海でお互いの本心などを話した修司とアッコが、修司の自宅でいっしょに夏休みの宿題を片付けているところから始まります。
※アッコちゃんの生年月日は、第三期の設定から考慮しております。
[真夏の出来事]
蝉の声が一層激しく、うるさくなってきた7月終盤。修司は自宅の自室でくつろいでいた。
「うひ~~。今日も一層と蒸し暑いなぁ……」
修司はそう言うと扇風機の風力を最大にして涼しんだ。
すると修司の自室の戸を開けて、ウッズが修司の部屋に麦茶を入れたコップと冷やしきったゼリーを持って入ってきた。そして、なぜかそれは2人分だった。
「修司様、もう少しシャキッとしてください。もうすぐ大事なお客様がお見えになるんですから……」
「別に……大事な客ってわけじゃねえだろう…」
「フフッ、そうでしたね。敢えて言えば、お客様より大事な方なんですからね」
ウッズは笑いながらテーブルに二人分の麦茶とゼリーを置いて修司に言った。
「……! そ、それはどう言う意味なんだよ!?」
「さ~て、どんな意味なんでしょうかね」
修司とウッズの二人がやりとりしている、その時。玄関ベルが鳴り響いた。
「あっ、はーーい」
ウッズが訪問客用の受話器で相手と話す。
「はい、どちら様で?」
「ウッズさん私です、加賀美ですっ」
「あぁ、アッコさん。はいはい、今すぐ開けますよ」
ウッズは玄関を開けてアッコを出迎えた。
「すいませんね、何度もオジャマしちゃって」
「いえいえ、何てったって夏休みの宿題を修司様と一緒にしてくれるんですからねぇ。協力しない訳にはいきませんよ」
ウッズはそう言うと、アッコを3階の修司の部屋まで連れていく。
ウッズが扉を軽く叩くと中から「あぁ、入っても良いぞ」と答える修司の声が。
修司の承諾した発言を聞いて、ウッズはアッコを中に招き入れた。
「ヤッホーー。修司元気にしてるーー?」
「元気な訳ないだろう……こんな猛暑な毎日な上に、宿題っていうめんどくせえモンまであるんだしよ」
「だからこそ、私が協力しに来たんじゃない。一緒に宿題やっちゃえば、あっという間に片付いちゃうわよ」
「………」
修司がアッコのお節介に内心呆れている中、ウッズが二人に述べる。
「では、わたくしは勉強の邪魔になるといけないので退却致しますね。何かあったら室内用の固定電話でお伝えください」
「解りました、ウッズさんありがとうごさいます」
ウッズはそう言い残すと部屋を出ていき、部屋には修司とアッコの二人だけになった。
「……ふぅ~。それにしても、今改めて思うと修司の家ってスゴイわね……」
「な……何かだ?」
「だって、円柱型の大きな家で、中は3階建て。1階は茶室にもなる和室に広~いリビング。2階は全て客室用の部屋で埋め尽くされているし、3階の修司の部屋は冷暖房の設備が整っているだけでなく、室内用の電話まで完備されているんだもの」
「まあな……一応は市長だからな、この部屋で色んな書類に目を通したり、市長として様々な著名人と会うためにも客室は多めに作ってあるんだよ…」
「ふ~ん、ところでキッチンとか見当たらないけど、料理は何処でするの……?」
「ああ、キッチンを初め、それ以外の設備は全て地下のフロアに完備させているよ」
「ち……地下!?」
