『どう?どうだい?これがキミの運命さ。どうだい?びっくりだろ?ボクもビックリだ』
『ありえねェ・・・・・こんな』
割って入ってきた見知らぬ少女を庇って死んだ未来の自分の姿を見て、動揺している和泉をニヤニヤと嘲笑いながら見るのは動く人体標本のような怪人。
『もう一つの未来。もしもの運命のキミの姿も見せるよ。愉しんでね?』
ひょうほん星人の声とともに、目の前の光景がざっと移り変わる。
次に見た光景は男装のような格好をした白髪の女性との戦いだった。未来の自分はホストのように見える四人の黒服の男達と互角に戦っていたが、赤黒い目が特徴的な黒服の女との戦いはそうではなかった。
ひょうほん星人の能力によって和泉の視界一面に映る戦闘の光景は、舐めプしているようだが、謎の女性の方が絶えず優勢だった。このままでは負ける。そう考えるほど、視界の中の自分は相対していた女性に苦戦を強いられていたように見えてしまった。そして、思った通りに順調に敗北した。
『面白いだろ?キミに待ち構える運命は。ほとんどの未来の世界で、ぶ・・・無様な運命を辿るんだよ?だから、キミはここでは殺さない。殺しちゃッたら、起きなきゃならないことが起きなくなッちゃう。よかッたね?』
『・・・・・』
『どうやら、ショックを受けすぎた結果、放心状態になッたみたいだね。聞こえてないだろうが、そんなキミに良いことを教えてあげるよ。未来や運命は変えることができるよ。ボクもそうしようと足掻いている最中だから』
「菊池誠一だな?」
「そうだけど・・・・・きみ達は一体?」
「貴様が今から接触しようとした組織に所属している存在だよ。今から貴様を私の能力で洗脳して命令する。なに、無茶振りは言わない。私が持っている情報と貴様が持っている情報網とツテを活かして、ガンツメンバーに襲撃者がくると警告してもらえばいいからな」
そう言うのが早いか、有無を言わさずに、長身の男性を引き連れている、目の前の女性に頭部を鷲掴みされたフリーライターの男は膝をついてしまったのである。精神を掌握されたことによって。
こうしてフリーライターの菊池誠一は、雅華の命令を遂行しようとする一時的な操り人形になったのである。
私のサイコジャックの出力や範囲はオリジナルの雅様より劣る。対象を完全に操り人形にして掌握する為に、このように至近距離で使う必要があるから。ただし、遠距離で使用しても防御不能の嫌がらせテレパシーとして、脳波に干渉した際に引き起こす吐血や耳鳴りで相手の動きを止めることができるから、周囲の存在にも影響を及ぼすということを考えなければ、基本的に出し得を超えた出し得な能力になるが。
「玄野アキラよ。貴様の兄を連れてこい」
「本当に・・・・・アニキは殺されないんだな?本当にだな・・・?」
「殺さん。約束は守る。もしも約束を破ることになったら、この
無事に立ち上がって、下された命令通りの行動を実行しようとこの場所から去っていくフリーライターの菊池誠一を横目に玄野アキラと雅華は会話をする。
これから起こす行動について。
「ところでさ・・・・・この作戦が成功したら、アニキ達と戦う必要性がなくなるのが分かったンだ。だが、今からあんたが起こす戦闘は数多くの吸血鬼達を、間接的にせよ、直接的にせよ、どちらにしても殺すことになる。あんたは平気なのか?仮にも同じ吸血鬼で同じ組織に所属していた仲間なんだろ?」
「冷たい奴と思われるが、別に死んでも何も感じんよ。思い入れもあまりないし、さっさと抜けたいと考えていたしな。そして、厳密的な意味で種族的な仲間の定義に入れるのは、今のところ私の血が入っている貴様だけだよ。それでは私は和泉という男を捕まえてくる。捕獲したら連絡を入れるから、そこで合流だ」
◆◇◆
「おまえ・・・・・」
「どうした?そんな鬼気迫る顔で私を見つめて?」
目の前で自分と対峙している女性を和泉はジッと見つめる。
これまで幾つのも黒服達が襲撃をかけてきたが、和泉はその度に返り討ちにしてきた。だが、病的なまでに白い肌と白髪に赤黒い目という特徴を持った黒服の女には、これまで戦ってきた
かっぺ星人の時に剣戟を交わした、
目の前の女が、有象無象の黒服達と次元が違う実力者ということは漂わせている雰囲気だけで分かっている。だが、和泉の心がざわつく理由は彼女が自身を上回る実力者という理由ではない。
こいつには負けてはならない!!と無意識に、和泉という人間の本能というべきものが叫んでいたのだから。
「おまえッ!!」
スーツのパワーを限界まで活かした驚異的な跳躍で和泉が雅華に飛びかかる。衝突した二人は身体をもつれさせて、どこかの建物の中に飛び込んだ。
「うわぁ!?」
「なンだァ!?」
