今回はメインキャラは修司とウッズだけのシンプルな話になっていますが、どうぞご覧ください。
[市長としての視察]
今日、修司はアニメタウンの市長として、地下エリアの工事の視察として現場に赴いていた。
この地下のエリアは完成したら一般人の緊急時の避難エリアとしても活用するのだが、それは表向きの話だ。本来の目的は、自分が近々築き上げる英雄集団のサポートや自身が街の警護に当たるに至って、地下に大掛かりな基地施設とそこから街の至る場所から出動できる極秘の通路も同時に製造・整備していたのだ。
「ウッズ、俺がこれから向かう現場の状況はどうなっているんだ?」
「はい、現場責任者の方から聞いたところ、どうやら大きな岩石に行く手を阻まれ工事が続けられないとのことです」
「破壊はできなかったのか?」
「はい、様々な削岩機や重工機、それにダイナマイトも使って爆破しようと試みたのですが全く効果が無くて……」
「う~む、工事が進まないと俺が理想とする基地からの運搬通路も出来得ないじゃないか……」
すでに、英雄たちや自身のための前線基地は修司の自宅つまり市長オフィスの地下深くで既に完成しており、後はいつどんな時どんな地域にも出撃できるための専用の通路や、それ以外に一般市民だけが立ち入られる避難エリアの整備を済ませれば、工事は完了する状態まで工事は進められていた…。
修司とウッズは現場に到着し車から降りた。そして目の前の岩を見つめていた。岩の直径は大人一人分はあろうかという大きくはあるが巨大ではない極々普通の岩であった。
「こんな岩っころ1つに手間取っている訳か?」
「は、はい……見た目は普通の岩石なのですが思った以上に硬く、何をしてもビクともしなくて……」
「これくらいの大きさなら、重機使って他所に持っていけねえか?」
「それが、トンネル内で活動できる重機は限られていますし……実際に内部には入れている重機で持ち上げたり移動させようとは試みたのですが、この岩予想以上に重くてほとんど動かせないんですよ」
「オイオイ、しっかりしてくれよ~。工事が進まなければ俺の野望がかなわねえじゃねえか……」
「は、はい。本日の工事はいったん休止して、今外海からさらに強力な爆薬を輸入していますので。でも、それでも壊せないとなると……」
「う~む……」
修司とウッズが途方に暮れているその時。
修司の右手に数珠として身に付けている龍玉たちが光り出したのだ!
[chapter:聖なる龍の反応]
「し、修司様! その数珠、いや龍玉が……!」
「う、うむ。いきなり3個とも光り出しやがった……!」
龍玉は更に強い光を放し、まるで何かを訴えているようにも感じた。
「こ、これは一体!? と、とにかく一旦自宅に戻って龍玉に何かあったのか精密に調べてみるか!」
修司がその場を離れようとしたら、龍玉はより一層光り出した。
まるでこの場を離れるのを躊躇っているかの如く。
「せ、聖龍たちがこの場を離れたがっていないと言う事は……! ま、まさかっ!?」
修司は直感で、先ほどの大岩に龍玉を身に付けている右手を近づけてみた。すると、龍玉たちはより一層光り出し岩からもヒビの隙間から光が放出してきた。そして、それぞれの光は共鳴するかのようにしだいに光る回数と輝きが増した次の瞬間。
大岩はいきなり砕け散り、中から光を放つ玉が空に浮いてきた。
「我を目覚めし者、我ら一族に認められし者、よくぞ我を見つけてくれたぞ……」
「ア、アンタは……一体……?」
「我は聖龍の内の一体、大地を司る岩石の聖龍、岩石龍であるぞよ」
「ま、まさかこんな地下深くに龍玉が眠っていたなんて……!」
「うむ、我は大地を司る身の上でな。他の龍の如く空を飛び続けることに対しても余り不得意なのでな。何より地中の方が居心地がいいので、ああやって自身の龍玉を周りの土や岩を固めて身を護る殻にしておったのじゃ……」
「そ、そうだったか。ところで岩石龍、これの身に付けている龍玉に反応したと言う事は……!」
「うむ、我も他の聖龍と同様に主の目的に力を貸しつつ、主を真の聖龍使いに導いてしんぜよう」
「あ、ありがとう! 岩石龍!!」
岩石龍は修司にそう言い放つと、他の龍玉同様大きめのビー玉サイズにまで龍玉を縮め、修司の身に付けている数珠に加わった。
「い、今のが聖龍の……この世界の大自然を司る龍神の……こ、声……!」
ウッズは修司から話は聞いていたが、実際に目の当たりにするのは今回が初めて。
「どうだウッズ。この右手に燦然と輝くいくつもの龍玉こそ、俺が聖龍使いになる使命を与えられたと言うれっきとした証明なのだよ……!」
「は、はあ。そ、それにしても……す、凄かった……!」
「ところで、偶然とはいえ龍玉は見つかったし工事に邪魔な大岩は見事に砕け散ってくれたわけだから……工事もこのまま終盤に入れるな」
「はっ、はい。そ、そうですね。まさかこんな形で問題が解決してくれるとは……」
「よ~しっ、ウッズ! 早速明日から工事再開だ!」
「は、はい。し、しかし現場の人達にはあの大岩はどうしたのかって、どう説明していいやら……」
「そんなもん、お前が適当に誤魔化しとけっ」
ウッズに流す修司は上機嫌なまま車に乗り込んだ。
「お~いっ。ウッズ~! 今日はもう帰るぞ~。運転しろよ~~」
「……やれやれ。ホンっと、世話のかかるお人だ……」
ウッズはやや、呆れながら車に乗り込みエンジンをかけた。
「帰ったらまずシャワーだ。こんなホコリっぽい所に居て体がザラザラしちまった」
「はいはい、シャワーの後のデザートもちゃんと用意しておきますよ…」
二人はそのまま車で、工事中のトンネル内を走り抜けていった。