「ああ、俺が日常的に使っているのが地下1階と地下2階でな。キッチンは1階にあるんだよ。それ以外の多様な設備も設置されているし、いざとなったときには緊急時用の避難エリアに出る通路もある」
「……避難エリアって……確かアニメタウンの地下に作られている一般市民用の緊急時の避難エリアのこと?」
「ああそうだ、いざとなったら俺が先導指揮をとって市民を誘導させたり、パニックにならない様にしてやらなきゃな」
「……修司ってやっぱり凄いね。ちゃんと市民の事考えてそこまで準備しているなんて……」
「この街は常にマモノによる脅威で市民も少なからず怯えているしな。最低限の常備はしておかないとな」
「……(ウッズさんの言ってた通り、修司にはとてつもない信念があるんだなぁ)」
修司とアッコの二人はそうして少しお喋りしたのち、協力し合って互いの宿題を片付け始めた。
「う~~ん。この四字熟語、なんて読むんだっけ……?」
「それは因果応報《いんがおうほう》って読むんだろ」
「あっ、そうだったわね。え~と意味は何てったっけ……」
「まぁ、簡単に言えば自分の犯した過ちの代償が自分に振りかかる。ことわざでは《身から出たサビ》と同じ意味合いだな」
「……なるほどねぇ。ホント、修司ってことわざや四字熟語に関しては詳しいんだから」
「まぁな、人間取り柄の1つも無いとな……」
二人はそうこうしながら、宿題を半分まで片付ける事が出来た…。
「ふぅ~。何とか大半は片が付いたな……」
「ふへぇ~。今日はもうこれくらいにしようか……」
二人は筆記用具やノート類を片付けたあと、そのまま修司の部屋で涼んだ。
「修司、もうちょっとエアコンの温度下げない……なんかちょっと暑いよ」
「ダメだダメだ。ドライで28℃、それ以上は下げないって決めているんだよ」
「……省エネ家ねぇ……」
「何だよ……俺が省エネ心がけるなんて変か?」
「ううん、別に悪い訳じゃあないけど……」
二人は更におしゃべりしていると、いきなりアッコが修司に問いかけた。
[盛り上がる占い]
「ところで修司って生年月日はいつなの?」
「へっ、い、いきなり何言うんだよ?」
「いやね、勉強道具と一緒にこの占いの本も持ってきたんだけど、修司の占いはどうなっているのかな~って……」
「ハァ……女って、ホントに占いが好きだよな……」
「ねえ、修司の生年月日はいつなの?」
「俺は占いなんて気にしねえから……それに個人情報は簡単に相手に明かすもんじゃねえ。例え友好的である相手であってもな……」
「もうっ。別に私に打ち明けても問題ないでしょう!?」
「……それじゃあ、お前の生年月日はいつなんだよ?」
「へっ!? わ、私の?」
「互いの情報交換になるなら別に明かしてもいいぜ」
「何よ、レディーに対して生まれた年聞くのは野暮じゃないっ」
「レディーって年かよ(胸だって学年じゃあ一番貧乳なくせに)」
修司はあえて口に出さなかった。デリカシーが無い上に、アッコは真剣に胸の大きさを気にしていたからだ。
「わ、…私の生年月日は……昭和62年の9月6日……乙女座のO型よ……」
「……!! えっ、え~とっ……せ、星座や血液型まで言うんだな……」
自分の出生日を素直に打ち明けたアッコに、修司は少し驚いた。
「そうよ、詳しく占うためにも星座や血液型は重要でしょう?」
「……… (マ、マジかよ…アッコって……!)
