透き通る世界に天の鎖   作:イルルヤンカシュる

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あけましておめでとうございます。やっとアドビス編がスタートです。

遅れてすみませんでした。スズミの新衣装かわいいですね~

難産な上に生徒の出番が少ない、改善していきたいですね。




アドビス高校編
5話 アドビス対策委員会とエルキドゥ


 日の光が、窓から差し込む。机に並べられた資料を整理しながら、一息ついた。

 

「すっかり、書類仕事が板につきましたね。エルキドゥ先生」 

 

「ありがとう、でもアロナがサポートしてくれたおかげだよ。僕一人ではできなかったよ」

 

「いえいえ、しかし驚きました。まさか先生が物語の出てくるような『英雄』だったなんて……」

 

「僕は英雄である彼について回っていただけだよ」

 

 アロナの言葉を聞きながら、エルキドゥはここ数日を回想する。エルキドゥはまず自分の知識を整理し、正しく認識した。新しくきたバージョンをしっかり自分に適用して、アップデートするような感覚だった。

 今の自分が「サーヴァント」と呼ばれる使い魔であり、本来は聖杯戦争で呼び出されるものであることもしっかりと認識できた。しかしエルキドゥは聖杯を感知できない。サーヴァントが最後の一騎になるまで、聖杯は現れない。それでも場所がわからなくても、聖杯が存在していることはサーヴァントなら分かるはずだ。聖杯もなくマスターすらいない。なのにサーヴァントとしてここに自分が存在している。間違いなくこの異常な状況にエルキドゥは一旦放置することに決めた。少なくとも自分をここに呼び出した『連邦生徒会長』が現れるまでは、この状況を打破することはできないと。そしてアロナには自分が一度死んだことは伏せつつ、サーヴァントや生前でのこと、魔術などについてあらかた説明したのだった。

 アロナは驚きはしたが、持ち前の明るさですぐに受け入れてくれた。

 

『先生はそんなすごい人だったんですね!! なんだか私たち似てますね!』

 

 エルキドゥが神が作った粘土であることを伝えてもこの反応だったのだ。エルキドゥはその反応にうれしさを感じていたが気づいてはいなかった。それからは二人で協力しながら書類を片付けたり、近くでスケバンがカツアゲしているのを止めたりしていたのだった。

 

「ところで、先生。数日前にシャーレ宛に手紙が届いていますよ」

 

「手紙?」

 

「はい。それもかなり深刻な様子です。ご覧になりますか?」

 

「うん、お願いできるかい?」

 

「かしこまりました! その紙の山の上から2番目に置いてあります」

 エルキドゥは手紙を抜き取り、読んでいく。

 

 

 連邦捜査部の先生へ

 こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。

 今回どうしても先生にお願いしたいことがありまして、こうしてお手紙を書きました。

 単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。

 それも、地域の暴力組織によってです。

 

 こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが…………。

 どうやら、私たちの学校の校舎が狙われているようです。今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底を突いてしまいます。このままでは、暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です。

 先生、どうか私達に協力してくれませんか? 

 

「アドビス高等学校、確かかつてはキヴォトスの中ではかなりのマンモス校で、でも大規模な砂漠化で衰退してしまったと聞いたことがあります。しかし衰退したとはいえ、学校の校舎をねらう暴力団なんて……先生どうしますか?」

 

「……今の僕は先生だからね。もちろん行くさ。アロナすまないけど生徒がよく使う弾薬を揃えてくれるかい?」

 

「わかりました! 連邦捜査部シャーレとしての初めてのお仕事ですね! あ、でも気をつけないといけないかもしれませんね」

 

「どうしてだい?」

 

「砂漠化は進みましたが、今でもアビドス自治区はとっても広いんですよ! 街のど真ん中で遭難する人もいるのだとか!」

 

「まあ、多分誇張された噂でしょうね。さすがに自治区内で遭難なんてそんなことありえないですもんね」

 

 アロナの言葉に「そうだね」相づちを打ちながら、エルキドゥはまだ見ぬアドビス高校に向かうため、準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風が道路に薄く積もった砂に靴の後をつけながら、進む。アロナはさっきからまるで、気まずそうになんにも反応しなくなってしまった。うん、これはどうやら……

 

 

「遭難してしまったようだね」

 

 うん、ここまでは順調だった。準備が終わり、荷物を持って飛び立ち、時速200キロで進めば、アビドス自治区までは30分もかからなかった。

「先生はなんでもできますね──!?」と半泣き気味にアロナは飛び立った際に驚いていた。何が怖かったのだろうか? 

