[地下施設での練習]
修司の市長オフィス兼自宅。此処の地下深くの施設で、修司は聖龍使いに変身して戦う練習をしていた。
「ウオオッ、トリャアア!!」
修司の鍛錬は遅くまで行われた。
「どうだ調子は?」
「あっ、変身怪獣さん。まだまだと言ったところですかね。修司様は自分が納得しないと途中でやめないので」
「お前さんも執事とか召使いとかで大変だな」
「ははっ、もう慣れましたよ」
修司の鍛錬を達観しながら変身怪獣とウッズの二人が話していると、鍛錬を終えた修司が近寄って来た。
「おお何だ、変身怪獣来てたのか」
「ああ、お前がまた無茶なことしてないかって気になってよ」
「はは、気にする必要はないさ。今、聖龍使いとしての戦い方をシュミレーションしてたとこなんだ」
「ほほぅ、それで?」
「ああ、コンピューターで分析してみたとこ聖龍使いの鎧は他の金属よりも硬く、聖龍剣は使っている金属も現科学力では解明できない程、神秘的な物なんだよ」
「へえ……それで能力の方は?」
「能力の方は自然の力を引き出す形で、聖龍の武者鎧や剣がそのエネルギーをまとわせて戦えるような仕組みになっている。だから剣術で様々な自然の力を使いながら戦うのが、聖龍使いの基本の戦い方みたいだ。
「自然の力ねぇ……で、今のお前さんはどんな技が使えるまでになったんだ?」
「うん、以前聖チャペルで戦った時に風の力を使った[風斬昇]火の力を使った[火炎斬]の他に雷の力を使って下方の敵に刀を振り下ろす[雷鳴剣]大地の力を使って地面に亀裂を作り相手を攻撃する[地表裂]氷の力を使って相手をきると同時に凍りつかせる[氷烈斬]地面に剣を突き刺し念じれば草木やツルが伸びてきて相手を縛りつける[樹念縛]水の力つまり水圧で堅い相手も斬り倒せたり汚れたモノを浄化する力を持つ[水連斬]……などなど多種多様な技が出せる。これからも戦い方や考え方一つで様々な活用が効くよ」
「す、スゲエな! あのセーラームーン達ですら自然の力を使った技は有るけど、一人一人が使える力は違っていて、たった一人自身で全ての自然の力を使えるヒーローは今まで居ねえよ!!」
「そうよ!! これからは俺が、この力で街を、そして邪悪な者共をブッ倒していくらぁ!!」
「いやーー、ホントにスゲエよ。俺は相棒として鼻が高いぜ。……それにしても、いつになったらヒーロー達を此処に集結させて一致団結した組織にしていくつもりだ?」
「ああ、まぁ……今はまだ準備期間ってとこだ。此処に配置させるスタッフや所員、そして怪我したときに治療してくれるサポーターがまだ来てねえし、機械等の準備や最終チェックもまだ終わっちゃいねえんだ」
「最終チェックって……そういや此処の地下施設、どのくらいの広さなんだ?」
「そりゃお前、街中に繋がっていて、何かあったらスグに出動できるよう街のあちこちに隠し通路の入り口を完備させているよ」
「まっ、街中に!? そ、それじゃ……此処の施設って……」
「ああ、地下500キロまでは掘って作ったかな。まぁ、それぐらい設備の整った所でねえとヒーロー活動はできねえよ」
「は、はぁ……と、ところで、お前がさっき言ったスタッフとかって…い、いったい何処から募集かけるんだよ。此処は飽くまで秘密施設なんだろ? 此処で働くとなると他のヒーローの個人情報も耳に入っちまうし」
「ああ、それなら既に手配済みだ。ウッズの故郷から信頼のある奴等を呼んでもらって此処で働いてもらうんだよ。ウッズは故郷じゃ信頼できる奴みたいだしな、ウッズが呼んでくれる奴等も昔っからの親友や知り合い、ああ、それから確か双子の弟と預けていた息子もくるんだったよな?」
「えっ、ウ、ウッズ……お前双子で弟が居たのか…? そ、それに息子まで? け、結婚してたの?」
修司の話を聞いて驚く変身怪獣に、ウッズが答える。