戸惑う修司にアッコが追い打ちをかける。
「ねぇ、私からちゃんと言ったんだから修司もちゃんと自分のを言ってよね。市長たるもの、公言・公約は守るものじゃない?」
「……お前、こんな時に市長の名目出してくるなんて……!」
「さぁ、早く言ってよ。占いの結果が解らないじゃない!」
「……お、俺の生年月日は……」
「……?」
「お、俺のは……昭和……六十……三年……」
「えっ? 良く聞こえない!」
「昭和……63年の……1月3日だ。星座は山羊座、血液型はA型……」
「えっ……え~! 修司って私より年下だった訳?」
「と、年下といっても誕生日が早いか遅いかってだけだろ……」
修司は、少し慌てながら顔を赤くして照れる。
「フフフっ。はいはい、だけど私の方が少しお姉さんだと思うと修司がカワイク見えてきちゃう♡」
「……! お、おちょくるな! ……それよりも占いするんじゃなかったのか!?」
「あぁ、そうだった♡え~~とっ占いによれば……」
「……… (参ったな、アッコの方が少し年が上とは…) 」
「え~~と、私と修司の相性は……」
「!! オ、オイ! う、占いって相性占いの事なのか?!」
「そうよ、それに私の占いの結果はすでに知っているんだし修司の占いの結果が知りたかったのよ」
「お、お前なぁ……!」
「え~、この年で星座、そしてA型の人の運命の人は……」
「!! お、オイオイ! 何処を見ているんだよ!?」
「何よ、私はちゃんと知っておきたいの! ……えっと、この年この星座の人は異国の人または年上の人と結ばれる傾向がある……」
「……………」
「そして、この星座・血液型の人と相性の良い異性は……! わぁっ、乙女座のO型! 正しく私じゃない! 私と修司の相性ってスゴく良いわよっ!」
「た、たかが占いだろ……あてになるのかよ」
修司は顔を真っ赤っかにしてアッコに話し返す。
「も~うっ。修司ったらホントにシャイなんだから♡」
「…………………………………」
修司は今にも部屋を飛び出したい程、恥ずかしい気分でやりきれない思いだった。
[夏の夕暮れ]
もう日が落ちかけ、辺りが夕日で真っ赤になりつつある街並み。
アッコは家に帰ろうとしていた。
「それではアッコさん、今日は修司様と一緒に居てくれてありがとうございます」
「いえいえ、私も宿題がはかどって助かったし。何より私の方が修司と一緒に居たいんです」
「フフ、それは良かったですね……修司様は引っ込み思案なところがあるので、アッコさんみたいな明るくて優しい人と一緒に過ごす事が一番望ましいんですよ」
「そう言ってくれると私も心強いです。ところで修司は?」
修司様はさきほどから市長としての仕事があると言って部屋に籠っていますが……な~に、ただアッコさんを見送るのを恥ずかしがっているだけなんですよ」
「ホントに修司ってシャイというか照れ屋というか……何だか自分の殻に閉じこもりたがっているみたい」
「そういう人なんですよ。他人と上手く付き合えず、自分から距離を置きたがってしまって……ただ最近は学校でアッコさんを初め赤塚君や浪花さんと仲良くなっていってくれているのが救いなんですけどね」
「……あ、あの……まだ何かみんなで出かけたり遊びに行く事がある様な事があったら、修司を誘っても構いませんか?」
「ええ。それは一向に構いませんよ! むしろ、そうやって誘ってくれる方が修司様にとっても良い傾向なんでしょうし」
「………………」
「それでは、もう遅くなるといけないのでこれで。気を付けて帰ってくださいね」
ウッズはそう話し終えると、アッコにお土産としてゼリーの詰め合わせが入った紙袋を手渡した。
「良いんですか? こんな物まで頂いちゃって(うわ~、しかも何気にこれ高そうな品じゃない…)
「良いんですよ、お家でご家族と食べてください」
ウッズはアッコにそう告げると、アッコは帰路に着いた。
そんなアッコを自宅の一室の窓から、修司がアッコに気づかれないよう、アッコの帰る様子を見つめていた。
「………………」
ヒマワリのブローチを付けた麦わら帽を被り、白いワンピース姿で夕日に向かって家に帰るアッコはまるで夕日で真っ赤に染められているかのごとく神々しく、そして輝いているように修司は見えた。
「……この俺が……誰かを愛しても良いのか……愛し愛される存在でいいのだろうか……」
帰路に着くアッコの情景を眺めた修司は人知れず思慮に耽る。
「何より……俺はあいつとは違う次元の人間……」
修司は自分の中の憤りにただならぬ不安を感じていた。自分はアッコとは違う次元から来た存在。そして何より、自分の心の内には禍々しい闇の部分がある。そんな自分が誰かに愛され、誰かと共に一緒の時間を過ごしても良いのかと。
修司は己の闇と自問自答し続けた。