 

 そして自治区に入ってから、「このまま学校に行くと生徒さんたちが混乱しますから、歩いていきましょう」とアロナに提案されたので、歩いていくことになったのだが、

 

「本当に遭難するとはね……」

 

 進行方向逆にしても、また同じ場所に戻ってきてしまう。まるで迷宮だ。

 

「ん? 人?」

 

 突然の第三者の声に、振り返ると、そこには特徴的な銀髪とオオカミの獣耳を揺らした少女が、ロードバイクにまたがり、白のアサルトライフルを肩にかけ、こちらを見つめていた。

 ロードバイクから降り、少女がこちらに歩いて来るのを見て、ワタシは「やぁ」と声をかけた。

 

「すまない。この自治区にある『アドビス高校』に行きたいのだけど、迷ってしまってね。出来れば、案内してほしいんだ」

 

「アドビス高校? ……どうしてそこに行きたいの?」

 

「あぁ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はエルキドゥ。シャーレの先生をしているんだ」

 

「シャーレの先生! もしかしてアドビス高校の救援要請を受けてきてくれたの?」

 

「うん、そうだけど君は……」

 

「私の名前は、砂狼シロコ。アドビス高校の2年生」

 

「そうなんだね。ならアドビス高校まで案内してくれるかな?」

 

「ん、わかった。ついてきて」

 

 そして、シロコの案内で歩く事、数分目的の校舎にたどり着く事ができた。さっきまでの迷子っぷりが嘘のようである。が、知識にある学校やシャーレーの建物と比べるとかなり廃れているように見えた。校舎の一部には、砂嵐でもあったのか砂で埋もれている教室が多くあった。他の生徒がいるという教室に案内され、扉を開けると。

 

「し、シロコ先輩が、大人の人を誘拐してきたー!!」

 

「違う」

 

「お、落ち着いて、セリカちゃん! こ、こういうときこそ冷静に!」

 

「あら☆、どうしましょう、どうしましょう?」

 

「すごい笑顔だし、わかってるでしょ。ノノミ。この人アヤネが呼んだ人だよ」

 

「え! つまり、あなたがシャーレーの先生なんですか?」

 

「うん、僕の名前はエルキドゥ。シロコが言った通りシャーレの先生だ」

 

「本当に先生が……あ、すみません。私はアビドス高校1年の奥空(おくそら)アヤネです。来てくださりありがとうございます、先生」

 

「よろしく、アヤネ」

 

 握手を交わす二人に、猫耳に黒髪ツインテールの少女が口を挟んだ。

 

「えぇっと、とりあえずホシノ先輩を起こしてきた方がいいんじゃない? アヤネちゃん」

 

「うん、お願いできる? セリカちゃん」

 

「わかった。あ、先生私同じくアビドス高校1年の黒見(くろみ)セリカ……です。よろしくお願いします」

 

 セリカはぎこちない敬語で自己紹介をすると、駆け足で隣の部屋に走っていった。しばらくして、「ホシノ先輩! 起きて!」という大きな声が聞こえてきた。

 

「ホシノ先輩、昨日は遅かったみたいですね〜、でもすぐ起きると思いますよ、先生。私はアビドス高校の2年の十六夜ノノミです。ノノミでもノノミちゃんでも好きに呼んでくださいね♪」

 

「よろしく、ノノミ」

 

「はい、よろしくお願いします♪」

 

 セリカが走っていった扉を見つめていたエルキドゥをノノミは笑顔で迎い入れる。それから数秒も経たずセリカと腰まで届きそうな綺麗なピンク色の髪をした小柄な少女が入ってくる。

 

「ふはぁ〜〜、まだ起きる時間じゃないよ〜こんなに早く起きるなんておじさんにはちょっとキツイよセリカちゃん〜」

 

「もう! ホシノ先輩はそうやってすぐ休もうとするんだから! 早く借金を返さなきゃいけないんだからシャキッとして!」

 

「うへぇ〜ごめんよ〜」

 

 セリカに怒られたピンク髪の少女、ホシノはあくびを噛み殺しながらヘラーと謝る。しかし、左右で色が違う瞳の片方が鋭く自分にさりげなく向けられていることにエルキドゥは気づいていた。

 

「あれぇー知らない人がいるけど、どうしたの?」

 

「ホシノ先輩、この人は支援要請を受けて来てくれたシャーレの先生です」

 