「えっ、ええ……まぁ……」
「奥さんの方は昔、土砂崩れで死んじまってな。今は俺のところに働いている間、一人身の弟の家に預けているんだよ。……確か歳は7つだったっけ?」
「は、はい……まだまだヤンチャで……近いうちに弟や知り合い達と共にこの街に来るので、久々に会えるんですよ」
「ああ、俺の家で一緒に住ませようと考えている。俺も弟みたいなガキ見るのは楽しそうでな」
「よ、良かったなウッズ! 家族一緒に一つ屋根の下暮らせるなんて羨ましいぞ! ホントに良かった!」
「へ、変身怪獣さん。あ、ありがとうございます……」
「しかし……ウッズよ、お前どうやって一族を説得させたんだ? お前の一族って確か人間を毛嫌いしているって聞いたけど?」
修司が訊ねると、ウッズは説明を述べた。
「は、はい……修司様が建立する組織が、ゆくゆくは自然保護も活動の視野に入る事や、最終的には種族間の壁や対立を無くして多種多様な種族が平和に住める世界を築くのが最終目標であると伝えながら説得したんです」
「お、おい……多種多様な種族が、って……そ、それじゃ修司お前がオレをスカウトしたのも!」
変身怪獣からの問い掛けに、修司は真剣に答える。
「ああ、種族は違えど心優しき者が平等に住める社会いや世界に作り変えるのが、俺の最大の理想なんだよ」
「! ……お、お前は……!!」
変身怪獣は驚いた。修司の最終的な野心、いや夢が此処まで壮大なモノで有ったのかと。
その時、急に警報のようなブザーが施設に響き渡りアナウンスが告げ始めた。
「ビー ビー ビー ビー 友枝町内にて謎の反応あり」
「うっ、うわっ。こ、この警報は…!?」
警報に驚く変身怪獣に、修司が説いた。
「ああ、俺が街中に仕掛けさせた警報装置が作動したんだろう。マモノやそれに似た存在を感知すると、この中央メインフロアに鳴り響くように設定しているんだよ」
「そ、そこまでやっているのかよ……」
「どちらにしろ変身怪獣、ヒーローとして出動だ。変身して友枝町に向かうぞ」
「あ、ああ……」
二人は変身して、警報の鳴った友枝町に向かった。
[クロウ・カードとキャプター達]
二人は変身して、聖龍使いとメタルバードとして友枝町に向かった。
「今度はいったい何が現れたんだ?」
「解らぬ、全ては現場に行ってみなければ」
メタルバードと聖龍使いは地下の秘密通路を通って、現場である友枝町に着いた。
「此処が友枝町か……」
「うむ、確かすぐ近くの公園で反応が有ったが……」
メタルバードと聖龍使いは早速、公園に向かった。
公園では何とも言えない不思議な物体が居座っていた。二人はこれがマモノの一種と考えた。
「な、なんなんだ! あの物体……!」
「ふむ、マモノの一種かもしれぬのう……市民に危害が及ばぬ内に即急に倒そう」
「ああ、そうしよう……」
二人が謎の物体に攻撃しようとした、その時。
「ウインディ!」
いきなり二人を突風が襲った。
「な、何奴!?」「だ、誰だ? 今の突風は?」
すると聖龍使いとメタルバードの前にピンクと白の色が目立つ、不思議な格好をした少女が現れた。
「お、お主は……一体……」
「止めて! あの子を攻撃しないで!」
「あ、あの子って……あのマモノの事か?」
「マモノとちゃうわ! あれはクロウ・カードが実体化したものや!」
聖龍使いとメタルバードが少女と対話していると、少女の背後から人語を喋る子猫のような羽の生えたヌイグルミが出て来た。
「うわっ、な、なんだそのネコのヌイグルミは!?」
「……ってワテは猫とちゃうわ!ワイはケルベロス。クロウ・カードの守護獣や」
「ケ、ケルベロス……」
「お、オレの知っているケルベロスって《地獄の番犬》しか知らねえが……これはどう見ても猫だろう……」
自身をケルベロスと自称する存在に聖龍使いもメタルバードも茫然としてると。
