[ダークジョーカー]
アニメタウンにこんな噂が広まっていた。
[ダークジョーカー]と呼ばれる異星の者が、この星を侵略しようとしていると。そして、その一味と懸命に戦う白衣の戦士[ナースエンジェル]が居ると云う。
修司と変身怪獣はこの噂を確かめるため、修司は私服で、変身怪獣は人間に変身して町を歩き回っていた。
「なぁ修司。お前はその[ナースエンジェル]って女も聖龍隊に加えようと考えているのか?」
「ああ、その英雄は異星からの侵略者と戦っているし、何より怪我の治癒能力を持っているという。俺の組織の看護兼戦闘員としては十分な能力だ」
その後も二人は街を探索するが何の情報も得られずに、とある公園で休んでいた。
「はぁ……オイ修司。何処に行っても何の情報も得られないぞ……」
「ハァ……ま、まぁ、少し休んだらまた捜索を開始しよう……」
変身怪獣と修司が公園で一休みしていると、遠くの方で一人の女の子が男に追われるように逃げているのが目に入った。
「お、おい……修司、今のは……」「ああ、何だか事件かもしれないな」
二人は聖龍使いとメタルバードに変身して二人を追った。
[追い詰められし少女と悪意に取りつかれた男]
「はぁ、はぁ。か、カノン先輩! もうこんな事止めて!」
「……りりか君、きみはダークジョーカーに、ブロス様に楯突く邪魔な存在[ナースエンジェル]だ。君をこのまま逃がすことはできない……大人しく死んでくれ」
「い、いや……カノン先輩……あ、あなたはブロスに操られているだけなんですよ。そ、そんな先輩と戦うなんて……!」
「……どちらにしろ、君には死んでもらうしかない。さようなら森谷りりか、いや、ナースエンジェル!」
「い、いやあ!!」
と、青年が少女を追い詰めていたその時。
「りりかから離れろ加納!!」
青年に向かって鉄パイプが飛んできたが、青年はヒョイッと身をかわして避けた。
「せ、星夜!」
「加納、哀れだな。元クイーンナースの使者であるお前が、今じゃダークジョーカーの幹部に、僕の代わりに納まっているなんてね」
「デュ、デューイ! あなたも来てくれたのね!」
駆け付けては少女を護るかのように青年の前へと立ち塞がる少年と別の青年。
「おやおや、誰かと思ったらザコの星夜に裏切り者のデューイか、君らじゃ相手にもならないよ。……まぁ裏切り者の方は片付ければブロス様に御誉めになれるかもしれないから片付けるとして。星夜、君は戦うには余りにも弱すぎる。大人しく引っ込んでいろ、死にたくなければな」
「だっ、黙れ! 一度はりりかのために死んだと思ったら、今度はダークジョーカーの幹部になりやがって! よ、よくも……よくもりりかを泣かせやがって!!!」
「星夜、今のこいつに何を言っても意味がない。倒すしかないよ」
「ハハハ……僕を倒すって? 僕の超能力をちょっと受け継いているヤツと裏切り者がどんなに度等を組もうが僕には勝てないさ。ハハハ」
「り、りりか! 俺たちがコイツの相手をしている間にナ、ナースエンジェルに!」
「そ、そうだ! コイツを止められるのはナースエンジェルの力だけだ!」
「そ、そんなこと言われても……」
狼狽える少女に、悪意ある青年は嘲笑う。
「ははは、戦う意思もないこんな女を助けようとするのかい? まったくバカだよ君達は」
「う、ウルサイ!」「来るなら来い!」
彼らが戦おうとしたその時、その場に変身し現れた聖龍使いとメタルバードが駆け付けた。
「ま~て待て待て!」「粗方の事情はお聞きしたぜ、皆様方!」
「な、何者だっ、お前等!」
突如として現れる聖龍使いとメタルバードを前に、悪意ある青年が問い掛けると二人は高々と名乗り上げた。
「我が名は聖龍使い、この街を守護する者であり、邪悪な者を消し去る者であ~る」
「同じく、街を護る銀色のヒーロー、メタルバード様だ!」
歌舞伎口調で名乗り上げる聖龍使いと、自信満々に名乗るメタルバード。
「せ、聖龍使い!?」「た、確か今街を賑わせている……!」
少年と青年が戸惑っていると、悪意ある青年が微笑する。
「……フッ、誰かと思えば。例え相手が誰であろうと僕には勝てない。僕には崇高なるダークジョーカーの総帥、ブロス様から頂いた偉大な力が宿っているんだ。訳の分からない連中に負ける程愚かでは無い」
