらしい」
「予想してなかッたな・・・・こんな結果は・・・」
戦況を確認しにいった下っ端の吸血鬼達が齎した報告。
リーダー格のオニ星人を除いた、オニ星人という種族の全滅報告。それに各々が色々な反応を示す中、雅華は心底安堵していた。
心配事の一つ。GANTZ∶Eというスピンオフの展開。結末を最期まで知ることはなく、人間として生きていた前世を終えてしまった故に彼女の悩みの種になった展開の一つ。
GANTZ∶Eに登場したガンツチームがオニ星人をミッションで討伐する羽目になるという、江戸時代という過去で曲がりなりにも生きていた人間達と
「ハンターをなめすぎていたのさ・・・・・」
「・・・・・」
同族を多く失った悲しみを背負ったオニ星人のリーダー。哀愁をその背中から漂わせながら、ハンター達を誘き出すついでに人類を撲滅する宣言を決めた星人が吸血鬼達の元から去っていく。
「戦力の逐次投入は愚策ということを分かっていたならな・・・」
返事もせずに無言で動き出した相手の姿が完全に見えなくなったのを確認した雅華が、ボソッと呟いた発言を咎める氷川。
「まあそう言うなよ。ハンターとは関係ない人間まで八つ当たりする気満々の機嫌が悪い今のアイツに聞かれていたらどうする?」
「そうだった。意味のない戦闘を起こすリスクある行動は取るべきではない。もっとも闘う事態が起きても私はそう簡単に負けない自信があるがな」
「・・・・・おまえの実力ならそう簡単に負けないだろうな。ともかくアイツが直接やり合うなら俺らの出る幕はなくなりそうだな。帰るぞ」
オニ星人のリーダーの実力を信頼している氷川が他のメンバーと一緒に帰ろうとするが、雅華は帰ろうとしなかった。
「私はヤツとハンター達の戦闘を最後まで見届けるとする」
「見る価値があるか?どうせハンター達は一人も生き残らないだろ」
「あるだろう。見世物としては上出来だ」
「俺達が言えたことはないが、おまえも趣味が悪いな」
◆◇◆
「うおおおおおおおおおおおお」
「やッた!!あの人達が勝ッたぞ!!」
ガンツの人間達によってオニ星人のボスも討伐されたことで、助かった人間達が歓喜の声をあげている中。
そんな大衆達に紛れるように彼女はいた。
原作通りに玄野計達がオニ星人のボスを無事に倒すことができたか。よかった。よかった。後はこの携帯電話で写真を撮るだけだな・・・・・。
あるオニ星人の下っ端が所有していたガンツメンバーの居処が分かる携帯電話の回収と全員の姿を撮るという用も済ました彼女は、我が家に帰還しようと、夜の闇に紛れるように素早くその場から去っていく。
手に入れたこの情報を元に、今後の自身の活動の妨げになりそうな周囲の吸血鬼達をどのガンツメンバーにどのように当てて、気付かれずに
オリ主の吸血鬼ウィルスで感染した者は、謎の知能デバフを喰らうという設定があったり、なかったり。
最初はクソみてぇな生態だな!と呼べる創作上の吸血鬼の一つ。プロムンの世界観に登場する種族。血鬼の特性もオリ主に入れようと思いましたが、彼岸島とGANTZに登場する吸血鬼の特徴だけで良くね?と思って断念しました。
叶わぬ望みなどこの世にいっぱいある。
・・・・・それでも、血鬼の要素をやっぱり入れたくて、オリ主の姿はリンバス・カンパニーに登場したある血鬼キャラに白髪を筆頭とした雅様の特徴を入れて混ぜた感じにイメージしてます。
ただ、PSP版の彼岸島のゲームで雅様は女装して宮本篤とキスしたりしていたりする描写や彼岸島コラボをしたモンハンに雅様衣装の女ハンターが存在するから、自身の脳内でのオリ主の姿が女体化した雅様として隙あらば上書きされるからちくしょう!
ああ やはり畏れ多かったのか 雅様の要素を入れようとするなんて・・・・・。