「ちっ、違わい! こんなになっちまったのは、このさくらがクロウ・カードの封印を解いてしまったから今はこんな姿なんやが。本当はカッコエエ獅子の姿をしてるんやでっ!」
と、ケルベロスの説明に二人が驚いていると、さくらという少女がケルベロスに問い掛ける。
「ケロちゃん、この人たちに説明しているより先に、クロウ・カードを封印したほうがいいんじゃないの?」
「あっ、そうやった! オイっ、落武者のオッサンと銀色の鳥! ワテとさくらがカードを封印するのだけは邪魔せんでくれよな!」
「お、落武者?」「鳥って……お、お前なぁ!!」
ケルベロスの発言に呆気に取られる聖龍使いに対し、鳥と一括りにされたメタルバードは憤慨する。
と、そんな騒然とする現場に、更に二人の少女と一人の少年が現れた。
「大丈夫か、さくら!」
「さくらちゃん、またカードが現れたんですか?」
「小狼(シャオラン)ったら、私を置いて行かないでよね!?」
「な、何なんじゃ今度は……」「一気に三人増えたな……」
賑やかになる現場に呆然とする聖龍使いとメタルバードの存在に、子供達も気付く。
「んっ、何だこの鎧武者と銀色の鳥は?」
「ま、また鳥って……!」
少年の発言にまたもメタルバードが憤慨してると、二人の少女が反応する。
「このお二人がクロウ・カードなのですの?」
「だったらすぐに倒して封印しちゃいましょう」
誤解される聖龍使いとメタルバードは弁解する。
「お、おい待て! 拙者等は……」
「オレたちゃその何とかカードってやつじゃ無えよ!」
これに最初、聖龍使いとメタルバードを制止した少女さくらが説得する。
「待ってよ、小狼くんに知世ちゃん、それに苺鈴(メイリン)ちゃん! この人たちはカードなんかじゃないわ」
「そうやっ、そいつ等は実体化したカードを消し去ろうとしたトンデモない二人組やっ!」
さくらとケルベロスの発言に、聖龍使いとメタルバードは訳を話す。
「い、いや。拙者等はあの存在がマモノの一種と思って退治しようと思っておっただけなのじゃ」
「なぁ、さっきから訳の解らねえ事ばっかり言ってねえで、何がどうなっているのか説明しやがれ!!」
二人に事情を説明しても良いのかと困惑するさくらは、ケルベロスに訊ねる。
「えっ、え~と……ケ、ケロちゃん……この人たちに説明しても大丈夫かな?」
「ア、アカン! こんな得体のしれない輩に話する必要はないわ!!」
「な、何だと! テメエ、自分達の事は棚に挙げといて……」
ケルベロスの言動にメタルバードが怒り出してしまうが、それを聖龍使いが宥め止める。
「待てっ! メタルバードよ、彼等とワシ等は互いに初対面。意見が食い違うのも仕方がない。申し遅れた皆の集、拙者の名は【聖龍使い】このアニメタウンの秩序と平和を護る英雄でござる。そして隣にいるのは拙者の相方で【メタルバード】と言う、同じくアニメタウンの英雄でござる」
聖龍使いの自己紹介を聞いた知世と苺鈴と小狼は一驚した。
「えっ! せ、聖龍使いって……」
「ワ、私知っている! この前、聖チャペル学園でパンサークローって言う犯罪組織と戦ったって新聞に載っていたわ!」
「そう言えば、一緒にいた銀色の鳥って確かメタルバードって名乗ってたよな…お前たち二人がその時の二人なのか?」
「ふむ、正しくその通りでござる」
「へへっ、あれがオレたちの初任務って事だ」
一同が話していると、突如クロウ・カードが暴れ出した。
「グオオオオ……」
「ふむ! な、何事じゃ?」
「い、いけない! クロウ・カードが活動を活発し始めて来た!」
驚く聖龍使いに、小狼が慌て出す。
そして暴れ出したクロウ・カードはさくら達に攻撃して来た。
「きゃあ!」「あっ、危ねえ!」
咄嗟にメタルバードは攻撃に巻き込まれそうだった知世を助ける。