「何を! 女を追い詰めていたヤロウに言われたくないわ!!」
「それにお主、話を聞いたところ操られておるようじゃのう。なら自我の精神で目を覚ますのじゃ。さすれば無用な争いは無くなる」
聖龍使いの説得を横で聞いていた青年デューイが険しい面持ちで語った。
「……アンタ達、それは無理だよ。カノンは完全にブロスの、ダークジョーカーのボスに操られてしまっているんだ。救える方法があるとしたらただ一つ、ナースエンジェルの力だけだ!」
デューイの説明を聞いたメタルバードは納得する。
「つ、つまりあのお嬢ちゃんが変身してくれないと無理ってわけか……」
「……アンタら、やけに話が通じるな」
理解が早いメタルバード達に少年星夜が驚いていると、聖龍使いが訳を話す。
「いやすまぬ星夜と言う少年よ。実は主らの先ほどの話を聞いてしまってのう。いや、悪気はなかったのじゃが遂……」
「つまり、盗み聞きしてたって訳か。アニメタウンの英雄が盗み聞きとは……」
星夜の指摘に苦笑する聖龍使い。
「ま、まぁ……い、今はとりあえずこの加納とかと言う若者の暴走を止めるのが先決じゃ」
「あ、ああ。そうだぞ星夜君。君の大事なりりかちゃんを助けたくないのか!」
「うっ、うう…」
「い、今は言い合っている暇はないよ! 早くコイツを止めないと!」
こうして星夜にデューイ、そして聖龍使いにメタルバードは操られている加納に対して向かって行った。
[決意する少女]
「グワッ」「うわぁ!」「うっ、こ、コノヤロ……!」
果敢に攻めていく星夜にデューイそしてメタルバードだったが、加納の強力な超能力の前に苦戦を強いられる。
「ううむ、喰らえ! 水連斬!」
聖龍使いの邪悪なモノを清める水連斬を放ったが、加納は不思議な力でバリアを作り、攻撃を防いだ。
「はっはっは、なんだ。これが今話題になっている英雄の実力か?」
「う、ううむ。相手が操られているだけの人間でなければ本気で戦えるのじゃが……」
困惑し、戸惑っている4人に加納は容赦なく攻撃を続ける。
「う、うわあ!」「や、やられる!」
「クッソー、オレの人生こんな所で終わっちまうのかよ~!」
「かっ、加納殿! どうか目を覚ますのじゃ! 邪悪な者に心を操られてはならぬ!!」
「黙れっ、ウジ虫共がぁっ!!!」
4人に攻撃が当たりそうになったその時、りりかが4人の前に立ち塞がった。
「り、りりか!」「ああ!」
「お、お嬢ちゃん!」「あっ、危ない!」
星夜にデューイそしてメタルバードと聖龍使いが叫んだ次の瞬間、彼女の身体が光ったと思いきや、彼女の姿がみるみる白衣の姿へと変貌する。
「ナースエンジェル!! ……天よりの誓い!」
そう、森谷りりかが遂にナースエンジェルに変身したのだ。
「ぐっ、ぐう……ナ、ナースエンジェル……!」
「り、りりか……!」
「ナースエンジェル、遂に戦う決意をしてくれたんだね」
ナースエンジェルの光に来るしむ加納。それに対して星夜とデューイはりりかが加納と戦う決意を決めたのを前に希望を見出す。
「ええ。いつまでも目の前で人が、大事な人たちが傷ついていくのは、もう見たくない! 先輩を……加納先輩を救うためにも私は戦う!」
しかし変身したナースエンジェルを前に加納は嘲笑する。
「う、うはは……それで良い、それで良いのだナースエンジェル! これで僕も力の限り戦う事が出来るよ!!」
そう言うと加納は、更に自分の力を増幅させてナースエンジェル達に襲いかかった。
「うわっ!」「ぐっ」デューイ「うう……!」
三人が怯んだその時、加納の攻撃を聖龍使いとメタルバードが受け止めた。
「う、うぐぐ……さ、三人方は平気かな……」「め、メタルバード!?」
自分の体を盾にして死守してくれたメタルバードを前に星夜が驚愕してると、聖龍使いがナースエンジェルに言い放つ。
「うむむむ……ワ、ワシ等で攻撃を食い止めて置くから……ナースエンジェル。ぬ、主の力でこ奴を攻撃するのじゃ! この加納と言うモノを救いたいのなら尚更躊躇ってはならぬ!!」
「は…はいっ」
聖龍使いからの説得にナースエンジェルが頷いていると、加納が行動に移す。
「さ、させるかーー!!」