「シャーレの先生? ふーわ、私は小鳥遊(たかなし)ホシノ。ホシノでいいよ。よろしくね〜先生」

 

 欠伸をかいていながらその目から鋭さは失われず、エルキドゥを見つめていた。エルキドゥはそれに気づいていたが、あえて気にしないことにした。攻撃してこないならこちらから攻撃する理由はないのだから。

 

「よろしく。ホシノ」

 

 一通り自己紹介も終わり、アヤネが話し合いを始めようとした時。

 

「「「「「「──ーつ!!」」」」」」

 

 荒々しい銃撃音が外から聞こえてくる。

 

「…………またか」

 

「あいつら性懲りも無く!!」

 

「とにかく今迎撃に行きましょう」

 

「わかったよ。任せて」

 

「先生はここにいてくだ……え!?」

 

エルキドゥは窓を開け放ち、身を乗り出す。魔力を放ち、姿勢を制御しながら音もなく着地する。

 

「あぁん、なんだテメェは?」

 

「アドビスの連中か?」

 

「あたしら、カタカタヘルメット団の邪魔をしてタダですむと思ってるのか、ああん!!」

 

ヘルメットをかぶった数十人はくだらない生徒たちがエルキドゥの前にずらずらと並ぶ。彼女らはヘルメット団と呼ばれる勢力である。

ヘルメット団、とはキヴォトスに存在する勢力の一つで、ただの不良であったり裏社会の傭兵であったりと強さも規模もマチマチだが一つ共通しているのは全員がヘルメットを被っている事である。

 

「先生!下がってください!」

 

「ん、ここは私たちが」

 

「あんたは、銃弾が当たったら死んじゃうんだから、後ろにいなさい!」

 

校舎から、シロコたちが出てくる。勝手に飛び出した事に怒りつつ、セリカはこちらの手を引き安全を確保しようとする。それに合わせて、ホシノが盾を構えて前に出る。

 

「うへへ、おじさん結構強いから心配いらないよ〜先生」

 

「ほら!さっさと下がって!」

 

「ありがとう、ホシノ、セリカ。でも大丈夫」

 

「ちょ!先生!」

 

セリカの手を振りほどき、エルキドゥは前に出る。

 

「このやろ、舐めやがって!」

 

「先生!」

 

先頭の一人がエルキドゥに向けて銃を発砲する。それを見たアヤネが声を上げる。

 

「うん、それの性能はもう見せてもらったよ」

 

放たれた弾丸は何もいない地面を抉り、そのまま地面に転がる。銃を撃ったヘルメット団員の目に写ったのは一瞬で懐に入ったエルキドゥの手刀が自身の銃を真っ二つに切り裂く様子だった。

 

「・・・・・は?」

 

銃を斬られた団員は、呆然と声を出し、手刀が金属で作られた銃を破壊する衝撃の瞬間に尻もちをつく。その衝撃は他の団員にも電波し、多くの狼狽の声が上がっていく。その中の一人が衝撃抜けきらぬまま叫ぶ。

 

「お、思い出した!!あいつ、連邦生徒会のタワーでの事件を魔法を使って解決したっていうシャーレの先生だ!」

 

「魔法ではないんだけどね。もっとすごいものを見せてあげようか」

 

エルキドゥが言い切ると、背後に黄金の波紋が現れ、そこから木刀が出現する。

 

「ふぅ!」

 

波紋から木刀を抜き取り、瞬く間に三連撃。振るわれた木刀がヘルメット団の団員たちの腹に吸い込まれるよう叩き込まれ、きっちり三人、団員が崩れ落ちる。

 

「う、うぁぁぁぁぁ!?」

 

一瞬で仲間がやられるのを見た団員たちは銃を乱射する。ろくに狙いも定められてもいない弾丸の雨をエルキドゥは容易く躱しながら接近し、次々とヘルメット団の団員をノックアウトしていく。

 

「うん、やっぱりこんなものかな」

 

ヘルメット団全員を倒した後、一息つきながらエルキドゥは呟いた。

 




エルキドゥが剣を使っていますが、FGOのバビロニアのアニメの回想でギルガメッシュと普通に接近戦をやっているので、使えても不思議ではないかな、と考え採用しました。エルキドゥの剣の腕はまだふわっとしか決まっていませんが、しっかりと描写したいものです。

話は変わり、fate strange fakeにてエルキドゥのド派手な戦闘が見れてとても嬉しいです。セイバーのエクスカリバーを木の枝とはいえ、平然と受け止める。そこに痺れる、憧れる!な作者でした。
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