「ふう、もう大丈夫だぜお嬢ちゃん♪」
「あ、ありがとうございます」
一方、さくらと小狼がカードの封印に取り掛かろうとしていたが、暴れまわるクロウ・カードに手を焼いていた。
「くっ」「こ、このままじゃ近づいて封印する事が出来ない!」
困っている二人の様子を見て、聖龍使いが二人に告げた。
「お二方、拙者で良ければ御力を貸すが……」
「えっ?」「アンタがっ、信用できねえ!」
信用できないと断言する小狼に、聖龍使いは述べる。
「うむ、初対面で信用できぬのは理解できるが……しかし、このままではあの暴れているクロウ・カードとやらの封印が出来ぬのではないか?」
「! ……くっ」
聖龍使いに真意をつかれて戸惑う小狼。彼は聖龍使いを信じて良いのか悩んでいると、さくらが聖龍使いに頼んだ。
「も、もしも手伝ってくれるなら、暴れているあの子の動きを止めてくれない!?」
さくらの懇願に、小狼は驚いた。
「おいさくらっ、こんな奴等信用しても大丈夫なのか!」
すると、さくらは小狼に返した。
「大丈夫、この人たちは悪い人たちじゃないわよ。きっと力を貸してくれるわ」
笑顔で告げるさくらに、小狼は何も言い返せなかった。
「うむ……では御二方、拙者はあのカードの動きを止めれば良いのでござるな」
「は、はいっ。お願いします!」
「しかし一体どうやって止める気なんだよ!」
小狼の問い掛けに、聖龍使いは答える。
「うむ……お主らの言うとおり、あの実体化したカードを傷つけてしまわぬよう、多少縛り付けてしまうが動きは止められる……!」
そう述べると、聖龍使いは聖龍剣を地面に突き刺し、力を溜めるかのごとく声を上げた。
「はあぁぁ!!!」
すると、聖龍剣は光り出し、突き刺した周りから草の蔓が続々と生えて来たのだ。
「えっ、こ、これって……!」
「こ、これは……!」「な、何する気!?」
聖龍使いの行動に驚くさくらと小狼と苺鈴。
「一体何をするつもりですの、貴方の御友達は?」
「い、いや。オレも良くは……」
知世に訊ねられてもメタルバードも困惑するばかり。
すると次の瞬間、聖龍使いが唱えた。
「樹念縛(じゅねんばく)!!」
聖龍使いが技の名を叫んだ瞬間、地面から突き出てきた蔓は暴れまわっているクロウ・カードに巻き付き、カードの動きを封じる。更に、同時にジワジワと締め付けていった。
「これで動きは封じたぞ! 後は主らの役割じゃ!!」
聖龍使いがそうさくら達に訴えると、ケルベロスがさくらに指示を飛ばす。
「さくら今や! はよ封印を!」「あっ、うん!」
するとさくらは持っていた杖の先端を空に突き出す形で呪文を唱えた。
「……汝(なんじ)のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」
彼女は杖で空中を打つ仕草をすると、物体は光り出した。すると謎の物体は消え去り、一枚のカードへと変わる。
「よっしゃさくら! また封印成功やな!!」
「う、うん!」
「やりましたわねさくらちゃん。今回の活躍もばっちりカメラに納めさせて頂きましたわ♡」
喜ぶさくらと知世とケロを悔しそうに苺鈴が見詰める。
「あ~あ、今回もさくらに先を越されちゃったわね小狼」
「……あっ、そ、そうだな」
そんな彼らに、聖龍使いとメタルバードが近寄って来た。
「お主達、盛り上がっているところ悪いのでござるが……」
「オレたちに何かどうなっているのか説明してくれねえか? 何も説明してくれねえなら、この街の市長に告げ口して警察沙汰になるかもしれねえぞ?」
このメタルバードの脅しを聞いて、市長である聖龍使いがメタルバードのテレパシーで直接彼の真意に話しかけた。
(おいっ、どう言うつもりだメタルバード! 勝手に市長としての権限を乱用するんじゃねえ! それに、それじゃあ脅迫と変わらねえじゃねえか!!)