加納は更にエネルギーを放ち、4人共々、消滅させようとした。その時、ナースエンジェルがエンジェルバトンで加納の攻撃を無力化した。
「なっ、何!?」
驚く加納に、ナースエンジェルはこう告げた。
「加納先輩、私は貴方が好きです。だからこそ! 貴方を倒し、貴方を操るブロスを倒し! そしてこの地球を、命ある全ての者を救ってみせます!!」
ナースエンジェルが加納にそう告げると、彼女は更に力を解き放し、加納に攻撃を仕掛けた。
「エンジェルエイドボムビーム!!!」
「うっ、うわあ!」
加納は間一髪攻撃を避けた。そして去り際に彼等にこう告げた。
「うぐぐ……覚えていろナースエンジェル! そして星夜に裏切り者デューイ! それから聖龍使いにメタルバードとやら! いずれブロス様率いる我らダークジョーカーがクイーンナースを、そしてゆくゆくは地球を支配しなさる! それまで短い人生を堪能しておくんだな!!」
加納はそう言い残し、去って行ってしまった。
「へっ、一昨日きやがれ! このキザヤロー!!」
捨て台詞を吐いて逃げ去る加納にメタルバードも文句を返していると。ナースエンジェルの変身を解いたりりかがその場に崩れるように座り込んでしまう。
「り、りりか!」「ナ、ナースエンジェル!」
「お、おい、お嬢ちゃん! しっかりしなされ!」
「ど、どうしたと言うのじゃ…」
崩れ落ちるりりかを前に戸惑う星夜にデューイそしてメタルバードと聖龍使い。
[悲しみと向き合う]
公園の片隅で、りりかは星夜にデューイ、そして聖龍使いとメタルバードに介抱されていた。
「……みんな、ありがとう……」
「り、りりか……そんなに落ち込むなって」
「そうだよナースエンジェル。あのカノンが簡単にダークジョーカーの虜になっている間々な訳ないだろ? 必ず助け出せる方法はあるさ」
落ち込むりりかを心配する星夜にデューイに続き、メタルバードもりりかを励まそうとする。
「そ、そうだぜお嬢ちゃん。わ、訳は解らねえが元気出せよ! カワイイ顔が台無しだぜ」
そんなお調子者のメタルバードに、星夜が取ってかかる。
「おいアンタ、勝手にりりかに話しかけるなよ」
「おいおい星夜くん、さっきまで俺たち一緒に戦っていた仲じゃないか。そう冷たくならないでよ」
「お前のりりかへの態度って、何か気に障るんだよ」
そんなメタルバードに対して不信感を抱く星夜に、聖龍使いが述べた。
「気を悪くしてすまない、星夜氏(うじ)。この者は女子(おなご)には滅法弱いのじゃ。まぁ、そんなにならなくてもワシが側にいる限り、下手なことはさせんから心配しなさんな」
「お、お前までそんな事言うのか……」
相棒にも信用されてない現実にメタルバードは呆然とする。
そんな中、聖龍使いはりりかに訊ねた。
「森谷りりかよ。主はあの加納とか言う若者を助けたいのじゃろ?」
「は、はい……」
「ならば立ち向かわなければならん。主らの言うブロスは強大な力の存在、それに操られている加納殿もそれに引けを取らぬ強さじゃろう。それならば本気で立ち向かい、ブロスの呪縛を解かねば加納殿も助け出す事はできんぞ。本当に助けたいのなら強い意思を持って加納に、そしてダークジョーカーの親玉であるブロスに挑まねば誰も救えんぞ」
聖龍使いはりりかに戦う意思を与え、自ら運命を切り開くように仕向けた。
「……はい、私、頑張る! 絶対に加納先輩を取り戻して、ブロスを・…ダークジョーカーを倒してみせます!!」
「り、りりか!」「その意気だよ、ナースエンジェル!」
聖龍使いの説得を聞いて決意するりりかに、星夜もデューイも喜々とする。
「はっは、お嬢ちゃんに笑顔が戻ったぜ」
「うむ、もう大丈夫な様じゃな。ではワシ等はこれで御暇致(おいとまいた)す」
塞ぎこむりりかに助言を告げ、聖龍使いとメタルバードは去っていった。
「あっ、おい!」「あ、アンタ達一体!?」
去っていく二人を星夜とデューイが呼び止めようとするも、二人は走り去っていく。
そんな二人にりりかは笑顔で礼を述べた。
「聖龍使いさーーん、それにメタルバードさーーん、ありがとうございましたーー!」
そんなりりかの声援を聞き、聖龍使いは高笑いしていた。
「フーーハッハッハ、フッハッハッハ……」
聖龍使いのそんな高笑いは辺りに響いていた。