どうやら戦場になった場所はどこかの人間が住む家だったようだった。住人達が驚いているが、一瞬の内に攻撃を放ち、それぞれに躱しながら、踊るように縦横無尽に戦っている二人は気にしない。それぞれの攻撃の流れ弾で人間達が死んでも。
「くっ・・・・・厄介な攻撃だな!」
雅華が握っていた日本刀を、スーツでブーストされたことによって生まれた怪力に任せたガンツソードで、無理矢理真っ二つにした和泉は動きを止めた。
日本刀を折った瞬間に、雅華の口から吐き出された銃弾の嵐で一時的に動きを止める羽目になったのだ。
鋭い破裂音が連続して響く。全身に更に強い衝撃を受け、和泉は壊れかけている家の壁に叩きつけられた。
追撃として、黒服達の中では群を抜く彼女の剛拳が和泉を無力化させようと襲いかかる。そのパンチは人体を簡単に貫通してミンチにするどころか、建物に罅を入れて粉々に壊すことができるくらいの威力を誇っていた。
吸血鬼という怪物の恐ろしさを表す代名詞として有名な怪力を活かした拳による攻撃に対して和泉が取った選択は、あえて受けるという選択だった。
衝撃を逃すために全力で後ろに飛ぶことで、スーツの耐久が減ることを最低限に抑えながら外に転がるように飛び出た和泉が次にやった行動は、戦場になっていた一軒家を今も支えている支柱を、外にいながらXガンで残さず破壊することであった。
二人の戦闘の余波で崩れそうだった家が、更に亀裂がくまなく走って完全に崩壊する。大方、雅華を破壊された家の重みで押し潰すという算段であったのであろう。だがそうはならなかった。
私は健在であると言いたいのか、一軒家が崩れた際に発生した塵埃の中から自身の姿を見せつけるように無傷の雅華が登場したから。
無印の彼岸島で雅様が旧日本陸軍や宮本明戦で披露した、自身の体内から弾丸を射出して、撃ち殺すついでに、あわよくば吸血鬼ウィルスによる感染も狙って支配下におくという戦法はガンツスーツの力に阻まれて、完全には通じずか・・・・。ノックバックダメージは入ったが。
しかし、相変わらずどこかで愉しいと思ってしまうな。このような戦闘は。戦い自体をなるべく避けたいという気持ちも私自身にあるはずなのに。
認めたくはなかったが、私も彼岸島あるあるの武人気質ありがちな吸血鬼の一人であったか。
「興が乗った。面白い芸当を貴様に見せてやろう」
キーンキーンキーンと、突如頭の中を直接殴りつけるように鳴って、割れるような耳鳴りの痛みに負けてしまった結果、雅華を視界から外してしまった和泉が再び見たのは・・・・・。
自身に呑み込もうと迫りくる凄ェ
竜巻の正体は雅華がハンマー投げの要領で、自分ごとぐるぐると、生成した鉄球を振り回したことによって生まれた人工竜巻であった。興が乗った。それだけの理由で宮本明の真似をすることで、彼女は竜巻を同じように作りあげてしまったのである。
そして、和泉紫音はサイコジャックからの竜巻という連携攻撃にうちのめされることで意識を失ってしまった。
人質は必要なかったか・・・・・。サイコジャックの有無に関わらずに、和泉という人間の彼女を人質として使わない時点で私は舐めプをしているだろうな。
「和泉紫音と言う人間の無力化に成功した。玄野アキラよ、そちらは大丈夫か?」
「なんとかアニキを説得できた。無事に連れてこれそうだ」
「そうか。合流した後はガンツの部屋に転送されるのを待つだけだな」
「ふんッ!!」
「オイオイ。スーツを着ているとはいえ、これは流石におかしいだろ・・・・・。本当に人間だよな?」
八極拳の代表的な技の一つ、鉄山靠。
それによって、仲間達が風に飛ばされる落ち葉のように吹っ飛んでいく光景を見た、縮れ毛が特徴の髪型である黒服は驚愕と共に考えを改める。
「もしかして最強の格闘技は八極拳になるのか?」
雅華によって齎された情報によって、ガンツチームの各々の居場所が分かった吸血鬼達だったが、そう簡単に事は進まなかった。まるで、こっちが来るのをあらかじめ分かっていたというくらいにスマートに迎撃されて、大多数の吸血鬼がガンツチームの人間達によって死んでいったから。
だが、生き残った吸血鬼達もいた。雅華と、雅華の采配によって意図的に生き残された吸血鬼である。本人達は気づいてなかったようだが。
「あッ、転送が始まッたッ」
「
「分かったわ」
ジジジ───
成功した。
和泉を利用して、玄野兄弟達と一緒に遂にガンツ部屋に来ることに成功したぞ。
「ここがゴキブリ共の巣か・・・・・」
氷川達も原作通りに二人組でガンツ部屋に侵入してきたか。ここまでは想定通りだな。
さて・・・・・人間に友好的な吸血鬼としてアピールするとしよう。
オリ主は人間と感性が違う吸血鬼故に、GANTZ世界でも強いメンタルバフ、愛が最強だろなバフがかかりにくいです。
そういう意味では通常の人間より爆発力に欠けるから弱いと言えるかもしれませんね。