(だ、だってよ……コイツらに其処まで言わねえと、ちゃんと正直に話してくれる保証がねえだろう? コイツらの所在や本名は既に調査で解っているけど、何でこいつらがこんな事をやっているのかまでは調べがついて無えだろう? オレはお前の良い付け通り、やたらにテレパス使ってねえから細かい事情までは解らねえよ)
実はメタルバードこと変身怪獣は、修司にむやみやたらにテレパスを使う事を禁じられていたのだった。修司は人の本心を除く事は、時には誤解も招く事もあると考えていたからである。ゆえに、その能力を自らの意思で制御できる変身怪獣には乱用するなと忠告していた。
「わ、私達はそんな……怪しい者じゃ」
「さくらイカンっ。他人にクロウ・カードの事喋ったら」
「そ、そうだ! 余計に騒ぎを大きくするだけだ!」
「で、でも警察に通報されるのも……」
ケルベロスに小狼に止められるも、どうすればいいか困惑するさくらの表情を凝視した聖龍使いは、彼女達に告げた。
「はっはっは。そんなに他人に知られてはいけない事情があるなら安心せい。ワシ等は誰のも言いやせん。安心して訳を話してくれぬかのう……」
「わ、解りました……」「おいっ、さくら……」
了承するさくらの返事に小狼が戸惑う中、さくらは笑顔で言った。
「大丈夫、この人達は本当に良い人そうだし……」
さくら達は聖龍使いとメタルバードに今までの経緯などを話し始めた。
[協力する街のヒーロー]
「……なるほどな」
「つまり、事の発端はそのケロことケルベロスがイビキを掻いていて、そのイビキ声に釣られてその木之本桜がクロウ・カードを封印していた本を開いてしまってカードの封印を解いちまったからケルベロスの力を使ってカードを集める通称《カードキャプター》カードを捕獲する者になったって訳か」
「は、はい……そうなんです」
さくらから事情を聴いた聖龍使いとメタルバードに、ケルベロスが付け足す。
「クロウ・カードは封印が解かれるとこの世に災いが訪れると云われているから、ワテらはこうしてカードを封印していっとるんや」
「なるほどねえ……でもそれって、元はと言えばケルベロス、お前が熟睡してデッケエいびき掻いていたのが原因でもあるんじゃねえか?」
「そっ、それは……だ、だからっ、こうしてさくらと協力しながらカード封印して行ってるって言うとるやろぅ」
「ふ~ん……それにしても、なんで守護獣が関西弁なんだ?」
「ウ、ウルサイっ! ワイは前からこの喋り方なんやっ!」
ケルベロスの口調を指摘するメタルバードは続けてさくらの親友である知世にも話し掛ける。
「……そして、その木之本桜の親友で大道寺知世。確かオモチャ会社の社長令嬢だったな」
「あらっ、鳥さん私の事知っているんですね」
「まぁな、この街の個人情報は結構知っているんだよ。街の事知らねえと、街を護るなんて事はできねえからな」
「まぁ、案外お勉強しているんですね」
笑顔で受け答えする知世に続き、メタルバードは二人の中国人である少年少女にも話し掛ける。
「……そして最後の二人、李 小狼(リ・シャオラン)と李 苺鈴(リ・メイリン)。お前達は最近香港から友枝町に引っ越して来たよな。……確か従兄妹だったっか?」
「ああ、そうだ……それにしても、お前達なんで其処まで俺たちの事知る事が出来るんだ?」
「そ、そうよ! プライバシーの侵害よ!」
小狼と苺鈴が訴えると、メタルバードは呆れながらも答える。
「オレたちは市長認定のヒーローなんだよ。だから町の住民に対する情報も知る事が出来るんだぜ」
メタルバードの説明に、聖龍使いが付け加える。
「それに言ってはいなかったが、このメタルバードはテレパシーと言ってな、人の心を読める力を持っておるのじゃ」
「ひ、人の心を読める!?「「ええ!」「まぁ……!」
小狼に苺鈴そして知世が驚く中、さくらも驚愕する。
「ほっ、ほええ~? ひ、人の心が読めるって事は……つまり、相手の考えた事が全部わかっちゃうってこと?」
「ま、まぁ……そう言う事だが……し、しかし今はほとんど使っては無えんだよ。此処の市長であるせっ……い、いやいや小田原修司から余り乱用してはいけないって言われているしな」
「お、小田原修司って……最近この街の市長さんになった人だよね? 確か歳も私達と余り変わらないって……」
驚いているさくらに聖龍使いが更に述べる。
「うむ、かの市長・小田原修司の許しの元、我等は街の警備に努めておるのじゃよ。ああっ、この事は内密にして御くれよ。機密事項じゃからのう。代わりと言っては何じゃが、主らの事も黙って置く故に」
「解りました、私達も誰にも言いません」
「ええ、活躍を記録したこの映像も私が一人で堪能しますから」
さくらと知世の同意を得た聖龍使いは、次に小狼と苺鈴に訊ねる。
「うむ……ところで話は戻るが、小狼と苺鈴よ。主らもなぜクロウ・カードの件(くだり)に関わっておるのじゃ?」
これに苺鈴が答えた。
「小狼はクロウ・カードを生み出してしまったクロウ・リードの末裔としてこの日本に来てカードを封印しに来たのよ! 私はその相方として一緒に付いて来たのよ!」
「……俺は別に協力してくれと頼んだ訳じゃないけどな」
「うむ?」「く、クロウ・リードって?」
二人から話される名前に聖龍使いとメタルバードが反応してると、ケルベロスが代わって答えた。
「クロウ・リードはクロウ・カードを生み出した魔術師や。自分の強大な魔力を使って闇の魔力が込められたカード[クロウ・カード]を、そしてその守護獣であるワイ、ケルベロスも生み出した古の魔術師なんや」
「……なるほど」「うむ……」
ケルベロスの説明にメタルバードも聖龍使いも考え込んでいると、さくらが説明する。
「だから私達はクロウ・カードを封印するべく頑張っているんです。その災いを防ぐためにも……」
さくら達の話を聞いて、聖龍使いとメタルバードは深く考えた。
そして聖龍使いは彼女達にこう告げた。
「うむ、解った! では我らも共にそのクロウ・カードを封印する手助けをしようではないか!!」
「は、はぁ?」
いきなりの聖龍使いの提案にメタルバードは驚いた。
「お、おい……協力するったって、オレたちは封印する事すらできないんだぞ!?」
「しかし、先ほどの様に少しばかりではあるが力を貸すことはできた。これからも同じように協力していけば済む話じゃ」
そんな二人の会話に、小狼が口を挟んだ。
「い、いやっ、大丈夫だ……他人であるアンタらは関わらないでくれ」
「小狼くんっ」「しゃ、小狼……」
小狼の発言にさくらも苺鈴も悲愴な顔を浮かべていると、小狼は切実な心境で述べた。
「もう、俺の先祖が生み出したカードで他人が困るのはゴメンなんだ……」
そう告げる小狼に、聖龍使いはこう言い放った。
「小狼と申したな、もう既に主の先祖が作ったカードは他人に、そして街に被害をもたらしかけておる」
「うっ……」
「そうして、自身の血筋を理由に戦うのも良いが、じゃからと言って何も一人でそれを背負い込むこともないと思うぞ」
「えっ……」
「主には一緒に寄り添い、そして共に戦い、そして見守ってくれる友が少なくて此処に三人は居るではないか。其処にワシ等も加えてはくれんかね? な~に、迷惑だけは掛けぬつもりじゃ。主らの手助けをするだけでなく、主らの行いが他人に知られぬように保護していくつもりじゃ。この街の市長とも親しいゆえに、訳を云って主らを助けてもらうわい」
「あ、アンタら……」
聖龍使いの力説に小狼が唖然としていると。
「そうだよ小狼くん」「一緒に頑張りましょう」
「私が居るのを忘れてもらっちゃ嫌よ小狼」
「み、みんな……」
さくら・知世・苺鈴も助力すると宣言し、小狼は真顔で驚く。
そんな四人を前に、聖龍使いとメタルバードが言った。
「うむ、では話はまとまった様じゃし、ワシ等は帰るとするか」
「ああ、そうだな。お前達もまだ学生だろ? 早く帰って寝ろよな」
聖龍使いとメタルバードの二人はそう彼らに言い残すと、その場を去ろうとした。
「あっ、待って」
すると、さくらが二人を呼び止める。
「なんじゃ、まだ用件がお有りかの?」
「ち、違います……その……」
「うむ?」
「あ、ありがとうございます。助けてくれて……」
さくらからの率直な礼に、聖龍使いは高笑いする。
「はっは、礼には及ばん。あっ、それとワシからもう一つ用件が」
「ほ、ほえっ?」
聖龍使いからの用件にさくらが茫然としてると、聖龍使いは率直に言った。
「……近いうちに主らの住所に市長宛から手紙が届く。その手紙の内容を呼んでその後の行動を行ってくれ」
「ほっほええ!?」
「し、市長さんから……」「な、何だって!?」「へっ?」
聖龍使いからの伝言に、さくらも知世も小狼も苺鈴も一驚する。
そう言い残して、聖龍使いとメタルバードは去って行った。
[これからの活動]
「おい修司、お前これから何を企んでいるんだ?」
地下のメインフロアに戻り、変身怪獣が修司に聞いてみた。
「企むなんて人聞きの悪い……俺は普通にあいつ等を純粋に保護しようと考えているだけだぜ。奴等の言うとおりクロウ・カードの封印が解かれたままだと災いが起こるっていうしな……俺からも多少の援助をしていきたいだけだ」
「……へぇ、なるほどね」
更に続けて、変身怪獣は修司に話す。
「それと修司よ。お前がさっき言っていた[市長からの手紙]って、あれは何だ?」
「ああ、あれな。実はな……」
「うんっ?」
「あれは、俺が狙いを付けたヒーローや特殊能力者達に送りつける手紙の事だ」
「ね、狙いを付けた!?」
「そうだ、特殊な術や能力。そしてそれらを使って戦う英雄達を集めて一致団結させるのが俺の目的だってことはお前も既に知っているだろ?」
「あ、ああ……た、確かに……」
「既に知っている連中だけでも、十番街に住む[月野うさぎ]やその他のセーラー戦士、そして聖チャペル学園で以前にも共闘したキューティーハニーこと[如月ハニー]、そしてさっき会った[木之本桜]やその友人達。それ以外にも目を付けた連中はごまんと居る。近々、そんな連中の現状を視察したり、様子を探りながら最終的にはそれぞれの住居に宛てて手紙を送りつけ、このメインフロアの上の階に当たる大ホールで開くパーティにそいつ等を呼び付けるんだよ。俺が今後組織する軍隊を結成させるためにも……な」
「そ、そんな事を……そ、それで。お前が目星を付けた連中ってあとどれくらい居るんだ?」
「うん、まずは……ナースエンジェルにそれから、しんせん組って名乗っている三人組の子供だな。コイツらもかなりの使い手だ」
「お前は、そんな連中集めて満足か?」
「いんやっ、まだまだ組織を巨大化しようと考えている。ゆえに、異世界の存在にも目を向けている」
「いっ、異世界?」
「ああそうだ。この世界とは別の次元に全く違う異世界があり、中には魔法が存在する魔界や妖精の住む世界も存在しているっていう」
「そ、そんな世界にお前はどうやって行こうって言うんだ!?」
「うん、実は今な。ウッズに頼んで異世界と自由に行き行きできる《異世界亜空間連結装置》なる物を作ってもらっているんだが…」
「へっ? い、異世界亜空間…って何のこっちゃ? そもそも、そんなスゲエもんをウッズが作れるのかよ」
「ふふっ、言っては無かったがウッズはあれでもかなりのIQの持ち主なんだ。技術や工学はもちろん、医療もこなす事のできる男なんだよ。実際に此処の施設もウッズが設計してくれたんだよ」
「! そ、それは凄いな……」
「へへっ、それより相棒。これから忙しくなるぜ。何より色んな英雄集めて組織化するんだからよ。お前にも頑張ってもらわなきゃならねえぜ」
「あ、ああ……が、頑張るよ……」
こうして修司の計画は形になっていきつつ有った。
この計画には多くの英雄つまりキャラクター達が関わることになり、ゆくゆくは二次元界はもちろん、修司の故郷である三次元界にも影響のある存在に成長していくのは、まだまだ先の未来の話。